あらすじ
彼が犯した最後の「罪」とは? 顔には刺青、左手は義手。菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。かつてこの店で傷害事件を起こしてから、自身の妻とも離婚し、32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。獣のような雰囲気は人を怯えさせ、刺青に隠された表情からは本心が全くつかめない――。何故、彼は罪を重ねるのか? 吉川英治文学新人賞受賞後第一作! 著者新境地、魂を震わせる衝撃のミステリー。
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Posted by ブクログ
夢中になって読みました!
話ごとに出てくる些細な人物が次の話の主となり、どんどんと真実が明らかになっていく過程がおもしろかった!
すべての真実が明らかになったあとの最後の結末は切なかったけれど、人生をかけた復讐を果たせて良かったとも思いました。
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またまたやってしまいました。大好きな作家、薬丸岳さん、今度はなんと5人の視点から見た表現方法で何度も同じ場面が出てきます。これはなんて新鮮な試みなんでしょう。読んでいて興奮冷めやらなかったです。復讐のために32年間、罪を犯してまでも刑務所に出たり入ったり、こんなことがあっていいんでしょうか?くわしくは読んであなたも興奮して下さい。涙して下さい。感動して下さい。
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薬丸岳先生 ホンシェルジュ小説ランキング第1位作品
読後感は「切ない」の一言。ぜひ読んでいただきたい1冊です。その他に読んだ薬丸岳先生の作品は4冊ですが、全ての作品が心に残っています。(全て星五つの評価を付けました。)
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居酒屋「菊屋」にやってくる顔に刺青を入れた片桐。
32年前にその店で店主の妻に脅してきたヤクザから
守るために傷害事件を起こしてしまい、それから
何度も強盗、誘拐事件をおこしては服役を繰り返してきた。
それは何故なのか?最初の事件で妻と子供と別れることになり
自暴自棄になったからなのか?
「菊屋」の店主菊池、弁護士の中村、娘のひかり、
ヤクザの女絢子、片桐に借りのある荒木、それぞれの
視点から片桐という人物との関わりが書かれている。
復讐のためだけに生きる片桐がとても悲しく、
ラスト10ページぐらいから涙が止まらなかった。
ゲスな梶原にもっとスカッとする復讐をさせてやりたかった。
Posted by ブクログ
4.0/5.0
様々な人物たちが交差しながら、辛く救いようのない真実へ向かっていく。
妻を殺された怒りの炎は、復讐にではなく、今そこで確実に生きている娘へ愛情に変えて注ぐべきだった。
と、僕は片桐に向けてはっきりとそう言いたい。
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薬丸岳さんの作品の中でもかなり好きなものとなりました。犯罪は絶対的ににいけないことだけど、罪を犯すものの悲しさ、支える人の暖かさが、薬丸岳さんの作品にはいつもありますが、これは特にそう感じます。登場人物全員が辛い事と向き合っていますが、最後は少し安心できる終わり方です。「そうきたか、、」というかんじです。
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片桐達夫は妻の陽子を死ぬまで愛していて愛はここまでするのかと思った。
片桐の気持ち、想いが娘のひかりと親友の菊池にわかってよかったw
片桐が顔に刺青を入れたり片腕を無くしたり犯罪を繰り返したりする伏線の回収が面白かった。
見た目が悪いけど根は悪人ではない。
Posted by ブクログ
数時間でイッキ読みでした。
ラストは涙が止まらなくて、、胸が苦しかった。。
そのために何度も服役してたなんて、左手も、、すごい執念。。
荒木さんがいてくれたことにちょっとだけ救われた。
こういうのを書かせたら薬丸さんはほんとヤバイと思った。
Posted by ブクログ
顔面に刺青そして義手
壮絶な過去救いようのない人間かと
思えばただただ愛した元妻の為に
復讐心がここまで貫き通すのかと
思いました。
梶原は私的にもっと不幸にあった
終わり方であってほしかった
Posted by ブクログ
顔一面に刺青を入れ、犯罪を犯しては刑務所を出たり入ったりしている片桐。
彼の秘密とは。
…
片桐の周囲にいる人達の目線で各章が語られる手法。
あそこはこうだったんだ、という答え合わせが楽しかった。
片桐の秘密は、とっても悲しい。
そこまですることなのか、と思いながらも、片桐の気持ちを考えると、それほどのことなのだと思わされる。
著者の作品はとても読みやすく、心に響くものが多く大変好みです。
今回も良い出会いでした。
Posted by ブクログ
評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。かつてこの店で傷害事件を起こしてから、自身の妻とも離婚し、32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。獣のような雰囲気は人を怯えさせ、刺青に隠された表情からは本心が全くつかめない―。著者新境地!魂を震わす衝撃のミステリー。
片桐の気持ちも分からないことは無いが・・・しかし一方で心配する菊池くらいにはもう少し心開いても良かったんでは?
