薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ぶ厚かった。
登場人物、多かった。
青少年犯罪をテーマだと、この作家さん。
デビュー20周年、おめでとうございます!
新型コロナのせいで、たくさんの影響があった。
いい事も、悪い事も、数えきれない。
そんなこと、あんなこと、あったあったと頷きながら読んだ。
青春の真っただ中の青少年にしたら、どんなに孤独で鬱屈した日々を送った事だろう。
まして、家族の中で辛い思いをしている若者にとっては地獄だ。
最初は善良な心でつながり始めても、
人が集まれば、徐々にまとまらなくなってくる。
まして、そこに邪な人物が入り込み、支配しようとすれば、とんでもないことになる。
困っていそうな人を、見ず知らずの段階でやみくもに自分の家に入れてしまう。そんなことは、絶対に怖くて、自分ならできない。
若さゆえの純粋さを利用する悪い大人は必ず出てくる。
最後はどうなってしまうんだろうと、気が気じゃなかった。
そして、ラストは嫌な余韻が残った。 -
Posted by ブクログ
衝撃の展開だった。
私自身、刑法第39条の存在を知らなかった。心神喪失と認められると刑が軽くなるのではなく、不起訴処分になるなんて…。被害者側からしてみればあり得ないし憤りを処理できない。本の中でも語られるように、心神喪失と認められた加害者が果たして本当にそうなのかは、専門家の判断でも信じられない部分があると思う。
心神喪失状態になる状況や病気はいくつかあるのだろうが、藤崎(この本における統合失調症の加害者)の場合はきっと罰しても効果はない(反省には繋がらない)。でも3年で出てくるのは社会的にもさらなる被害者が生まれるため良くないし、被害者側はたまったもんじゃない。じゃあどうするのか。
一生病院で過ごしてもらうのか。病気は完治しないとずっと入院してもらうからそれも有りかもしれない。人権に配慮した、居心地の良い、有料(もしくは要労働)の病院に一生いてもらえば被害者側の心は落ち着くのだろうか…。
そこまでは想像が至らない。 -
Posted by ブクログ
あなたは隣にいる友人が過去に残虐な殺人事件を起こした少年Aだと知ったら、どんな選択をしますか?
同僚だったら、恋人だったら。今の関係を続けることができますか?
ジャーナリストを目指していた益田と、住み込みの職場へ同日入社した鈴木。
入社当時、他を寄せ付けない雰囲気の鈴木はどこか危うさがあり馴染めないでいた。毎晩「ごめんなさい…ごめんなさい…」と酷く魘されている鈴木はどんな過去を抱えているのか。
そんな鈴木も同僚の介抱や益田の怪我・入院などを経て少しずつ社会へ溶け込めていく。益田のことは親友だと言う。
だがある日、益田は14年前に地元で起きた残虐な殺人事件「黒蛇神事件」の犯人が鈴木なのではないかと疑念を抱く。
ジャーナリストへの夢、友達を信じたい気持ち、決して綺麗事では済まされない心情があまりにリアルだった。
鈴木の過去や事件を調べる過程でやはり鈴木が黒蛇神事件の犯人であることは確信へと変わる。
清水や内海、会社の反応は至極当然。恐怖や拒絶があって当たり前のことをしたのだ。被害者や遺族への償いだけでなく、世間の反応にも一生涯耐えなければならない。
それでも受け入れようとしてくれる美代子や山内がいて良かったと思う。私はこの2人や益田のように鈴木を受け入れられる自信はない。
"フィクションだから"で終わってはいけない問題だからだ。本書を読んだ人間として責任を持って考えていきたい。
鈴木と関わるうえで過去の罪と向き合うと決めた益田の姿は読んでいてつらいものがあった。
学やさちこさんの気持ちを蔑ろにするつもりはないが、益田と鈴木がどうか友達でいてほしいと願う気持ちが強かった。
ラストは涙なしでは読めない。
マスコミやインターネットの情報の脆さも改めて感じる。いま私たちが見ているニュースや記事は果たして真実か。誰を救い、何が正義か。
更生や償いという点から世間の目が重要なことは十分に分かる。だが第三者の好奇心が当事者たちの心を蝕んでいないだろうか。 -
Posted by ブクログ
薬丸岳が徹底的な取材を元に構想17年を費やした渾身の法廷リーガルミステリ。
それにしても刑事弁護人とは割に合わないというか過酷な仕事だと思う。ニュースなどで残虐な殺人事件が報道された際に「何でこんな鬼畜の刑を軽くしようとするんだよ!」と弁護士に対する反感を持ったことは一度や二度ではない。まして被害者遺族にしてみれば犯人の肩を持つ共犯者と同じような人間に見えるのだろう。作中でかつて主人公・持月凜子の父親を殺害した犯人である被害者の母親が「殺されて当然」と言った言葉は背筋を凍らせる。刑事弁護人の存在意義とは何か、本作の主要なテーマの一つだ。
犯人がなぜ罪を犯さざるをえなかったのかという点を詳細に描写した加害者への寄り添いの姿勢は薬丸岳の作品ならではという感じがする。
最大のミステリ要素は、供述が二転三転し、徹底的に真実を隠そうとするのは何故か。その真実とは何か。それが最後に明らかになった時、もやもやが一気に解消されたカタルシスと共に関係者全員へのやるせない気持ちを抱いてしまった。
どんでん返しを目的としたテクニカルなリーガルサスペンスではなく、人間描写を中心としたリーガルミステリとして仕上がった持月凜子と西大輔のバディは是非シリーズ化してほしい。 -
Posted by ブクログ
岳さんも言うように、これまでで一番ダークな内容だったと思います。
手を止めて休憩を挟みたくなるほどの心地悪さの中で読み進めながら、最後は少しでも心が晴れるような結末を願っていました。
コロナによって全世界の人が苦しみ、拘束され、不自由な生活を強いられたと思います。その中には登場人物のように家族の関係を疑い、大きく変化させてしまった人もいたはずです。そう考えると、単なるフィクションと言い切るにはどこか納まりが悪く感じました。孤独や寂しさ、頼れる人もいない状況、そして劣悪な環境から逃げ出した人々のことを思うと、なんとも苦い気持ちになります。
ストーリー展開をあれこれと考えながら楽しむ一方で、それぞれの幸福を願っていました。けれど全員がそうはならない――その事実がとても悲しくもあり、最後まで手を止めずに読み切ってしまいました。 -
Posted by ブクログ
自分は何を選択するのか。
目の前の取り繕いを取るのか、贖罪を取るのか。
罪を自責し続けるのか、全てを無きことにするのか。
ことが大きくなればなるほど、人の顔が浮べば浮かぶほど間違える選択。
そのやりきれない、報われることのない状況をすべて自分の弱さ(選択)であると嘆く。
一つの作品として構成も素晴らしかった。なによりも、ここまで感情が揺れ動くほどのリアリティと取材力に感服した。
"お父さんはひとつ気づいたことがあった。
笑うことができなくなった。
そうなんだ。逃げ続けているかぎり、人は心から笑えなくなるんだと思う。
罪を犯した息子にこんなことを求めたら、被害者のご遺族に申し訳が立たないが、父親としては、いつかおまえが心から笑えることがあってほしいと願う。父より"