薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても怖いお話だった。舞台は2020年から2021年の池袋。新型コロナによるパンデミックの時代、閉塞感孤独感が社会を覆う。家庭内で孤立し居場所がないと感じる若者が出会い、血縁ではないほんとうの家族を求めることから物語が動いていく。家族を守る、幸せになりたい、それだけの願いが歪んでいく。依存し合い、縛り会う。家族を守るという大義名分のために、犯罪に手を染めていく。とうとう仲間の1人が死ぬ。
時系列が前後するのでけっこう混乱する。本名の他に新しい名前を名乗ったりするので登場人物が2倍な感じ。強盗、美人局、覚醒剤、そして殺人まで。単に公園で屯してた若者にどんなルートでそこまでいけるようになるのかというのも冷静に見れば疑問。とはいえ、いろんな組織や思想が陥りがちな過ち。例えば、オウム真理教。例えば、連合赤軍。現実にも起こりそうで恐怖を感じる小説だった。 -
Posted by ブクログ
刑法39条。
この法律の是非については常々議論になるところ。
精神科、心療内科の通院歴の有無や逮捕後の精神鑑定結果で変わる刑罰。
一度鑑定で認められてしまうと、全く問われなく(問えない??)なってしまう。
鑑定結果次第ではマスコミも報道しなくなる。
被害者の人権より加害者の人権?おかしな話だ。
健常でも誰でも、殺人の犯行の瞬間は心身喪失になっていると思っている自分には悪法とすら思う。
人を殺してみたかったというサイコパスでさえ鑑定しだい。
自分や自分の大切な人の身を守るためには、殺すしかないというケースもあるだろう。こちらは罰せられる。
何が違うというのか。
被害者と被害者遺族は置いてけぼりだ。
39条を存続させるなら、被害者遺族の当事者への復讐、仇討ちも無罪、減刑にせよ、と昔から思っている。
大切な人を亡くす悲しみ、苦しみ、外的な痛み等、自分が経験しなくても想像力で寄り添える《辛いこと》はあるけれど
統合失調症の苦しみは統合失調症ではない人間には、医師ですら本当のところは絶対に分からない。
重い言葉だ。 -
Posted by ブクログ
ある意味、二十代の若者のリアルを描いた作品。
深夜、飲酒運転中に何かを撥ねるも、逃げてしまった大学生の籬翔太。
翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。
その後、轢き逃げの罪で逮捕された翔太は懲役四年を超える実刑判決を受ける。
一方、被害者の夫・法輪二三久はある思いを胸に翔太の出所を待ち続けていた。
翔太と二三久という加害者と被害者を軸に、
当時翔太と付き合っていて実は翔太の罪の遠因を作った綾香と、
二三久の息子である昌輝が大きく絡んでくる内容。
果たして、二三久は何故に翔太にこだわっているのか。
全編通して、綾香の覚悟と献身の様が凄すぎる。
それに比べて翔太の不甲斐なさというか、甘ったれた精神。
そこは誇張のように感じつつも逆に非常にリアルに感じた。
二十歳そこそこの男の子が背負えば、そりゃそうなるよなというリアルさ。
ある意味、同情できない上に終始苛立たせる翔太の言動が
より現実感を引き出しているような感じがした。
だが最終的に明らかになる二三久が翔太に拘った理由。
これが何とも表現に困るというか、比べようがないもので
同じ土俵で語れるものではないだろうと、
どうしてもそこが引っかかってしまった。
設定と流れは秀逸ではあったが、
その両者のギャップが最後にリアルさをかき消してしまったような気もした。
とは言え、罪を犯した者のその後を描くには非常に勉強になる作品。 -
Posted by ブクログ
「心とからだと、どっちを殺したほうが悪いの?」
中2の息子が同級生を殺害したが、刑事にも親にも弁護士にも全く何も話そうとしない。
父親の吉永は何も分からず、読み手もやきもきする。
もしかしたら本当はやっていないのか?
そんな希望さえ湧いてくる。
離婚して離れて暮らす父子。
大きな事件の裏では、お互いを思い遣ってすれ違う場面もあった。
それでも命があってこそできるのであって、命を奪ってしまったことは、一生をかけて償わないといけない。
今の時代はすぐに個人情報が晒されてしまうので、少年の更生は難しいと思う。
いつ自分の過去が周りにバレてしまうか、その恐怖がつきまとうはずだ。 -
Posted by ブクログ
少年犯罪系のテーマが多く、いつもモヤモヤさせられる薬丸岳さんの作品。
今回も予想通り、難しい感想。
この人はいつも読後感を悩ませる。今回は特に。
色々書いたけど、長くなりすぎたのでコンパクトに。
あらすじは割愛。作品紹介読んでくだされ。
法に則ったら悪いのは加害者なのは当たり前。
俺もそう思う。ルールを破るのは悪い。
けど、そこに至った理由も理解できる。
そこまで追いやった被害者も十分加害者でしょ。
殺人を許容するつもりはないけど、自業自得なところはあるんじゃないかと。
とは言いつつも、全体的に加害者擁護に感じてしまって、それはちょっと違うよな、と思った。
有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ
自分の子が加害者にも被害者にもなるかもしれないと思うと、とても怖くなる。
子供いないけど。