中田考のレビュー一覧
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世界三代宗教といえばキリスト教、イスラム教、仏教であり、更に二つ、ヒンドゥー教とユダヤ教を加えると五大宗教となる。これらは世界的に見て信者数が多い事からも世界に与える影響も大きく、世界で起きている戦争や各国の政策根拠を宗教に求めることも多くの場合に可能であるとも言える。厳密にいえば宗教以外の各国の思惑が様々あるのかも知れないが、その中に確実に宗教の影響力が及んでいると感じる事は多数あるだろう。トランプを支援した福音派しかり、イスラエルのガザ侵攻しかり、イスラム教過激派による活動しかり。宗教は世界を動かしている要因の一つである事は間違いない。
その様な宗教の中から、最大の勢力といえばキリスト教と -
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哲学と宗教の関係性に興味をもっていた。
西洋哲学にはキリスト教が下地にあるものも多いし仏教にしても哲学と境界が重なる部分があるが、では、イスラムはどう関与し、ムスリムはどう哲学するのか。著者の中田考は哲学博士でムスリムなので、恐らくそれを語るに相応しい。
ー イスラームには「義務」はあるが「権利」はない。イスラームでは社会契約論は原則ありません。そもそも、人権という概念がないのです。
西洋では人権概念は社会契約論のあたりから出てきます。自然法から自然権が出てくるわけです。
イスラームには人権概念がない、といっても、もちろん、イスラームにおいて、生命や財産の安全が保障されない、ということではあ -
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無理解と誤解ばかりのイスラームのこと。
日本人のムスリムとして生きるハサン中田考先生のお話をマンガを交えて具体的に教えてくれる。
相変わらず誤解と無理解ばかりの報道に踊らされずに真にお互いを理解する、本当の意味での共生社会が生まれるために、こういった読み易くて中身のしっかりとした本はもっと沢山あっても良いと思う。
全ての宗教が内蔵する平和への希望と危険性。誰かの都合の良いように加工された知識だけを頼りにしないで多面的に考える大切さ。
知らない世界の話を知る楽しみはこういうところにあるのかも。
付)
受け狙いの一方的で過激な内容の本が書店の売り上げNo. 1の札と共に山積みされていたりする -
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最近読んだイスラム教関係の本の中では、一番分かりやすく「イスラム教とは何か」を説明している本だった。
イスラム共同体の思想の中には「良いな」と思える点はいくつもあるけれど、実際にイスラム教徒(がつくったイスラム共同体)とそれ以外が共存するとなったとき、果たして社会はうまく回るのかというのは私にはまだ分からない。
ただ、宗教が違えどお互いに信じたいものを信じて、お互いのことをリスペクトし合う社会が実現されればそれはとても素敵だと思う。
トルコ人の知り合いがインフレの影響もあってトルコでは金預金かドル預金をする人が多いと言っていたけれど、イスラム教において金貨・銀貨が正貨とされるのと関係して -
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中田考による独特なロシア史観、ウクライナ侵攻解釈が披露される。それはつまりソ連時代からのNATOとの因縁を引き摺るミンスク合意を巡っての欧米寄りな見解ではなく、タタールの頸、更にはロシア正教まで遡る。
ー タタールの頸によるモンゴルの支配から脱出した際のロシア、つまりモスクワ大公国は東欧の小国に過ぎなかった。スウェーデンとの間で起こった北方戦争に勝利して、現在のような大国としての地位を築いた。同じ頃ルーシの中心だったキエフ、現在のウクライナはポーランドとリトアニアに占領されていた。それをピョートル大帝の前後にモスクワロシアが自分たちのもとに取り戻したのだが、このいきさつも今回のウクライナ侵攻 -
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今まで知らなかったイスラム教の世界。
今まで自分は、いつのまに(生まれた時から、だろう)西洋的価値観にどっぷり浸かって生きてきたんだな、と再確認。
優しく、寛容で、(いい意味で)ルーズな宗教。まさしく今の時代に求められるDEI(Diversity, Equity, Inclusion)を体現しているな、と。
本来のイスラム教世界(イスラム共同体、ウンマ)は、多様性を大事にする真のグローバリズムを成し遂げていた。それが近代以降の西洋的価値観(領域領民国家)が流入してきたことにより、そんなイスラム教世界のグローバリズム性は失われ現代のようなモザイク国家が乱立するカオスな世界に。
筆者は、そんな本来 -
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覚えておきたいこと。日本語はウラル・アルタイ語族でトルコと言語が同系統。
深い影響を知らないところで大陸からうけているそのことを、大陸をもう少し身近に感じて、同胞という感覚を持って問題を考えていただければと思っている〔橋爪)
日本も韓国もトルコと同じ連なりにあり繋がっていく。〔中田)
中田さんの、おわりに、のところで
カリフが納めるダール・アル=イスラーム イスラーム圏にムスリムは住むべきである。という下りが面白くて少し目から鱗である。その文章の最後は、
ウイグルが移住すべきダール・アル=イスラームはどこにも存在しないのである。となっている。
モンゴル人もチベット人もウイグル人も全て中華民