ヨシタケシンスケのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近人と衝突することがあったとき、自分のなかの常識が覆されていく感覚があった。
そのとき思わず言ってしまったのが「まわりにそういう人がいなかったから戸惑っている」という言葉。
そこで思ったのが、自分の常識が他人の常識ではないというのはわかりつつも、まわりのたかだか10人くらいの意見と同調すれば逆観的に見て常識になる、というわけではないということ(類は友を呼ぶとも言うし)。
また、話しながら「私だったらこうされるとこうなるから、こうかなと思った」という表現を自分が何度も使っていることにふと気付いて、おや、自分は知らないうちに主観で自分が感じたことを相手に適応することで相手の立場に立った気がしているんじゃないか?と怖くなったこと。
そして、わかりあえないことに苛立ちを覚えたことで、自分は本質的には「話せば自分の正しさをわかってもらえる」と思い込んでいるのではないかと考えたこと。
たぶん「柔軟だと思っていた自分」を疑い始めたことで、この本を手に取ってしまったのだと思う。
結論、いい意味で「正しい」とか「間違っている」という概念がなくなり、逆に何を信じたら良いのかわからなくなった。
本のなかで、まずグサリと来たのは
「心理パンチを1番浴びるのは、不用意に中途半端に近づいたとき」
「思考停止は何かの原因を環境や他人のせいにしたとき起こる」
という2つの言葉。
実際今回の衝突の原因は「中途半端な知識で助言した」「他責にした」ことだったので猛省した。
次に、今の自分にドンピシャだったのが「常識とは自分勝手に用いられる怪しい言葉」であるということ。
自分の常識と他人の常識があることを忘れてはいけないし、別の視点から見ることも大切だし、「良い」「悪い」ではなく「どういう場合に成立するのか」という前提条件も読み取らないといけない。
同様に、「作用反作用の法則」というのも、常識を疑ううえで大切な考えだと思った。
たとえば、つまらないテレビ番組が多いと嘆く人がいるが、その理由は視聴者がそれを望んでいたりするから。「あの部下はホウレンソウができない」と文句を言う人はホウレンソウがしづらい空気を出している。というように、意外と原因は相手ではなくこちら側にあったりするらしい。
今回わたしは、「相手が悪い!」と最初に思ってしまったが、起爆剤だったのは他でもないわたしなのだと思う。わたししかいなかったし。
そして最後に印象的だったのは、「人は自分自身や自分の体験を特別だと思っていること」。たとえば深刻な悩みを抱えていたとして、事例を用いられてアドバイスをされたとしても、「いや、それはまた別のケースだから」と聞く耳を持たないらしい。
だから、「自分にも当てはまるのでは?」と気付くことが大事だし、逆に相手の話を一般化してしまうとムッとさせることになるので特別な事例として聞けばコミュニケーションは円滑に進む。
「相手は特殊な存在、自分は他者と同じ存在」と考えることで、自分が特別であるという思い込みを外す。自分が正しいと思っている限り、考え方にも進歩はない。
これーーーー!!頑固な人は進歩しないという。そんなのイヤだ!!
他にも、最近ずっと考えていた「論理と感情」の話が出てきた。私は論理がないと人を納得させられないが、感情がないと人の心を動かせないのでそのバランスをどう取れば良いのかわからなかった。
本書では「集団の意思決定やルールづくりは論理に基づく必要があり、個人を動かすのは感情やこころ」という極めてシンプルな結論に至っており、そういうふうに捉えていけば良いのだなと納得した。
話は逸れてしまったが、とにかくどの思考法も今のわたしにとってはバチバチに刺さるものばかりだったし、次に誰かとぶつかったときは(ぶつかりたくないけど)もう少し言葉を選んだり自分を疑いながら有意義な議論が交わせるんじゃないかなぁ。いや話せるといいなぁ。 -
Posted by ブクログ
恥ずかしながらロレンスを読んだことがなく、とりあえず子ども向けに訳された短編を読んでみた。
あまりに素晴らしくすごい作品ばかりなので、驚いた。
行動と言葉で、言葉を弄さずに登場人物の狂おしい心情を描き、独特の苦みのある余韻を残す。
いやー、これは大人向けに訳された、もっとたくさん入った短編集をすぐさま買わなきゃ!と思ったが、今岩波のも新潮のも新刊書店では売っていないのね。がっかり。
こういう子供向けの訳でもロレンスのすごさは伝わるが、子どもには、表題作や「馬商の娘」「乗車券を拝見します」など、わかるまい。わかっても困る。それくらい人間の深層心理(特に「恋愛」という罠にかかる人間の心理)を巧みに描いている。「木馬のお告げ」は子どもでも面白く感じるかもしれない。でも、やっぱり本当のところは読み取れないだろう。
訳文はとにかくひらがなが多く、ただ「読む」だけなら小学校中学年でも大丈夫だろうと思う。しかし、感動できるのはかなりませた(知的に成熟した)中学生以上、読み取りができるのはやっぱり大人だと思う。
ヨシタケシンスケの絵は全く合わない。本の内容に合わせてイラストレーターを選んでほしい。このシリーズはジャック・ロンドンやチェーホフなどもでているが、ヨシタケシンスケの絵が許せるのはトウェインくらいだと思う。ジャック・ロンドンのハードボイルドな世界がヨシタケシンスケって、許せない。
ヨシタケシンスケを貶めて言っているのではない、合わないのだ。もう少し軽く、ユーモアとウィットのあるような作家だったら彼の絵でも良かったんだけど。
この絵に惹かれて読んだら、イメージと全然違うので、小中学生はがっかりすると思う。著作権が切れた名作を訳と装丁を子供向けにして売ろうという出版社の魂胆が丸見え。
ロレンスの作品自体は文句なく★5つ。本の作り手の姿勢がマイナス一つ。