薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
薬丸岳『刑事弁護人 下』講談社文庫。
下巻に突入。
下巻でこれだけの伏線やヒントが景気良く盛大にばら撒かれていると、さすがに早々と真相が読めて来る。
複雑に絡まり合った憎しみと悲しみの連鎖。納得出来るようで、腑に落ちない判決。現実の裁判とはこんなものなのだろうか。
弁護士の父親を刺殺された犯罪被害者家族であり、刑事弁護に強い使命感を抱く持月凛子と刑事の職を辞して弁護士となり、犯罪を憎む西大輔がホスト撲殺事件で被疑者となった現職警察官の垂水涼香の弁護人となる。
かつて、葉山文乃の息子である俊太郎が殺害された事件で犯人が遺した物証を発見し、事件後も文乃に寄り添っていた垂水涼香。涼香自身も息子の響を4年前に亡くしており、以来、夫との関係が冷めていたのだ。
凛子と西が被害者の加納怜治の前科を探るうちに涼香から西の弁護士解任が通告される。凛子自身も解任の瀬戸際に立たされるが、加納の前科から加納と涼香との接点が見えて来る。
そして、辿り着いた真相とは。垂水涼香に下される判決は。
今の世の中は直ぐ傍に犯罪が潜んでおり、全く油断出来ない。金銭を狙った特殊詐欺、トクリュウグループによる強盗殺人、ネットを介した犯罪や殺人、ネグレクトや親族殺人。一体、日本はどうなってしまったのかと思う程、危険で歪んだ社会に成り下がってしまった。それに輪をかける政治の腐敗と低賃金、増税、物価高。若者たちが結婚という選択を捨て、少子化が加速するのも理解出来よう。
本体価格750円
★★★★ -
Posted by ブクログ
薬丸岳『刑事弁護人 上』講談社文庫。
薬丸岳にしては珍しく女性が主人公のミステリー小説である。
主人公の女性弁護士が殺人事件で逮捕された女性警察官の被疑者を弁護するというのが大まかなストーリーであるのだが、主人公を始め、登場人物の多くが何かしらの過去を引き摺っており、描かれる事件の真相と結末は全く見えて来ない。
マンションの一室でホストの加納怜治が撲殺され、加納が務めるホストクラブの客で、現職警察官の垂水涼香が被疑者となる。
弁護士の持月凛子は同僚の西大輔と共に、涼香の弁護人となる。凛子は弁護士の父親を刺殺された犯罪被害者家族であり、刑事弁護に使命感を抱いていた。一方、西は元刑事という異色の経歴を持っていたが、警察を辞めた理由は謎に包まれていた。
マンションの加納の部屋で加納から暴行を受けたために抵抗し、殴打しただけで殺害はしていないという涼香の供述は時間の経過と共に少しずつ綻び始め、凛子と西は涼香と加納の過去に注目し、事件の真相に迫ろうとする。
本体価格750円
★★★★ -
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犯罪被害者家族からの依頼を受け、加害者の現況調査にあたる探偵の男
元警官であり、自身も姉をレイプ事件で殺害された過去を持つ
被害者家族は、加害者を許すことができるのか
が、メインテーマ
依頼人それぞれの事件の悪党が連作短編のように繋がり 主人公は被害者家族と探偵の視線で
事件を見つめる
犯罪者を許せる時はあるのか
更生しない犯罪者を許す必要があるのか
罪を憎んで人を憎まず そんな理想はあるけれど
憎むべき犯罪を犯した人を憎むことは許されてもいいのでは
被害者家族の癒えることのない心の傷
罪を償った犯罪者は許すべきなのか
正しい答えはないのだと思うのですが
この小説の結末は 少し優しすぎるのではと
思えたりー
薬丸さん読み始めたばかりなので
これからの作品が楽しみです -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物がたくさんで整理するのが前半は大変だった。でもページをめくるごとに『ガーディアン』のナゾが暴かれていくのは面白かった。
学校現場で働いていると思うけど、エスパーじゃないから話してくれないとやっぱりわからない。匿名の相談ほど難しいものはない。
