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フリーライターの溝口省吾は、無差別通り魔事件の加害者・小野寺圭一に事件のノンフィクションを出したいと持ちかける。彼からの出版条件はただ一つ。自分を捨てた母親を捜し出すこと。母親の行方を探るため、溝口は小野寺の生い立ちを辿り始めるが……。決して交わるはずのなかった人生が交錯した時、慟哭の真実が明らかになる。衝撃のミステリー。
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Posted by ブクログ
渋谷のスクランブル交差点で無差別通り魔殺人事件の被害者になってしまった明香里と恋人-航平、 犯人の小野寺圭一に興味を持つライターの溝口省吾の3人の(メインは明香里と省吾)視点で物語は進む。 襲われた明香里を助け様とした晃弘はその場で殺されるが間際の「約束は守った…伝えて欲しい」と言う最後の言葉を聞い...続きを読むた明香里は誰に伝えるのか探す。 小野寺と同じ様に虐待を受けて育った省吾は小野寺圭一の過去を探す。 と言う風に重苦しいけどテンポ良く物語が進むので非常に読み易く先が気になりついつい夜ふかししてしまう。 大変おもしろかった。「生きる」ことの難しさが、しみじみ考えさせられる小説でした。 流石、薬丸岳さん! 素晴らしい!!
薬丸岳さん、2作品目。 前回は少年法の話。今回は無差別殺人の話。 裁判や刑事事件のことを詳しく分かりやすく書いてくれるので勉強になる。 タイトル「罪の境界」とは…… 結婚を意識している彼から誕生日のデートをドタキャンされた「浜村明日香」 彼女の不幸はそこで終わりではなかった。 ドタキャンの腹い...続きを読むせにスイーツでも買って帰ろうと進路を変えスクランブル交差点を渡っていると、突然、斧を持った通り魔に襲われる。 全身17箇所の傷をおい、1週間意識不明、死の窮地をさ迷った明日香。彼女が生きていられたのは斧を持った通り魔から彼女を守ってくれた男性がいたから………その男性は明日香に最後の言葉を託した「…約束は守った…伝えて欲しい」 なんとか生きていられた明日香だが、事件の恐怖から彼とも別れ、以前の明るい性格とは別人になり、大事な家族にもナイフを向けてしまう…そのままではダメだと家を出る…… 一方、通り魔殺人を犯した「小野寺」 動機は「ムシャクシャしていた。誰でもよかった。」 彼は母親に虐待されていた過去を持つ。 ろくに学校にもいかせてもらえず、14歳の時に万引きをし補導され、施設で育つ… 明日香は事件を克服できるのか…小野寺が事件を起こした本当の理由とは… まーー今回も考えさせられた。 正解のわからのない質問の代名詞とも言える「なぜ人を殺してはいけないのか」の答えを見た気がする。 やっぱどんな理由があろうが、どんな過去があろうが故意に殺してはいけない。 人には人の分だけ、それぞれの生い立ちがある。 どんなに不幸だとしても、それを人のせいにしてはいけない。でも人ってそんなに強くない… 平和な国だと言われている日本ですら、戸籍のない子どもや生きるために売春や犯罪をする人もまだまだいるんだよ。身近にいないからピント来ないけど……旦那が離婚してくれない。とか悩んでる自分が恥ずかしくなってくる作品でした。
物語は、26歳の明香里が渋谷のスクランブル交差点で通り魔に襲われるという衝撃的な事件から始まる。明香里とその恋人・航平、そして事件に関心を持つライター・省吾の3人の視点を通して、被害の痛みや加害者への向き合い方が描かれていく。 重傷を負った明香里は、通りすがりの男性に命を救われるが、その男性は「約...続きを読む束は守った…伝えてほしい」という言葉を残して亡くなる。その“約束”の意味が、物語を読み進める鍵となる。柚月裕子さんの『教誨』を少し前に読んでいたこともあり、「約束」というキーワードが印象的に重なった。 省吾は犯人の過去を取材する中で、彼の幼少期が自分自身と重なるような、虐待やネグレクトにまみれた過酷な環境であったことを知る。もちろん、無差別殺傷事件の動機は決して正当化できない。しかし、誰かを傷つける背景には、断ち切ることの難しい“負の連鎖”があるのだと痛感させられる。 どんなに傷つけられても子どもは親の愛を求め続ける。その姿は痛ましくもあり、同時に養育環境の重要性を改めて思い知らされる。 被害者がどうやって現実と向き合い、立ち上がろうとするのか。加害者がどのようにして“境界”を越えてしまったのか。解決のつかない問題がいくつも残るが、だからこそ「これが現実なのだ」と強く感じさせられる作品だった。
