中田考のレビュー一覧
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非常に面白い。イスラーム学の第一人者、中田考と内田樹の一神教問答。イスラム教とキリスト教、ユダヤ教の共通点と違いがわかるとともに、イスラム、西洋諸国、日本などの国の成り立ち、文化、歴史、政治、関係性等々が見えてくる。
P48で中田氏が「日本では「ケチ」と言う時、強欲と吝嗇を分けませんが、イスラームにおいてはまったく違う概念なのです。強欲なのは構わない。しかし吝嗇は最大の悪口なのです」と発言したのに対し、「内田氏は嫌煙という発想は本質的に吝嗇の文化」と話を展開する。
なるほど、日本も煙草を分け合うような文化から西洋風に変化してしまったけれど(領域国民国家)、イスラムは今も共有の文化なのだ。
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目からウロコでした…ってわたしはキリスト教徒じゃないですけど。
イスラムに対する考え方がすごく変わった。そしてグローバリゼーションはアメリカの推し進めるビジネス的な戦略であるということも。
今英語で授業する学校に勤めてる。日本人なのに英語で授業してる。すごく違和感なんだけどね。まぁそういう学校があってもいいと思うの。
たださ、思うのはなぜ彼らが英語を身につけるためにこの学校にいるかってことなんだよね。
痛いこと書いてあったな。同年齢集団からアドバンテージを取るためであって、インターナショナルな人間を育てるためではないと。目的はひたすらに内向きであると。
少数の子はきっと目的を持って -
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ネタバレ初めはこの本は、中田考さんの生い立ちから改宗までの半生を綴った自伝のようなものかと思っていたけれど、(もちろんそういう内容も含まれているけれど)それだけではなくて、イスラームの信仰や生活・文化と思想の精髄が非常にわかりやすく端的に紹介されている。
イスラムのことをよく知らなくても面白く読める本だと思う。
「残念なことに、日本人に伝えられているイスラームは、解放の教えとしての真のイスラームではなく、イスラームを覆い隠すノイズ にすぎない堕落したムスリム社会の因習、スキャンダルばかりです。そこでは本来イスラームでないものがイスラームとされ、イスラームが人間をさらに束縛するというイメージが再生 -
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イスラーム入門とかを書いてる人の本。
イスラムでは、存在するだけで神から承認されているものとされる。
進行し、神に承認されていれば承認欲求はなくなる(?)
わからないものがあると教えるために古典があった。
今の教育は、わかってもいないのにわかっていると感じさせてしまうからバカを量産しているだけ。
民主主義はどこにも存在しない。あるのは制限選挙寡頭制。
ニュースにして騒ぎ立てるからテロが起きる。ニュースにしなければ誰もやらない。
何をしたいか=快感原則
何ができるか=現実原則
何をすべきか=超自我
自己認識が、ずれている人がバカ。
自分をヘビだと思っているみみずがバカ。バカだから不幸 -
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世間一般に流布しているバカの言説を一掃してくれます。
一読しただけでは消化しきれませんが、すごいことを言っているのは分かる。
読後感としては、心がふわっとして、楽になります。
イスラームの考え方に則り、現在の日本に蔓延している、ミミズに向かってお前はヘビだと言うような、バカを生み出す言説を打ち砕いてくれます。
社会という枠組みで考えるから、自己啓発のような勘違いが生まれる。
宗教という枠組みで考えると、答えはないだから、人間に生きる資格や生きる権利など初めからなく、がんばらなくてもいいということがよく分かります。
大ヒットとなった「君たちはどう生きるか」に関して、かつては、そこで語られるよ -
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北大生のシリア渡航計画、ISIによる湯川遥菜さんと後藤健二さんの
拘束・殺害事件で一躍注目を浴びたのが本書の著者である中田孝氏。
東京大学文学部イスラム学科の一期生であり、そのかなで唯一イスラム
教徒になった人。勿論、日本でも有数のイスラム法学者である。
その中田氏が宗教に対する知識のない人にも分かりやすくイスラム教を
解説している。
日本ではいわゆる「イスラム原理主義者」や「イスラム過激派」と称される
人や組織が報道されることが多いけ。しかし本来、イスラム教徒は寛容の
宗教だと思うんだ。
中世の十字軍だってキリスト教徒側が勝手に「異教徒征伐だぁ」って意気
込んで始 -
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いや~おもしろかったわ。この人のことを知ったのが、3年ほど前のISにより邦人男性が殺害されてしまった時。その時は「なんとも怪しげな人だな」」と思っていたが、どんな人なのか興味が出てきてググったりしてみた。
その後、偶然自分が欠かさず聞いているMBSの「辺境ラジオ」にゲスト出演。その時初めてまとまった話をこの人の口から聞いて、その話し方と内容から「ちゃんとしたクールな学者(ムスリムの)」 とわかり、著書を何冊か日本に行ったときに買ってきた。
カリフ制の再興とかはよくわからないけど、言っていることは筋が通っている。現実的でありつつも理想をちゃんと語れるナイス・ガイだと思う。
人の移動を制限しない、 -
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[次なる潮流へ向けて]国家やイスラームを中心とする宗教について2人の専門家が縦横無尽に語り合った作品。次世代の共同体を担保するシステムやネットワークはどのようなものであるべきかについて、新鮮な議論が交わされています。対談者は、哲学者のエマニュエル・レヴィナスを集中的に研究した思想家の内田樹と、大学四年生のときにイスラームに入信した学者の中田考。
イスラームの政治動向について、積極的に1人称を用いて語ることのできる数少ない日本人である中田氏の考え方は、多くの日本人にとってイスラームのある側面を解する際に非常に有意義ではないかと思います。また、反グローバリズムという点で中田氏と共鳴しながらも、 -
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■ジハードはイスラームを驚かす異教徒に対する戦いであり,ムスリムの義務とされる。
■ワッハーブ派の創始者であるムハンマド・イブン・アブドルワッハーブは,イブン・タイミーヤから大きな影響を受けた
■一般にイスラーム原理主義とみなされるサラフィー・ジハード主義は,イブン・タイミーヤから始まったといっても間違いはない。
■サラフィー主義とはクルアーンとハディースに基づいた初期イスラームの時代への回帰を目指す立場。
■スンナ派はハナフィー派,マーリキー派,シャーフィイー派,ハンバリー派の四つの法学派に分かれるが,サラフィー主義はこうした法学派が生まれる以前のイスラーム世界を理想視する。
■田中智学が唱 -
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ネタバレイスラム教、ユダヤ教、キリスト教が広まった土地の背景と考え方の違いなど、なるほどと思うことがたくさん。
荒野の宗教であるイスラム教、ユダヤ教が他者への喜捨を重視するのは、そうしなければ、相手が死んでしまうから、一方でキリスト教は農耕と結びついたので、自分のテリトリーを守ろうとすること、など納得。グローバリズム=「アメリカスタンダード」であり、イスラムという他の文化背景を排除することが、資本主義には都合が良い、という件にはハッとしました。同時に読んでいるエーリッヒ・フロムの「愛するということ」にもこの資本主義的グローバリズムについては同じ観点があり、人間の思想は50年たっても変わっていないという