橋本長道のレビュー一覧
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感想
面白かった。
盤上の表現と心理描写が秀逸でつい読み進めてしまう。将棋を知らなくても読める面白さがある。
あらすじ
棋士の直江大は、子供の頃は天才と持て囃されたが、C級2組から這い上がれないでいた。1組に上がれるかというところで、若手4段の遠藤に負けて昇級を逃す。同期の剛力はタイトルを手にして、大に一流を目指すより、理事にならないかと持ちかける。
直江は、自分と剛力を分けた一戦について、自分が考えた新たな一手を容易く剛力に返され、負けたことで才能の違いを感じたが、実際には研究会で事前に女流棋士の江籠から聞き出していたことが分かる。直江は剛力と決別するが、イベントや練習相手を同時に失う。
直江は連戦連勝で絶好調だった。神童と紹介された小学生の拓未からAI将棋の導入を促され、財産をはたいて購入する。棋聖戦でトップ棋士の北神と対戦して善戦するも敗戦する。しかし、かつて叶わなかった研究相手に誘われる。北神は、千々岩の政治掌握と弟子の剛力の台頭に、直江という当て馬を用意したかったのだ。直江は好調を維持してC級1組への昇級を果たす。
直江は来る剛力との棋聖の挑戦者決定戦に向けて、初めて師匠の師村とさす。直江は三木に師事し、三木亡き後は三木の遺言で師村に師事していた。剛力との対戦では、過去の自分たちの関係を思い出しながら、戦う。直江は泥試合に持ち込み、善戦するも新しいスタイルを見せた剛力に負ける。
棋聖戦では、剛力が完膚なきまで、千々岩を圧倒し、政治的にも会長にさせない動きを見せる。剛力は、新たにIT企業にスポンサーをお願いし、直江との関係をやり直したいと願うが、直江は断る。
1年後、直江はB級2組に昇格を果たす。また、新たに創設された蒼天のタイトル戦で剛力と2勝2敗で第五局を迎えていた。互角の戦いが展開するなか、剛力が確信の一手を振り込むが、直江は見事に返してタイトルを奪取する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ綾崎隼さんが将棋のアンソロジーに寄稿してると聞いては読まないわけにはいかない!
今回の綾崎さんの作品は、「僕らに嘘が一つだけ」の2人と同世代の朱莉さんが主人公。もう一度僕らに〜も読み返した上で、こちらも読み返したいな。
一話目は青山さんのお話らしく、前向きな気持ちになる門出の話。
葉真中さんは初読み。ただただ少年の手腕に鳥肌。
弟子にしたかった少年を冤罪から救うという白井さんの話にはびっくり。そういう将棋との絡め方もあるのか。
橋本さんも初読み。この一戦を勝てば夢が叶うという相手への対応って悩ましい。そこで手を抜かれて夢を叶えること、本気で相手してもらって破れること。
芦沢さんは気になっていた単行本の表題作?思いがけず読めて嬉しい。本気で目指していて、応援もしてもらって、でもそれを辞めたい時の気持ちを思うと胸が締め付けられた。 -
Posted by ブクログ
「将棋」をテーマにしたアンソロジー。
大好きな伊奈めぐみさんの装画が可愛すぎるし。
大好きな青山美智子さんから始まるのだけど、初っ端から泣きそうになった。
「授かり物」
天才棋士と偶然同じ生年月日の息子が、唐突に漫画家になると言い出すお話。
普通の人生って何なんだろう。
分からないのに、「才能」みたいなものを必要とされる職業に就くことに、不安を感じる。
将棋は、「王」を取るゲームではなく、「玉」を取るゲームだったかもしれない、という解釈も、ストーリーに合っていて良い。
他にも、ちょっと怖い話や、奨励会員をめぐるキリキリする話など、豊かで面白かった。
将棋に関する小説が増えてきたような気がする。