伊藤比呂美のレビュー一覧
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藤田一照さんとの対談本で読んでから気にかかる存在であったので、どんなものかと読んでみた。
なんだ、間にエッセイが挟まれるのか、ふーんと思ったがその幕間のエッセイも心地の良いワードセンスでさらさらと。
多分に評価の分かれそうな現代語訳だが、音とリズムを大事にした訳になっていて非常に詩人らしいし比呂美さんらしい。
僕は法事で聴くお経は音楽だなと思って毎回楽しんでいるけれども感覚が似ているように思う。
興味の入り口はそこで、仏教に興味を持ち、ようやく今年に入って重い腰をあげて歩み始めたので、僕の知識は雀の涙だが、また10年後にこの本を読むと感じ方も変わりそうだなと思うよ。 -
Posted by ブクログ
光村図書の中学二年生の教科書に「挨拶ー原爆の写真によせて」が載せられている関係で、石垣りんの教材研究をしようと思って、友人がいっしょに読んでくれることになった一冊。石垣りんの詩以上に、伊藤比呂美の解説が、ものすごく丁寧に一つひとつの詩集の流れを追っているところの方が、ものすごく印象的で、なるほどと思ってもう一度読み返してしまった。
第一詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』は、伊藤比呂美に、「率直すぎて、現代詩というより、ほとんど社会の正義と反戦と平和のプロパガンダだ。アジテーションだ(p287)」と言わしめる戦争をテーマにした詩に始まり、「身のまわりのp日常的なことがらを見つめ始める(p2 -
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Posted by ブクログ
2020(令和2)年単行本刊行。
伊藤比呂美さんは1955(昭和30)年生まれなので私より14歳上。
80年代に現代詩で「女性ならではの視点と言語感覚」の世界を開拓して非常に注目された詩人だった。私も小説を含め何冊か読み、とても感心した詩人であったが、その後の著作や動向をずっと追ってきたわけではない。
近年はSNSのXやFacebookでアカウントを見かけ、投稿は多くないがたまに見かけるので、ご健在のようだ。
本書は60代の「初老」となった伊藤さんの、最近の日常を反映したエッセイ集である。
エッセイ集と言っても、ついこないだ読んだ山本文緒さんのそれのような、ユルユルとした気安さとは