自分にとって初読となる薬丸岳さんの作品! 他の方の本棚に置かれていることも多く、あらすじを読んでいるうちに段々と興味の湧いてきた作家さんの一人。 600頁に及ぶ長編でしたが、とても読み応えのある一冊でした! 渋谷のスクランブル交差点にて通り魔事件が発生するところから物語は始まる。 通り魔事件の被害...続きを読む者である明香里、恋人を事件に合わせてしまい後悔する航平、自身の境遇を重ね加害者に興味を持ったフリーライターの省吾。3人はそれぞれの矜持を胸に真相へと迫っていく。 「刑務所に入りたかった」「誰でもよかった」という犯人のあまりに身勝手な動機。結婚し幸せな家庭を築きたい、と願っていた明香里の夢を一瞬で地獄に叩き落されたかのような絶望感。本当に読むのがきつくて一回本を閉じかけました。。。。 生い立ちがどんなに悲惨であろうと、人を殺していい免罪符にはならない。 飯山が残した遺言の軌跡を辿り、自らも一度現実に打ちのめされた明香里だからこそ、あの言葉に説得力が出るのだと感じ心に強く響きました。 何かを変えようと努力することなく、生まれを憎み母親への復讐に倒錯した結果、「罪の境界」を越え、人間ではなくなってしまった。だからこそ小野寺にとって悲劇的な最後の結末につながったのだと思います。
最近も”無敵の人”による事件が発生していますが、今回の作品では幼少から母親に虐待を受けて育ち途中、児童養護施設に預けられた小野寺圭一が渋谷のスクランブル交差点で無差別殺人を起こしちゃいます。フリーライターの溝口省吾は小野寺の歩んだ人生を本にしたいと思い小野寺に面会をする。一方、被害者の一人・浜村明香...続きを読む里は一命を取り留めたものの、顔には大きな傷が残ってしまい、東京での仕事も辞めてしまい実家の静岡に戻ってしまう。明香里は自分を救ってくれた飯山晃弘が最後に言った「約束は守った・・・伝えてほしい…」という言葉は誰に向けてどんな意味があるのか調べる為に奔走する。薬丸岳さんの作品は本当に外れがありません。是非、読んでください♪
その人がいてくれたからこそ、この素晴らしい世界に今自分は存在しているのだと。 スクランブル交差点で起きた無差別通り魔事件。 加害者である小野寺圭一になぜか強く惹かれるフリーライターの溝口省吾は、事件のノンフィクションを出したいと彼に持ちかけ、そして小野寺圭一が事件を起こすまでに生きてきた道程を調べ...続きを読むていく。 また、その事件の被害者である浜村明香里。 彼女は、自分を庇って亡くなってしまった飯山晃弘がどんな人物だったのかを調べていく。 読み進む手が止まらなかったな。 実際に同じような事件が起こっているから、楽しいとかではないんだけど、犯人がどうやって生きてきて、どうしてこの事件を起こして、どうやってこれからを生きていくのか…ずっと気になって生きてきた自分にとっては、小野寺圭一がこれからずっと罪の意識を背負って生きてくれれば良いなと思う。 誰でも良かった。 刑務所に入れれば、なんでも良かった。 そんな理由、通用するかよ。 世の中には殺したいほど憎い人がいたとしても、その罪の境界を越えずに頑張って生きてる人だって、たくさんいるんだよ。 人の人生を奪うくらいなら、自分の人生を自分の手で奪ってくれ。誰かを巻き込むのは違うだろ。 省吾が小野寺圭一を打ちのめしてくれて良かった。 明香里が前向きに、幸せに生きていってくれそうで良かった。