Posted by ブクログ
1人の犯罪者を、その周りにいる立場の違う5人の視点から見た話。
5人の話を全て読んでやっと、その犯罪者のラストナイトの真実、そうなるまでの彼の人生がわかってくる。
なかなか上手い手法で、最後は救われた気がした。
少年犯罪じゃなく、こういうのもあるんだと、次を読むのが楽しみだ。
Posted by ブクログ
各章で主役が替わる。
話の軸は一緒だけど、目線が替わり少しずつ軸が明確になっていく物語。
なんで?って思いながら、続きが気になって一気読みしちゃいました。
なんとも切ないお話。
エピローグで泣けた。
いつか伝わって欲しいと思って。
それだけが救い。
Posted by ブクログ
2016年の藥丸岳作品。
三十二年間、刑務所を出たり入ったりする男・片桐を中心とする物語。ただ、片桐の観点で物語が語られることは無く、片桐の兄貴分のような男、片桐を弁護した青年弁護士、生き別れの片桐の娘、片桐の真の目的のために利用される女、片桐の真の目的を知る男、という五人それぞれの観点で、片桐の人物像が読者に示されるという展開になっています。
この片桐という男、顔面に豹柄の刺青を入れているというなかなか突飛な設定なので、どうも真面目な気分で読みづらく、その変な感じは最後までありました。それにもかかわらず感動的なラストには、泣かされましたけど。
片桐の兄貴分のような男・菊池の観点の第一章での、菊池と片桐の関係が、まるでドラマ『傷だらけの天使』のオサムとアキラのようだったので、捨てられた仔犬のような目をしていたアキラと片桐を重ね合わせ、片桐もそんな目をした男なのだろう、とずっと想像し、余計に感動したかもしれません。
Posted by ブクログ
*顔には刺青、左手は義手。菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。かつてこの店で傷害事件を起こしてから、自身の妻とも離婚し、32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。
獣のような雰囲気は人を怯えさせ、刺青に隠された表情からは本心が全くつかめない――。何故、彼は罪を重ねるのか?*
壮絶、の一言。よくもこんなストーリーを思い付き、まとめ上げられたこと…すごいとしか言いようがない。
Posted by ブクログ
復讐というには余りにも悲しい結末。荒木がひかりに本当の事を話す日がくれば少しは報われるのかと思ったけど、片桐にはそれも必要ないんだろうな。
菊屋での事件がなければ梶原に会わなければと思ってやるせない。
Posted by ブクログ
薬丸さんらしい重いテーマ。章ごとに別の視点から構成されているので、同じシーンを別の見方ができて面白かった。でも、当の片桐さんの視点はないんだな。そこがよくできているよね。
Posted by ブクログ
平凡な男・片桐達夫がある男・梶原史郎と関わったがために
人生を狂わされ、復讐鬼となる物語。
すでにまーちさんがレポでも書いているが、
主人公片桐の執念と意志の強さに驚かされる。
決意表明ともいうべき、片桐の顔の入れ墨。
復讐を忘れないためか、人相を替えるためか、
突然、顔中にヒョウ柄の入れ墨を入れるという
行為そのものに度肝を抜かれた。
・菊池正弘 片桐の恩人でもある菊屋のマスター目線
・中村尚 主人公を救いたい一心の若手弁護士の目線
・松田ひかり 主人公の愛する一人娘の目線
・森口絢子 主人公の仇のヤクザの情婦の目線
・荒木誠二 片桐が身代わりとなって罪をかぶってやった男の目線
菊屋で事件を起こして服役し、以来、
刑務所を出たり入ったりしている片桐。
目立つ顔の入れ墨のため不気味な雰囲気を漂わせ、
彼の住んでいた町でも、要注意人物というレッテルを貼られている。
何回目かの出所をしてから
彼のラストナイトまでの一連の事件の流れが
上記の5人の目線から書かれていた。
それぞれの立場から
悩みや苦しみもわかるように工夫された構成だった。
自分の気持ちを最後まで表さなかった片桐だから、
周りの人々の彼の気持ちを推測する優しさも光る。
故意に犯してしまう犯罪があれば、
偶然に犯罪に巻き込まれる場合もある。
家族を愛しながらも、それがもとでの家族の崩壊。
下層社会でもがく人々の苦しみが
ストレートで力強い文体で描かれていた。
サラリと読める作品だが、
片桐の切なすぎる人生についての印象がとても強く残る。
社会のブラックな闇に苦しむ人々を描けば
薬丸さんはピカイチではないだろうか。
