薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説としてはとても満足度の高い読み応えのある一冊。
いろいろ考えたし、とてもとても良かった。
ただ、これが一般人と宗教家の違いか…と納得できないというか理解できないというか。(小説どうこうじゃなくて、きっと現実でもそうなんだろうと思う)
私ならなにがどうなっても、自分の大切な家族を殺されたら許せない。
せっかくあそこまで自分を信頼させ、死の恐怖を感じさせることができたのなら、やり遂げてほしかった。
死刑制度については深く考えたこともないから賛否どちらとも言えないけれど、執行する刑務官の気持ちを考えるととてつもない心理的負担だろうなといつも思う。
自分の大切な人を殺されたらなら憎悪の気持ちを持ち続けられるだろうけど、刑務官は直接死刑囚から被害を受けたわけではなく、日々(しかも何年も!)顔を合わせ挨拶や言葉を交わしている間柄なのに、執行はきついだろうな。
どうにかならないんだろうか。
そんなことをすごく考えてしまった。 -
Posted by ブクログ
大切な人を殺した相手を許すことができるのか、という問いに真正面から向き合った作品だと思った。
第1章の途中までは、言い方は悪いがよくあるタイプの小説だと思いながら読んでいた。
しかし、途中からぐっとキャラクターの思いに引き摺られて、気がつけばあっという間に読み終わってしまった。
罪もない人を殺した石原は、たとえどんなに辛い過去があったとしても死刑にせざるを得ないだろう。しかし、せめて刑が執行されるときに少しでも希望を与えてあげてほしい、と願いながら読んだ。
娘の命を奪った石原を絶望させるためだけに教誨をしていた保阪が最後に選んだ言葉は、考えうる限り最良だったと思う。
石原のような人が生まれないよう、世界がもう少しずつ優しくなってほしい。 -
Posted by ブクログ
薬丸岳さんの本では珍しく、終始穏やかな感情でいられた。(勿論、感情を逆撫でしてくる「極悪人」的な存在はいるけど)
フィクションだし現実にこんな形の犯罪があるとは思えない(あるのかは分からない)けど、人を想うがゆえの行動が人を苦しめたり傷つける要因になってることはままあると思う。間違いなく奴が悪いんだけど、どうすることができたのか。何がベストだったのか。
自殺も、強く言えば、自分を殺し周りを被害者にする犯罪で、苦しみに耐えきれず誰かを殺す他殺と近いと思う。殺人を手段としない早急かつ効果的な解決策はなんだろう。
贖罪も、自分が苦しむことが全てなはずはない。 -
Posted by ブクログ
ドキュメンタリーを読んでいるような気持ちになりました
なんて重くて、なんて悲しくて、なんて辛い物語でしょうか
でも決して目を逸らしてはいけないテーマだとも思いました
コロナ禍の時代が舞台です
居場所を失った者たちが「本物の家族」を求めて集い、血が繋がっていなくても「本物の家族」になれることを信じて幸せになることを目指した、そんな集団の物語でした
登場人物の視点がいくつも切り替わり、時系列も過去から未来へバラバラに進みます
それらが中盤から一気に合致していきます
残酷な結末へ向かうであろう登場人物たちが、各々の幸せを求めて必死にもがく姿は胸が締め付けられました
終盤のあのシーンでは涙がボロボロ零れました
思い出しても泣けてきます
ラストはゾクッとする終わり方で、心に爪痕を残されました…
多くの人に読んで欲しい作品です
読んで、そして考えてみて欲しいです -
Posted by ブクログ
今となっては早くも「過去」になりつつあるが、コロナのあのい真っ只中では本当にいつ闇が開けるのか、半年後、1年後に一体何がどうなってるのか全く予想できない日々だった。それこそ歴史上の飢饉や富士山噴火や巨大地震の大災害の真っ只中もきっとそんな感じだったんだろう。
そんな先行きの見えない時だからこそ、人とのつながりが希薄になる時期だからこそ、素晴らしいエピソードもクソみたいな輩も暗躍したんだろうなと改めて思う。
血が繋がってはいるものの何の安らぎも信頼も覚えない身内よりも、恋慕や義理や温情でつながった他人の方が家族と思える気持ちも理解できる。
改めて家族の在り方を考えさせられた。