あらすじ
すべてを許したい。
そう思える友がいる。
最後に芽生える真の友情に、
あたたかい涙が止まらない――
孤独な弁護士と人殺しの罪を背負う男。残酷な運命と過ちを知り、それでも友達でいたいと思う。二人は「過去」という「籠」から羽ばたけるのか。
著書25作目、もっともハートフルな長篇ミステリーの誕生!
《あらすじ》
父親を亡くしたばかりの弁護士・村瀬快彦は傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後に二人は川越の家で暮らし始める。小学6年生のときに母親が自殺し、それ以来、他人と深く関わるのを避けてきた快彦だったが、明るくてお調子者の亮介と交流することで人として成長していく。だが、ある日、母が結婚する前に父親の安彦に送った手紙を見つけ、衝撃の事実を知る。母は結婚前に快彦を妊娠していて、快彦に知られてはならない秘密を抱えていた。そして、出生の秘密は亮介の傷害致死事件とも繋がっていく。二人は全ての過去と罪を受け入れ、本当の友達になれるのか――。
《著者より》
ずっと描きたかった友情の物語です。自著で一番好きな作品になりました。ひとりでも多くの方に届いてほしい物語です!
《編集担当者より》
読後、こんなに心があたたまるミステリーは他にありません。つらい過去を背負った二人が共に暮らすことで成長し、受け入れ合う――とてもシンプルなストーリーです。その中に薬丸さんは、他人と触れ合うことの喜びと難しさ、人殺しの罪と贖罪、そして、ミステリーの面白さを凝縮させています。少年犯罪や理不尽な殺人事件など、重厚なテーマに挑み続けてきた薬丸さんだからこそ書き切れた最高の人間ドラマになりました。私はこの作品が大好きです。
【電子書籍版特典付き】
電子書籍版の特典として、巻末に直筆原稿の画像を収録してあります(100枚超)。
物語の途中までとなりますが、直筆原稿であることや、赤字が入った推敲の様子も見られるなど、作家の創作の過程に触れられるような特典となりました。
是非お楽しみください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今まで読んだ薬丸さんの本とは異なり愛情友情に溢れた話だった。
その分、伏線とかは他の作品に比べると緩い感じである程度は想像がついた。でもこの本はそこが主軸じゃないから気にならない。
最後の動画のシーンで星一つ追加。
Posted by ブクログ
テンポが良い。サクサク進む。
「ああ、もう!なんで!」という苛立ちやモヤモヤした気持ちが心に湧き上がることがなく、物語のテンポに任せて読み進められるところも気に入った。
途中しばらく読めない期間が続いてしまったのだけれど、再開してからは一気に読み上げた。
快彦の過去と亮介の事件がどう繋がるのか、その謎に興味を惹かれて読み始めた1冊だったけれど、初めは全く想像もつかず。前半は快彦が身元引受人として亮介を引き取ってから2人の関係性が馴染んでくるまでの話、後半が亮介の事件の全貌が明らかになる話、と2部構成になっている。
快彦と亮介の従兄弟コンビがなんとも新しい感じ。お互いにお互いを思いやり、だんだん快彦は閉ざしていた心を開いてゆく。こんな関係あるんだなぁと心温まっていたけれど、そこには意外な意味もあったようで。ああ、そうか、と思った時、グッときてしまった。
ハラハラドキドキが止まらないわけではない。ゆったりとした、まるで南の島のような空気感もありながら、登場人物がこの続きを知りたくてどんどん行動してゆくので、私は物語にただついていくだけでよかった。
薬丸岳さんはちゃんと読んだことがなかったのだけれど、著者の世界観を存分に楽しませてもらった。こんな風に描く人なんだなぁと思ったら他の作品も読みたくなった。
読書の世界をまた広げてもらったようで、嬉しく思う。
Posted by ブクログ
自分の何気ないことで人を傷つけてしまうかもしれないと恐れていた快彦が亮介によって少しずつバリアを剥がしていき徐々に成長していく姿がとても良かった
Posted by ブクログ
弁護士の村瀬快彦は小学校の時に母親が自殺した事により、他人との距離を取るようになった。父親が病死して、看病を手伝ってくれていた彼女に距離感から別れを切り出される。
そこに現れたのが、傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人になる事。人と関わることが嫌な村瀬だが、何とか条件付きで引き受ける。蓮見は村瀬の父親に生前、息子を心配のあまり籠にこもった息子を助け出すよう頼んでいた。
最初は推理小説では無い青春小説のような展開だったのが、蓮見の生き別れた父親(伯父)の登場により一気にきな臭くなってくる。
母親の自殺、伯父の逃亡、蓮見の事件等の原因探しの村瀬の旅が始まる。最後に辿り着いた真相が悲惨だった。籠に閉じこもってしまったもう一人の蓮見を救い出す旅が始まる。数多くの障壁が予想される中で、仄かに灯る明るい兆しの終わり方にホッとさせられた。
Posted by ブクログ
