薬丸岳のレビュー一覧

  • 天使のナイフ 新装版
    今年読んだ小説の中でもNo.3以内に入るほどの面白さでした。
    ミステリーとしての面白さはもちろんですが、ページを捲る手が止まってしまいがちな重いテーマを読みやすく書き上げている筆者の技量にただただ驚かされました。
    近年こうしたテーマを取り扱う小説が増えていますが、本作を超えるものは中々出てこないだろ...続きを読む
  • 蒼色の大地
    「蒼色の大地」で描かれる明治の世では、青い目を持つ海族は「青鬼」と呼ばれ、本土では邪険にされてきた。
    虐げられ、本土では生きてゆけず、青鬼が暮らせるのは鬼仙島しかない。
    鬼仙島で青鬼は蒼皇と呼ばれ、敬われている。
    蒼皇たちは自らを鯨と呼び、海賊となって商船の積み荷を奪い、分け合い、
    同じく本土で虐げ...続きを読む
  • 告解
    久々の薬丸さん!
    相変わらず、重〜〜い!

    告解(こっかい・こくかい)とは、キリスト教の幾つかの教派において、罪の赦しを得るのに必要な儀礼や、告白といった行為をいう。

    まぁ、タイトル通りなんやけど、自分の罪を認めるって、しんどいと思う。
    人によっては、刑期終えれば、罪を償ったと思う人もいる。
    それ...続きを読む
  • 友罪
     人間は直接的な暴力だけでなく、悪意という心を使って人を傷つけることのできる唯一のいきものなのだ。

     過去に脅かされる登場人物たち。一人は、事故を起こし人を死なせてしまった息子を持つ。一人はかつてAVに出演していた。また、一人は、子どもの頃、いじめで自殺してしまった友人を持つ。そして一人は、日本中...続きを読む
  • 誓約
    薬丸岳さんの作品を読んだのは、「天使のナイフ」以来2作目。
    解説にもあるように、少年犯罪や、罪と償いを中心に描く作家だと知った上で購入。


    読み始めてから、すぐに魅了され情景が思い浮かぶかのようで、とにかく読みやすかった。
    中盤も中弛みすることなく、主人公の頭の回転の良さに感心しつつ、後半には畳み...続きを読む
  • 誓約
    仕事も家庭も順調そうに見えた向井聡のもとに一通の手紙が届く。「あの男たちは刑務所から出ています」その手紙に恐怖を感じる向井。実は向井には人には言えない過去があり…

    犯人と罪とその裏に隠された衝撃の真実
    薬丸岳さんの小説はいつもラストのラストまで驚かされる!
    それでいて罪と贖罪、愛と救いとを考えさせ...続きを読む
  • 天使のナイフ 新装版
    2022.10.26

    同作者の「Aではない君と」を読んだことがあったけど、それよりもミステリ要素もあり、伏線回収も素晴らしくて、最後まで展開が読めなくてとても楽しませてもらった。
    少年犯罪がテーマだけど、複数の犯罪が絡み合ってまた罪を生んでいく…
    これはもちろんフィクションだけど、犯罪が連鎖してい...続きを読む
  • 闇の底
    うわ~!この小説、おもしろかった~!

    子供への性犯罪事件が起こるたびに性犯罪者を殺す…
    殺人で子供への性犯罪を阻止しようとする処刑人・サンソン
    子供の頃に妹を失った過去を持つ埼玉県警の刑事・長瀬
    身内を残酷な事件で失ったものにとって犯人を殺すのは悪なのか?そしてサンソンとは…

    サンソンが…
    驚い...続きを読む
  • 闇の底
    江戸川乱歩賞の受賞作は好みのものが多いのですが、これも例に漏れず、好きでした。

    【あらすじ】
    少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きる度に、かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって発見される。
    身勝手な欲望が産む犯行を殺人で抑止しようとする予告殺人。
    狂気の劇場型犯罪が日本中を巻き込ん...続きを読む
  • 刑事弁護人
    大作でしたが、一気読みしてしまうほどのめり込めます。
    事件の謎が解き明かされるミステリーの部分も楽しめましたが、刑事事件の弁護人としての主人公・望月凛子のを通じて見る関係者の人間ドラマとしても楽しめました。
    弁護士の大変さもよくわかる物語だと思います。
  • 天使のナイフ 新装版
    最後に全てがつながったところは一気読みしてしまった。
    重いテーマだが、続きが気になり止まらなかった。

