薬丸岳のレビュー一覧

  • 罪の境界

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    物語は、26歳の明香里が渋谷のスクランブル交差点で通り魔に襲われるという衝撃的な事件から始まる。明香里とその恋人・航平、そして事件に関心を持つライター・省吾の3人の視点を通して、被害の痛みや加害者への向き合い方が描かれていく。

    重傷を負った明香里は、通りすがりの男性に命を救われるが、その男性は「約束は守った…伝えてほしい」という言葉を残して亡くなる。その“約束”の意味が、物語を読み進める鍵となる。柚月裕子さんの『教誨』を少し前に読んでいたこともあり、「約束」というキーワードが印象的に重なった。

    省吾は犯人の過去を取材する中で、彼の幼少期が自分自身と重なるような、虐待やネグレクトにまみれた過

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    2025年07月05日
  • 神の子(上)

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    面白い。 テンポがよくて読みやすい。映像が目に浮かぶようだ。

    後半 工場の徳山さんが町田と飲んだ時口にした「痛みっていうのは…自分がある程度幸せでなけりゃ感じられねえものなのかもしれねえなあ。……」という言葉には なんだか深く納得した。

    下巻に向けて気になる人間ばかりだ。雨宮、小杉はもちろんのこと 晶子もクサい。そしてやっぱり室井だ。町田への執着は彼の頭脳だけが目的だとも思えない。
    すべては下巻。

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    2025年07月04日
  • 悪党

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    薬丸岳さん著「悪党」
    今回の作品は軸が一本しっかりと通った連作短編集になるのだが、その軸の核がかなり著者作品特有の独自性を伴っている上、著者の筆圧の力も相まって読後の感想としては一本の長編小説に近い印象を受ける。

    今回の作品、被害者遺族の視点から描かれていく物語。姉がレイプ事件の被害にあい殺されてしまった被害者遺族の未来が描かれている。
    贖罪の気持ちを持たない加害者達に対しての怒り、加害者達の出所後の人生の放漫さや噛み砕き方に対しての赦し難い気持ち。
    それらを各短編ごと、上手い具合に他の犯罪等をもを引用とし、比較対象させながらの物語展開は圧巻だった。

    凄いなと感じさせられた台詞があった。

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    2025年07月06日
  • Aではない君と

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    むちゃくちゃ感動した。次は『天使のナイフ』読みたいです。でも重かったから池上彰さんでちょっと勉強してから。

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    2025年06月27日
  • 籠の中のふたり 【電子書籍版特典付き】

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    弁護士の村瀬快彦は小学校の時に母親が自殺した事により、他人との距離を取るようになった。父親が病死して、看病を手伝ってくれていた彼女に距離感から別れを切り出される。
    そこに現れたのが、傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人になる事。人と関わることが嫌な村瀬だが、何とか条件付きで引き受ける。蓮見は村瀬の父親に生前、息子を心配のあまり籠にこもった息子を助け出すよう頼んでいた。
    最初は推理小説では無い青春小説のような展開だったのが、蓮見の生き別れた父親(伯父)の登場により一気にきな臭くなってくる。
    母親の自殺、伯父の逃亡、蓮見の事件等の原因探しの村瀬の旅が始まる。最後に辿り着いた真相が悲惨

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    2025年06月26日
  • 虚夢

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    通り魔事件が起き、娘の命は奪われた。
    しかし、犯人は精神障害で心神喪失と認められ、罪には問われなかった。
    その後、三上孝一は妻と離婚し、無力感に苛まれながら数年を過ごす。
    だがある日、元妻は再び娘の命を奪った犯人を目撃する。
    三上たちは、その男に近付いていく。


    通り魔事件の加害者は心身喪失で無罪となったことに強い違和感を覚えた。
    人を殺したのに何の罪にも問われないことは、本当に正しいことなのか。
    悪いことをすれば罰せられる。
    それは犯罪者を更生させるため、悪事を働かせないための抑止力の機能をするものだが、被害者のための償いという側面もあるはずだ。
    そのため、被害者は自分の大切な存在を失った

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    2025年06月27日
  • 死命

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    初めて薬丸岳さんのお話を読んだ。
    他の作品も読んでみたいと思わせるような作品。

    なおオーディブルでは吉田剛太郎さんが朗読している。
    演技は素晴らしいがプロの声優さんではないので少し滑舌に難はある印象。

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    2025年06月22日
  • Aではない君と

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    ネタバレ

    翼が言った一言がとても心にずしんと重く残った
    心を殺すのは許されることなのに、からだを殺すことは許されないのはなんで?
    とても難しい問だと思う
    2つとも許されることはできない
    ただ、やはりからだを殺すことはその人の生を奪ってしまうことでもあるので、良くはないのだろう
    最後は少し希望を持って終わるので救われた気がした

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    2025年06月22日
  • 友罪【電子特別版】

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    主人公、益田は、ジャーナリストの夢を諦めきれないままステンレス加工の会社で寮生活しながら働く。実際に起きた神戸の事件とそっくりな事件を物語にしているので臨場感ハンパない。実話に基づいていると言われても納得の描写でした。一緒に働く鈴木が神戸の事件の犯人ではないかと疑い始めた益田は鈴木に親友だと言われたことが引っかかっていた。親友を取るのかジャーナリストへの道を取るのか動けずにいた。一気読みでした。