弁護士、村瀬は傷害致死事件を起こした従兄弟の亮介の身元引受人となり、釈放後に二人で暮らし始める。小6で母が自殺して以来、人と深く関わる事を避けてきたが明るい亮介と交流することで人として成長していく。二人は全ての過去を受け入れ本当の友達になれた。温かい涙が溢れて止まらなかった。
Posted by ブクログ
涙が止まらない。人の思いやりと愛情の深さに震えるほど感動する。小学6年生の時に母親が自殺して以降、人と深く関わることができない男と傷害致死事件を犯し仮釈放中の従兄弟がそれぞれの殻を打ち破り新たな人生を歩み始めるまでの物語。
Posted by ブクログ
人との関わりによって、深く傷つき傷つけることもある。でも、人との関わりによってしか、人は変われないのだと、本書を通して痛感した。
快彦と亮介、とても良い関係性を築いていけるだろう。
相手を思いやる、とても深い愛情を感じる。
暖かな本でした。
Posted by ブクログ
快彦の母の自殺と亮介の事件が繋がる時新たな真実が浮かんだ。それを隠す為に亮介は裁判で何も話さず罪を受け入れた。その亮介と本当の親友になった。その過程は罪を犯した人全てに当てはまる越えなければいけない壁があった。最後その壁を超えた時感動しました。
Posted by ブクログ
重い過去がある2人。だからこそこれから和やかに過ごしてほしいなぁ。
もちろん人の命を奪ってしまったこととか生い立ちとかに悩み苦しむことはあるだろうけど。
Posted by ブクログ
小学生の時に母親を亡くして以来、大人になっても愛する人にさえ心を開ききれない快彦の元に現れた弁護士。20年以上も会っていない従兄弟の亮介が服役中で仮釈放の身元引受人に自分を指定してきたという。
そんな義理はないと思いつつも、亮介のペースにのまれ、同居することとなる。
亮介に不信感を抱いていた快彦は、一緒に暮らすうちに少しずつ頑なな心がほどけていく様子に期待しますが、次第に暗雲がたちこめます。
誰かを守りたいという強い気持ちを場面場面で感じました。
過去の出来事が歯車を狂わせて色んな所に波及していきますが、1つづつ紐解きをし、前に進んでいく様子に心が打たれます。
実際にこんなことが起こったらおぞましいだろうな。それを乗り越えみんなが支えていこうというところは、ぐっときました。
幸せになってほしい。
Posted by ブクログ
少々胸糞悪い場面も見受けられ、心情になかなか共感できなかったり、主人公が弁護士とは思えない言動に訝しんだ。従兄弟との生活で徐々に成長し、真実を知りたいという気持ちは理解できた。このふたりは良いコンビになりそう。
Posted by ブクログ
快彦の性格がいまいち好きになれない
でも亮介と生活しだして
変わっていく過程が微笑ましかった
母親に何があったのか?
父親が誰なのか?
色々最悪な想像をしていたけど
なるほどな展開だったかなぁ…
唯一、昌弘の行動は理解できんかった
離れて1人で生きるなんて
1番の『逃げ』やんなぁ
無責任やん
まぁ、最後、綺麗にまとまって
タイトルの意味もわかって
良かった
みんな好きな人と幸せになってね
と素直に思えた
Posted by ブクログ
弁護士・村瀬快彦は傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後に二人は暮らし始める。小学6年生のときに母親が自殺し、それ以来、他人と深く関わるのを避けてきた快彦だったが、明るい亮介と交流することで人として成長していく。
Posted by ブクログ
誰と出会い、どんな関係性を築いていくか、人との出会いは、よくも悪くも人生そのものを大きく変えることがあるけれど、自分にも他人にも誠実にいれば、きっと誠実な人が自然と集まってくると思うし、私は性善説を信じていたいと思う。
全てを受け入れること、そこから始まる新しい未来は希望に満ちたものばかりではないはず。それでも籠の中の2人が羽ばたこうとしている姿を応援せずにはいられない。
Posted by ブクログ
まさにヒューマンドラマ
薬丸さんの作品はほとんど読んでる(蒼色の大地だけ未読)けど今さら薬丸さんはこれだったわと笑
従兄弟だという亮介と快彦…この二人の再会は傷害致死で服役していた亮介と身元引受人の快彦という立場でした
子供の頃に深く傷ついた事で人との関わりを避けてしまう快彦
人懐っこく他人の心に自然と入り込んでくる優しい亮介
そんな亮介が何故事件を犯してしまったのか?
快彦の傷ついた心は亮介と一緒に暮らしていくうちに次第に癒されていくんですが……
なんだか今回薬丸さん優しいお話?
と思ってたら事件の真相が次第にわかり
お〜っとやっぱり薬丸味が出てきた!
タイトルどうりの作品!!
なんだか皆んな良い人
こんなふうに人として支えになりたいし支えてもらっている事に感謝して生きていきたい(ノ_<)
私ごとですが…
昨日の夕方夕飯作ってる時に突然の腹痛…
痛くて作れない…
〇〇子(娘)後は頼んだ…
玉ねぎを…切って…醤油と鰹節で…
いつも食べてるアレ…わかるやろ?