やっぱり重い… 無差別通り魔事件か… 被害者として、九死に一生を得るような感じで、生き残っても何か辛そう… もう事件後の人生めちゃくちゃやん! 加害者の方も「誰でも良かった」とか、メジャーな回答してるけど、幼児虐待やられてて、目標が、「母親殺すこと」か… 勝手にやっといて欲しいんやけどな。他人を巻...続きを読むき込まんと… 被害者として生き残った彼女は、見ず知らずの人に通り魔から、助けられて、何とか生き残ったけど、助けた見ず知らずの人は死んでしまう。 死ぬ間際に「約束は守った…伝えてほしい…」という言葉を残して… 被害者ももう襲われた事がトラウマになって外にすら出れん… 恋人も見捨て、酒で唯一、睡眠が取れるという。 なんか、悲惨な生き方送ってそう。 あかんで! 「人生投げたら、あかん!」 加害者も親から虐待受けて、そういう生き方しか出来んとか言ってそうやけど、そんな環境の人でもちゃんと生きてる人もいるからね。悲劇の主人公になるのは勝手やけど、自分の中だけで、不満を晴らして欲しい。 まぁ、母親の真実聞いて狼狽えるんやけど。 …そうは言っても「親ガチャ」って、言葉あるけど、そのせいにするのは?って、正論では思うけど、微妙な気はするしな… 全員が耐えれるもんでもないし… う〜ん… やっぱり、「救いの森」の児童救命士必要か… 『罪の境界』が、影響を受けたのは、「東海道新幹線車内殺傷事件」みたい。22歳の男が鉈で、女性二人を襲い重術を負わせ、女性を助けようとした男性を殺害した事件である。犯人の「刑務所に入りたかったから」という動機… なんともな… 解説の最後を抜粋 罪の境界、アクリル板の向こう側とこちら側。 人を傷つけることによって越えてしまうそれを、私たちは一生越えてはいけない。そして、たとえ越えてしまっても、少しでもこちらに近づき、戻って来られる道を模索し続けなければならない。 生きることとは、死ぬまで人間でいることだ。 次は、軽いの読もう!
渋谷スクランブル交差点での無差別殺傷事件。普通の家庭で両親の愛情に恵まれ、その日、自分の26歳の誕生日に恋人とディナーの予定だった明香里は突然、知り合いでもない小野寺に全身17箇所を斧で切り付けられ、生死を彷徨った。 一命を取り留めたのは飯山という男性が自分を守って、犠牲になってくれてからだった...続きを読む。明香里は事件後、ズダズダの精神状態の中で、自分を守って亡くなってしまった飯山という身元不明の男性の軌跡を追う。 一方、犯人の小野寺の半生を追う者もいた。小野寺と同じように親に虐待され続けて、児童養護施設に入所経験のあるライター、省吾であった。 「負の連鎖」という言葉がある。 貧困家庭に育った子供は同じように貧困の人生を歩むとか、虐待を受けて育った子供が親になった時、子育ての仕方が分からず、同じように虐待してしまうとか。 そんな「負の連鎖」のループの中にいない人間の中には「向上心」があり、努力すれば今より良い生活が出来ることを信じて疑わなかったり、人から好かれる行動をすれば報われることを信じているが、負の連鎖の中にいる人間には「死んだほうがマシ」「刑務所に入ったほうがマシ」「人を殺すしか道が無い」という状況が残念ながらあるようだ。 生い立ちがどんなに悲惨であろうと人を殺すことは大きな罪であることには変わりない。が、殺傷罪の犠牲者になって、平和な日常が失われてしまったために、望まざることであるが、今まで自分がいた「平和で幸せな人生のループ」の外側の人の人生に触れることになった明香里。また、明香里を救った飯山のように、本当は真っ当な家庭で優秀な人生を歩んできたのにあることがきっかけで落ちぶれてしまった人の人生にも触れることになった。 そんなふうに犯人と犠牲者の軌跡と関わった人達を追っていくストーリー。 途中でこの小説のジャンルはなんだっけと思った。犯人は現行犯なので分かっているが、「何故殺人をしたのか」がはっきりとは分からない。そして犠牲になった飯山は何故明香里を助けたのかも分からない。そこを追跡する「推理小説」のようだ。
普遍のテーマ。 昨今よく聞く様になった犯罪をベースに導かれる様に書かれています。 頷いたり、頷けなかったりもあるかもしれないが、こうあって欲しい結末を裏切られない。 なんだかんだ言って、私は読後感のいい小説が読みたい。好きです。
薬丸さんの作品は好きだけど、分厚い本なので悩みましたが、いつもの様に通勤電車の中で読みました。多角的な視点で描かれてる内容で、かなり引き込まれました。
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