薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「刑事のまなざし」で良くも悪くも印象的だった「オムライス」がまさか絡んでくるとは。
表題作以外は、暗い気持ちだけじゃない、ほのかなあたたかさや希望や愛が見えて、一作目とは雰囲気が違うな~しみじみと良いな~と思ったけど(不惑はそういう話じゃないけど、なんとも言えない面白さがあった)。表題作が苦しくて苦しくてしょうがない、大人の身勝手な欲望と期待がこどもの心と人生を壊すんだなあと痛感。このレベルではなくてもこういう子はたくさんいるとも思う。
この子が復讐を叶えたこと、悲しいけど私は肯定したい。もしかしたら数十年後には許せるかもしれないけど、大人にされたことを子どもの間に許せ、というのはエゴでしかないなと思った。 -
Posted by ブクログ
2016年の藥丸岳作品。
三十二年間、刑務所を出たり入ったりする男・片桐を中心とする物語。ただ、片桐の観点で物語が語られることは無く、片桐の兄貴分のような男、片桐を弁護した青年弁護士、生き別れの片桐の娘、片桐の真の目的のために利用される女、片桐の真の目的を知る男、という五人それぞれの観点で、片桐の人物像が読者に示されるという展開になっています。
この片桐という男、顔面に豹柄の刺青を入れているというなかなか突飛な設定なので、どうも真面目な気分で読みづらく、その変な感じは最後までありました。それにもかかわらず感動的なラストには、泣かされましたけど。
片桐の兄貴分のような男・菊池の観点の第一章での、菊池と片桐の関係が、まるでドラマ『傷だらけの天使』のオサムとアキラのようだったので、捨てられた仔犬のような目をしていたアキラと片桐を重ね合わせ、片桐もそんな目をした男なのだろう、とずっと想像し、余計に感動したかもしれません。 -
Posted by ブクログ
平凡な男・片桐達夫がある男・梶原史郎と関わったがために
人生を狂わされ、復讐鬼となる物語。
すでにまーちさんがレポでも書いているが、
主人公片桐の執念と意志の強さに驚かされる。
決意表明ともいうべき、片桐の顔の入れ墨。
復讐を忘れないためか、人相を替えるためか、
突然、顔中にヒョウ柄の入れ墨を入れるという
行為そのものに度肝を抜かれた。
・菊池正弘 片桐の恩人でもある菊屋のマスター目線
・中村尚 主人公を救いたい一心の若手弁護士の目線
・松田ひかり 主人公の愛する一人娘の目線
・森口絢子 主人公の仇のヤクザの情婦の目線
・荒木誠二 片桐が身代わりとなって罪をかぶってやった男の目線
菊屋で事件を起こして服役し、以来、
刑務所を出たり入ったりしている片桐。
目立つ顔の入れ墨のため不気味な雰囲気を漂わせ、
彼の住んでいた町でも、要注意人物というレッテルを貼られている。
何回目かの出所をしてから
彼のラストナイトまでの一連の事件の流れが
上記の5人の目線から書かれていた。
それぞれの立場から
悩みや苦しみもわかるように工夫された構成だった。
自分の気持ちを最後まで表さなかった片桐だから、
周りの人々の彼の気持ちを推測する優しさも光る。
故意に犯してしまう犯罪があれば、
偶然に犯罪に巻き込まれる場合もある。
家族を愛しながらも、それがもとでの家族の崩壊。
下層社会でもがく人々の苦しみが
ストレートで力強い文体で描かれていた。
サラリと読める作品だが、
片桐の切なすぎる人生についての印象がとても強く残る。
社会のブラックな闇に苦しむ人々を描けば
薬丸さんはピカイチではないだろうか。 -
ネタバレ 購入済み
加害者の人生って?
どうして殺人を犯したのか知りたかった。
そこが本文になかったのが残念。
しかし内容はすごく考えさせられた。
犯罪が蔓延する中、隣の人が前科者なんてこともありうる。どう接する?接する事ができる?自問自答しながら読んだ。
でも最後私はスッキリした。
やはり人間と人間の付き合いってもんは愛がなきゃと思った。 -
読み終えるのが惜しい傑作!
本当に丁寧に人間を描く著者の、優しさが詰まった傑作です。これまで少年犯罪の被害者など、つらい境遇が最初から最後まで重苦しく包む作品が多かったのに対して、同じく哀しい過去を抱きながらも、主人公が温かい言葉で事件を解決していく姿を、彼の過去を知った読者は涙なしには追いかけられないでしょう・・・。