あらすじ
植物状態の娘を持つ刑事・夏目信人(なつめのぶひと)。夏目は5つの事件に対し、誰も気づけない手がかりから鮮やかに謎を解いていく。抜き差しならない状況に追い込まれた事件関係者たちの心を見つめる夏目が、最後にした"約束"とは。無類の題材、怒濤の展開、衝撃の結末。いまも近くで起きているかもしれない事件を取り上げ、圧巻の筆致で畳み掛ける、乱歩賞作家・薬丸岳の真骨頂! あなたは五度驚き、五度涙する!
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Posted by ブクログ
短編集。刑事のまなざしの、オムライスの続編として、ラストの短編の刑事の約束が良かったです。母と息子の関係が、またまた、やりきれなくて、重くて、悲しかったけれど。傷を負ってしまったら、もう、どこにも行けないのか、やりきれないですね。
最近思うけれど、人の思いを受け止めるより、自分の思いを受け止めてほしい気持ちが強いから、さらに傷ついたり、違う方向へ行くのではないか。
殺傷事件まで行かなくても、些細なこと、不平、不満、愚痴、泣き言、悪口、文句、
そんなことの一つ一つが大きくなると、自分が生きるために、他は抹殺しないと、という方向へ流れていくのかも。
今まで平凡に生きて来れたことに、感謝しますね。そしてまた、キツイけど、ハマってるし、薬丸岳作品を読むのだ〜
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夏目シリーズ第三弾
懐かしい人も出てきたし最後の夏目信人のセリフに胸打たれた
どの犯人もみな一言では言えないような複雑な感情が絡んでいて最後の最後にどんでん返しも多くて目が離せない
また第四シリーズも出ているようなので、そちらもチェックしてみようと思う
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このシリーズは短編の方が活きる気がする。
今回も名作揃い。
第4話は泣けた。
最終話は胸を締め付けられた。
哀しい犯罪。
見つめる夏目の目は誠実で慈愛に満ちている。
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夏目シリーズ第3弾。短編5作品。
夏目さん、ええわ。少し頼りない感じに見えるけど、実は凄いって感じが(凄い洞察力で事件の真相を暴く)
更に単独行動多い一匹狼。
こんな人が、組織におったら、困るんかもしれんけど、やっぱり組織の論理で動くのではなく、あくまでも、真実を追求する姿勢が好き。
こういう人は、多分、出世はしない。本人も望んでないやろうけど。
事件も真相を暴いても、人を傷つけるだけなら、報告しないとか、組織人としては、どうかと思うけど、人としてはええと思う。
なので、捜査一課の人も、洞察力とかだけでなく、人としても一目置いてるんとちゃうかな?
でも、人を信じる事を信条にしている夏目さんに、人を疑う仕事は、キツそう!
でも、頑張れ!
娘さんが、良い方向に向かっているのが、嬉しい!(^_^)v
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再読。
夏目刑事の人柄に惹かれる。
一見、仕事できそうに見えないが、多くのことに気がつくところと、人に対してあきらめない心が魅力的。
どの話も、夏目刑事がいなければ真実に辿り着けず、終わったと思う。
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「絶望から人を救えるのは人」
動画あとがきで著者がおっしゃってたように、この本の紹介としてはこの一文!
