池田真紀子のレビュー一覧
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ネタバレ子の世代ではなんとかこの窮状から抜け出してほしいという親世代の強い願いが何度も書かれていて、子にとっては重責だろうなと思った。そして願いを叶えるのは簡単なことではないのだと、物語の中で示されることになる。どれだけ真面目で優秀であっても、在日コリアンというだけで日本では差別され職がなく、さまざまな場面で理不尽な目に遭ってきたということを、リアルな視点で読むことができた。知らなければ想像もできないことだ。
人種や生まれに関係なく良い人もいれば悪い人もいて、どの国にも色んな面があることが丁寧に描かれていた。一方的に善悪を決めつける書き方はされておらず、登場人物たちがそれぞれの立場でものを考えている。現実の多種な問題に対する読者の意識を刺激し、考えさせられる内容になっていた。
ノアは正当に認められなければと思うあまり、自らも差別をしてしまう状況になっているのが悲しかった。たとえばモーザスの職業についても、ノアは良く思っていないようだった。人並みの日本人になりたがったノアの苦悩は計り知れない。なにか別のものになる必要はなく、自分が自分のまま生きられる国にならなければいけないと思う。
人生はパチンコのようだとはいえ、あまりみんなが運命に振り回されてほしくないと願ってしまった。そんな読書体験だった。 -
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ジェフリー・ディーヴァー『魔の山 上』文春文庫。
プロの賞金ハンター、コルター・ショウが活躍するシリーズ第2弾。
やはり、リンカーン・ライム・シリーズの方が安定感があるし、初期作品のノンシリーズ『悪魔の涙』とか『青い虚空』などの方が面白い。
ヘイトクライムを犯し、逃亡するエリック・ヤングとアダム・ハーパーの2人の若者を追うコルター・ショウは難なく彼らの居場所を突き止める。
しかし、ショウの目の前でのアダムが自殺を図り、エリックのみを保護することに成功する。エリックの証言から、2人の行動に何か裏があると感じたショウは独自に調査を進めると、ワシントン州の山中に本拠地を置く『オシリス財団』という謎の組織に行き着く。
その財団では、イーライという名のカリスマが、共同生活を通じて、人びとに変革を促そうとしていた。
本体価格1,100円
★★★★ -
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下巻は1955年から1989年までの話。
二人の男の子を抱え、お菓子を作って屋台で売る生活。相変わらず忙しくて生活に追われているソンジャ。
夫の兄ヨセプは長崎で被爆して寝たきり。
でも子供たちも大きくなり、長男は学問、次男は商売の道に進み始め、明るい兆しが見え始めてきたが、その間もずっと長男の父親ハンスの援助が見えないところで行われていた。
やがて長男はその父親の存在を知ることとなり、ソンジャはまた奈落に突き落とされるごとく絶望の淵に立たされる。
次男はパチンコ業界で、誠実にコツコツと努力を重ね順調に業績を伸ばしていくが、在日=パチンコという図式は日本人には色眼鏡で見られてしまう。
どんなに謙虚で、実直でまじめにやっていてもそれは払しょくされない。
アメリカの大学を出て教養を身に着けた我が息子には継がせたくない。
でも結局息子はアメリカより日本で生きることを選択し、仕事を手伝うことに。
何年日本で暮らしても、日本で生まれ育っても在日コリアンという出自は彼らを苦しめる。
パチンコとはその生業からきているタイトルだが、はじかれた球はどこに飛ぶかわからない、自分の意志ではどうにもならない。という意味合いでもあるようだ。
この物語は何かを求めて朝鮮半島からやってきた、ある一族の話だ。 -
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ネタバレリンカーン・ライムシリーズの第十六作。
