中田考のレビュー一覧
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ネタバレ「なぜ人を殺してはいけないのですか?」
こう訊かれたらなんと答えますか?
深く考えるまでもなく、それは絶対駄目でしょう!と思いますよね。
ところが中田先生、「人を殺してはいけない理由なんて、どこにもありません。」
いやはや度肝を抜かれます。
勿論、だからといって人を殺してもいいと言っているわけではありません。
もしそんなことをしたら大変なことになってしまうことぐらい大抵の人は想像出来ますからね。
他にも
「お金より大事なものなんてあるのでしょうか?」
「人間は本当に平等なのでしょうか?」
「勉強して将来役に立つことって何でしょうか?」
「いじめられていますが、逃げないで問題を解決するにはどうしたらいいですか?」
「本当の友だちが欲しいです」
等々、中高生が持つ悩みや疑問に答える中田先生。
イスラーム法学者であり入信されている中田先生の回答をきくと、悩んでいることも大した問題ではないように思えてきます。
特に笑ってしまったのが、勉強と部活ができなければ自分の存在価値がないように思えてつらいへの回答です。
他人の評価は気にしないとしつつも、可愛さで勝負するのがオススメと言います。
同じように「生きていく上で一番大切なものは何でしょう?」への回答が、本書で私が一番共感できた回答でした。
さて、タイトルの“世界征服”とはどういうことかといえば、
勉強で悩み、人間関係に悩み、夢や目標がないことに悩み、
将来の不安でいっぱいの若者へのオススメが“世界征服”、理想の世界を作ることなのだそうです。
自分にとっての世界征服。
それぞれの世界征服。
私にも私の世界征服。
そう思うと何だか楽しくなってきました。
私が中高生の時にこの本を読んだとしたら、ふざけていると怒ったかもしれません。
もっと違った考え方、価値観を持てたかもしれません。
多少なりとも人生経験を積んだ今だから共感出来る部分もあるのだろうと思います。
共感出来ても出来なくても、何かを残してくれる本だろうと思います。
特に若い方は 是非、手にとって読んでみてはいかがでしょう。 -
Posted by ブクログ
大学は勉強するところではない。大学とは、知識を商品のように学生に売るところではありません。知とはデジタルデータではなく、身体と感情を持った人間一人一人が身につけ、実践し、対話し、試行錯誤する中でしか役立たない。
あらかじめ用意された正解をたくさん覚えることが優秀だというのは、いわば知識ベースの勉強です。しかし、非常事態に対処するには、そんな勉強だけでは限界があります。そこで力を発揮するのが、物事をいろいろな角度から観察し、今までに知った事実と組み合わせて、全体の構造を考えるという知性ベースの学びです。
まだ答えがない問題への対処については、先生と生徒の立場は対等です。 -
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「みんな違って、みんないい」とは、
"みんな"のそれぞれに価値を認めるということ。
しかし価値があるということはそこに比較が否応なしに生まれる。
比較は評価、競争へと向かう。「みんないい」は
そうした価値の評価によって生まれる差別や不平等から目をそらして
「みんな大丈夫」と丸め込むような欺瞞をはらんでいる。
みんなダメ="バカ"は
バカな自分を"バカ"と認識するところから始まる。
イスラムでは神以外の一切が他人を評価することを許さない。
人は産まれた時点で神によって承認されており、イスラムにおける「すべきこと」さえ淡々と遂行していれば生きているだけで承認され続ける。
非イスラムな大半の日本人には「すべきこと」すらないので、「したいこと」をしていればいい。 -
Posted by ブクログ
ラノベというには少々破天荒な作品。はたして一般的ラノベ読者が読むのだろうか?という疑問自身が先入観に毒されているということかな。メインストーリーはともかく?じっくり読めばイスラームについての理解は進むのかも(たぶん)。まあしかしこんな面倒な教えが良く世界に広まったものというのが初読の印象。もちろん仏教やキリスト教も教学的には面倒か。神とか仏ってそんな面倒なことを考えなければいけないのかな。たぶんそれも人間の考えに過ぎないのではなかろうか。
ちょっと面白いと思ったのは、解説中で著者(のひとり)である)中田考氏の母方の家系が神職であったということが書かれていること。もともと宗教的素養はあったのか。 -
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この書籍は、教師をしている友人から紹介してもらった。
十代の学生から生きてくうえで浮かんだ素朴な疑問や、目の前にある貧困やいじめなどについての悩みに中田考先生が答えている。
読んでいて常に違和感を感じる本だった。
いじめられていて学校に行くのが嫌だ、という質問に対して、学校に行く必要はない。と問題の根本を見直す切り口を説いてくれるのは良かったが、
最悪刑務所にお世話になればいいといった極論・暴論に振り切ってしまう中田先生の言葉を、うまく飲み込めない時もあった。
