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「お願いやからして下さいと、言うてみろ」――19のとき夢中になった人は男らしい人だった。囚われの身となり、こじ開けられ、これでもかこれでもかと辱めを受ける。男らしい人の言いなりになっている自分が好きだった――。「金曜の夜は絶対に抱きたい」――30を過ぎて優しい人に恋をした。優しい人は金曜の夜、わたしの部屋で過ごしたあと知らない場所に去っていく。彼にもらった期限切れの定期券がわたしのお守りだった――。責任とか、結婚とか、家庭とか。わたしが欲しいのはそんなものじゃない。わたしが欲しいのは……。一度でも恋に溺れたことのある人へ送る超ド級の恋愛小説。
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Posted by ブクログ
「かもめ」がかつて魂を焦がし、自ら終わらせた、2つの恋の物語。
10代後半、身も心も捧げたのは、男らしい人。
20代後半、生きたまま殺されているような愛をくれたのは、優しい人。
何もいらない、欲しいのはあなただけ、その言葉そのままに、ひたすら待って、追いかけて、愛して愛して行き着いたのは、生きたまま死ぬこと。
恋愛小説の楽しみは、どんな風にその恋が終わるのかということです。(暗い…笑)相手や主人公が死ぬとか、そんなのは全然面白くない。
主人公は、自らが死ぬほど愛した相手に、自らサヨナラを告げています。
気が狂うほど愛して、丸裸の心で、プライドなんてはじめからどこにもない。
そんな、果てしなく続くだろうと思っていた恋が、かもめの愛と、男たちの愛が全然違うものであると彼女が気づいとき、終わる。
まるで私がかもめに去られた男たちみたいな気持ちになって泣きたくなったし、
かもめが去っていった後の男たちがどんな人生を送っていったのか知りたくもなった。
きっと男たちはまた別の女性と幸せに暮らしていっていると思う。
身を焦がし、魂を焦がしたかもめは、この先もずっと独りぼっちの不完全な死体として生きていくのだと思う。
川滝かおりさんの詩が過ぎで、彼女が現在は小手鞠るいという名前で小説や児童書を書いていることを知り、はじめて手に取りました。
詩のような優しさとセンチメンタルさを味わわせてくれる1ページ目、1行目。はじめからわたしを虜にする彼女の文章がたまりません。
Posted by ブクログ
苦しい。
自分と重ねてしまって、吐きそうになりながら、泣きながら読んだ。
「欲しいのは、あなただけ。」あなたとの子供が欲しいんじゃない。家庭が欲しいんじゃない。「あなた自身」がほしい。
一卵性双生児みたいになりたい。別々の人間じゃなくて一緒になりたい。ドロドロに溶け合って、一つになりたい。
かもめは、自分で終わらせることが出来るから強い。
刺さる人には刺さるし、分からない人には分からないだろうなと思った。
ものすごく人を選ぶ作品だと思う。
好きな人を好きでたまらなくて、幸せな中にも不安と苦しみと焦燥感がある人は刺さって辛いんじゃないかな。
Posted by ブクログ
読み始めて、しまった…と思った。ヒリヒリするような恋愛の追体験をしているような。けれど、やめられない。他人から見ると、どうしてそんな関係を続けるの? と言われるような恋愛も、そのさなかにいるときは、きっとこんな気持ちなんだろうなぁと、生き生きと伝わってくるような筆致。
激しく、強く、痛みさえ感じたあとの最終章で訪れる回想のとき。穏やかで、でもまだ痛みがあって。
「すべてを手に入れてもなお不幸な人間がいるように、すべてを失ってもなお、幸福でいられる人間もいるのだ」「愛を知るためには、愛さなくてはならないのだ」
この境地に至るまでの主人公の想いに、最後は静かにうなずかされてしまった気がする。
嵐のあとのような読後感は、悪くない。
Posted by ブクログ
【本の内容】
支配欲をむき出しに、ときに力で組み伏せる「男らしい人」と、家庭を持ちながらもひたむきに愛してくれる「優しい人」。
ふたつの恋を思い返すときだけ、わたしはつかの間生者になれた。
激しくのめり込み、やがて溺れる恋の欲望を、駆け抜ける文体で描き出し、圧倒的共感を得た注目の恋愛小説。
自由よりも、後悔よりも、欲しいのは…。
全選考委員が絶賛した、島清恋愛文学賞受賞作。
[ 目次 ]
[ POP ]
『欲しいのは、あなただけ』はストレートに心の痛覚を責めてくる恋愛小説だ。
市橋さんも「死のにおいを嗅ぎながら読んだ」という。
サディスティックな「男らしい人」と妻子がありながら包みこむように尽くそうとする「優しい人」。
二人の男性への恋慕に溺れ、どちらも破局した女性はこう独白する。
「心逝くまで好きな人を思い、その思いを今も生きる。地の果てで、独りぼっちの不完全な死体として」
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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