ふふふ。
前作で出世させてあげても良いのではと思っていたプロスキーが、
正式な後継者に指名されていた。
(それなのに、交通事故を起こして査問の対象になるし、
拉致されたりして、まさかと心配していたが、無事で良かった)
セリットーが握手を求めてきて、
「今日から”ロン”と呼んでいいぞ」と言った場面は感動的。
殺害された刑事の持ち物からダイナーの領収書を見つけ、
ダイナーの防犯カメラの映像を回収してきたこともライムに感心されていた。
ひよっこ扱いから、事件に巻き込まれて怪我をし、
普段は全く感じさせないが障害を抱えながらよくここまで来たね。
さて、事件の方は、
建設現場の大型クレーンが倒壊する事故が起きたというもの。
NYの都市計画を貧困層にも住居を与えるものに変更しろという脅迫が届く。
もちろんそんな要求を信じる読者はいないと思うが、
まもなくライムの宿敵、ウォッチメーカーが犯人であることが判明する。
その目的は、不動産価格の高騰なのか。
もちろん、ライムの殺害も狙っての渡米だろうけど。
なんだろう、このシリーズが長いせいか、
どんでん返しがある程度予想できるようになってきた気がする。
正体は見抜けないにしても、
怪しげな浮浪者はウォッチメーカーではないだろうと予想できたし、
ウォッチメーカーの私生活が描かれていたので、
最期を迎える予想も当たったし、
もちろんライムの死も偽装だし。
とはいっても、見抜けていないどんでんの方がほとんどだが。
アメリアが助けたことによって無事出産できた母親が、
赤ん坊にアメリアの名前をつけたいと言ってきたのに、
「アメリア」を気に入らず結局「ライム」にした場面や、
スーパーコンピューターの例えに日本の富岳が出て来たところが面白かった。
そして、新たなる敵の誕生か? -
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読書備忘録870号。
★★★★。
久しぶりのリンカーン・ライムシリーズ。第15巻です。
なので無条件に★5つにしたいところですが、どんなに譲っても4つですね。
最新刊(第16巻)が出たので、未読の第15作を慌てて拝読した体です!
そして、最新刊はなんとウォッチメイカーだということでワクワク感が半端ないです!
その前にこの第15作を。
一言でぶった切ってしまうと犯人のロックスミスが影薄い。
そして、ロックスミスはなんとなく実行犯的匂い。知能犯の匂いがしない。じゃあ、誰が犯人?犯人がぼやけている感あり。
やっぱり、歴代の犯人の方が犯行目的も含めて知能高く絶対的ヒール感がありました。
ということで今回は★4つ。
さてロックスミス。
開けられない鍵はない。
そして深夜に女性宅に忍び込む!事前にターゲットを入念に下調べ、本人の熟睡度の傾向分析も実施した上で、犯行日時を決定して忍び込む。
そして、冷蔵庫に入っている食べ物をちょっと食べたり、モノの位置をちょっと変えたり・・・、ただそれだけ。
危害は加えない。目的はなんなのか?
女性に対する精神的な征服感という歪んだ欲望なんでしょうかね。愉快犯。
物語はロックスミス事件が起き、ライムがニューヨーク市警からの委託で科学捜査を行う。
市警側メンバーは、ライムの妻で刑事のアメリア・サックス、過去の事件で身体にダメージを食らったが見事に復活しているエース、ロナルド・プラスキー、部長のロン・セリットー、鑑識技術者のメル・クーパーなどの常連。
事件現場には必ず、低俗なゴシップタブロイド紙「デイリー・ヘラルド」の切れ端が残され、口紅でメッセージが書かれている。
そして今回、捜査に障害が立ちはだかる!
ライムが暗黒街の大物を被疑者とした殺人事件裁判の証人として法廷に立ち、十分な発言を出来なかったことから市警からの科学捜査契約を破棄されてしまう。
しかし、市警の科学捜査のレベルではロックスミス事件の分析を満足に行えない!
ということで、アメリアは市警用、ライム用と2セット分の微細証拠を集め並行捜査を進めることにした!
果たして、ライムはロックスミスの正体を突き止め、犯行を止められるのか!
