恥ずかしながらロレンスを読んだことがなく、とりあえず子ども向けに訳された短編を読んでみた。
あまりに素晴らしくすごい作品ばかりなので、驚いた。
行動と言葉で、言葉を弄さずに登場人物の狂おしい心情を描き、独特の苦みのある余韻を残す。
いやー、これは大人向けに訳された、もっとたくさん入った短編集をすぐさま買わなきゃ!と思ったが、今岩波のも新潮のも新刊書店では売っていないのね。がっかり。
こういう子供向けの訳でもロレンスのすごさは伝わるが、子どもには、表題作や「馬商の娘」「乗車券を拝見します」など、わかるまい。わかっても困る。それくらい人間の深層心理(特に「恋愛」という罠にかかる人間の心理)を巧みに描いている。「木馬のお告げ」は子どもでも面白く感じるかもしれない。でも、やっぱり本当のところは読み取れないだろう。
訳文はとにかくひらがなが多く、ただ「読む」だけなら小学校中学年でも大丈夫だろうと思う。しかし、感動できるのはかなりませた(知的に成熟した)中学生以上、読み取りができるのはやっぱり大人だと思う。
ヨシタケシンスケの絵は全く合わない。本の内容に合わせてイラストレーターを選んでほしい。このシリーズはジャック・ロンドンやチェーホフなどもでているが、ヨシタケシンスケの絵が許せるのはトウェインくらいだと思う。ジャック・ロンドンのハードボイルドな世界がヨシタケシンスケって、許せない。
ヨシタケシンスケを貶めて言っているのではない、合わないのだ。もう少し軽く、ユーモアとウィットのあるような作家だったら彼の絵でも良かったんだけど。
この絵に惹かれて読んだら、イメージと全然違うので、小中学生はがっかりすると思う。著作権が切れた名作を訳と装丁を子供向けにして売ろうという出版社の魂胆が丸見え。
ロレンスの作品自体は文句なく★5つ。本の作り手の姿勢がマイナス一つ。