小手鞠るいのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
完全に、タイトルで選択した本。
自分がストレス過多になると、森に行きたくなる。
今がそれで、このタイトルを見た瞬間に読みたい!と思った。
植物や動物を擬人化する著者。
自分も、よくやる。
樹を「この子」って呼んだりする。
だって、植物も動物も、意思を持っているもの。
読んでいて、とても親近感。
ウッドストックの森の中。
時には過酷な世界。
でも、様々な自然と共存ができる世界。
実に羨ましくなった。
著者の名前は、恥ずかしながら初めて目にしたが、本著に出てくる様々な他の作家さんの本の話には、驚いた。
だって、ことごとく、自分も読んだことのある本なんだもん。
この方とは感覚が似ているのかも知 -
-
Posted by ブクログ
湿気をはらんだ、熱い空気。
行きかうすさまじい量のバイク。
活気あふれる若々しい国。
そう、この街には、老人が少ない。
何十年にもおよぶ長い戦いが終わって、
まだ40年しか経たない、私が見たホーチミン。
欧米人のツアー客に紛れて、見た戦争証跡博物館。
長くバスに揺られて訪れた、クチトンネルツアー。
ベトナム戦争は複雑だ。
事前に勉強していったのに、今でもさっぱりわからない。
大体の人の認識は、ベトナムは大国アメリカに勝ったということと、
アメリカは人体に甚大なる影響をもたらす「枯葉剤」を撒いた、
という2点のみ。
だけど違う。
アメリカは後から介入してきただけで、
ベトナム人はもともと、ベトナ -
Posted by ブクログ
小さなきっかけから、アメリカに住む平和運動家の女性と文通することになった北川。
14年間の文通期間を経て、戦時下のベトナムを訪問することになった。
文通という手段が、二人の関係を濃密にした感があると思う。
ましてや、北川にとっては異国の言語で、それを読み解くために、何度も何度と手に取っていたのだろうから尚更。
私にとっては、二人の話よりは、知識の薄かったベトナム戦争の本という意味合いの強い作品でした。
戦時下のベトナムを訪れ、病院裏の光景を見た北川が壊れてしまった結果のラストかなと感じました。
私には、まだまだ知らなければならない戦争の話が沢山あると思います。
-
Posted by ブクログ
ネタバレこれまで読んだこの作家の作品の中では一番良かった。
子ども向けの本も書いている作家だが、これは大人向け。
1904年に岡山から移民してきた一世の幹三郎から、その孫のジュンコまで語り手を変えながら、日系人一家の戦前から現在までを綴る作品。
差別され苦労を重ねながらもアメリカ社会に溶け込み財を築いて、家族を増やした一世の努力を全て奪った戦争。
長男は真珠湾攻撃の直後、アメリカ人の集団に暴行され、家族は全財産を奪われ収容所へ。ノーノーボーイにはならなかった次男は戦死。
戦後から現在までも描かれるが、圧倒的に力を入れて描かれるのは、戦前の家族の姿で、それだけに奪われたものの大きさがリアルに伝わる。
も -
Posted by ブクログ
太平洋戦争時に多くの日系人がアメリカの捕虜となった。
ぼんやりとした知識は持っているけれど、詳しくは知らないし、この史実をもとにした小説や映画もまったく触れた事はない。
戦後70年を超え、徐々に戦争が風化している。
戦争からたった30年しかたっていない頃に生まれた私でさえ、戦争についての知識は乏しい。もう平成も終わるこの日本にあって、今の若者たちの戦争への意識はどんなものなのか。
改憲に向けての流れは変えられないのかもしれない。
9条の重みは薄れ、自国は自国で守るべきなのかもしれない。
でもその前に知らないといけない。
日本が最後に戦ったあの戦争で何が起こったのか。
日本で、アメリカで、中 -
Posted by ブクログ
本をめぐる物語というか、本に係わる物語って感じ。
色んなかかわり方があるとは思うけれど、それだけでなく、
本が出来上がるまでに、色んな人が関わっているんだと思ったら
ますます本が愛おしくなります。
アンソロジーは新しい作家さんとの出会いの場である。
ましてや本関連のアンソロジーときたら、期待度大である。
好きなのは、「メアリー・スーを殺して」
話の流れから、どんな結末になるかと思ったら
さすがの乙一氏ですね。
ある意味、予想外で中田氏らしい終わらせ方でした。
ちょっとしたきっかけで、人って変われるんだって思わせる。
これは読後感がよいです(p^_^q)
「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
-
Posted by ブクログ
DV夫から逃れてきた地で恋に落ちた相手は、妻子持ちの中年男。
愛する男の死を願う、それは男の魂を独り占め出来る気がするから?
究極のエゴイズムだと思えるそんな感情も、
「かわいそう」な立場から自分を救ってくれた相手への愛?
短かったけれど濃密な恋愛期間。
主人公は、最後の最後に、元同僚からの電話で、
「不倫?」と気づかされる。
自分たちのしてきたことは恋愛じゃなくて不倫?
読者は、最初からそんなことはわかっている。
ふと思ったことだけど、
恋愛≧不倫、恋愛≦不倫、どちらの不等号が正しいのだろう?
もちろん、恋愛に正負はないのだろうが、
彼女たちの恋愛を不倫と言う一括りの言葉にしたくないような気 -
Posted by ブクログ
若夫婦が猫を飼い、とても幸せに暮らしていたが‥?
愛あふれる切ない物語。
彩乃と未知男は見合いで出会って一目惚れ。
すぐに結婚して北米にわたります。
どちらもバツイチで、抱えているものもありました。
理想的な相手と、きれいな田舎町で暮らすことに。
まるで少女の夢見た物語のように、甘く可愛らしい展開。
保護施設で見つけた長毛のうつくしい雄猫マキシモ。
猫のことで毎日笑い、夢中になり、猫を中心にすっぽりと愛に包まれた暮らしが積み重なってゆきます。
そして16年。
猫の病気を見守る日々から、喪失へ。
これまでの幸福が暗転したかのように、苦しむことになります。
愛猫との暮らしぶりと、その後の嘆き -
Posted by ブクログ
とても可愛らしい小説。
タイトル、表紙イラスト、作者名そのまんまです。
小手鞠るいさん、初読み。
3人の女性の恋模様が、いとおしむような雰囲気をまとった、わかりやすい文章で、さわやかに語られていくお話。
ひとつのエピソードが次へと絡んでいき‥
ああ、そういうことだったのか?と。
恋愛部分はよく読めばビターな要素も少し入ってますが、そこにはほとんど触れられない。
わくわくしたり、きゅんきゅんしたり。
ちょっとした問題もいつしか、あま~く解決☆
美味しそうなお料理が出てくるのも楽しいですね。
毎回、野菜や料理が絡んでくるため、ちょっとした知識も頭に入ります。
とても読みやすいですが、甘すぎる