あらすじ
「中田先生、なぜ人を殺してはいけないのですか?」「人を殺していけない根拠などありません」壊れた社会を生きていく上で、私たちが本当に知っておくべきこと。
「中田先生、なぜ人を殺してはいけないのですか?」「人を殺していけない根拠などありません」子どもたちの抱える普遍的な悩みにイスラーム学者が答えたらこうなった。壊れた社会を生きていく上で、私たちが本当に知っておくべきこと。
【目次】
1.なぜ人を殺してはいけないのですか——人生の悩み
なぜ人を殺してはいけないのですか?
普通の人間は、人を殺したりものを盗んだりしたいと思いません。それはなぜですか?
なぜ自殺をしてはいけないのですか?
他
2.いじめられています——人間関係の悩み
いじめる相手を殺したいほど憎い。
いじめられていますが、自分は非力なので抵抗できません。
学校に行けばいじめられるし、家にいると親にいろいろ言われます。
他
3.なぜ勉強しなくてはいけないのですか——勉強の悩み
勉強に集中できず、将来が不安です。
受験を控えているのに勉強についていけません。
なんで勉強しているのか、いくら考えてもわかりません。
他
4.夢が持てません——世界征服のススメ
夢も目標もどうやって持てばいいのかわかりません。
世界征服、具体的にどういう世界を目指せばいいんでしょう?
家出したいと考えています。
他
5.好きな人に告白できません——恋愛の悩み
モテたいのですが、どうすればいいのでしょう。
容姿にコンプレックスがあります。
他
6.人は死んだ後どうなるのですか——その他の悩み
やりたいことが見つかりません。
なんのために働くのかわかりません。
他
【著者】
中田考
イスラーム法学者。1960年生まれ。灘中学校、灘高等学校卒業。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。カイロ大学大学院文学部哲学科博士課程修了(Ph.D)。1983年にイスラーム入信、ムスリム名ハサン。現職は同志社大学一神教学際研究センター客員フェロー。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
イスラーム学者の中田考氏の考え方は、人が当たり前と考えている枠組みにはとらわれていない。今までにない考え方で、一度読んだだけでは頭にも心にも入ってこないが、その考え方を咀嚼し、無意識にとらわれている当たり前を取り払っていけば、自由に考え自分で決める意味が分かる
Posted by ブクログ
カリフ制復活が望み…ISの方々もカリフがどうしたとか言っていました。むしろ中田先生の考えるカリフ制をお聞きしたかったような。
それはそれとして、言っていることは極端ですが、そんなに的外れでもないような。
Posted by ブクログ
子供の悩みにイスラーム学者が答えたらこうなった。この謳い文句が素晴らしいと思いましたw
Q&A形式でいろんな質問に答えてるのだけれど、正しいかどうかを判断できるのは”神”だけ、世の中にあるのは所詮人が作ったただの仕組みでしかないのだから損得を考えて行動しようといった姿勢を崩さず丁寧に剛速球投げてる様は素晴らしいです。
Posted by ブクログ
ハサン中田先生の本を読むのは3冊目。
本作は子供からの質問大して答えるという形でかなりライトな作りだが、
相変わらずのシンプル&ストレート&エキセントリックで面白い。
周りの目を気にするな、お金にとらわれるな、などなど、
いわゆる、一般的な良いことも沢山書いてある一方で。
・人を殺してはダメなんて言う理由はない、自殺してはダメというのも同じ
・たいていの問題には解決策はない。
・コミュニケーションというものは無駄であり、ただの言い訳
・悩みを克服するには世界征服を目指せ!
などなど、一見、常識とは相いれない内容も盛りだくさん。
大人が面白がって読むのはいいけど、
あなたは13歳の子供がに本当にこの本を読ませられるでしょうか?
