小手鞠るいのレビュー一覧
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ネタバレ普通の恋愛小説と一味違う。
人と人との恋愛ももちろん描かれているけれど、これは紛れもなく猫と人の恋愛本です。
猫好きさんにとってはぶっ刺さる言葉がたくさん詰まっていていて、途中から他人事じゃない気持ちで読みました。(逆に、猫を実際に飼ったことがない人には理解しがたい本かもしれません。笑)
(以下引用)
・あなたが猫の主人なのではない。猫があなたのご主人様なのです。
・小判でも、真珠でも念仏でも、いくらでもあげる。
・猫と暮らす喜びは、召使になる喜び。
・幸せは猫に始まり、猫に終わる。
・猫は生きて動いている愛。猫を飼ってるんじゃなくて、愛を飼っている。
最後の最後、あと書きを読んで、著者の猫愛の深さにぼろ泣きしました。是非あとがきまで読んでほしいです!(あとがきを読むまでは、本作の中に出てくる猫の飼い方に少し疑問があったので、作者さん猫を飼ったことないのかな?とちょっと思ったのですが、そんなことなかったです。) -
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小手鞠るいさんの実父は岡山市在住。るいさんは1992年からニューヨーク在住ですが、ある日、お父さんから何冊かのスケッチブックが送られてくる。そこには、川滝少年(実父)の1931年愛媛県宇和島に生まれてから1945年岡山市で「敗戦」を迎えるまでの「体験」が、絵日記風に描かれていました。
るいさんは、暫くそのままにしていましたが、ある日思い立って、少し創作して、自分の子供・深青くんがスケッチブックを初めて読んで、日本に行った時に川滝おじいちゃんにスケッチブックのことを解説してもらうというお話に仕立て上げました。だから、設定は少し事実を変えていますが、「絵日記」はそのまま掲載されています。むしろ全173pの半分近くは、川瀧善正氏のスケッチブックをそのまま載せてあり、ほとんど事実です。
戦争が本格化するまでと、敗戦後の描写は、貴重な民衆の生活誌になっていると思いました。特に岡山市の描写が絵付きで載っているのは岡山県在住の私には面白い。(片上鉄道で、本当に線路に追いつき飛び乗りやっていたとか、岡山工業高校航空機科の詳しい授業内容、戦後のトタン屋根授業、駅前闇市、木炭車やリンタク、岡山千日前映画館状況、戦後間も無いころの銭湯、コークスを使った豆炭、鉄道自殺が多かったこと等々)
戦中の絵日記は、この本の目玉でありとても貴重です。軍事教練、ゲートル巻のやり方、勤労奉仕、建物疎開、6.29岡山大空襲後の景色、岡山駅の貨物倉庫いっぱいに空襲でなくった300体の図(これは写真も残っていないので、この絵が初出しかもしれない)、そして川滝少年自身が通学列車でグラマン機の機銃掃射を受けた体験、この時死者44人負傷169人だったのだから、少年は正に九死に一生を得たのです。
本の表紙を拡大して見てください!
川瀧善正氏の絵のうまさ、漂うペーソス、戦後数十年経ってもまだ記憶に鮮明なその記憶力が充分わかると思います。
るいさんは、「大人たちが起こそうとしている戦争を、あなたの力で止めてください」との想いで本書を仕上げています。スケッチブックがあるから、とっても説得力あります。
ホントは川瀧氏は、どういう思いでこのスケッチブックを娘に託したのか、ハッキリしません。でもとっても良い!
私たちには、戦争体験とか特別なことはないけど、子供の頃の遊びとか、校舎の様子、急激に変わる町並みなど、さまざまなエピソードは、令和の子供たちには驚きの「景色」なのではないか?漫画家になる夢は、今は潰えたけど、こんな絵日記、作っておく意義はあるのではないか。その最大のお手本として、この本、なかなか良いんではないか?とも思ったのでした。 -
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夜、寝る前に少しずつ読み進めていたエッセイ。
あぁ…、私もこんな暮らしがしてみたい。
読みながら何度もそう思いました。
ニューヨーク州ウッドストック在住の著者。
「森」としか言い様のない大自然のなかでの夫婦二人暮らし。
小鳥たちのさえずりによる目覚め。家の池にやってきて水浴びをして帰っていく黒熊。池の睡蓮の葉を食べてしまう鹿。
出会うのは野うさぎ、きつね、たぬき、ビーバー、カナダグース、フクロウ、リス…と、いかに自然豊かな土地なのかがうかがえる。
森林での暮らしは、雪深い冬の厳しさなど自然の驚異はあるものの、都会の喧騒から離れ、穏やかでゆったりと流れる時間はとても心地よさそう。
野草が咲き乱れる環境。季節の花々や野性動物を愛でながら過ごす日々に憧れます。
エッセイを通して、著者が目の前の自然や動物の営みを愛でながら毎年心待ちにしている様子が伝わってきました。
ご夫婦仲がよくて、小手鞠さんの無邪気さや可愛らしさを感じるエッセイ。
気分が和らぐので、寝る前の読書にもピッタリでした。
『こんなにも豊かに、ありあまるほど花を咲かせている木は、この森の中でしか生きていけない。(中略) 人もまた、その人にもっともふさわしい場所で生き、自分の好きな土地に根を張ってこそ、見事な花を咲かせることができるのだろう。』
『森の中で暮らすということは、自然の美しさ、優しさ、懐の深さとともに、その厳しさ、非常さ、過酷さ、容赦のなさを受け入れながら生きる、ということにほかならない。』 -
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はじめてこの作家さんの作品を読んだ。
驚いたのは、文章の読みやすさ。
本書を朗読することがあったのだが、何ページも続けて朗読しても、つっかえることなく読み終えることができる。
こんな作品はあまりない。
アメリカの学生による、太平洋戦争をめぐるディベート小説というと、赤坂真理さんの『東京プリズン』を思い出す。
あれは読んでいてつらかった(作品の価値はしかし、そこにあるのだろうが)。
そんな読書経験があると、ちょっと身構えてしまうが、本書での高校生たちは、原爆投下を肯定するか否定するかの立場を超え、みな真摯で純粋だ。
全員が「戦争を肯定するつもりはない」という考えを持っていることが、ある種の安全弁となっている。
お話としては、主人公のメイが、討論会に参加したことで成長していくさまも描かれ、読後感が非常によい。
平和の創造が大事、という結論にいくのも、いいところだと思う。
ただ、ちょっとだけ腑に落ちないのは、原爆投下が誰の責任かという問題と、投下の是非は結びつくのか。
読んでいる時は割と感情的に理解できたような気になっていたが、本を閉じて思い出すと、どんな論理でつながっているのか、自分の中でうまく思い出せない。
読みやすさに足をすくわれたか?
