薬丸岳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
主語がどこなのか、良く分からない小説だが、犯した罪の亡霊に悩んだ被害者の夫が、被告人が犯罪犯して、互いにつみを改めて、被告人が、つみを認めて、罪に向かい合う事で、人生やり直し出来ると言うことか?
「告解」とは、主にキリスト教、特にカトリック教会において、信者が司祭に自分の罪を告白し、神の赦しを求める儀式のことです。これは「ゆるしの秘跡」とも呼ばれ、洗礼後に犯した罪を清める儀式とされています。
贖罪と向き合い続けた著者だから描けた入魂の傑作長編小説。
「自分は運が悪かっただけだ……」
女性を撥ねるも、逃げてしまった大学生
「やらなければいけないことがあるんだ」
愛する妻を奪われ、犯人の出所 -
Posted by ブクログ
重い!
やっぱり薬丸岳さんの作品は重い。
加害者と被害者、家族、様々な視点から語られ、その辛さを感じます。
渋谷のスクランブル交差点で発生した無差別通り魔殺人事件!
事件の加害者の小野寺。
誰でもよいから人を殺して、塀の中で生活したいという動機。こういうの、現実世界でもありますよね。ほんと、腹が立つ!
全く許せません!
被害者の明香里。
全身刺されて、顔も切られたが、九死に一生を得る。
被害時のトラウマ、フラッシュバック、辛い生活です。
その明香里をかばって、亡くなった通りすがりの男晃弘。
「約束は守った。伝えてほしい…」
という言葉を明香里に託して死んでしまう。
明香里の恋人の航平。 -
Posted by ブクログ
薬丸岳の夏目刑事シリーズ第3弾。
次作の「刑事の怒り」も読んでいるので既に読んだはずだが、内容の記憶が曖昧だったので再読した。
最初の方の「無縁」「不惑」などは夏目の深い人間洞察力がよく表れていて面白い。また本作ではずっと眠りについていた娘が遂に目を覚ます。この時の夏目夫妻の喜びようは読んでいても泣けてくるし、そういう時でもずっと側にいてやれない刑事という職業の過酷さに思いを馳せた。
しかし何と言っても本作は最後の「刑事の約束」が良くない。表題にもなっている重要な話であるのは間違いないが、読後感が圧倒的に悪く、せっかく良かったそれまでの短編が台無しになるほど感じが悪い。
このシリーズに読者が期 -
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。
設定は重いけど、こじらせ男子か…と思えるところが端々に感じられる。
傷害致死事件を起こしたような人が周りにいないので、知り合いになり、仲良くなった人の過去にそんな罪を持つ人に対して、どのような感情が湧くかわからないが、府中にあんなに親身になってくれる人がたくさんいるのに、孤独に生きていこうとなるのかな?
親族からも見放され、周りから関わるとろくなことにならないと言われるほど素行が悪かった石倉と付き合い、周りから別れたほうがいいと言われても、自分とつきあったらまっとうな人に変わるんじゃないか、という快彦の母の考えには納得できなかったなー。別れようとしても脅され、ストーカーのよ -
Posted by ブクログ
薬丸岳さんの最近までの最新作
こちらも罪と贖罪がテーマとされている部分は多いのですが、過去作品からすると許すという方向性がはっきりしてきたなと思います。
両親をすでに無くした孤独な弁護士が傷害致死を起こした従兄弟の身元引受人となり、限定的な同居生活が始まる。
頑なに共生を拒んでいた弁護士は、従兄弟の罪の根底にあるものを自ら探り、彼の内面に寄り添っていく。
その罪の自分が犯罪者となり得た要因を知り、犯罪者との境界の曖昧さも読める。
「友罪」から十余年、罪を受け入れる考察から
「籠の中のふたり」では許すことへと変化している。
犯罪小説ではあるけれど、新たな家族、友人としての愛情が込められている。
-
Posted by ブクログ
2017年第70回日本推理作家協会賞(短編部門
「黄昏」を含む夏目シリーズ第4弾
夏目刑事の犯人へも注ぐ優しさが読める短編4編
「黄昏」
高齢の母親の遺体をスーツケースに入れてかくしていた娘。母親の死を隠蔽した理由が切ない。
けれど幼いかな
「生贄」
夏目刑事が錦糸署に移動直後の事件。
公園のトイレで若い男がナイフで刺殺。
二重三重の性犯罪の被害者の苦悶。
夏目の許しの心情も揺らぐ。
「異邦人」
ベトナム人留学生が警察通訳人として同胞の女性の犯罪に夏目と共に関わる。
外国人労働問題を犯罪の根底に。
「刑事の怒り」
疾患や事故で身体が不自由となり呼吸器を必要とする患者が立て続け亡くなる。