Posted by ブクログ
居酒屋「菊屋」を営む菊池のもとに、古くからの友人片桐が突然あらわれた。
片桐は32年間、妻子と別れ、繰り返し罪を犯し、刑務所を出たり入ったり。
その風貌は異様。
顔中に入れ墨、左手は義手。
片桐が店を訪ねてくるとを常連客は嫌っているが、菊池には拒まない。
片桐と菊池の関係は…
片桐はなぜ顔中に入れ墨をいれたのか…
刑務所を出入りするわけとは…
切ないラスト。
薬丸さんのミステリーは面白い。
Posted by ブクログ
非常に切ないストーリー。
著者の作品は少年法に関わるストーリーを書かれますが、今回は初老の男性。
彼の深層心理が読みきれないままに、関係者の視点を章ごとに切り替えて物語が進む。
そのせいだけではないだろうが、どんどんと惹き込まれていき一気読み。
犯罪者、前科者というとそれだけで人は避けて通る。
そんな彼らにも人生があり、様々な選択肢がある中で判断をしながら人生を歩んでいく。
その判断をどうこういうのは難しい。それが良かったのか?ということは判断してからでないとどうかはわからない。
社会通念上とか世間体とかをベースに判断するとこちらのほうが良かったのでは?ということをアドバイスや指導する人のほうが多い。
が、本当にそれでいいのか?自己責任という言葉で片付けられない事がたくさんあるはず。
でも他に方法があったのでは?という思いを感じ、非常に切なくなってしまうストーリーでした。
Posted by ブクログ
薬丸さんらしく、読み易い物語でした。5人の登場人物の視点がそれぞれクロスオーバーしていく展開は新鮮でしたね。ただ、他の薬丸さんの著書と比べると、少しテーマに深みが足りないような気がしました。片桐は不器用過ぎるというか、もう少しやりようがあったのではないかと思ってしまいます。
Posted by ブクログ
とても好きなのですが精神削られる作家のひとりであります薬丸岳さん。本作は舞台装置としては渦中の人物の風貌が派手です。左手が義手で顔に豹柄の入れ墨の片桐達夫が、何故犯罪を繰り返してしまうのか。その粗暴な言動と見た目にに関わらず、関わった人間はその奥底に優しさを感じるのであります。さて何故?何故犯罪と服役を繰り返すのか?
彼と関わった人々の視点ごとの章立てとなっている為、読むごとに片岡の姿が立体的になっていきます。どちらかというとオーソドックスな話なのですが、そのオーソドックスな話を興味深く書けるという事が一番大切な事だと思います。薬丸岳さんはその辺りの信頼度が非常に高い作家です。
星が少ないのは圧倒的な彼の名作に比べると相対的に低いだけで、普通に良い作品だと思います。
Posted by ブクログ
顔中に豹のイレズミを入れた男の話。
なぜ男は誰しもが恐れるようなイレズミを入れたのか、何十年も全国各地で罪を犯して刑務所を出たり入ったりするのか、単に、一度犯罪に手を染めたらそうなってしまうのか、、と思った感じで始まる物語なんだけど、なぜか、がわかるにつれて悲しくやるせない話になっていく。
たしかに、ここまでするか?という感はあるしご都合主義的な偶然もあるんだけど、そりゃ小説なんだからアリっしょ、てことで楽しめた。
また、章ごとに視点が5人変わって、同じ場面でも見方が変わるのはこういった手法のおもしろいところだな。でも衝撃というほどの変わりようはないので、人の気持ちのゆらぎ程度を楽しめればいいのだと思う。
直前にオムニバスを読んだからだけど、やっぱり長編のほうが重いしきますな~
おもしろかったけど、薬丸作品という意味で他の作品と比較して★3つ
Posted by ブクログ
ある男の最後の夜を、一瞬でも共に過ごした5人の目線で描かれた物語です。32年前に起こした傷害事件を契機に、約20年ほど刑務所を入退所を繰り返す意味は・・・顔に豹柄刺青をした理由は・・・疑問は深まるばかり。我が家のように思う下町の飲み屋がすべての始まり、で終わりだった。5人の心には彼の最後はどう映っているのか。。。
Posted by ブクログ
ストーリーとしてはとても悲しい、皆がこれで報われたのかどうか悩ましいものでした。梶原というどうしようもない人間のために、このお話に出るすべての人が不幸を背負わされているのですが、彼はこれからも生きながらえる。個人的にはどうにも納得しがたいものがありました。また、顔に刺青をする必要性がそこまであったのか、なぜ片桐は400万以上ものお金を持つことができたのか、など疑問に思う点もいくつかあり、、この評価となりました。