という感じなんですが、とにかくノイズの多い物語でした。
ロックスミスと言いながら、背後にあるのは、とあるお家騒動が柱のストーリーのような気がする。
ノイズ一覧を備忘として。
①デイリー・ヘラルドを発行しているメディア企業「ウィティカー・メディア・グループ」の父子の確執と、企業の乗っ取りを狙う腹黒い夫婦。
②暗黒街の大物がライムとアメリアの命を狙う。
③陰謀系ブロガーの暗躍。
④SNS運営会社ヴューナムとコンテンツモデレーターの活動。
⑤ライムが捜査中の別件殺人事件。
例のごとく、上下段組みビッシリ100ページほど残っているにも関わらず犯人はこいつか!みたいになりますが、残りページで①~⑤のノイズとロックスミス事件が複雑に絡まりお決まりのどんでん返しとなる。
まあ、これがディーヴァーなんですけどね。
物語中、ライムがロックスミスをウォッチメイカーと重ねるシーンが多く出てきます。
多分、最新刊がウォッチメイカー再びであることは、このタイミングから決めていたのでしょう!
ディーヴァーの作品は読むのが疲れるので、第16巻はちょっと間をあけて読むとしましょう。 -
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ネタバレ楽しみにしていたリンカーン·ライムシリーズの新作。いきなりの大仕掛けの事故·事件に
否が応でも興味が引きずられる。
宿敵ウォッチメーカーの登場にリンカーンとメンバーたちはかつてない緊張の時を過ごす。タイムリミットがあるから。
章ごとに緊迫した内容が綴られているので栞を挟む暇もなく読み続けたくなってしまう。
ディーヴァーお得意の大どんでん返しにもう慣れてしまったのか、この本にはそれ程驚くシーンはないが、とは言え手に汗握る場面がいくつも!アメリアの危機やプラスキーのまさかの事故も。
リンカーンシリーズも好きだけど、キャサリン·ダンスシリーズが私は好み。ニューヨークも良いけれど、西海岸方面の本もまた、ぜひにと待ち望んでいます。 -
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ネタバレバハマのホテルの一室で、反米主義を掲げる活動家が暗殺される。犯人は2000m離れた場所からターゲットを狙撃したと見られ、ライフルから発射された銃弾により窓ガラスが吹き飛んだことで、同席していたジャーナリストとボディガードも死亡した。ライムとサックス、NY市警のロン・セリットーは、この暗殺に、アメリカに危険を及ぼす人物を暗殺する国家機関が関わっていると睨み、捜査を進めていく。
さらに、この事件を立件すべくライムたちのもとに検事補のローレルが送り込まれるが、何かと杓子定規なローレルにサックスは敵対心を抱く。捜査を進めるうちに、件の国家機関の下で狙撃を成功させたスナイパーとは別に、証人になり得る人間を次々と殺害していく殺し屋が暗躍していることもわかる。サックスはその殺し屋を追うが、常に先手を取られ翻弄させられる。一方のライムも、メル・クーパーの協力のもといつものように微細な証拠物件から解決の糸口を探ろうとするも、暗殺が行われたのがバハマということもあって一切の証拠物件がないという状況に置かれてしまう。そこでライムは、介護士のトムと、ルーキーことロナルド・プラツキーを伴いバハマへと乗り込む。そこで非協力的なバハマ警察を説き伏せ捜査を始めるが、殺し屋の魔の手がライムたちに迫る。
ライムとサックスは、ライフルを駆使するスナイパーが実は無人機の操縦士であるという事実を突き止め、殺し屋を追うとともに殺しの国家機関の長官をも操る者の正体に迫っていく。
本作は特に、関係者に拷問を加えた上で殺していく殺し屋の冷酷さが際立っている。さらに、初めてライムがアメリカを出てバハマへと乗り込むということもあって、それだけでスケールが大きい。カリブ海の島国の、南国特有の旅情も感じられるところが今までの作品と少し違うところ。そのような事情もあり、サックスはいつものように一心同体となってグリッド捜索を行うライムの不在に孤独感を覚える。また、かねてより彼女を苦しめる関節炎が彼女のキャリアに危機をもたらすので、最後の病院でのシーンはライムの決断も含めて胸にくるものがある。
このシリーズもついにスマートフォンが登場し、戦争や暗殺もハイテクの時代に突入。
なぜか登場人物一覧に名前がないが、ロナルド・プラツキーが大活躍するところも見どころ。