僕だったら、なぜ勉強をするのかという問いに、学ぶ事の面白さや、大学に行くことでいろんな職業にアプローチできる可能性を高めるみたいなことを思いつくのだが、中田先生はそうではない。
読めば読むほど、中田先生と僕の価値観の違いを感じる。
僕が常識を理解しているとは言わないが、中田先生の考え方は極端か暴論か、浮世だっている。
そもそも生きてきた背景が、他の一般的な人と大きく違うんだということが文章から伝わってくる。
そうやって読んでいるうちに、死にたいと悩んでいる人や、誰かを殺してやりたいという気持ちを抱えて悩んでいる人に対して、僕のような一般人の思考では、彼らと同じスタートラインに立てていないのでは無いか、そしてそこに先生は立っているのではないかと考えた。
この本を読んで世の中の社会に組み込まれているマジョリティの人々から、なんらかの理由があって道がずれてしまい、マジョリティの人が疑問に思わないような事に意識が向いている若者と対峙するようなことがあった時には、自分の常識を取り除くような意識を持っていたいと少し思った。
最初の質問が、人を殺してはいけないのはなぜ。という質問だったが、それに対して「殺してはいけない根拠はない、殺してはいけないと思うのならば、その理由があなたの神様です」という言葉には、なにか来るものがあった。
この言葉は、神様の存在を日常的に信じている人じゃないと紡げない言葉だと感じた。
どの宗教に属しているかどうかは関係ない、普遍的な神様の存在意義のようなものが僕でも少しだけ理解できるような気がした。
無宗教の僕では絶対にでてこない言葉で、そして彼らにとって神様という存在がどのような物かということが僕でも理解できる言葉だった。
急に話が変わるが、攻殻機動隊のアニメシーズン1でタチコマのセリフにこんなものがある。
「なんだか前には良く分かんなかった神って奴の存在も近頃はなんとなく分かる気がして来たんだ。もしかしたらだけどさ、数字のゼロに似た概念なんじゃないかなって。要するに体系を体系足らしめる為に要請される、意味の不在を否定する記号なんだよ。そのアナログなのが神で、デジタルなのがゼロ。」
死ぬことを否定してくれる存在が自分にとっての神様であるし、神様がいるから死ぬことは止めようと思う。
死んではいけないことに意味なんてないけど、それを正当化してくれる存在が神なのかもしれない。
偶然、攻殻機動隊を見返す機会があって、今までだったらよく理解できなかったと思うけど、中田さんの本を読んで、彼の思考を知って、少し理解できた気がする。 -
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レヴィナスを中心にユダヤ思想を主な研究領域としてきた内田樹が、イスラーム学者の中田考を招きイスラーム思想の現代的可能性について対話をおこなっています。
ユダヤ教とイスラム教というバックボーンのちがいだけでなく、さらに国民国家が破滅的なクラッシュを起こしてしまうことの危機を訴える内田に対して、中田は「カリフ道」の復興を説くという点でも、両者の立場にはかなり大きなちがいがあるのですが、本書ではアメリカを中心とするグローバリズムへの対抗思想という点で両者の議論は一致点を見いだしています。もっとも、だからといって刺激に欠けるということはなく、まったく異なるバックボーンからともにグローバリズムへの批判がみちびき出されてくるというところにおもしろさを感じました。 -
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読み終わった感想は「…よくわからん」でした。
とてもとても噛み砕いて書いているのはわかるんですが、それでも前提から「???」となってしまいました(自分自身の理解力の問題とは思うのですが)。
「西欧的な考え方とは土台からして異なる文化なんだろうな」と、少し踏み込んで実感できたのは大きな収穫でした。
あと、最近見たイスラームの人々のドキュメンタリーで、2人の人物が言い争いをしているシーンがあったのですが、片方が「神の名の下に」と言った途端、もう片方が相手の話を神妙に聞く…といった場面がありました。
この言葉の背後にある意味を考えるとそりゃ黙るな、と思い、少しでも理解できたのかなと感じています。 -
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ムスリムの死生観の解説本。ISによるテロが世界中で頻発している昨今をイスラムの歴史やコーランの解説を通して考える。イスラムの考えではすべての人間が法に従うものであるという。ここでいう法とは国家の法律ではなくコーランのこと。また著者は最後のカリフが1924年に退位したことで、90年にもわたってカリフが崩壊したことについても指摘する。カリフとは預言者ムハンマドの代理人でイスラムの中で正当性のある唯一の政治的指導者。その不在が今の混沌をもたらしている。
以下個人的感想。今の混沌は指導者不在の中でイスラム原理主義者がコーランを勝手に解釈してドンパチやっているものと理解した。解決の糸口が見えない複雑な世界情勢に置かれていると感じる。だからといって極端な話に向かってはいけない。差別を受けて死に場所を求めている輩に対してトランプ氏の排他主義は解決どころか情勢を泥沼にしてしまうのではなかろうか。