大人の懐の深さが試されます。
Posted by ブクログ
イスラーム学者である中田孝先生が、子供たちの悩みに答える。どうして人を殺してはいけないのか、とか、いじめられているのでどうしたらいいか、大学に行くべきか等。
激しいこと書いているところあるけれど、真理をついているところあるし、まあ、そうだよなあと。成人になってからだいぶ経つ私が読んでそう思うけれど、13歳とか読むとどうなんだろう。一部分の子供だけでなく、たくさんの13歳(子供)、大人に読んでもらって、一つの考え方、大切な考え方を知って欲しいかなと思う。世界はハード、大人でも生きてて苦労するところたくさんあるし(私だけか?)、この本だけでなくいろんな本を読んで、若さを武器に世界と戦って欲しいかなと思う。スパッと言い放つ中田先生に拍手。普通の人生相談とは内容が違く、いろんな意味で楽しく刺激的な本。
Posted by ブクログ
13歳になったつもりで読んだ。でも、歳をとったからって、そんなに中身は変わっていないので、ふむふむそうかな〜と思いながら読んだ。思春期に出会う人は大事だね。ここまで面と向かって言ってくれる大人に出会う確率は非常に稀だと思う。そういう意味でも、書籍・本は大切だ。そして、スマホやインターネットもある程度使いこなせてこそ、自分の道具になるんだと思う。必要最低限の生きていく知恵は親から授かるのではないんだよね。世間や社会を見て学ぶことの大切さ、「寅さん」の哲学みたいなものも含まれている。今の13歳にはピンとこないかもしれないけれど。
Posted by ブクログ
イスラーム学者であり、信者でもある著者が子どもたちの様々な質問に答えるのだけど、その回答がとても面白い!大人が読んでも、無意識に信じ込んでいた物の見方に風穴を開けてくれます。一見キワモノのタイトルにもしっかり意味がある、楽しくて刺激的な一冊!
Posted by ブクログ
宗教に全く馴染みは無いが、自己規律や世界征服の様な大きな目標には力になるのかもしれない。上手く利用するというか。
一見馬鹿げていると感じる回答があったが、解釈によっては「あれ、確かにそうだな」と納得する事ができた。
生きにくい世の中だと私は感じていたが、それは私自身が作り上げていた世界であって、ハードルを下げてしまえば、幾らでも逃げ道はあるし、案外どうにだってなるんだと学んだよ。
Posted by ブクログ
「なぜ人を殺してはいけないのですか?」
こう訊かれたらなんと答えますか?
深く考えるまでもなく、それは絶対駄目でしょう!と思いますよね。
ところが中田先生、「人を殺してはいけない理由なんて、どこにもありません。」
いやはや度肝を抜かれます。
勿論、だからといって人を殺してもいいと言っているわけではありません。
もしそんなことをしたら大変なことになってしまうことぐらい大抵の人は想像出来ますからね。
他にも
「お金より大事なものなんてあるのでしょうか?」
「人間は本当に平等なのでしょうか?」
「勉強して将来役に立つことって何でしょうか?」
「いじめられていますが、逃げないで問題を解決するにはどうしたらいいですか?」
「本当の友だちが欲しいです」
等々、中高生が持つ悩みや疑問に答える中田先生。
イスラーム法学者であり入信されている中田先生の回答をきくと、悩んでいることも大した問題ではないように思えてきます。
特に笑ってしまったのが、勉強と部活ができなければ自分の存在価値がないように思えてつらいへの回答です。
他人の評価は気にしないとしつつも、可愛さで勝負するのがオススメと言います。
同じように「生きていく上で一番大切なものは何でしょう?」への回答が、本書で私が一番共感できた回答でした。
さて、タイトルの“世界征服”とはどういうことかといえば、
勉強で悩み、人間関係に悩み、夢や目標がないことに悩み、
将来の不安でいっぱいの若者へのオススメが“世界征服”、理想の世界を作ることなのだそうです。
自分にとっての世界征服。
それぞれの世界征服。
私にも私の世界征服。
そう思うと何だか楽しくなってきました。