玉ねぎ一つを切るにしてはなかなか終わらない娘…
千切りしとるんかい!!
食べてるとき見とらんのかい(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
米炊いて…2合ね…極み炊きって線まで水…
父さん老眼で線見えないみたいだよ(娘)
代わりに…見てあげてくれ…
痛みに耐えてうつらうつらしてたわたしは
二人が楽しそうに海ブドウで晩酌する声を聞きながら洗い物もしといてくれよ…と祈りながら爆睡
今朝いつもよりピカピカのキッチンにニンマリ♪
掃除だけは好きな親娘だった
昨日〇〇子も料理頑張ったぞ〜とご機嫌の旦那
あの子いくつやと思っとるの…31やて(-_-;)
支え合って生きてます!!
Posted by ブクログ
知世さんがあまりにも可哀想でつらかった……。色々な展開がありましたが一番はそこでした。
21年ぶりに再会したふたりが少しずつ理解しあっていく流れはとても綺麗で良かったです。品がある文章だと感じました。
叔父とか叔母とか伯父とか伯母とかたくさん出てきて途中でごっちゃになってしまったので相関図を書きながら読みました。
Posted by ブクログ
この方の本は前に最後の祈りを読みましたが、人の感情の描写が上手くて、嘘くさくないのがいいなと思いました。なので今回もすぐに入り込めて一気読みでした。現実的にそんなことが、って思うようなストーリーですが、あーよかったなーと思えていい話でした。出てくる地名がご近所なのでそれも身近にかんじたのかもですが。
Posted by ブクログ
快彦と一緒に謎を追っていくというよりは、予想した展開になって話が進んだ。
予想していたと言え、なかなかしんどいものはある…
主の話とは少し離れたエピソードもあって、全体的に面白かった。
亮介と再会して、周りの人と一歩踏み込んで関わっていくうちに快彦が変わっていく…というか、元の自分を取り戻していくような過程がよかった。
一歩踏み込む勇気や自分で壁を作らないこと、知りたいと思うことや信じる、信じたいと思う気持ち、そういうものの尊さや大切さを教えてもらえた。
Posted by ブクログ
面白くて一気に読んだ。
母親の死と伯父の失踪の秘密を引っ張る展開がうまい。(最初は反目しあった2人が協力してDV離婚解決の話は小ネタのバディものといった感じで面白かったし)人物像も素直に入り込めた。本筋もだいたい予想できたけど、それを明らかにするまでの細かい設定がよかった。
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。
設定は重いけど、こじらせ男子か…と思えるところが端々に感じられる。
傷害致死事件を起こしたような人が周りにいないので、知り合いになり、仲良くなった人の過去にそんな罪を持つ人に対して、どのような感情が湧くかわからないが、府中にあんなに親身になってくれる人がたくさんいるのに、孤独に生きていこうとなるのかな?
親族からも見放され、周りから関わるとろくなことにならないと言われるほど素行が悪かった石倉と付き合い、周りから別れたほうがいいと言われても、自分とつきあったらまっとうな人に変わるんじゃないか、という快彦の母の考えには納得できなかったなー。別れようとしても脅され、ストーカーのような男に対して、もっと他にやりようがあったのでは?と疑問だった。
Posted by ブクログ
薬丸岳さんの最近までの最新作
こちらも罪と贖罪がテーマとされている部分は多いのですが、過去作品からすると許すという方向性がはっきりしてきたなと思います。
両親をすでに無くした孤独な弁護士が傷害致死を起こした従兄弟の身元引受人となり、限定的な同居生活が始まる。
頑なに共生を拒んでいた弁護士は、従兄弟の罪の根底にあるものを自ら探り、彼の内面に寄り添っていく。
その罪の自分が犯罪者となり得た要因を知り、犯罪者との境界の曖昧さも読める。
「友罪」から十余年、罪を受け入れる考察から
「籠の中のふたり」では許すことへと変化している。
犯罪小説ではあるけれど、新たな家族、友人としての愛情が込められている。
じゃあなんで⭐︎3なのよ?ってところですが、
結局、私が厳しくて痛い感じの小説が好みだからにすぎません。
Posted by ブクログ
殺されて当然の人はいない、と理性では理解できる。しかし、亮介が起こした事件の被害者は、少なくとも殺されたことで悲しむ人がいないどころか、その死を知った全ての人を安心させるような人間。
それでも、「殺された人」となれば、事情を知らない一般人が「殺した人」を恐れるようになるのも普通のことだろう。「人を殺す」ということにはそれほどの重みがあるわけで、なければ平穏な社会生活を維持するのは難しい。
だが、まっとうに生き直そうとする人がやり直せる社会でなければ、息苦しいのも事実。自分のなかの偏見を振り払う難しさは感じるが、人を弾くことに喜びを感じるようにはならないようにしたい。
Posted by ブクログ
亮介と快彦が実は兄弟とか?という最悪な展開を想像していたので、落ち着くところに落ち着いて丸く収まるのはいいが、いくら美化しても、それでもやっぱり人殺しはダメ。自分もだけど、自分を大事に思ってくれる人も不幸になる。