薬丸岳のレビュー一覧
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大どんでん返し。
ミステリーと言えば読んでいて一番気持ちが良い瞬間がソレを味わう瞬間。
本作は序盤から気付かない程度の伏線を少しずつ残していきラストに繋げていくという王道のミステリーだが、ラストまでの繋げ方がとても巧妙なので、普段からミステリーを読んでいる人でも存分に楽しめる一冊となっている。
主要登場人物は主人公を含め「人生がうまくいかず、日々なんとか食いつないでる」という点で共通している。
そんな同じ境遇の人間同士が集まって何か大きな事をして一発逆転を狙うというのが冒頭だが、想定を遥かに超える事態に巻き込まれていくというものになっている。
だが正直なところ、境遇に関しては自業自得な部分も往々にしてあり、登場人物に対して肯定の気持ちはあまり強く持てないが、
一つ掛け違えると誰しもそうなるというような意味では同情できる部分もある。
そういった微妙なバランスの人物達を描くことにより、本作はトリック部分と心情部分が良い按配で構成されていると思う。
結果として、
先が気になってしょうがないという、
長編でありながらスラスラと最後まで一気に読ませる物となっている。
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螺旋プロジェクトを、未来から逆行して読んでいるので(吉田篤弘が大好きだから!)海と山の対立度合いに、もしかして!といまさら気づきました。詳しく書くとネタバレになるので伏せます。
本作には、どうやら前の時代(作家)から引き継いでいる登場人物がいるようです。
時代背景は明治、山縣有明内閣の頃ですが詳しい時代背景が分からなくても、サクサク読めます。
全体の感想としては、ものすごく面白い!でもないけれど、ものすごくつまらない!でもない、中間くらい。
差別や人種間の対立なんかに対する警鐘、教訓は今ひとつ新鮮味にかけるというか、私には刺さりませんでした。
巻末の八作家座談会が素敵でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ薄い本だから軽く読もうと思って手に取ったのに、すっかり引き込まれてしまった。
顔面に豹柄の刺青をいれ、犯罪を繰り返す片桐。
昔に起こした傷害事件で最愛の妻と子と別れることになり、自暴自棄になっていると誰もが思っていたが…
うわー衝撃…
なんて悲しい人生なのか。
「悪い人じゃないのに」という人が辛い思いをする本に最近やたらあたるけど、本当に胸が痛い。
人として真っ当な人生を送るためには、優しさだけではなくて強さと賢さがないといけないんだなと考えさせられる。今回の片桐に関しては相手が悪かっただけではあるけれど、相手を刺してしまったり、人生を棒に振った復讐の仕方を選んでしまったり。
生き残っている娘のことや、お世話になった弁護士や菊屋の主人など、周りの人を不幸にしない方法もあるだろうに。
そして梶原が最悪すぎて。あー頭くる。 -
Posted by ブクログ
事実を隠蔽することは、最終的には破綻するのだと総括できる壮大な物語で非常に面白かった.元警察官の夫婦は3年前に分かれたが、夫の朝倉真志への無言電話から話が始まる.元妻の安本奈緒美に事実関係を確認すると娘が行方不明だと判明し、程なく奈緒美に娘を誘拐したという電話がかかる.朝倉は自分を不当逮捕した警察に不信感をもっており、通報するなと奈緒美に言う.奈緒美は犯人から電話で様々な場所への移動を余儀なくされる.朝倉は3年前の交通事故の詳細を調査するなかで荒井俊彦の存在を認識し、彼の周辺を探るうちに、核心となる政治家のスキャンダルを知りそれを警察が隠蔽する過程で例の交通事故が起きたことを確認した.その工作に意外な人物が絡んでいた.驚きの結末だ.
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中央公論の螺旋プロジェクトの一冊!
舞台は明治時代の瀬戸内海!
プロジェクトお馴染みの山族は大日本帝国海軍!
海族は海賊!?
これまで読んできたどの作品よりも直球的な対立構造となっている。
私達が普段目にする対立構造に怨みつらみが混じる時、本当の正義とは存在しないのかもしれない・・・
海族の末裔の灯は故郷で迫害を受け全国を放浪するものの海族特有の目の色のせいで定住の地が無く、彷徨い続けていたところ鬼仙島に辿り着く、そこは海族が崇められる島だった・・・
一方で幼い時に灯に妹を助けられた山族の榎木新太郎は、迫害されて村を出て行った灯に手を差し伸べることが出来なかったことを悔やんでいた、新太郎もそんな村が嫌で父親の死と同時に妹と村を出奔し、紆余曲折の後に、海軍の士官候補生となっていた・・・
新太郎の妹の鈴は幼き日の命の恩人で、兄と同じく手を差し伸べることが出来なかった灯に思いを寄せていた・・・
海族の灯、山族の新太郎と鈴の人生が翻弄される物語
そして舞台は他作品で伏線として貼られまくった鬼仙島・・・
物語は螺旋の如く渦を巻く! -
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「人・で・なし」
宮部みゆき上手いよねえ。
極めて普通の(もしかしたら宮部自身が遭遇したかもしれない)居酒屋の、よくある話から、「人でなし」のワードを引き出して、ひとつの現代の「怪談噺」が始まる。まあ、やり過ぎ(ありきたり)のオチだったけど。リレー・アンソロジーどうなるんだろ?
「ママ・はは」
宮部からバトンを受け取ったのは、辻村深月。話の導入方法と「表題」「写真」というキーワードを引き継いだようです。果たして何処を引き継いで何処を引き継がないのか。ちょっと推理したくなりました。
「わたし・わたし」
辻村からバトンを受け取ったのは、薬丸岳。初めて読む作家。確か実際にあった犯罪に取材した小説が多かったかな。今回も見たような犯罪。ショートなんで捻りが足りない。コレ、結局写真繋がりのホラーということなの?
「スマホが・ほ・し・い」
薬丸からバトンを受け取ったのは、ホラーなんて書いたことがないという東山彰良。しかも写真が出てこない!なんなんだ?でも、東山さんらしく、なんかの冒険小説の序章に思える。現代台北の話というのも大変魅力的。
「夢・を・殺す」
東山からバトンを受け取ったのは宮内悠介さん。AI繋がり?初めての作家さん。本来SF作家で、ホラーを書くような人でない。だけど、PCに取り憑いたバグが機械の幽霊なんではないか、という展開から、まさかの宮部みゆきさんにバトンを渡したのでした。
因みに、宮部みゆき文庫本は一部例外(絵本とアンソロジー、ボツコニアンシリーズ)を除いて、コンプリートするというマイルールを設定している。だから本書は除外してもいいんだけど、彼女はどうも本作品を自分の短編集に組み込む意思は無さそうだ。よって、いつかは読まなくてはいけないとは思っていた。
果たして、記念写真は撮れたのでしょうか?
無理だろうな。みんな忙しいから。