川瀧喜正のレビュー一覧
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小手鞠るいさんの実父は岡山市在住。るいさんは1992年からニューヨーク在住ですが、ある日、お父さんから何冊かのスケッチブックが送られてくる。そこには、川滝少年(実父)の1931年愛媛県宇和島に生まれてから1945年岡山市で「敗戦」を迎えるまでの「体験」が、絵日記風に描かれていました。
るいさんは、暫くそのままにしていましたが、ある日思い立って、少し創作して、自分の子供・深青くんがスケッチブックを初めて読んで、日本に行った時に川滝おじいちゃんにスケッチブックのことを解説してもらうというお話に仕立て上げました。だから、設定は少し事実を変えていますが、「絵日記」はそのまま掲載されています。むしろ全 -
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アメリカで暮らしている小5年の男子、深青(みお)が夏休みに母の祖父を訪ねて岡山に行く。そこで同じ年頃を戦争中にすごした祖父のスケッチブックに記された毎日と向き合い、追体験していくお話。まずアメリカで第二次世界大戦がはじまる前の祖父の生活を絵日記のように記したスケッチブックを見つけるところからスタートする。
絵が多いので当時の生活がよく理解できる。岡山なので原爆の後に被爆者が運ばれてきたのを見る様子や、空襲の後の死骸がたくさんある状況に慣れていく様が心に残った。マンガ的なイラストだけでなく、深青が語る文章を並行して読まないといけないので、多少の読解力は必要。
戦争中の生活が現代とかけ離れてしまっ -
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父「川滝少年」の漫画にしたスケッチブックに、
著者がフィクションの物語をつけた一冊。
川滝少年は終戦時13才、軍国少年として、生きていた。
作中では、孫の深青(みお)少年が、夏休みにアメリカから訪ねてきて
祖父といろいろ話し、戦争について知り、考えていく。
本音は★3.5というところ。
まず、それは、すごく表面的な味方なのではないかなぁ、
あるいは偏向していないかな、ということ。
たとえば、135頁。
「みんな、この人のために、喜んで(←ここが重要である!)死んでいったのだ。
そうするしか生きていく道はなかったし、それが正しい道だと信じていた」
ああ、そうか、この時点では川滝少年は、そう -
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素朴でシンプルなイラストが、昭和の時代の懐かしさを感じさせる。
そして、その素朴なイラストの中で描かれる戦争の悲惨さは、どんなにシンプルに描かれようと、ひどい時代だったとしか言いようがない。
でも、写真やリアルな絵ではなく、戦争のおぞましさを全面に出しているわけではないので、そういう描写が苦手な子には、戦争があったという事実を知るのに最適な教材だと思う。
漫画風のイラストや、祖父と深青(みお)くんの会話から、第二次世界大戦がどんなものであったのか、当時を生きていた人の貴重な話がやさしく読めるので、いつか子どもと戦争の話をすることがあったら、この本を紹介したい。