    ■少年犯罪
    凶悪な少年犯罪のニュースを見ると、全く関わりは無いが激しく怒りを感じる。
    この感情は正常だとは思うが、ニュースで伝えられた数分の内容だけを聞いて、不足の情報は殆ど自分の想像になってしま...続きを読む
  • 神の子(下)
    私はハッピーエンドが好きだ
    読んだあと、胸がじーんとなる話

    多様で壮絶な人生を送ってきた登場人物たちの
    やりきれない悲しさもたくさんあったけれど
    それでも、最後はみんなで前を向いていて
    とても穏やかな気持ちになれた

    仲間
    それだけ聞くと薄っぺらく感じるけど
    たしかに人生には必要不可欠で
    大切にし...続きを読む
  • ハードラック
    久々の、寝る間を惜しんでの一気読み。
    すっごい面白かったー!

    社会派ミステリーだが、重いテーマで考えさせられるというよりは、単純にストーリーにのめり込んで楽しめる作品。

    でもやっぱりラストはさすが。単なるエンタメでは終わらない。
    「たいした悪だと思っていないこと」への報いも、これ以上「積み重ね」...続きを読む
  • 神の子(上)

    話の展開がすごい!

    まだ10代の少年達がそれぞれ抱える悲しみや怒り諦め、など、子供達の力だけではどうしようもなかった少年時代が読んでいて切なかったです。
    これからどんな人生を歩んでゆくのか続きが気になります。
  • 虚夢
    自分だったらどうするだろうか、読みながら常に考えさせられた。
    刑法39条、法律は万能ではない。法をもとに裁くのは人であり、鑑定をするのも人である。

    子を持つ親として、最初の描写からすでに顔を背けたくなる内容だった。
  • 神の子(下)
    天才的なIQで詐欺に手を染めていた町田博史。
    町工場を経営する母娘の元での同居生活、そして大学生活。知り合った学生たちとの企業。全てはうまくいくかのように見えたのだが、町田に執着する室井はじわじわと町田を追い込んでいき…

    愛するものを奪われる苦しみが一番こたえる…
    じわじわ追い詰めていくのよ~室井...続きを読む
  • 天使のナイフ 新装版
    罪を犯した少年が 少年法によって護られることの是非について、被害者遺族側から描いた物語。
    誰かの権利を守ろうとすることは、例えそれが正義のつもりであっても、他の誰かの思いを踏み躙ることかもしれない、と思った

    少年法に限らずすべての法律は人々が幸せに生きるためにあるもののはずなのに、その法律によって...続きを読む
  • その鏡は嘘をつく
    夏目刑事シリーズ2作目。長編。

    夏目刑事視点はないので、他の登場人物の視点から話が進んでいく。
    教育虐待がテーマになっていて、事件の真相は辛いところがあるけれど、それでも命以上に大切なものはない、と話す夏目刑事の優しさに救われる気がする。
  • 神の子(上)
    薬物ジャンキーな母親から生まれ、無国籍で育った少年。
    しかし、実はIQ161以上を持っており、物心ついた時はその頭で生きてきた町田博史。その町田を欲しがる謎の闇の組織の男・室井。殺人で少年院に入り、脱走するが失敗。その事件後、社会に出た町田はある工場の家族のもとで居候することになり…。

    おもしろか...続きを読む
  • 刑事のまなざし
    夏目刑事シリーズの第一弾。
    3作目を先に読んでしまったので、逆にいろいろと考えさせられながら読み進められた。
    特にオムライス。

    どうしようもない理由で事件を起こしてしまう人もいることが辛い。けれどひたむきに生きる人を優しく見つめる夏目刑事を見ていると自分も優しくなれる気がする。