短編どれも良かった。夏目がかって捜査した事件の被害者がこんな形で再登場するなんて。
絵美が目を覚まして、これからどうなるのか。続き買わなきゃ。
Posted by ブクログ
犯罪被害者家族でありながら、被害者にも加害者にも寄り添い、真実を見極めようとする夏目刑事のシリーズ。
ワイドショーなんかでは虐待のニュースとか、身内同士の殺人とか、ただセンセーショナルに報じて騒いだり、背景に何があったのか勝手な、そして薄っぺらな憶測をしたりするけど、被害者にも、不幸にも加害者になってしまった人にもそれぞれの人生がある、ということを気づかせてくれる。家族の愛情に包まれ、犯罪被害にも合わず、また自分が加害者や被害者になる可能性を考えもせずに生きてきた人には、とうてい理解できない犯罪動機が潜んでいたりする。
親からひどい虐待を受けて育った少年が、猛省した母から「あなたの幸せを見届けたい」と言われて考えた母への復習の話「刑事の約束」が重たかった。
親から認めてもらえないという後遺症は重い。
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いつも特に大きな盛り上がりはないけれど、辛い現実の中にいつもほんわり温かさが残る。夏目刑事の人柄なのだろう。鋭い観察力で事件は解決されていくのだけど、夏目刑事の場合、その観察力は人間に対する思いやり?愛情?寄り添える心?そこから来たものだ。
そんな刑事がいたら素晴らしい。そんな人がいたら本当に素晴らしい。
どうか夏目刑事が幸せになりますように。
Posted by ブクログ
「刑事のまなざし」から始まった夏目刑事シリーズ。犯人を捕まえるだけでない人間的な視点が悲劇であっても光明が差し込むような短編集。特に何年にも渡って意識不明だった娘に回復の兆しが表れてくるところは目頭があつくなった。しかしラストの「刑事の約束」は心を壊すされた犯罪被害の悲痛な叫びが聴こえてきて来そうな作品。「刑事のななざし」からの絡みでもあり、このシリーズを通して解決されていくのだろうか?
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夏目信人シリーズ第3弾
娘が暴漢に襲われて、植物状態となってしまった夏目は、法務技官から警官へと転職
警官となった夏目の短編集
「無縁」
R15のDVDを万引して補導された少年
悲しい過去と情愛ある偽物の家庭
哀しいけど少年の未来があるラスト
「不惑」
江戸川乱歩受賞者アンソロジーで既読
恋人を喪った復讐を計画する夏目の同級生
復讐という行為に隠された恋人との本当の関係
短編ですが、復讐を達せず隠されていた心情が表れてくる様子が上手い
「被疑者死亡」
殺人容疑がかかった男の事故死
男が追い込まれた複雑だけど確かな家族への気持
「終の住処」
認知症の女がケアマネを突き落とす
彼女はなぜその行為に
この作品で志藤検事が再登場
夏目刑事と相対してなく小説として珍しい
似た者同士なところが好き
「刑事の約束」
「オムライス」の少年が登場
少年のように母親から粗悪な扱いを受けている少女との関わりの中で夏目と再会
夏目が再び少年犯罪と向き合う作品
そして、娘さんが 反応するようになる
ミステリーと人情と家族を短編の中にぎゅっと
詰め込んできます
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オーディブルにて
娘さんの目が覚めてよかった。
10年という歳月を考えると手放しで喜ぶことはできないが
それでも明るい未来が待っていると信じたい。
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・終の住処
「思い出ですよ。ご主人との思い出を嚙み締めながら最後の時間を過ごしたいというのが彼女の希望だったんじゃないですか」
・刑事の約束
「人を憎むことでしか生きられない、人を殺すことでしか生きられない心をなくした人間だっているんだ。ぼくのようにね」
まさかの連続でした。娘さんが目覚めるのがまさかでしたし、前作の「オムライス」の少年が今度は犯罪者になってしまうのもまさかでした。でも親に殺されそうになったことがある子どもが真っ当な人生を歩めるはずもないと思う。犯罪までは犯さないかもしれないけどずっと人を疑いながら生きていくような人生なんかじゃないかな。母親が子どもの心を殺さなければ今回の事件は起きなかったことだから。次作もこの少年のことには触れて欲しいなと思う。もちろん娘さんのことも。
Posted by ブクログ
