実はイラストを描いているヨシタケシンスケ氏が元々好きで、ある意味ジャケット買いをした本書。
頭の柔らかさ、というと発想法が先攻イメージとしてあるが、どちらかというと"自分を知る"に重きを置いた一冊。
知らず知らずのうちに、いろんなバイアスが掛かっている。
この辺りは言われてみないと判らない事が多いので、自分を知る良いきっかけになった。
読んで良かった一冊。
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一般的な「頭が柔らかい」
・一つの価値観や考え方に固執せずに、状況や相手に応じて柔軟に変化することができる
・他人が考えつかないような新しいアイディアを多数考えだす事が出来る
一般的な「頭が固い」
・自分中心の一つの価値観に固執して、他人の価値観や考えを受け入れない
・慣習や前例など古い常識を絶対視して、新しい現象を否定的に捉える
これらを踏まえると"頭が柔らかくなる"為のポイントは下記
・自分の考えに固執しない
・旧来の慣習に捉われない
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頭を柔らかくする為のファーストステップは
自分の思考の「癖と偏り」を認識すること
【心の癖を理解する】
■思考回路が行動を決める
「あの時に戻れたら、、」
「若い時に勉強していたら、、」
⇒仮にタイムマシンがあって時間旅行が出来たとしても、同じ結末になる可能性が高い
⇒その時の個々の選択はその時のベストorベターだと思っているから
ポイントは、後悔をすること・しないことがあるのではなく、
”後悔をする人”と”しない人”の二分類だという事
多くは「後悔をする人」だが、
この場合は行動レベルではなく思考レベルを変えないと結果が変わらない
■遠くのものほどありがたく感じる
偉人や成功者の言葉はよく聞くシンプルなワードなのに重く感じ、
欧米ではこうやっている、と言われると妙に説得性がある。
親より親戚、学校の先生より塾の先生のアドバイスを聞く。
社内の人間がいくら言っても聞かないものを社外のコンサルが指摘すると改善する。
⇒「遠くのもの」の方がありがたい、というバイアス
"頭の使い方"という観点では、経験や知識を積み重ねると「より近くの物」で済ませようとする
⇒"頭の固さ"の要因のひとつ
頭がやわらかい人ほど、遠くの物からヒントを得ようとする
・回転寿司:ビール工場の生産ラインから
・マジックテープ:オナモミ(セーターにひっつく草)
・万有引力の法則:リンゴが木から落ちる様(=月と地球の関係)
■みんな”自分は特殊”だと思っている
一つ一つが特殊だ、という認識になった瞬間に思考停止してしまう
ex)本を読んで「これは特殊なケース」「自分には当てはまらない」と思った瞬間に学びや気づきが無くなる
⇒学びを得ようとする際には「自分との共通性」を探すことが大切
「自分は特殊だ」と考えてしまう一般性を意識し、
一般化と特殊化をうまく使いこなす事が学びを得るポイント
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【物理の法則は人間にも当てはまる】
■作用反作用の法則
テレビが"くだらないバラエティ"ばかりだと言う人がいるが、
その番組ばかりになるのは一番視聴率が取れる=視聴者が望んでいるから
物理学と同じように、物体と物体・事象と事象は関係性がある
(テレビの例で言えば、「制作側」と「視聴者」の需要供給の関係)
・報告ができない部下が多い!
⇒部下にも原因があるが、その部下に対しての働きかけの仕方はどうか?
・年賀状がたくさん来る人
⇒年賀状をたくさん出している人
(同様に、情報収集が得意な人は多くの発信をしている)
■ドップラー効果
(近づいてくるものと、過ぎ去った物は見え方が違う)
例としては、救急車のピーポーピーポー音
・子どもの時の20歳は大人に見えるが、30歳からするとまだまだ子ども
・年収があと100万上がれば豊か!…と思うが、実際貰うと意外と足りない
・自然を壊す都市開発反対!を叫ぶ人たちの住んでいるエリアは昔の開発地だったり
■フラクタル効果は身の回りにもある
社員5名の会社と、社員10,000名の会社、社長はどちらが大変か?
フラクタル
⇒複雑な事象の細部を見れば類似の複雑さがある、という数学的ワード(雪の結晶など)
上記の例で言えば後者の方が激務のように思えて、
優れた幹部がタスク処理をしてくれたり、
業務の細部まで把握しなくても良い、採用面でも優秀な人材を入れやすい等の良い側面も多い
問題の質こそ違えど、「大変さ」「複雑さ」は同じと考える見方もある
⇒無意識のうちに、大きい組織のリーダー=すごい、というバイアスを掛けている
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【メリットは必ずデメリットになる】
■資産はいずれ重荷になる
アメリカのコメディアン、ブレッド・アレンの言葉
「有名人とは人に知られる為に生涯働き通し、その後は人に気づかれないようにサングラスをかける人」
⇒”目立ちたい”の行き着いた先は、皮肉にも”目立たない”ように生きること
他の例
・有名な企業ブランド=サービス認知は高いが、チャレンジ精神溢れる人材は集まらない(=ブランド目当てが多い)
■成功の反意語は失敗か?
