薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「夏目信人」シリーズの長編。
読み始め いくつかの事件が同時進行しているように思えたが 段々と集約されていく。
医大に入ること医者になることだけを義務付けられている予備校生たちの様子が読んでいてとても息苦しい。
今回 夏目刑事の他に志藤という検事が登場する。彼が検事を志した背景には記者であった彼の父の死があった。
志藤の父は元警察官僚の政治家の不正を追っていた。彼の死は自殺ということで処理されたが志藤は納得していなかった。
夏目が刑事になった理由と志藤が検事になった理由。どことなく通じるものがある。
人間性はだいぶ異なるけれど…
終盤 志藤から「彼との勝負、ぼくは負けたんでしょうか」 -
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ストーリーや完結のしかたは面白かった。
少年の時に殺人を犯した少年、それも世間を震わせる内容の事件。
その後の人生に、ジャーナリストの夢を持つ主人公と出会い、自殺以外に生きて償うという道を選ぶ元犯罪者の話。
感想
終始、主人公や 少年の母親代わりにサポートをしていた精神科医の人間性にイライラした。
善にも悪にもなれず中途半端さに、でも実際そんな人のほうが多い世の中だからこそ、こんな人物像をメインに書いたんだろうなと、共感を得るのが多いんだろうなと思い読んでました。
全てにおいて、覚悟が足らない、自分が可愛いが故に自分の欲を,優先して結果、他人を傷つける事になって
後悔して、懺悔して、と同 -
Posted by ブクログ
七話からなる短編集
夏目信人という刑事に一話ごとに迫っていくような連作にもなっている。
夏目は娘の事件をきっかけに 少年鑑別所で罪を犯した少年たちに精神的に寄り添って正しい道を示していくとう仕事である“法務技官”から刑事になった。
穏やかで飄々としていて自らのことををあまり語らなかった夏目刑事が最終話の『刑事のまなざし』で娘の事件と対峙することになる。
ひとつの罪がまたひとつの罪を生む。
後になって悔いても罪は消えない。悲しみは広がるばかりだ…
ここで初めて発せられた夏目刑事の叫びが犯人を貫く。
ごく短い話ばかりでどれも読みやすかった。 今度は夏目刑事の長編を読みたい。きっとまわりからは -
Posted by ブクログ
2020年、新型コロナウイルスが世の中に広がる中、大学生の芹沢涼風は一人暮らしの生活に孤独を感じていた。ある日、気分を紛らわすために池袋の公園へ行くと、自分と似た境遇の人たちと出会う。
そこで出会った仲間たちと血縁や戸籍でなく、絆で結ばれた新たな家族を作ろうと「こうふくろう」を立ち上げる。
「こうふくろう」の仲間たちはどんどん増え、その一部の人たちが犯罪へと手を染め始め…。
2020年のコロナ禍だからということではなく、常に家族に不満や孤独を抱えている若者は多い。その弱い部分に付け込んで、悪の道へと誘う大人も多くいる。
読んでると常に嫌な気分になるんだけど、先が気になりどんどん読み進む。そ -
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「死刑になりたいから人を殺した」
「誰でもいいから人を殺したかった」
快楽殺人で4人の女性を惨殺した凶悪犯。
死刑判決に「サンキュー」と高笑いする、そういう無敵な死刑囚には本当に心がないのか。
死刑執行前には、「死にたくない」「死ぬのが怖い」と思うのか。
妊娠中の娘を殺された父の保阪は、牧師になり受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対峙する。
煩悶する保阪と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の当日、何が起きるのか。
すごく重苦しい内容であったけれど、難しい題材に加えて、登場人物設定も凝っており、最後まで納得のいくストーリーに仕上がっていた。