薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「小説現代」掲載の連作短編7編
主人公は罪を犯した少年達の更正を手助けしたいと法務技官となった夏目
一人娘が暴漢に襲われた事をきっかけに
警察官へと転職を果たす
刑事となってから向き合った事件を
切ない事情と大切な人を庇いたい背景と共に
ラストの「刑事のまなざし」は、
未成年時の自分の犯罪が自身に巡り巡ってくる
夏目により正しい裁きを得るのだけれど
果たして夏目は許せるのかと思う
「オムライス」が、事件の背景としては一番辛くて悲しい 息子よりも愛人を優先する母親
穏やかな語り口から犯人の深層心理に向かう
読み応えある短編集で シリーズになっているようです
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Posted by ブクログ
薬丸岳の長編。
3年前の出来事で失職した元警察官が、ある電話をきっかけに娘の失踪を知る。やがて身代金1千万円を要求する匿名電話(アノニマス・コール)が届き…。
警察もので誘拐サスペンスというのは王道であるが、警察内部の隠蔽体質や闇を描いたという点ではこれまでのものとは少し違う。また身代金の受け渡しのため、犯人からの指示通りに、大森、新橋、池袋、高田馬場…あちこち東京中を移動するさまが妙にリアルでした。前半はやや展開が遅かったが、中盤から終盤にかけての目まぐるしい展開がなかなかスリル満載でした。
アノニマス・コールとは非通知電話のこと。最後まで犯人がわからずにやきもきしたが、最後はネタが明か -
Posted by ブクログ
中学時代って子供以上大人未満の微妙な時期だったなあ。また幼稚であり、残酷なことも平気でやれる時期だった…
小説の主人公は中学教師。赴任した中学校は今までの学校とどこか違うことに気がつく。いじめもなく、不良もいない…やがて生徒たちの中に『ガーディアン』という自警団がいることを耳にする…そのガーディアンのメンバーたちは、問題のある生徒らに次々に「制裁」を行っていた…そしてガーディアンについて調べていると、教師である自分に対しても制裁(生徒全員から無視され、根も葉もない噂が立てられる)が加えられる…なかなか現代の教育現場に一石を投じるような内容でした。
難点としては学校ものなので、視点人物(物語 -
Posted by ブクログ
あることをきっかけに警察をやめた朝倉真志は、できるだけ人と関わらないように暮らしてきた。ある日、自分の携帯にかかってきた電話からかすかに娘の声が聴こえたような気がしたため、ずっと連絡をとっていなかった、同じく元警察官の妻・奈緒美に連絡をする。友達と出かけているはずだと思い込んでいた奈緒美だったが、連絡をしてみると娘は友達とは一緒におらず、本当に誘拐されていることが判明する。
警察に頼れない(頼りたくない)ばかりに、昔自分が逮捕した情報屋の男や、知り合って日の浅い青年の力をかりながら、自らの手で誘拐犯に挑むことになる真志。本当の退職の理由を知らずにいまだに真志に敵意をむける奈緒美も実際に取 -
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幼い少女を狙った性犯罪が起こり、埼玉県警の長瀬はその捜査に乗り出す。
長瀬には過去に妹を殺された過去があり、同様の事件が起こる度に怒りを覚える日々だった。
そんな時、卑劣な犯行を殺人で阻止するという処刑人サンソンという人物が現れ、過去に子どもへの性犯罪を行ったことのある人物たちを次々に殺めていく。
警察としては黙って見ているわけにはいかない。
過去に犯罪歴があったとしても、彼らを守らなければならない。
しかし、長瀬は過去のこともあり、サンソンに共感していることを隠すことが出来なかった。
そして、サンソンと長瀬は徐々に引き付けあっていくことに。
話の流れが、サンソンという人物の影をちらつかせ、も -
Posted by ブクログ
書店でポップに目を惹かれて買った。めっちゃ分厚くて時間かかるかなと思ってたけど内容おもろすぎて一晩で読めた
「心を許した友は、あの少年Aだった」がキャッチフレーズで、それを軸に話が進むねんけど、もし自分の身近にいる人、好きな人、信頼してる人の過去が少年Aだったら、そのことを知ってしまったら、私やったら距離を置いてまうな〜って思った。でも読んでいくうちに受け入れることもできるんかな、ってめっちゃ心が揺らいだ。更生してたら許せんのかな?でもなにをもって更生と言うんかな?被害者遺族でもない世間一般が許すってなんなん?ってなんか色々考えさせられた。
大学の授業で少年法について学ぶ機会があって、