あらすじ
「あなたが不幸なのはバカだから」
「ベストセラー『君たちはどう生きるか』
を読むとバカになる! 」
イスラーム法学者の第一人者にして
博覧強記の怪人・中田考がはじめて語り下ろした
極辛劇薬人生論。そこに“愛”はあるのか!?
――要するに自分が頭がいいとか、身体能力が高いというのはあまり重要ではなくて、
自分の能力をちゃんと理解して分相応に生きるのが賢いということです。
人間であっても、ミミズであっても、そこをまちがえると、どんなに身体能力が高くても知的能力が高くてもバカなんです。
自分が賢いと錯覚したバカな人間は分を知ったミミズより劣ります。
そういう意味で今の世界の教育はバカを作っているんです。
分相応以上に自分ができると思っている人間を作っている。
……それはたいていの場合、人を不幸にするんです。(本文中より抜粋)
――人が知るべきことは「自分が何をしたいのか」、そして「自分には何ができるのか」の二つしかありません。
殆どの人は本当に自分がしたいことに気付いておらず、
また自分に本当はできることをできないと信じこんでおり、
逆に本当はできないことをできると思い込んでんいます。
それがバカであり、本当の意味でダメな人です。
本書の目的は、本当に知るべきこと、つまり、自分が何をしたいか、
自分に何ができるか、を気付く手掛かりを読者に与えることにあります。
実のところ、人が知るべきことは本当は二つではなく、三つです。
その三つ目とは、「自分は何をなすべきか」です。……(あとがき抜粋)
著者について
中田考 Nakata Ko イスラーム法学者。1960年生まれ。同志社大学客員教授。
一神教学際研究センター客員フェロー。83年イスラーム入信。ムスリム名ハサン。
灘中学校、灘高等学校卒。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。
カイロ大学大学院哲学科博士課程修了(哲学博士)。
クルアーン釈義免状取得、ハナフィー派法学修学免状取得、
在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、
山口大学教育学部助教授、同志社大学神学部教授、日本ムスリム協会理事などを歴任。
現在、都内要町のイベントバー「エデン」にて若者の人生相談や最新中東事情、
さらには萌え系オタク文学などを講義し、20代の学生から迷える中高年層まで絶大なる支持を得ている。
近著に『イスラームの論理』、『イスラーム入門』、『帝国の復興と啓蒙の未来』など。
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Posted by ブクログ
金子みすゞに真っ向から立ち向かう!?タイトルがまず秀逸!
自分のことを無宗教だと思ってましたが、いつの間にかキリスト教的価値観がたくさん身についていることを突き付けられます
例えば、昨今のLGBT関係の流れの中で、そこに反対する人と賛成する人との対立はよく見かけますが、それはどちらもキリスト教的価値観(世界で約24億人が信じる。)に基づいていて、
イスラム教的価値観(こっちだって世界で約20億人が信じる。)では、そもそもこの対立構造すら起き得ないし、この起き得ないことを非難するのも、これまたキリスト教的価値観だ、とか
まさに"目からウロコ"(ちなみにこれはキリスト教から来た諺‼)の一冊でした
Going Head-to-Head with Misuzu Kaneko!? The title alone is brilliant!
I always thought of myself as non-religious, but this book forcefully showed me how many Christian values I’d unconsciously absorbed.
For example, today we often see clashes over LGBT issues between opponents and supporters—but both sides are rooted in Christian values (believed by roughly 2.4 billion people worldwide). Under Islamic values (held by about 2 billion people globally, too‼), that very confrontational structure wouldn’t even arise—and condemning the impossibility of such a conflict is itself another Christian perspective.
It was truly a “scales falling from one’s eyes” book—by the way, that proverb also comes from Christianity, haha!