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    2025年06月20日
  • 籠の中のふたり 【電子書籍版特典付き】

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    弁護士、村瀬は傷害致死事件を起こした従兄弟の亮介の身元引受人となり、釈放後に二人で暮らし始める。小6で母が自殺して以来、人と深く関わる事を避けてきたが明るい亮介と交流することで人として成長していく。二人は全ての過去を受け入れ本当の友達になれた。温かい涙が溢れて止まらなかった。

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    2025年06月20日
  • 籠の中のふたり 【電子書籍版特典付き】

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    涙が止まらない。人の思いやりと愛情の深さに震えるほど感動する。小学6年生の時に母親が自殺して以降、人と深く関わることができない男と傷害致死事件を犯し仮釈放中の従兄弟がそれぞれの殻を打ち破り新たな人生を歩み始めるまでの物語。

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    2025年06月17日
  • ラストナイト

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    薬丸作品にしては珍しく短めだが、テーマは実に薬丸さんらしい。
    顔に豹柄の刺青を入れた男・片桐の数奇な人生が、複数の視点から語られていく構成。出所しては再び罪を犯し、何度も服役を繰り返す彼はなぜ、そうまでして犯罪に手を染めるのか。

    物語は同じ5日間を別々の立場から追いかける巧みな構成で進んでいく。片桐への思い、彼の事件によって狂わされた人生、そして彼に自らの人生を重ねる人々の視線が絡み合い、先が気になって一気に読まされる。
    大筋に裏切りはないが、ラストにはかなりの衝撃が待っている。片桐の人生の執念、そしてそれが導いた結末は、きっと彼なりの「愛」の形なのだろう。だが、それでもなお胸に残るのは、ど

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    2025年06月09日
  • 罪の境界

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    ネタバレ

    罪を犯してしまう人と犯さず踏みとどまる人の境界を考えさせられる話。
    罪を犯してしまっても社会で再度生きようとする飯山さんの過去を考えると、境界を越えてしまったらそれで終わりと言うことはできないのかと思った。
    罪の境界を越えない人と越える人ととの違いは、人と関わって大切な人ができていくことが大事なのだと考えると、そういう機会を与えなかった親の責任はすごく大きいと思った。
    母親に母親の考えや遠慮があったのかもしれないけど、子どもを突き放してしまうような最後は苦しかった。

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    2025年06月08日
  • ブレイクニュース

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    先を読みたくなる物語。時事問題を上手に扱いながら、主人公の目的を達成しようとするドラマを描いている。痛快だね〜

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    2025年06月04日
  • 友罪【電子特別版】

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    皆それぞれ過去の苦悩をもち、今とこれからを生きていかなければなりません。その苦悩を理解できる人はいない。それでも人を信用したいという思いを感じる作品でした。

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    2025年06月03日
  • 友罪【電子特別版】

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    読み進めるのが辛かったけど、めちゃくちゃ良かった。千切れた指の傷痕をみせてほしいと言ったのは、一度動かなくなった命が蘇生することに心の拠り所を見出したかったのかもしれない。

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    2025年06月03日
  • Aではない君と

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    ネタバレ

    すごく考えさせられる。
    「心と体、殺されるのどっちが悪いの」という言葉が刺さった。私も親の立場で子供が自殺を考えるくらいまで追いやる人がいたらその人を許せないと思う。だからといって、罪に問われるのは人を殺した人だけだ。心は目に見えないからこそ、誰かがその傷を気づいてあげて助けてあげる必要があると思った。
    誰の立場にたってもすごく苦しかった。なぜその行動をしたのか、行動の本質を考えることの難しさと大切さに気づいた。

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    2025年05月30日
  • Aではない君と

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    なぜ罪のない動物を殺しても罪に問われず、残虐な行いを強要するような人であったとしても人を殺すと罪に問われるのかという問いに、何と答えればいいんだろう

    罪を償うという終わりがないものを抱えた人は、どう生きていけばいいんだろう

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    2025年05月28日
  • 籠の中のふたり 【電子書籍版特典付き】

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    人との関わりによって、深く傷つき傷つけることもある。でも、人との関わりによってしか、人は変われないのだと、本書を通して痛感した。

    快彦と亮介、とても良い関係性を築いていけるだろう。
    相手を思いやる、とても深い愛情を感じる。
    暖かな本でした。

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    2025年05月28日
  • その鏡は嘘をつく

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    『刑事のまなざし』の夏目刑事シリーズ第2弾の長編。単なる自殺と目されていた案件に違和感を抱き現場に出て解決しようとする志藤検事と、いたずら通報疑われる事件を丹念に追っていた夏目刑事が互いに事件の核心に迫っていく様と絡みが面白い。夏目の深いまなざしは単なる犯人探しの枠を超えて加害者へも贖罪を含めた人間性の回復への信念が込められているように思える。このシリーズの今後にも期待が持てる。舞台の東池袋が身近で目が離せない感じもある。

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    2025年05月28日