【夏目シリーズ第3弾】
簡単に思えた事件が夏目の手にかかると、その裏にいろんな思いが隠されている事がわかってくる。関わった人々の心の闇も解決する夏目の優しさが詰まった短編集。
本書には『刑事のまなざし』の“オムライス”の続編がある。“オムライス”の事件の真相は衝撃的でやるせない気持ちになったが、続編はそれの更に上をいく切なく辛い結末だった。容赦ない結末だったけど、事件で傷ついた心はそう簡単には癒える事はできないと思い知らされた。
“オムライス”の彼がその後どうなっていくのか夏目刑事と共に見守りたい。
Posted by ブクログ
前半は色々な事情でやむを得ないという感じ。でも中には同情を使い、自分の真の目的を果たしたいという邪な動機もあり、表面だけではわかりづらい犯罪もあるんだなと思った。最後の章は本当に切なかった。見守るって言葉、簡単に使ってはいけないんだなとも思わされた。
Posted by ブクログ
薬丸岳さんの”夏目シリーズ”の第3弾の短編集です。「無縁」、「不惑」、「被疑者死亡」、「終の住処」、「刑事の約束」の5話が収録されており、どの話も良く練られたストーリーで読者を飽きさせる事が無いです。夏目刑事の、感情を前面に出す事の無い淡々とした捜査と推理が大好きなんだよな~♪
Posted by ブクログ
夏目信人シリーズ、第三弾。
短編集、5話が含まれています。
どの作品も、表面的には大したことが無いように見えますが、その深層に、人間のある感情が横たわり、その感情を理解するとことで、真相が見えてきます。
どれも味わい深い作品ですが、特に、表題にもなっている『刑事の約束』では、長い眠りにあった娘の目覚めが描かれており、ウルウルものですね。
Posted by ブクログ
面白かった
「刑事のまなざし」「その鏡は嘘をつく」に続く夏目シリーズ第三段
5編からなる短編集です。
今までの物語同様、単純な謎解きではなく、人の心の複雑さをあぶりだす人間ドラマとなっています。この手の作品は大好き。
しかし、第一作、第二作に関連している人物が出てきているようですが、ほぼほぼ前作の内容を覚えておらず、その辺は楽しみ半減でした。残念。
■無縁
DVD販売店で万引きをした少年の物語。
少年は得体のしれない女性と暮らす戸籍のない子供。
黙秘を貫く子供の正体は?
なぜ戸籍がないのか?
家族とは?深い...
■不惑
ホテルで結婚式のビデオ制作する男の物語。
同じ場所で開かれた高校の同窓会に出席した夏目はその男の企みを感じます。
自殺未遂で13年間眠り続けた婚約者の原因を作ったのがその結婚式の新郎。
新郎を殺害するのか?
その真相は奥深いものでした。
■被疑者死亡
殺人容疑で逮捕状をとって、踏み込んだアパートから逃げた男はトラックではねられて死亡。
被疑者死亡で書類を検察に送れば終わると思われた事件を掘り下げます。
そこにあったのは、ろくでもない男なりに守りたかったもの。哀しい物語でした
■終の住処
老婆がケアマネージャを階段から突き落とす事件。
老婆が持っていた桐のタンス。そのタンスを巡る秘密。
■刑事の約束
植物人間だった夏目の娘に反応が..どうなる?
って思いがらも、本編では重い話が..
空き地に停まっていた車から発見された刺殺された女性の死体。その自宅を訪ねると、拒食症の娘が。
女性は覚せい剤で最近まで刑務所で暮らしていた。
そして、数日後、娘が自首。
なぜ、娘が母親を殺したのか?
そこには、「刑事のまなざし」で登場した人物との接点が..
これは、深い。
「刑事のまなざし」のオムライスを読み直さなければ..
ということで、いずれも良い作品でした。
とてもお勧め。
順番通り読み進めましょう。
そして、どうせなら一気に3作を読みましょう(笑)
Posted by ブクログ
「刑事のまなざし」で良くも悪くも印象的だった「オムライス」がまさか絡んでくるとは。
表題作以外は、暗い気持ちだけじゃない、ほのかなあたたかさや希望や愛が見えて、一作目とは雰囲気が違うな~しみじみと良いな~と思ったけど(不惑はそういう話じゃないけど、なんとも言えない面白さがあった)。表題作が苦しくて苦しくてしょうがない、大人の身勝手な欲望と期待がこどもの心と人生を壊すんだなあと痛感。このレベルではなくてもこういう子はたくさんいるとも思う。
この子が復讐を叶えたこと、悲しいけど私は肯定したい。もしかしたら数十年後には許せるかもしれないけど、大人にされたことを子どもの間に許せ、というのはエゴでしかないなと思った。
Posted by ブクログ
