橋本長道のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
将棋モノには目がないため、本屋で見かけて即購入。
シンプルながらも迫力ある作品名と、重厚感漂う表紙のイラスト。押し寄せる期待のままにページを捲り始めた。
将棋を題材にした作品はいくつか読んできたが、その中でも驚異的な熱量を感じた作品だった。
特に棋譜や図面がないにもかかわらず、ここまで対局者の心象や局面の難解さを表現できるのは単純に凄い。盤上のせめぎ合いでは喉元に切っ先を突きつけられたような、常にはらはらとした気持ちで読み進めることとなった。
才能人ながらもここ一番で力を出せないプロ棋士・直江大と、直江と同年代でありながらすでにタイトルホルダーの若き天才・剛力英明。その他にも天才小学生・高遠 -
Posted by ブクログ
だいぶ前の新聞広告に『WEB本の雑誌「オリジナル文庫大賞」』とあったのを見て「読みたい」に入れていた将棋のお話。
AIの進化は将棋を観るハードルを劇的に下げましたよね。
私のような素人でも、AIが示す最善手を見ながら次の一手を待ち、優劣も知れ戦況を楽しむことが出来るようになった。
ひと月前の棋王戦第三局など、互いに一分将棋にもつれ込む中、一手ごとに評価値が激しく揺れ動き、竜王のまさかの詰みの見落としまで重なる劇的な展開に、終局後はしばらくこちらまで放心してしまった。
5日からは名人戦七番勝負が始まるが、どのような勝負が繰り広げられるか、今から楽しみ。
さて物語はと言えば、かつては将来を嘱望 -
Posted by ブクログ
将棋をテーマにした小説にまた忘れられない作品が現れた。
18歳でプロ棋士になり、真っ直ぐに攻めて最短で勝つという将棋を求めながら、ここぞという一番でことごとく負け7年間もC級2組で燻っている直江大。才能がありながら壁を突き抜けられない主人公が、天才少年拓未との出会い、女流棋士との関わり、四冠棋士との研究会、師匠との対局などを通じて成長していく姿を描く物語。
脇役たちのキャラが際立っているのも魅力だし、AIが棋界にもたらすもの、タイトルとスポンサーの関係、日本将棋連盟の棋界政治というものの存在など、今までにない切り口も新鮮。
圧巻は元奨励会員ならではの緊張感あふれる対局シーンの描写で、今まで -
Posted by ブクログ
「サラの柔らかな香車」の続編。
将棋ソフトとの戦いが物語の一つの筋となっている。本書は、2014年の発行であり、まだ、将棋ソフトとプロ棋士は、プロ棋士側が比較的健闘していた時期だったと思う。また、この物語も、そういった力関係が、ある意味で前提となっている。
将棋ソフトとプロ棋士が公の場で戦う棋戦、叡王戦は2017年以降開催されていない。将棋ファン的には、そこの勝負は既についたものと考えるのが一般的な理解だと思う。従って、小説を成立させていた前提は既に存在しないわけで、今となっては、小説自体が成立しない状況となってしまったわけである。
物語としては、かなり面白いものではあるが、全面的には没頭出来 -
Posted by ブクログ
筆者の橋本長道は、元奨励会員。将棋の奨励会は、プロ棋士を目指す人間の集まり。多くの人間は小学生の頃に入会し、同じ奨励会員との将棋の勝負を繰り返していく。好成績をあげるとルールに沿って昇級・昇段をしていく。好成績をあげる者がいるということは、そうではない者もいるということで、昇級・昇段できない者、更には降級していく者もいるということだ。
プロ棋士とは、4段以上の者のことを言う。4段になるためには、奨励会での3段リーグを勝ち抜く必要がある。奨励会の3段リーグは、年に2回の開催であり、各回の上位2名、従って年に4名のみがプロ棋士になれる。前期の3段リーグ参加者は36名、その内の上位2名に入ることは、 -
Posted by ブクログ
奨励会と聞いて将棋を思い浮かべる人は、結構な将棋好きの人だろう。
将棋のプロ棋士とは、四段以上の者をいう。奨励会とは、プロ棋士養成所、6級から三段のプロ棋士を目指す者たちが、戦い続ける場である。21歳までに初段、26歳までに四段、すなわちプロ棋士になれない場合には退会という厳しい規定がある。
筆者は、一時期、奨励会に属していたが、プロ棋士にはなれずに退会したという経験を持つ。
自らの奨励会での経験などをベースに、奨励会ばかりではなく、広い意味での将棋界について語った書。
奨励会経験者でないと語れないことも書かれており、読み物として面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ夏場になると出版各社が行うフェアが本屋を賑わす
なかなか読書の進まぬ日々にあっても結構気になるんですよね
で、今回手に取ったのがタイトルに惹かれた本作品です
第24回小説すばる新人賞作品とのこと
さて、感想は
面白い!
将棋に懸ける幾多の才能、勝負の世界に生きる者の努力と感性が描かれた青春小説でした
才能に焦がれ、夢に届かず足掻くものも、また美しいと感じさせます
孤高の女流名人・萩原塔子、感性の申し子・護池サラ、二人の才を追う者たち...
それぞれの葛藤、苦悩が紡ぐ物語の結末に人間の強さとしなやかさを、明日を期待せずにはいられません
もっと、より良く描けたのでは?とも感じさせられる処もある -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作『サラの柔らかな香車』が面白かったので購入
さて感想
あれ?主役は七海なのだろうか、鍵谷なのだろうか
天才棋士のサラは何処でお出ましになるのだろうかとヤキモキしつつ読み進めました
意外な展開と「ヒカルの碁」や今話題の棋界スマホ不正問題なんかも想起して楽しめたね
何より、やっぱり私が好きな 己を削りながらも高見を目指し、挑む者を描いてるし...
しかし、結末は切ない
鍵谷はあれで本当に幸せなんだろうか
せめて、サラには探しに行った銀の涙を見つけてもらいたい
星は★★★★(4点です)
若者向けの作品として前作ともにお奨めかな
向こう側に行ってしまうことは幸せなのか、一緒に居ること