"成功"と"失敗"は両極にあるが、中間には"何もしない"状態がある
⇒成功と失敗は紙一重であり「結果」と捉えると、違った両極が生まれる
⇒"何か行動する"と"何も行動しない"という両極
ロベルト・バッジョ
「PKを外す事ができるのは、PKを蹴る勇気のある者だけだ」
■線を引くことの功罪
複数の人が共通のルール・認識で暮らす為に、人間は"線を引く"
ex)国、組織、選挙区、日付変更線etc
線を引く事の弊害は何か?
・本来は連続的に変化する物や事象を無理矢理に区分化している
・一度引かれた線は固定的になり、ギャップを引き起こす
ex)
・速度制限=40km/h未満は"安全"、以上は”危険”
⇒60km/hでも安全な道もあれば、30km/hでも危険な道も
・電気自動車は"電機業界"か"自動車業界"か?
⇒業界や部門ごとに区分けすると判りやすいが、逆に曖昧になる本末転倒な事も
頭の中をやわらかくするには問題が生じた時に以下のように捉えること
・「線」が間違っているのか?
・もしくは「線」は便宜上の道具だから、問題が発生して当たり前だ
■自由旅行とパッケージ旅行、どちらが自由?
一般的には自由旅行の方が自由度が高く、発見も多い
⇒実は行き先を自由に選択しているように見えて
「自分の思いつく範囲の中で」という制約条件の下で選んでいる
本当に新しい発見をしようと思ったら、パッケージ旅行に身を委ねるのも手である
他の例
・CDは楽曲DLによるバラ売りがメイン
⇒アルバムというパッケージ買いの方が、聞いてみたら良い曲=発見に出会える
好きな物ばかり選んでいては成長や新しい発見が無くなる、と言うが、
パッケージ販売の良さを見直しておくと視野がさらに広がる
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【対比と軸で見えてくるもの】
■具体と抽象
抽象的で判らないとよく悪者扱いされるが、抽象表現のメリットもある
・一度に多くの物を当てはめるので応用が効く
ex)個々ではなく、男性はコチラ・女性はコチラと性別で大分けする
・解釈の自由度が高い
ex)昼食を食べに行きましょう=中華なのか和食なのか?中華ならラーメンなのか炒飯なのか?(塩?味噌?豚骨?)
別の例になるが、「話が上手い人」は抽象と具体の往復が上手い
例え話をする際に「要するにどういうことか?」と一度抽象化し、身近な例に再度具体化する、など
抽象的なことを毛嫌いせずに、自らの経験や知識に照らし合わせて「具体と抽象の往復」をする
⇒最高の頭の体操になる
■形から入るか、中身から入るか
新人営業が1日に5件の訪問をする、
本を読まない部下に月に3冊の本を読ませる、
というように、"回数をこなす"事を目標設定するケースは多い
手段先攻のメリット
・「形」という実質的な行動から始められること
(中身重視の人ほど、形すら出来ずに終わるケースも多い)
手段先攻のデメリット
・中身が伴わずに「とにかく形だけ」で終わる事もある
(手段の目的化、という本末転倒な事に)
形か中身か、という話はつまり「手段か目的か」という事
「形から入る」=いずれ手段が定着し、いつの間にか目的を達成している状況を狙う
中身が重要なのは勿論だが、その為に一件不合理な"形から入る"ことも時には重要と認識しておく
⇒柔軟に創造的な発想が出来る人は「現実と矛盾」についても柔軟に対応する事が求められる
■時と金は同じもの?
訪問販売やセールス電話に対して「忙しいから」「時間がないから」
⇒多くは"本当に時間が取れない"のではなく、
「他に大事な事がある」=「優先順位が低い」ということ
(したがって、この断りに対して「いつなら空いてますか?」の返しは無意味)
同様にお金に関しても「何も買えないほど貧困」という人は多くはない
⇒「値段が高いから」という理由は「優先順位が低いから」
⇒重要度を更にアピールする、など自分で改善できることも
■「同じ」と「違う」は大きく違う
・「同じ」ことをするには何も考える必要がない
・「違う」ことをするには、多数のオプションの中から選択をする、という頭を非常に使うプロセスが要る
さらに、
・「同じ」ことをするには理由が要らないが、「違うこと」をするには理由が居る
・「同じ」は一つだが、「違う」の選択肢は無限にある
普段から頭をやわらかくするために、
安易に「一律〜〜」という言葉を使うのを辞める、常に「違う」ことをやる意識付けをする
⇒自分の頭を使って考える練習になる
■決定論と確率論(万馬券を買える人、買えない人)
決定論:結果には然るべき原因がある、原因が明確なら物事が進む先は予測できる
確率論:物事の挙動は最終的にはある確率をもって決定されるが、一つとの結果として予想する事は出来ない
確率論者
⇒常に不確実性が高い状況で挑戦し続ける起業家精神を持った人に多い
決定論者
⇒ある程度確立された、安定した世界に生きている人に多い
確率論者は失敗しても「数を打つ」ことを常に考えて「夢を叶えるまで」挑戦し続ける
実質的に「夢は叶うと信じている」ように見える