私が中高生の時にこの本を読んだとしたら、ふざけていると怒ったかもしれません。
もっと違った考え方、価値観を持てたかもしれません。
多少なりとも人生経験を積んだ今だから共感出来る部分もあるのだろうと思います。
共感出来ても出来なくても、何かを残してくれる本だろうと思います。
特に若い方は 是非、手にとって読んでみてはいかがでしょう。
Posted by ブクログ
13歳からの、とあるからには相談にやさしく回答するのかと思いきや、やはり「世界征服」に違わず普通じゃなかった…。
「第二次性徴がきたら結婚を許すべきだ」「大人と子供が性行為をするのがダメなのはおかしい」等、極端な意見が目立ちます。こんなことを堂々という人間が存在するんだというのが感想。こんなもんダメだ、というわけではなく、理解はできるが同意できないというやつ。思うのは自由ですからね…。
インパクトある本でした。
Posted by ブクログ
この書籍は、教師をしている友人から紹介してもらった。
十代の学生から生きてくうえで浮かんだ素朴な疑問や、目の前にある貧困やいじめなどについての悩みに中田考先生が答えている。
読んでいて常に違和感を感じる本だった。
いじめられていて学校に行くのが嫌だ、という質問に対して、学校に行く必要はない。と問題の根本を見直す切り口を説いてくれるのは良かったが、
最悪刑務所にお世話になればいいといった極論・暴論に振り切ってしまう中田先生の言葉を、うまく飲み込めない時もあった。
僕だったら、なぜ勉強をするのかという問いに、学ぶ事の面白さや、大学に行くことでいろんな職業にアプローチできる可能性を高めるみたいなことを思いつくのだが、中田先生はそうではない。
読めば読むほど、中田先生と僕の価値観の違いを感じる。
僕が常識を理解しているとは言わないが、中田先生の考え方は極端か暴論か、浮世だっている。
そもそも生きてきた背景が、他の一般的な人と大きく違うんだということが文章から伝わってくる。
そうやって読んでいるうちに、死にたいと悩んでいる人や、誰かを殺してやりたいという気持ちを抱えて悩んでいる人に対して、僕のような一般人の思考では、彼らと同じスタートラインに立てていないのでは無いか、そしてそこに先生は立っているのではないかと考えた。
この本を読んで世の中の社会に組み込まれているマジョリティの人々から、なんらかの理由があって道がずれてしまい、マジョリティの人が疑問に思わないような事に意識が向いている若者と対峙するようなことがあった時には、自分の常識を取り除くような意識を持っていたいと少し思った。
最初の質問が、人を殺してはいけないのはなぜ。という質問だったが、それに対して「殺してはいけない根拠はない、殺してはいけないと思うのならば、その理由があなたの神様です」という言葉には、なにか来るものがあった。
この言葉は、神様の存在を日常的に信じている人じゃないと紡げない言葉だと感じた。
どの宗教に属しているかどうかは関係ない、普遍的な神様の存在意義のようなものが僕でも少しだけ理解できるような気がした。
無宗教の僕では絶対にでてこない言葉で、そして彼らにとって神様という存在がどのような物かということが僕でも理解できる言葉だった。
急に話が変わるが、攻殻機動隊のアニメシーズン1でタチコマのセリフにこんなものがある。
「なんだか前には良く分かんなかった神って奴の存在も近頃はなんとなく分かる気がして来たんだ。もしかしたらだけどさ、数字のゼロに似た概念なんじゃないかなって。要するに体系を体系足らしめる為に要請される、意味の不在を否定する記号なんだよ。そのアナログなのが神で、デジタルなのがゼロ。」
死ぬことを否定してくれる存在が自分にとっての神様であるし、神様がいるから死ぬことは止めようと思う。
死んではいけないことに意味なんてないけど、それを正当化してくれる存在が神なのかもしれない。
偶然、攻殻機動隊を見返す機会があって、今までだったらよく理解できなかったと思うけど、中田さんの本を読んで、彼の思考を知って、少し理解できた気がする。