【感想・ネタバレ】世界ショートセレクション2 ロレンス ショートセレクション 二番がいちばんのレビュー

あらすじ

人間の肉体と精神の一体化からうまれる、精緻な心理描写に優れた作品の多い、D・H・ロレンス。彼の短編作品のなかから「二番がいちばん」「乗車券を拝見します」「木馬のお告げ」ほかで劇薬のような愛の先へ読者を招待する。

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Posted by ブクログ

 イギリスの田舎の自然描写が美しい。生き物の生々しさ、荒々しさ、土の匂い、泥の匂い、血の匂い、その他色々危ない匂いとか、引っくるめた、猛々しく、柔らかい自然の中に威勢よく、繊細に、弱々しく、残酷に生きる普通の登場人物の等身大の姿が心地良い。
 モグラを簡単に殺してしまう農家の娘、池に入水自殺を図っていた所を助けてくれた医者のことを勘違いして愛が芽生えてしまった娘、プレイボーイの男に遊ばれた電車の車掌(女の子ばかり)たちがその男を袋叩きにするという残酷だか小気味良いシーン、ドSの姑に嫌味を言われ続ける労働者、彼にそっとお茶を出す嫁、母親の反対を押し切って飼った野生のウサギが暴れまくり、最後は母親とウサギがお互いに“許さない”と言う目つきでにらみ合うシーン。
 どれも、普段頭をかすめては無視する妄想とか、心の襞に見え隠れする残虐さとか、生命の生々しさとか…ああ、それを書いちゃうんだと思うようなことばかり。読んでいて少し気持ち悪いが気持ちいい。
 ヨシタケシンスケさんの絵が描いてあるから、小学生の娘が読みたがったけど、一応「チャタレイ夫人の恋人」の人だから、カバーかけて読んだよ。
 

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2021年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

デーヴィッド・ハーバート・リチャーズ・ローレンス
1885年生
イギリス、ノッティンガムシャー出身の小説家・詩人。

一作目を読んで、庭の野草の細やかな描写や娘たちの描写が女性的に思え作者のことを検索したら、男性だったので驚いた
一作目、二作目は、恋のかけひきや恋に落ちる瞬間、不安などの気持ちが細かく描かれていて、
代表作『チャタレイ夫人の恋人』を読みたくなった。
三作目は、浮気男をやっつける、背景がダーク色を感じる作品
四作目は、よくわからなかった…
五作目は、お金に囚われた両親を持つ子どもの気が狂ってしまう、悲しいお話し…


二番がいちばん
馬商の娘
乗車券を拝見します
ほほ笑み
木馬のお告げ
ストライキ手当て
ウサギのアドルフ


世界ショートコレクション
ボチボチ読んで、世界のいろんな作家に触れてみようと思う

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2021年01月24日

Posted by ブクログ

訳者あとがき曰く、「何かのきっかけで一線を越えてしまった人間の、理性と狂気のすれすれのようなものが見えてきます。」
中年のおじさんなので恋だ愛だいう話はまったくピンとくるものがなく、最初の方の作品はどうも「見えて」こなかった。
とは言え、「馬商の娘」は、よく分からなかったにも関わらず、なんとも言えない不気味さのせいで、とても印象に残っている。
もう読むのをやめようと思ったが、「木馬のお告げ」は先の展開が気になりお話として面白く読めた。

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2018年07月11日

Posted by ブクログ

恥ずかしながらロレンスを読んだことがなく、とりあえず子ども向けに訳された短編を読んでみた。
あまりに素晴らしくすごい作品ばかりなので、驚いた。
行動と言葉で、言葉を弄さずに登場人物の狂おしい心情を描き、独特の苦みのある余韻を残す。
いやー、これは大人向けに訳された、もっとたくさん入った短編集をすぐさま買わなきゃ!と思ったが、今岩波のも新潮のも新刊書店では売っていないのね。がっかり。
こういう子供向けの訳でもロレンスのすごさは伝わるが、子どもには、表題作や「馬商の娘」「乗車券を拝見します」など、わかるまい。わかっても困る。それくらい人間の深層心理(特に「恋愛」という罠にかかる人間の心理)を巧みに描いている。「木馬のお告げ」は子どもでも面白く感じるかもしれない。でも、やっぱり本当のところは読み取れないだろう。
訳文はとにかくひらがなが多く、ただ「読む」だけなら小学校中学年でも大丈夫だろうと思う。しかし、感動できるのはかなりませた(知的に成熟した)中学生以上、読み取りができるのはやっぱり大人だと思う。
 ヨシタケシンスケの絵は全く合わない。本の内容に合わせてイラストレーターを選んでほしい。このシリーズはジャック・ロンドンやチェーホフなどもでているが、ヨシタケシンスケの絵が許せるのはトウェインくらいだと思う。ジャック・ロンドンのハードボイルドな世界がヨシタケシンスケって、許せない。
ヨシタケシンスケを貶めて言っているのではない、合わないのだ。もう少し軽く、ユーモアとウィットのあるような作家だったら彼の絵でも良かったんだけど。
この絵に惹かれて読んだら、イメージと全然違うので、小中学生はがっかりすると思う。著作権が切れた名作を訳と装丁を子供向けにして売ろうという出版社の魂胆が丸見え。
ロレンスの作品自体は文句なく★5つ。本の作り手の姿勢がマイナス一つ。

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2017年05月14日

Posted by ブクログ

タイトルが気になって手に取る。
ロレンスは名前しか知らなかった。
表題作はまあまあだったけど、リアルな近代の人間を書くのがうまいとわかる。
よくある環境、不思議な現象、シュールな終わり。
❮じわじわくる❯作家だ。

印象に残ったのは
馬商の娘
乗車券を拝見します(集団ヒステリーこわい)
木馬のお告げ(すごい話だ。私もアーサー王好きとして、馬にランスロットと名付けたい人生だった)

短編だから楽しめた。

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2022年11月29日

Posted by ブクログ

第一巻が怪盗ルパンのルブランで、二巻目がD.H.ロレンス~「二番がいちばん」失恋して実家に帰ってきた姉は幼馴染みに惹かれていく。「馬商の娘」父が遺した馬商も倒産が決まり、兄弟は身の振り方を考えるが、27歳のメイベルは池に身を沈めようとして、地域医療に献身している医師のジャックに救われ、着衣を脱がされたと知って愛を迫る。「乗車券を拝見します」世界一危険な路面列車の車掌のアニー・ストーンは検査係主任のジョン・トマス・レイナーに捨てられ、捨てられた車掌仲間を誘ってとっちめるが。「ほほえみ」……。「木馬のお告げ」ポールは家中から金が足りないという声が聞こえてきて、母親に聞くが、父親に運がないからダメだという。競馬好きの庭師と協力して競馬で儲けているが、それは子どもが乗る木馬のお告げだった。母親のためにダービーで儲けようとして、名前が告げられるが、数万ポンドを稼いでポールは息を引き取る。「ストライキ手当て」炭鉱夫のイフレム・ウォーンビーはストライキ手当てを組合から貰ったが、9マイル歩いてサッカーの試合を観に出掛け、夜の7時に帰宅して嫌みを垂れる義母を追い出した。「ウサギのアドルフ」父が仕事明けの朝に拾ってきた茶色の仔ウサギはアドルフと名付けられ、家に住み着いたが、レースのカーテンを引き裂いて野に戻される~「ほほえみ」が意味不明・まったく解らないが、読み返す気にもならない

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2017年08月31日

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