薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かった。
並外れた能力を持つ2人。しかし稔という人間を必要とした町田と不要とした室井には決定的な違いがある。 室井が町田の手で稔を殺させようとしたのは自分が持てなかったものを町田が持っていることへの嫉妬のような感情からなのか それとも町田が持っているものへの興味からだったのか…?
終盤 あの様な体になった室井が町田の大切なものをことごとく奪っていった経緯には 自分のもとを去っていった町田の生き方と自分の生き方と両方の先にある結末を最期をむかえる時までに見届けたかったからなのかもしれない…。
室井にとって自分の能力の根底にあったのは〝怒り〟だったのかもしれないが町田にとってはそうではな -
Posted by ブクログ
悪党
著者:薬丸 岳
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**あらすじ**
乱歩賞作家・薬丸岳が贈る、現代の「罪と罰」。
復讐はなされなければならないのか!? 犯罪者と犯罪被害者、そして残された家族は、事件の後、どう生きてきたのか? 江戸川乱歩賞デビューの注目の新鋭、渾身の社会派ミステリ!
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**感想**
中山七里さんのエッセイで薬丸岳さんの名前を何度か目にし、以前から気になっていた作家でした。中山七里さんの作品は数多く読んできましたが、薬丸岳さんの作品を手に取ったのは本作が初めてです。同じ社会派ミステリーのジャンルに分類される両者ですが、薬丸さんの方がより現実に根ざした重厚なテーマを扱っている印象を受けま -
Posted by ブクログ
薬丸岳さん著「その鏡は嘘をつく」
夏目刑事シリーズの第二弾、前作は短編集だったが今回は長編作品。
前作でも思ったのだが薬丸作品の醍醐味は刑事視点から描かれるものではないなという感想。今回この作品を読んでみて面白いのは違いないのだが事件の被害者や加害者、その家族等の感情の渦の中に巻き込まれていくようなものは読み込めなかった。
逆をいえば薬丸作品にはそれを期待してしまっている。取り返しのできない事件、その事件に関わる誰しもの未来が描かれていく事によって窮屈で術のない、答えのない人生の岐路を考えさせらながら深く思慮を廻らせたいと思っている。
刑事目線のこのシリーズでは自分が求めているものとの違い