Posted by ブクログ
バカが不幸になると本書は説く。バカとは自分はミミズなのにヘビと勘違いし、錯覚して身の丈に合わない生き方をしようとする人のこと。
ほとんど大多数の人はバカなのだから、自分がバカだと認識して、その中で何がしたいか、何ができるか、何をすべきかを考えて生きるべき。
著者はイスラームである。根底がそもそも一神教で、神に承認、認められるかが基本になっているため、視点が大きく異なる。ただそれゆえ、気づかされることが多かった。
以下抜粋
民主主義というのは存在しない。民主主義という口当たりのいいイデオロギーをかぶせることにより、大衆に自分たちが主権者だという愚かな幻想を生ませているに過ぎない。
Posted by ブクログ
内容はものすごく辛口で、深く突き刺さりまくります。
表紙絵と、中身があっていない本ランキングは、間違いなく1位ですね。
宗教(イスラーム教)の視点から観る、人生論。
賢いとバカの違いは、シンプルで、
賢いとは、「何がしたいか」「何ができるか」の2つが分かっていて、分相応に生きること。
そして、バカは、例えるならば「自分のことをヘビだと思う、ミミズ」と1章で説きます。
こういった調子で、努力は報われる、自由に生きよう、などの言葉をバッサバッサと切り裂いていきます。
あれもこれもダメと言われると、どうしてもじゃあどうすれば?なんて、正解を求めたくなりますが、それこそがバカである、とさらにダメ押し。
私みたいな、本に影響されやすいタイプの人間は、少し距離をとりながら、読んだ方が良いのかもしれません。
最近ゆるく生きているな、なんて思っている方は、背筋を伸ばすチャンスです。
ただ、劇薬なので、心が折れるかも知れませんが。
Posted by ブクログ
イスラーム入門とかを書いてる人の本。
イスラムでは、存在するだけで神から承認されているものとされる。
進行し、神に承認されていれば承認欲求はなくなる(?)
わからないものがあると教えるために古典があった。
今の教育は、わかってもいないのにわかっていると感じさせてしまうからバカを量産しているだけ。
民主主義はどこにも存在しない。あるのは制限選挙寡頭制。
ニュースにして騒ぎ立てるからテロが起きる。ニュースにしなければ誰もやらない。
何をしたいか=快感原則
何ができるか=現実原則
何をすべきか=超自我
自己認識が、ずれている人がバカ。
自分をヘビだと思っているみみずがバカ。バカだから不幸になる。
あなたに辞められたら困ります、は褒め言葉じゃない。自分に代わる人間を育てられなかったという意味で有害な人間。
この人に言わせると8割の普通の人はバカで、残りは狂ってる人。笑
言葉を暴力に変換する回路を自分でつくっているからそうなる。
なんかすごく横暴な本な気もするけど笑、あなたはできる、人とは違う価値がある、と言われ続ける類の本に比べてなんか発想が自由に(この本では、制限のない自由なんかないって書かれてるけど)なる気はする本。
なんか言ってるようで何も言ってないものよりはだいぶ良い。
Posted by ブクログ
世間一般に流布しているバカの言説を一掃してくれます。
一読しただけでは消化しきれませんが、すごいことを言っているのは分かる。
読後感としては、心がふわっとして、楽になります。
イスラームの考え方に則り、現在の日本に蔓延している、ミミズに向かってお前はヘビだと言うような、バカを生み出す言説を打ち砕いてくれます。
社会という枠組みで考えるから、自己啓発のような勘違いが生まれる。
宗教という枠組みで考えると、答えはないだから、人間に生きる資格や生きる権利など初めからなく、がんばらなくてもいいということがよく分かります。
大ヒットとなった「君たちはどう生きるか」に関して、かつては、そこで語られるような自己啓発的なものが少数派だったから成り立っていたが、今はかつての多数派の言説であったものが少数派になっており、逆にそちらのほうがコペルニクス的になっている。
だから、諦めて、長いものに巻かれるのが、大多数のバカにとっては幸せなのである。
本書の中では、「ツイッター」「ONE PIECE」「男はつらいよ」「キングダム」「宇宙兄弟」など、サブカルや漫画についての言及も面白いです。
