小手鞠るいのレビュー一覧
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本書に登場する「メイミー」こと「花森真美絵」は、時代設定も年齢的にも小手鞠るいさん自身と似通った様が、まるで私小説のようにも思われた、それは小手鞠さんが1992年からニューヨーク州在住であることや、彼女の側に14年間ずっと居た猫の存在が、彼女の人生に於いて、いかに大切でかけがえのないものであったのかを物語っていて、しかも猫をテーマにして書いた長編小説は本書で四作目になるという、この猫に対する拘りは、愛し続けることが如何に幸せなのかということを、自ら実践しているようにも思われた。
しかし、その反面、たとえ愛する猫がこの世からいなくなったのだとしても、人は変わらずにその幸せを見出して生きてい -
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ネタバレアメリカに住む千歌と日本に住む絵里奈はステップファミリー。二人の関係がなんとも良い。野鳥が好きな二人のメールには鳥の話題がたくさん出てきて、鳥好きには楽しめる。鳥の英名と和名の紹介もおもしろい。
渡り鳥で季節の巡りを感じ、子育ての姿に感動する。鳥の囀りの不思議。
『野鳥の魅力は、人の手で触れないこと。偶然、ほんの一瞬しか。だから見ることができた人は、幸運に恵まれた人』うん、分かる分かる。
千歌は、夏休みに動物の保護団体にボランティアで参加し庭鳥の世話を体験し、指導者ボブの影響を受ける。『庭鳥は友だち。友だちは友だちを殺して食べない。これがやさしくて美しい人間のすること』と。千歌はチキンを食べ -
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永遠に忘れられない「過去」と
永遠に続いてほしい「現在」に 生きる女性。
39歳、離婚歴あり、英語短大講師。
「過去」の男は、高校時代の友人の彼。レイプのような一夜だけの男。
「現在」の男は、新進気鋭の政治家。妻子あり。
むろん不倫、仕事でもブレーンとして、物分かりの良い愛人として、均衡の取れた大人の関係。
そこに、一枚の葉書が届く。母となった高校時代の友人の現況を知らせる便り。
まるで過去からの葉書に 過去と現在の永遠の不確実さに動揺する。
小手鞠さんに慣れてきて、小気持ちの悪さが気持ち良くなってきた。
恋愛サスペンスという紹介だったけど、ラストにあんまりな事件はあるが、二人の男性の見えない -
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小手鞠さん2冊目。全選考委員が絶賛した島清恋愛文学賞受賞作とのことで胸がキュンとなるような純愛小説かと思ったら全然違いました。
かもめちゃんが19歳の時好きになった「男らしい人」は支配欲が強くて暴力的。任侠映画の子供は見てはいけません!というシーンを見せられてるよう…。そして29歳の時に好きになった不倫相手の「優しい人」は妻とはもう何年もいたしてません…と言いながら妻のお腹に3人目が!!
男性を見る目がないのか?どうしたって相手に問題あるような…。でもかもめちゃの恋は一途過ぎて狂気すら感じられるから普通の恋愛は無理なのかもしてませんね。 -
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年始早々に読んで、ちょっと暗くなってしまった。
女性版「人間失格」って感じです。
この本の主人公は実在の人物なんでしょうか?
告白文でストーリーが進んでいくのですが、かなり自分に酔いしれてる感じが見受けられます。
これは重度のこじらせっぷりですね。
彼女の根本的な考え方が”不幸”が元になっているんですよね。
”わたしはもっと不幸になりたかったのです。不幸には、幸福にはないような蜜の味があるのです。それをとことん味わいたい、不幸を突き詰めていったら、そこに何があるのか、何もないのか、何もなくていい、何があってもいい、男の胸の中で喉に息を詰まらせながら、わたしは不幸のもたらす快楽を貪りたかっ -
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展開も先読みができたし恋に落ちるスピードも早いと思ったけど、大学生だった頃を思い出し、あの時は真っ只中で気づかなかったけど、自分も主人公達みたいにキラキラしてたのかなぁなんて振り返りながら読み進めました。
主人公の元カレは酷い奴だなと思ったけど、自分が相手を想う気持ちと、相手が自分を思う気持ちの熱量は同じじゃない。思い出を大切にしている気持ちの深さも同じじゃない。20年経ってもそんなもんのままだったなと自分の経験を再認識して虚しい自己憐憫に浸ってしまった。
とはいえ、この本自体は若い二人のこれからの幸せが予想されるラストなので青春万歳!と純粋に思えました。