前回読んだシリーズ第1作と比べて、今回は格段に良かった。どの話も深層には悲しい事実が隠されており、特に表題作は救いようのない絶望感が最後まで解消されなかった。一旦犯した罪は犯人が死んでも償われることはないと思うが、そうだとしてもせめて悔い改めてもらいたい。そうでない悪人がでかい顔をしてのさばっているのがこの国の現実だとしても。
Posted by ブクログ
薬丸岳の夏目刑事シリーズ第3弾。
次作の「刑事の怒り」も読んでいるので既に読んだはずだが、内容の記憶が曖昧だったので再読した。
最初の方の「無縁」「不惑」などは夏目の深い人間洞察力がよく表れていて面白い。また本作ではずっと眠りについていた娘が遂に目を覚ます。この時の夏目夫妻の喜びようは読んでいても泣けてくるし、そういう時でもずっと側にいてやれない刑事という職業の過酷さに思いを馳せた。
しかし何と言っても本作は最後の「刑事の約束」が良くない。表題にもなっている重要な話であるのは間違いないが、読後感が圧倒的に悪く、せっかく良かったそれまでの短編が台無しになるほど感じが悪い。
このシリーズに読者が期待しているのはこういう話なのか?と思わせる作品になったのは残念だ。
Posted by ブクログ
夏目刑事シリーズの第三弾。
薬丸岳さんのお話は大好きです。
すごく重たいんだけど私にとっては文体が読みやすいみたいでサクサクと読めます。
今回は珍しく…おそらく私が読んだ薬丸作品では初めて短編集でした。そのつもりで読み始めてなかったので一話目があっという間に終わってびっくりしました。
今回重たかった…いい意味で。
薬丸さん…真面目な方なんだろうな…と勝手に思っています。
Posted by ブクログ
【希望が、希望と出合えますように。】
植物状態の娘を持つ刑事・夏目信人(なつめのぶひと)。夏目は5つの事件に対し、誰も気づけない手がかりから鮮やかに謎を解いていく。抜き差しならない状況に追い込まれた事件関係者たちの心を見つめる夏目が、最後にした“約束”とは……
刑事 夏目シリーズの3作目。
今回も短編集で安定の面白さがあった。
題名にもなっている最終話の『刑事の約束』は、夏目シリーズ1作目の『刑事の眼差し』と関係の深い話になっているので、合わせて読む事をおすすめしたい。
様々な理由で犯罪を犯す人達の心理を、夏目の鋭さで暴き、遺族や関係者にささやかな救いを与えることができるのは、自らも犯罪被害者である夏目ならではないだろうか。
こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・社会派ミステリーが好きなひと
・スキマ時間に読みたいひと
・少年犯罪が題材の話が好きなひと
Posted by ブクログ
夏目信人シリーズの第三弾。5つの短編連作。様々な社会問題を織り交ぜながら、事件の解決だけでなく、人の裏側・内面を鋭く浮彫にする夏目の深い洞察...。本作も圧巻の展開。他編にさりげなく置かれたプロット。ああそういうことね、と最終編で納得。
「終の住処」は調査不足の感が否めない。残念。この編だけ細かな点が気になり、感情移入できなかった。
Posted by ブクログ
夏目刑事シリーズ。
久しぶりにこのシリーズを読んだので
なんで娘は昏睡状態になったんだっけ?など
忘れているところが多々あった。
短編なのでもうちょっと長めに
読みたいなぁというのが正直なところ。
Posted by ブクログ
夏目刑事シリーズ(?)第3弾。過去作に登場した何人かが再登場していますが、検事の志藤と「オムライス」に登場した裕馬以外はパッと思い出せず…… 良くも悪くも現実的な設定・言動のキャラクターが多く、強烈な個性を持った人物が少ないから?(実際は、単に私の記憶力の問題なのでしょうけど……)
連作短編で各話興味深いものではあるのですが、最終話「刑事の約束」のインパクト(昏睡状態にあった絵美の目覚めと「オムライス」での被害者・裕馬がとってしまった行動の2点)が強すぎて、それ以外の作品の印象が霞んでしまいました。
最終話は拡充して別冊にしてくれた方が、他作品の良さが薄まることなく、また「刑事のまなざし」を読んでいない人にもわかりやすいものになったんじゃないかと思ってしまいました(余計なお世話かと思いますが……)。
Posted by ブクログ
夏目シリーズ第三弾。5つの短編から成っています。
いずれも、夏目刑事が事件を解いていくのですが、
夏目本人の目線でなく、同行した刑事や友人の視点から夏目刑事と事件が語られます。
5つの作品の中では最初の「無縁」がミステリっぽくて一番楽しめました。
シリーズ物らしく前作の登場人物が出てくるのも面白かったです。