みんなちがって、みんなダメなのだから、自分の身のほどを知って生きることが今の時代には大切です。
自分が何をしたいのか、自分は何をできるのか、自分は何をなすべきか。
自分の身の丈に合ったことをなせばよいことが分かり、心が楽になる一冊です。
Posted by ブクログ
うーん、イスラムの教えをよくわかってないニコとしては、あまり共感できなかったっす。
「君たちはどう生きるか」っていうちょっと前に流行って、映画化もされた本があるんですが、この本をディスってて、そこは痛快でした。あの本、表紙の絵からしてニコはノーサンキューでしたから。その後、宮崎駿が映画化っするっていう、もうノーサンキューの嵐。アレのどこがダメなのか、端的に示してくれてて、そこは納得でした。
一度、自分の立ってる地面を疑ってみる。
そういう体験をしてみたい方にオススメです。
Posted by ブクログ
タイトルが、気になり読みました。
内容は、イスラム教についてフランクに書かれています。
学校では、イスラム教がどういうものかまで具体的に習わないので中身はとても新鮮でした。
こんな考え方があるんだって思えます。
悩んでいる人は、視点を変える意味で読んでみると心が楽になると思います。
Posted by ブクログ
軽妙な語り口で読みやすかった
内容としては田中真知さんの解説がまとまっていて分かりやすい
自分も「バカ」の一人だがコペルニクスになる夢はいくつになっても中々捨てられない
ただ、生きづらさを軽減する一つの考え方として知れてよかったと思う
Posted by ブクログ
価値観が全然違う
日本には宗教の色が薄いけど、何かを信じ切れたら、学問をそこまで極めたら全く違う人生なんだなと思った。
普段の悩みの多くは自分が馬鹿だから、そう思ってるんだなと思うことにする。
できることすべきことしたいこと。
Posted by ブクログ
全然知らなかったイスラム世界の片鱗に触れることができた気がしました。もっとストイックかと思っていたけれど、意外と無理のない社会という印象。一方資本主義社会は、誰もが成功のチャンスを与えられているというが、実はほとんどが成功できない社会。そしてみんなが成功を手中にできないことにに苦しんでいる。
私にとって、新鮮な視点を与えてくれた本だと思います。
Posted by ブクログ
中田考という人の事ははじめて知った。
またイスラムの考え方についてもほとんど知らなかったので、たまたま手に取ったこの本の考え方には結構衝撃を受けた。
いまの産業資本主義全体を覆う生きにくさの原因は、
本当の意味で、
「何をしたいか」
「何ができるか」
「何をすべきか」
についてそれぞれが知らないことだという。
著者の表現では、
「自分をヘビだと勘違いしたミミズ」と書かれている。
勘違いしたミミズはカエルを食べてやると言い残してで出かけていったっきり戻ってこない。
身の程を知る。
つまり、「自分には何ができるか」ということに対して、より現実的にならないといけないし、
そもそも生きる価値や人間に価値はないと言うことを認められるかどうか。ということ。
たいがい出来もしないのに、もっとやるべきことがある、こうならなくちゃいけない。にふりまわされているのが現代の人々である。よく言われることだと、
「承認欲求が強すぎる」という一言になるんだと思う。
無限に肥大化する「承認欲求」とうまくつきあうべしということには、自分も大きく賛同するし、
改めて自分を戒めないといけないなと。
一方で後半のくだりの、しょせんみんなバカなんだから、何も考えず優秀な人やボスと思った人に黙ってついていけばだいたい幸せ。という話はちょっと分かりにくく感じた。
誰かが決めたすべきことや、価値があること、承認欲求にふりまわされるな。と説いておいて、何も考えずにボスについていけば大丈夫。と言うのはちょっとな。
全体的にはものの見方を広げてくれる良著だとおもう。
キュートな表紙も良いね。
Posted by ブクログ
イスラーム教徒である著者による人生論。
判りやすい言葉でありながら内容は剛速球w
内容はとても論理的、なのに小賢しさは感じられないので受け止めるのは結構大変かも。