だからこそ、先生たちもガーディアンに強力したわけだが、根本的解決にはならない。その場かぎりの対処法に過ぎないし、さらに被害者を増やしている記述もあった。そこに秋葉が己の芯を曲げることなくガーディアンの必要性について呼びかけていく。最後の文面はどちらとも取れる気がする。結局秋葉は大人だけでは無力としたのか、それともガーディアンから最後の依頼『生徒を守れ』か。
感想書くの難しい話だった! -
Posted by ブクログ
主人公は59歳。顔まで刺青がびっしりと彫られ、左手は義手。傷害事件を起こして服役して以来、何度も刑務所を出たり入ったりの生活を送る男…実はこれには胸に秘めた思いがあった。
古くからの友人、元担当弁護士など主人公を取り巻く5人の視点が各章になっていて、主人公の過去を解き明かしていく。
『運が悪い』と言ったら、それで全てが当てはまってしまうが、生い立ちから不幸がつきまとう人もいるだろう。お金に目が眩み、誰かを陥れたり、騙されたり…そして『恨み』が生まれ、『復讐心』が芽生える。
『復讐』をする話って、ドラマや小説に多い。そこには殺人事件が絡んでいたり、ミステリー要素が多分にあるもので、僕も好んで読んだりする。しかし、実際に誰かを恨み、何かを犠牲にしてまで目的を果たそうと思ったことなど、僕の人生には一度もない。まあそれは僕の両親がさほど裕福では無かったが、お金に困って子供にしんどい思いをさせずに育んでくれたことが大きいとは思う。
またこれまで、さほど『悪人』と呼ばれるような人と知り合いになったこともないからかもしれない。(嫌な奴、苦手な奴は数多くいたが、利害関係が無くなると、そこまで嫌なヤツではなかった)だから復讐に固執して誰かを糾弾し、時間やお金を浪費することは、人生において無駄なことだと思っている。
最後の章で絡んでいた全ての糸がほぐれ、真実が解き明かされる。
主人公の生き方にため息をつくとともに、最期は目頭を熱くしました。
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Posted by ブクログ
YouTube配信のネットニュース『ブレイクニュース』の編集とレポーターをし、一千万超えの再生回数を連発する謎の女性:野依美鈴(のよりみすず)。
テレビや雑誌では描けない真相を追求するためには強引な取材を行い、時にはコンプライアンスにも違反するような番組編集をおこなう。
小説は短編集だが、それぞれのテーマも8050問題、パパ活、冤罪、ヘイトスピーチ…旬な話題をYouTubeで番組として取り上げて、問題提起する。一歩間違えたら、迷惑系YouTuberである。だが、実際にありそうな内容ばかりだ。
最後に野依美鈴が何故この『ブレイクニュース』を続けているのかがわかり、解決に向かう途上で小説は終わる。(続編があるのかなあ)
SNSは便利な反面、功罪があることは誰もがわかっているはず。テレビ番組も放送内容に限界があるから、YouTubeのほうが面白いという声も聞こえてくる。ニュース番組も真実を報道するのは何なのか、何を信じるべきかは自己責任に委ねられているが、ネット社会にはずっと警鐘が鳴らされているままなのだろう。
これ絶対ドラマ化されるだろうな。主演女優を予想すると…主人公の野依美鈴は小池栄子か、綾瀬はるかがいいなあ…←既に妄想癖。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・終の住処
「思い出ですよ。ご主人との思い出を嚙み締めながら最後の時間を過ごしたいというのが彼女の希望だったんじゃないですか」
・刑事の約束
「人を憎むことでしか生きられない、人を殺すことでしか生きられない心をなくした人間だっているんだ。ぼくのようにね」
まさかの連続でした。娘さんが目覚めるのがまさかでしたし、前作の「オムライス」の少年が今度は犯罪者になってしまうのもまさかでした。でも親に殺されそうになったことがある子どもが真っ当な人生を歩めるはずもないと思う。犯罪までは犯さないかもしれないけどずっと人を疑いながら生きていくような人生なんかじゃないかな。母親が子どもの心を殺さなければ今回の事件は起きなかったことだから。次作もこの少年のことには触れて欲しいなと思う。もちろん娘さんのことも。