中田考のレビュー一覧
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ムスリムの死生観の解説本。ISによるテロが世界中で頻発している昨今をイスラムの歴史やコーランの解説を通して考える。イスラムの考えではすべての人間が法に従うものであるという。ここでいう法とは国家の法律ではなくコーランのこと。また著者は最後のカリフが1924年に退位したことで、90年にもわたってカリフが崩壊したことについても指摘する。カリフとは預言者ムハンマドの代理人でイスラムの中で正当性のある唯一の政治的指導者。その不在が今の混沌をもたらしている。
以下個人的感想。今の混沌は指導者不在の中でイスラム原理主義者がコーランを勝手に解釈してドンパチやっているものと理解した。解決の糸口が見えない複雑な -
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今起きていることをイスラームの側から理解したいと思い読んでみたが、今ひとつ釈然としない。
“異教徒”の思考に毒されているからなのか。
50頁に以下の記述があった。
原理原則としては反論のしようがないが、如何様にも自身の行為を正当化できるという点では非常に都合がいい考え方だと思う。
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そもそもイスラームは解釈に開かれた宗教であって、法源はシャーリアだけですから、信者一人ひとりが『クルアーン』と『ハディース』を読んで、そこから自分自身で判断していくのが望ましい。イスラームとは本来そういうものなのです。
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Posted by ブクログ
イスラームについて、初めて(だと思いますが)少し詳しく
書かれてある本を読みました。
イスラム国への学生の渡航が問題になった時にTVにも少し
出ていた著者の半生(いかにイスラームになったのか)
とか、イスラームとはとか、カリフ制についての意見が
書かれてあります。
イスラームについては、すべてを理解したわけではありませんが、個人的には少し違和感があり、共感できるものではないと思いました。
キリスト教やユダヤ教との距離感よりももっと遠い感じがします。
やはり生れた環境や歴史が、日本とは異なるので、
日本人にとっては(私にとっては)共感できない
ところが多いのだと思いました。 -
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2014年6月、テロ組織ISILの指導者がイスラム教の指導者であるカリフに就任して、カリフ制を復活させることを宣言した。この事件より前からイスラム学者の中田考氏がカリフ制の再興を訴えていたと知り、本書を手に取ってみた。
本書はユダヤ哲学の研究者でもある内田樹氏との対談をまとめたものであるが、前半は内田氏の視点からの比較文化論やグローバリゼーションへの警鐘が中心で、中田氏の視点からの中東情勢分析、イスラム的世界観は後半に述べられている。興味深いのはやはり後半の方で、現代にカリフ制を再興させる意義については、なるほどと考えさせられるところはある。しかし、この本の内容だけで何かを判断できるほどで -
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下の弟に薦められ読んでみる。
思想家、内田樹氏とイスラーム学者中田氏との対談。
殆どイスラームの事を知らなかったので勉強になる。
アメリカの世界戦略は、すでに国家を形成している非イスラーム圏に対してはグローバル化を進め、国民国家を解体する方向で圧力をかける、元々遊牧民で国、自分の領土と言う概念が薄いイスラーム圏に対しては逆に国民国家を強化し規制しやすい体制に持っていこうとしている。と言う意見は面白いが、イスラームの中でも利権に目が眩みまた宗派の違い、自己利益の為に資本主義に同調するものもいる。現在の混乱をアメリカのせいにしているように聞こえるが、イスラームの中でも団結して資本主義にNOと言 -
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中田先生は東大在学中にムスリムに改宗し、現在はカリフ制再興を唱える変わった先生です。
ので、先生の語る宗教観や中東情勢にはそれなりのバイアスがかかってますが、ニュースで見聞きするポイントのつかみづらい話よりはずっと深く理解しやすいです。
そういう私も、西欧化された現代社会で無意識に生活するなかで今の社会システムやものの考え方を当たり前に感じてしまってるわけです。
(議会なんてのが神のアナロジーだとか考えませんわね、ふつう)
そして日本も、アメリカ主導のグローバリズムが提案する人間と社会のありように飲み込まれつつありますが、
その点イスラーム圏の価値観は良い意味で全く異質です。
自分が当たり