言ってる事は難しいことじゃないんだけれどね。
>人が知るべきは「自分が何をしたいのか」、そして「自分には何ができるのか」の二つしかありません。
>本書を読み終えて「自分が何をなすべきか」が気になり始めたあなたとは、主がお望みなら、またどこかでお会いすることになるでしょう。
内容に賛同するも反感を持つのもあるのだろうけれど、前書きにあるこの言葉は真理なのだろうと思う。
Posted by ブクログ
今まで考えもしなかったイスラームの視点を提示されて、初めこそ戸惑うものの、段々と既存の視点を客観視できるようになるのがとても新鮮。今抱えてる悩みは、自分で勝手に無駄に難しく考えてるんだと思えるくらい、頭スッキリしました。
Posted by ブクログ
この本、20年前のドン底の時に出会っていたら、どうだったろうか。
受けても受けても落とさる就職氷河期を実感し、バイトを複数掛け持ちし、不眠に悩まされ、睡眠導入剤を飲みながら、就活をしていた。
「どんな環境でも喜びなさい。」なんて誰も言ってくれなかった。働かなくてはいけないという考え方は、資本主義による洗脳であると、今なら理解できます。「幸せを手放せば幸せになれる」ということも。
Posted by ブクログ
タイトルからして素晴らしい。
金子みすゞの詩も好きだけれど、このタイトルも好き。
表紙カバーもいい。
「君たちはどう生きるか」の漫画版も手元にあるのだが、ずっとそのままで(なんか読む気がしない。自分で買ったわけではない)、それを読むとバカになる、というこちらの方を先に読むことになった。
全ての内容に納得するわけではないけれど、確かにそうだよなと思うことがたくさん書いてあった。こういう考え方もある、とか、そういう考え方をしたらいいんだ、とか、思考が広がった。
いや、バカは考えてもバカなことしか考えないから考えるな、ってことが書いてあるのだけれど。
確かにホントそうだ。
一生懸命になって、疲れている人が多いような気がするから、そういう人が読めば救われるのではないか。いや、納得できないままの人も多いかも。でも、その柔軟性のなさが、その人を疲れさせているんだろう。
最後の構成者の解説は、スッキリ本書の内容をまとめてくださっていた。
Posted by ブクログ
バカバカバカと小気味いい。
バカがバカなりに幸せに生きるためには自他のバカ受容がポイント?良くなりたいという気持ちは承認欲求?必要以上に求めることで自他を苦しめていないか?
生き方の指針がないと刹那的な願望快楽を追い求めて疲弊する(若い内は体力があるから疲弊しない)。
どう生きるかはどう死ぬかを考えること。その側には宗教がいる。
Posted by ブクログ
私の大学時代の師の本です。
自分をヘビと勘違いしているミミズのたとえはしっくりきました。
イスラームの話もしばしば出てきますが、そこまで宗教めいた本ではなく、語彙も内容も平易な方で読みやすいと思います。
ただ、実践となるといきなりは多少難しいかも知れませんね。
Posted by ブクログ
文章は、読みやすく結構どんどん読み進めたんだけど内容が自分の考えと違っていたので最初から最後まで違和感があった。確かに、実力以上の目標を持って“もっとできるはずなのに…”とストレス溜めるより“俺の実力こんなもん”とストレスフリーで背伸びして頑張らないと言う考え方もあるんだろうけど。やっぱり、僕は上を見ていたいな。
Posted by ブクログ
「みんな違って、みんないい」とは、
"みんな"のそれぞれに価値を認めるということ。
しかし価値があるということはそこに比較が否応なしに生まれる。
比較は評価、競争へと向かう。「みんないい」は
そうした価値の評価によって生まれる差別や不平等から目をそらして
「みんな大丈夫」と丸め込むような欺瞞をはらんでいる。
みんなダメ="バカ"は
バカな自分を"バカ"と認識するところから始まる。
イスラムでは神以外の一切が他人を評価することを許さない。
人は産まれた時点で神によって承認されており、イスラムにおける「すべきこと」さえ淡々と遂行していれば生きているだけで承認され続ける。
非イスラムな大半の日本人には「すべきこと」すらないので、「したいこと」をしていればいい。