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Posted by ブクログ
衝撃の展開だった。
私自身、刑法第39条の存在を知らなかった。心神喪失と認められると刑が軽くなるのではなく、不起訴処分になるなんて…。被害者側からしてみればあり得ないし憤りを処理できない。本の中でも語られるように、心神喪失と認められた加害者が果たして本当にそうなのかは、専門家の判断でも信じられない部分があると思う。
心神喪失状態になる状況や病気はいくつかあるのだろうが、藤崎(この本における統合失調症の加害者)の場合はきっと罰しても効果はない(反省には繋がらない)。でも3年で出てくるのは社会的にもさらなる被害者が生まれるため良くないし、被害者側はたまったもんじゃない。じゃあどうするのか。
一生病院で過ごしてもらうのか。病気は完治しないとずっと入院してもらうからそれも有りかもしれない。人権に配慮した、居心地の良い、有料(もしくは要労働)の病院に一生いてもらえば被害者側の心は落ち着くのだろうか…。
そこまでは想像が至らない。
Posted by ブクログ
通り魔事件が起き、娘の命は奪われた。
しかし、犯人は精神障害で心神喪失と認められ、罪には問われなかった。
その後、三上孝一は妻と離婚し、無力感に苛まれながら数年を過ごす。
だがある日、元妻は再び娘の命を奪った犯人を目撃する。
三上たちは、その男に近付いていく。
通り魔事件の加害者は心身喪失で無罪となったことに強い違和感を覚えた。
人を殺したのに何の罪にも問われないことは、本当に正しいことなのか。
悪いことをすれば罰せられる。
それは犯罪者を更生させるため、悪事を働かせないための抑止力の機能をするものだが、被害者のための償いという側面もあるはずだ。
そのため、被害者は自分の大切な存在を失ったのに、加害者は何の責任にも問われないのは到底受け入れられるものではない。
「被害者がいれば必ず加害者がいるはずだ。
誰が悪くてこんな悲劇が引き起こされてしまったというのだ。」
この言葉が印象に残った。
刑法第39条
① 心神喪失者の行為は、罰しない。
② 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
まさにこの条文が本書のテーマである。
心身喪失者は自分の意志で犯罪を犯したわけではないから、罰することに意味がないことは理解できる。
だが、被害者の立場からすると、どんな状態であったとしても責任を取ってほしいと願うはずである。
法律が守っているのは加害者の人権ばかりで、被害者の感情を軽視しているように感じる。
両者の気持ちを尊重できないことは分かっている。
しかし、被害者を蔑ろにする法律に疑問が残った。
自分の大切な存在を奪った加害者は罪に問われなかった。
加害者に対して罰を与えられないのであれば、憎しみが消えることはない。
理不尽な出来事を許すことができない感情が元妻をある行動へと突き動かす。
藤崎を殺して、刑法第39条の問題を世の中に訴えようとしたのだ。
自分の人生を犠牲にしてでも訴えたかった気持ちは理解できる。
しかし、どんな理由であっても殺人は許されない。
娘の命を奪った加害者と同じになる。
それでは、どうすれば立ち直れるのか。
加害者を無理に許す必要はないと思う。
一生、許さない気持ちを抱えたままでもいいと思う。
許さないけど、その気持ちを抱えたまま前向きになれるように努力すればいい。
同じような境遇の人と話し合ったり、自分の思いを発信したりする中で、自分の気持ちを整理して前向きになればいい。
「立ち直る」とは許さない気持ちがなくなることではない。
許さない気持ちを抱えながらも、前向きに生きようとする姿勢なのだと本書を読んで強く感じた。
Posted by ブクログ
読み進めるのが辛い本でした。
しかしながらページを捲る手が止まらなかった…
虚しい夢…信じたくない夢のことでしょう。
物語は通り魔殺人が起きる雪の公園から始まる。21歳の若者の刃で、12人もが殺傷…愛する3歳の娘がナイフで殺され、妻も背中を刺されたが瀕死で何とか生き延びるが精神が崩壊してしまい統合失調症で今も苦しんでいる…その夫(父親)が主人公だ。
犯人はなんと罰せられなかった…刑法第39条に『心神喪失の者は罪に問われない(中略)』とあり、精神鑑定の結果、犯行時に心神喪失だったことが認められ不起訴となる。
何も罪ない愛すべき幼い娘を突然奪われた絶望感と喪失感は計り知れない。
罪に問われることなく、犯人は精神病院に入って治療を受け、数年後に退院する…偶然に繁華街で我が娘を殺した犯人を見つけ、ポケットに忍ばせたナイフで刺し殺したい。…自分の人生を投げ捨てても、何の罪もない娘の命を奪った男をこの手で八つ裂きにしてやりたい。…そう思うが、決断がつかず逡巡する父親の心情描写がものすごく辛かった…
先日、塾の帰りにマクドナルドで15歳の少女の尊い命が、突然見知らぬ男の刃で奪われてしまいました…許しがたい話です。現実にこの小説のように犯人が裁かれなかったら…もしこの少女の父親が自分だったら…と思うと、ここに書けないことをしそうな自分がいる…
薬丸岳さんの小説には、じんわりと沁みてきて言葉を失うような重さがある。他の作品でもそうだが被害者が生まれたら、そこには加害者(犯人)がいる。犯人の背景や人生にも触れ、犯人の家族の苦悩や、犯人自体が心底の極悪人でなく罪を償おうともがいていたりするので、余計に重いのだ…
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