もう一度読み直してみよう。 -
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アメリカ人だから、日本人だから、男/女だから、マジョリティ/マイノリティだから。そういう風に単純に区別して、そこに全ての理由を求めてしまえば楽なのかもしれないけれど、そうじゃないことを思い出させてくれた。
異人種でも深く分かり合える人はいるはずだし、同じ言語を話していても心の距離はずっと遠いままの人もいる。どこに行ったってヤバい人はいるし、優しい人もいる。
国際結婚をした知り合いの話を聞く度に、母国語でない言葉で感情を擦り合わせていくのは本当に大変そうだなぁ…と思っていたけれど、言語が違うからこそ、一層の慎重さをもってその作業に当たったり、一定の諦めがあるから期待し過ぎずに住むという利点もあるのかもしれない。
同じ日本人だから、言葉にしなくても共有できる概念は確かに多く存在するかもしれないけれど、それにあぐらをかいてしまっていては、どんどんすれ違いも生じるかもしれない。2人以上の人間が言葉を交わす際には、常に「翻訳作業」を怠ってはいけないんだ、と感じた。
アドラー心理学の教えも思い出したし、最近傷ついた経験を話してくれた親友の顔も浮かんだ。外国人として異国で暮らす気楽さと必要な強さにも共感した。今の自分に刺さる言葉たちにたくさん出会えた。
殺傷事件や中絶や死別など、私の苦手なセンセーショナルな部分もあったけれど、不思議と優しさの方が心に残った。また読み返したい。
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広島と長崎への原爆投下。アメリカ人の学生達が肯定派と否定派に分かれて討論するという内容。
児童書に分類される本なんですかね?とても分かりやすくて読みやすかったです。
登場人物を色々なルーツをもつアメリカの学生達にしたのも良かったと思います。
日系人部隊第442連隊の事は全く知りませんでした。読んでいて胸が苦しくなりましたが、知れて良かったです。
読後感は良かったのですが、最後の核に関する出来事の年表を見ているとわたしは悲観的な方に気持ちのベクトルが向かいました。なんでだろ?
まだ一度も広島も長崎も行った事がないので、行ってみたいと思いました。
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爽やかな本に出会ったという感想が読書中も読み終わったあとも続いています。森林浴のような心地良さを感じる小手鞠るいさんのエッセイ集です。
ウッドストック という、北海道の富良野のような美しい自然の中に移り住んだ著者の、四季折々の自然から受ける恩恵が綴られています。
森の中で 著者は、季節の移り変わりは空から降ってくるのだと捉えます。
季節ごとの光が、生き物の声が、植物たちの息吹が、あるいは枯れていく彩りが、見ているものの心を治療していくと。
自然の中で生活することは楽なことばかりではないし、日本も大好きだけど、それ以上に、ここが自分に一番あった場所だと言える著者を心から羨ましく思います。
心が疲れた時などに、少しずつ読んでいくのも良いかもしれません。リラックスできる内容です。 -
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ままならない男と女。
正直に生きれば生きるほど、堕ちていく。
帯の紹介は、こんな感じ。
多少、ねちっこいと思うところはあるけれど、先が気になって優先的にに読んでしまう、昼メロ的中毒性がありますね。
三組のカップル+一人のバリキャリ50代美貌起業家女性が、絡み合う恋心と身体。
一組目は、長い交際の末にようやく婚約にたどり着いた若いカップル。女性は、真面目で仕事も頑張るんだけど、なぜか彼以外の優しさを必要としてしまう。
次は、結婚8年、子供はまだいない。ご主人は奥様大好き、妻は不安定な夫婦。ご主人に充分愛されても、若い頃の元彼の奔放さに振り回される妻。
そして、バリバリの不動産マンから子供の交通事故死から離婚となった、たぶんまだ愛が残る二人。
若いカップルの男の子にバリキャリが手を出して、二人の女子が不動産屋の男子が気になって、
等々。
フィアンセがありながら、歳上の男に恋する女。
優しい夫に守られながら、昔の男を切れない女。
仕事を餌に、好きな男の息子を堕とす女。
なかなかの冒険作。雑誌THE21文蔵というビジネスウーマン向の連載小説だったようです。
ラストは、このままだと女性起業家一人勝ちに近い感じ。でも、まだ、この絡みとビジネスは続きますよ〜。どうなるでしょうねと、お洒落に煽る。