薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ久々の薬丸岳さん。やっぱり面白くて(面白いってちょっと、語弊があるんだけど)、夢中になって一気読みしてしまいました。
薬丸岳さんは犯罪を犯した人の心の変化(人間的成長)を描くことが多いように思う。
この小説では、過去に犯罪を犯して逃げ回り、素性を隠して結婚し子どももいるバーテンダーの主人公が、過去に自分が犯した罪と向き合わなくてはならなくなる、という設定。
正体不明の何者かから、「あの約束を履行せよ」と迫られ、殺人を犯さなければならなくなる…。
15年前、新しい戸籍と顔を手に入れるためお金が必要だった。犯罪被害に遭い、犯人を激しく憎む女性から、復讐を果たす約束と引き換えにお金をもらった。その女 -
Posted by ブクログ
酒鬼薔薇聖斗の事件をモデルにした、少年Aのその後と彼に携わった人々の物語。
大なり小なり、誰もが持ち得る「罪」の意識。社会で生きる中で、どう向き合い、どう「償う」べきか。様々な人間模様と生き方の中で、自分だったら、自分の友人だったら、自分の家族だったらと、常に問いかけられ、考えさせられる本だった。
長編ながら、一気に読み進めたくなる話の展開と最後の締めくくり方に感心させられました。
人生とは、いつまでも答えを探し求め続ける旅の途中なんだと思います。
【追伸】
とても人間味溢れる登場人物ばかりで、薬丸岳さんのお人柄が伺えるようでした。しかし、実際の少年Aはどうだろう…彼の強い自己顕示欲に -
Posted by ブクログ
大どんでん返し。
ミステリーと言えば読んでいて一番気持ちが良い瞬間がソレを味わう瞬間。
本作は序盤から気付かない程度の伏線を少しずつ残していきラストに繋げていくという王道のミステリーだが、ラストまでの繋げ方がとても巧妙なので、普段からミステリーを読んでいる人でも存分に楽しめる一冊となっている。
主要登場人物は主人公を含め「人生がうまくいかず、日々なんとか食いつないでる」という点で共通している。
そんな同じ境遇の人間同士が集まって何か大きな事をして一発逆転を狙うというのが冒頭だが、想定を遥かに超える事態に巻き込まれていくというものになっている。
だが正直なところ、境遇に関しては自業自得な部分 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人は自分の目に映るものだけを信じ、真実だと思い込む。
それに飲み込まれるもの、利用するもの、惑わされるもの。
それぞれの視点から心神喪失、刑法39条について描いていて、全く飽きることなく最後まで読めた。
私だって、自分の目にうつっているのなら、皆がそれを幻だと言おうと信じないだろう。
またこの物語を読んで、例え親しい人の話が到底理解できなかったとしても、頭ごなしには否定すると更に追い詰めてしまうと感じた。
佐和子について、あまりにも心神喪失の描写が生々しかったので、最後の手紙で彼女の心情を知った時、驚きとともに少し安心してしまった。
ゆきについて、私には彼女の苦しみを推し量る事はできない -
Posted by ブクログ
螺旋プロジェクトを、未来から逆行して読んでいるので(吉田篤弘が大好きだから!)海と山の対立度合いに、もしかして!といまさら気づきました。詳しく書くとネタバレになるので伏せます。
本作には、どうやら前の時代(作家)から引き継いでいる登場人物がいるようです。
時代背景は明治、山縣有明内閣の頃ですが詳しい時代背景が分からなくても、サクサク読めます。
全体の感想としては、ものすごく面白い!でもないけれど、ものすごくつまらない!でもない、中間くらい。
差別や人種間の対立なんかに対する警鐘、教訓は今ひとつ新鮮味にかけるというか、私には刺さりませんでした。
巻末の八作家座談会が素敵でした。