薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ薄い本だから軽く読もうと思って手に取ったのに、すっかり引き込まれてしまった。
顔面に豹柄の刺青をいれ、犯罪を繰り返す片桐。
昔に起こした傷害事件で最愛の妻と子と別れることになり、自暴自棄になっていると誰もが思っていたが…
うわー衝撃…
なんて悲しい人生なのか。
「悪い人じゃないのに」という人が辛い思いをする本に最近やたらあたるけど、本当に胸が痛い。
人として真っ当な人生を送るためには、優しさだけではなくて強さと賢さがないといけないんだなと考えさせられる。今回の片桐に関しては相手が悪かっただけではあるけれど、相手を刺してしまったり、人生を棒に振った復讐の仕方を選んでしまったり。
生き残ってい -
Posted by ブクログ
事実を隠蔽することは、最終的には破綻するのだと総括できる壮大な物語で非常に面白かった.元警察官の夫婦は3年前に分かれたが、夫の朝倉真志への無言電話から話が始まる.元妻の安本奈緒美に事実関係を確認すると娘が行方不明だと判明し、程なく奈緒美に娘を誘拐したという電話がかかる.朝倉は自分を不当逮捕した警察に不信感をもっており、通報するなと奈緒美に言う.奈緒美は犯人から電話で様々な場所への移動を余儀なくされる.朝倉は3年前の交通事故の詳細を調査するなかで荒井俊彦の存在を認識し、彼の周辺を探るうちに、核心となる政治家のスキャンダルを知りそれを警察が隠蔽する過程で例の交通事故が起きたことを確認した.その工作
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Posted by ブクログ
中央公論の螺旋プロジェクトの一冊!
舞台は明治時代の瀬戸内海!
プロジェクトお馴染みの山族は大日本帝国海軍!
海族は海賊!?
これまで読んできたどの作品よりも直球的な対立構造となっている。
私達が普段目にする対立構造に怨みつらみが混じる時、本当の正義とは存在しないのかもしれない・・・
海族の末裔の灯は故郷で迫害を受け全国を放浪するものの海族特有の目の色のせいで定住の地が無く、彷徨い続けていたところ鬼仙島に辿り着く、そこは海族が崇められる島だった・・・
一方で幼い時に灯に妹を助けられた山族の榎木新太郎は、迫害されて村を出て行った灯に手を差し伸べることが出来なかったことを悔やんでいた -
Posted by ブクログ
「人・で・なし」
宮部みゆき上手いよねえ。
極めて普通の(もしかしたら宮部自身が遭遇したかもしれない)居酒屋の、よくある話から、「人でなし」のワードを引き出して、ひとつの現代の「怪談噺」が始まる。まあ、やり過ぎ(ありきたり)のオチだったけど。リレー・アンソロジーどうなるんだろ?
「ママ・はは」
宮部からバトンを受け取ったのは、辻村深月。話の導入方法と「表題」「写真」というキーワードを引き継いだようです。果たして何処を引き継いで何処を引き継がないのか。ちょっと推理したくなりました。
「わたし・わたし」
辻村からバトンを受け取ったのは、薬丸岳。初めて読む作家。確か実際にあった犯罪に取材した小説