小手鞠るいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【本の内容】
支配欲をむき出しに、ときに力で組み伏せる「男らしい人」と、家庭を持ちながらもひたむきに愛してくれる「優しい人」。
ふたつの恋を思い返すときだけ、わたしはつかの間生者になれた。
激しくのめり込み、やがて溺れる恋の欲望を、駆け抜ける文体で描き出し、圧倒的共感を得た注目の恋愛小説。
自由よりも、後悔よりも、欲しいのは…。
全選考委員が絶賛した、島清恋愛文学賞受賞作。
[ 目次 ]
[ POP ]
『欲しいのは、あなただけ』はストレートに心の痛覚を責めてくる恋愛小説だ。
市橋さんも「死のにおいを嗅ぎながら読んだ」という。
サディスティックな「男らしい人」と妻子がありながら包みこむように尽くそうとする「優しい人」。
二人の男性への恋慕に溺れ、どちらも破局した女性はこう独白する。
「心逝くまで好きな人を思い、その思いを今も生きる。地の果てで、独りぼっちの不完全な死体として」
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
心の中に甘いものを
お菓子は人生にとって絶対必要なものではない。
しかし、その存在があることで自分が変化したり救われたりすることがある。
甘いことは幸せなこと。
不思議な本の旅が始まる。
主人公は遥と淳。
遥が人生で初めて立ち向かった困難。
それに打ち勝つ勇気をくれたのは、遥の亡き母が残した『お菓子の本』。
一方淳は、亡くなった祖父がずっと守ってきたパンとお菓子の店を閉めることに悲しみを覚えている。
そこで彼を助けたのが『お菓子の本』。
二人を結びつけるもの、二人だけではなくてあらゆる場所にいる人たちと結びつけ合うきっかけが『お菓子の本』だったのだ。
真っ白な頁に夢を描く。
皆同じ小麦粉だったものが、ケーキの夢を見たり、スコーンになる夢を見たりする。
その夢を彼らは記録していく。
そしてその夢がまた別の人の夢になり、現実となるように。
結末は人の夢や希望が広がっていく終わりになっている。
自分が作り上げたものが一人一人の胸に届くことのなんと素晴しいことか!
涙も笑いも全て混ぜ込んで作り上げた、自分だけの心のお菓子。
そのお味は?
「夢はきっと現実になります。なくしたものはかならず、形を変えて、新しい形になって、よみがえってきてくれます」
お菓子と、『お菓子の本』はそして旅立ち、心の中に。 -
Posted by ブクログ
施設で出会った一組の男女が大人にであって再会し、別れ、
再びつながりの糸をたどる物語り。
心の扉を相手に向けて開けたと思えても、
じつはその中には鍵のかかった小さな扉があったり。
人は簡単に「自己開示」というけれど、開け方がわからない、
そもそもどうすることが「開ける」ことなのか分からなかったりする。
そんな自分に気づいていながらも、どうしようもなくて、
一人でいること、誰にも束縛されず孤独でいることを「自由」とよんで
自分の内側に鍵をかけてしまう。
なんだかアラシの気持ちが良く分かる気がしました。。
そんなアラシが二人をモチーフに書いた「泥棒猫と遊牧民」は
心の悲鳴が聞こえてきそうなほど悲しく感じられます。
それでも最後は二人を繋ぐ「魂の粒子」がとても輝いて、
目に見えるようで、とても羨ましかったです。
ムシの知らせとも違う、そんなつながりを感じられたら素敵だろうなぁ、と
現実をみてちょっと切なくなってしまいますが、
読後感はすばらしく温かいものでした。
心の鍵の開け方を知らなくて、
それでもその内側にあるものを相手に届けたくて。
もがきながらも、それを相手に知られたくなくて。
人がつながることの美しさを、きれいに伝えてくれます。 -
Posted by ブクログ
・・・生きている人を愛するように、亡くなった人を愛し、亡くなった人のことを書きたい。死んでしまった人のことを「今」によみがえらせたい。
死者と過去を、生者と現在のように、見つめたい。なぜなら、わたしとあなたの時間は、過去に向かって流れているのだから。過去に向かってしか、進んでいけないのだから。過去が、わたしたちの現在であり、未来なのだから・・・
生者の驕りを廃して、過去に愛した今は会えない者への真実を追い求め、亡くなること、亡き人への想いを歌い上げる賛歌です。
職場の後輩だった女の子、はじめての仕事をくれた編集者、何通もの手紙をやりとりして別れた人、若くして逝った詩人、亡き祖母、大好きな仕事のパートナー……亡くしてしまった音信不通の今はもう会うことのできない人々への思いを、記憶だけをたよりに綴る私小説的ともいえる短編集。
「雪と炎の記憶」、「赤いりんごと肩に置かれた手」、「死に魅入られた詩人」、「菜の花畑に立っている人」、「まるで活字のような文字」、「死は美しい」、「私につながる戦争の記憶」、「四羽めの小鳥たち」、「約束は生きている」、「一九八八年の別れ」、「心におりてきた闇」、「私の家の鍵」、「誕生日」、「たまご八個の玉子焼き」、「ふたつの時計」、「空席」の16編。