父「川滝少年」の漫画にしたスケッチブックに、
著者がフィクションの物語をつけた一冊。
川滝少年は終戦時13才、軍国少年として、生きていた。
作中では、孫の深青(みお)少年が、夏休みにアメリカから訪ねてきて
祖父といろいろ話し、戦争について知り、考えていく。
本音は★3.5というところ。
まず、そ
...続きを読むれは、すごく表面的な味方なのではないかなぁ、
あるいは偏向していないかな、ということ。
たとえば、135頁。
「みんな、この人のために、喜んで(←ここが重要である!)死んでいったのだ。
そうするしか生きていく道はなかったし、それが正しい道だと信じていた」
ああ、そうか、この時点では川滝少年は、そう考えていたのか。
疑問を抱きつつも、出征し死んでいくことになった人びとの
手記などが明らかになるのは、もっと先のことだから、これはこれで良いのだね。
でも、このままだと、読者はその通りに受け止めてしまう。
それでは、まずいのではないかな。
声を上げられなかった、もっと複雑な思いがなかったことになってしまう。
とはいえ、岡山空襲で焼け焦げの遺体になれていく様子、
乗っている汽車にグラマンから攻撃を仕掛けられ九死に一生を得たなど
少年の語りを通し、現実味を帯びてくる。
知らなければ話にならない。
戦争が遠い昔の歴史でいてくれればよいのだけれど・・・
ユーモラスなイラストトともに、読みやすい一冊。