Free Styleさんが詳しいレポをあげられているが、
罪人となった後、周りの人の反応について深く考えさせられた。
14歳のときに犯した殺人の罪を28歳になっても背負っている青年「鈴木」。
同じように中学生の時に
表向き親友のようにつきあっていた友人がいじめにあったとき、
かばってあげる勇気がな
...続きを読むく、その友人の自殺をとめられなかったことを
生涯の罪と感じている「益田」。
2人は同時期に、川口のステンレス加工工場に勤めることになり、
社員寮での生活が始まった。
その会社の事務員美代子は、
元彼にだまされてAV女優として働いていた過去があり、
美代子のヒモと化した元彼から逃げていた。
3人3様の嫌な過去があり、誰とも付き合わずしゃべらず、
人との接触を避けるような生活をしていたのだが、
この工場で知り合ったがため、
そのバランスがじょじょに崩れてくる。
同年代、同期入社という偶然から口を聞くようになり
頑なに人を拒否していた鈴木は
唯一、自分を大事と言ってくれた益田を親友と思うようになる。
一方益田は鈴木の隠された過去に気が付き
「あの事件の犯人は今・・・」というネタを
マスコミに話してしまう・・・・。
罪を犯した人の社会復帰はこんなにも難しい。
親友だと思っていた人が実は殺人犯だったら・・・
たとえ今はすごく優しいいい人だとしても
心の奥までわからないものだから、
やはりある一線をひいて、特別な目でみてしまうだろう。
本人は「ああ、やっぱりここもか」という気持ちになるに違いない。
それ以前に、犯した過ちを悔いるなら、
一生、後悔ばかりで苦しい想いをするだろう。
いや、苦しい想いをする人ならまだ救いようがある。
懲りずにまた同じ罪を犯す人もいるからなあ。
ひっそりと隠れるように生きる罪びとの心理が
とてもよく書けている作品だと思う。
願わくば、こんな切ない人々が1人でも少なくなるような
社会になって欲しいものだ。