薬丸岳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
初、薬丸岳さん。
ココの住人さんたちが(少なくともオイラなんかをフォローしていただいている方々)、多く手に取られている作家さんだ。
恥ずかしながらオイラは、薬丸さんのお名前すら存じ上げなかった。
ココに出会わない=薬丸さんとも出会わない。
ご縁って本当に不思議だ。
まず薬丸岳さんのつづる文章のリズムと、オイラの薬丸さんの文章を読むリズムが、とてもここちよかった。
また大好きな作家さんが、お一人増えた。
ココの住人さんのおかげ!
そしてこの作品は「葛藤の連続」だと感じた。
「あー。もー。」と何回も、オイラ自身も葛藤しながら読み進めた。
そして「どうしても非情になりきれない登場人物 -
Posted by ブクログ
Audible聴了。
自分の妻が生まれたばかりの赤ちゃんの前で殺されるも、犯人が13歳の中学生3人組ということで少年法により罰せられず、しかもその身元/処遇も全く明かされないという忸怩たる思いの主人公(実際「犯人を殺してやりたい」発言)。その犯人の一人が殺され(主人公が疑われる)、続いて一人は運よく助かるが、またもう一人が最後に殺される。
犯人は誰なのか、何故妻は殺されたのか、非常に良く練られしかもテンポよく進むストーリーは、第1作目とは思えない「江戸川乱歩賞」受賞作。
先に『籠の中のふたり』を聴いたが、薬丸岳はこれからも読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ600ページ近くある大作だが、薬丸岳さんの本はとても読みやすく、すぐに読み終わってしまう。今回は友達が殺人を犯した過去があると知った時、どう行動するのか、という視点で話が書かれていた。苦しみながら生きていてほしい、そして一緒に償いを探していく、ということが、主人公が導き出した友情の証だった。難しいことを曖昧に終わらせず、結論を出してくれるところも、私が薬丸岳さんがすきなところの1つでもある。他にも、恋人が殺人を犯していたら?自分の息子が子どもを堕ろすと言ってきたら?自分がいじめに加担したせいで、友人が自殺してしまったら?たくさんの考えさせられる視点があって、読み終わった後は本当に複雑な気分にな
-
Posted by ブクログ
4.5/5.0
人生のどん底の渦中で出会った友人がかつて凄惨な方法で命を奪った殺人犯だった。
益田と鈴木の友情に胸が熱くなったり、孤独を共有した鈴木と美代子の愛情に心がじんわりとする度に頭の中に警鐘が響く。
「鈴木はかつて全く罪のない人の命を奪っている」
鈴木は法律上は償いを終えたことになっている。ただ、それはあくまで形式上の話であって、被害者遺族含め周りの人々がそれを認めないのは当然だと感じる。
自分自身も正直益田の行動に疑問を感じてしまった。人の命を故意に奪ったものに人権などあるのだろうか。幸せや楽しみを感じる資格などあるのだろうか…
これが今の自分の正直な感想。
明確な答えなど到 -
Posted by ブクログ
薬丸岳さん、2作品目。
前回は少年法の話。今回は無差別殺人の話。
裁判や刑事事件のことを詳しく分かりやすく書いてくれるので勉強になる。
タイトル「罪の境界」とは……
結婚を意識している彼から誕生日のデートをドタキャンされた「浜村明日香」
彼女の不幸はそこで終わりではなかった。
ドタキャンの腹いせにスイーツでも買って帰ろうと進路を変えスクランブル交差点を渡っていると、突然、斧を持った通り魔に襲われる。
全身17箇所の傷をおい、1週間意識不明、死の窮地をさ迷った明日香。彼女が生きていられたのは斧を持った通り魔から彼女を守ってくれた男性がいたから………その男性は明日香に最後の言葉を託した「…約 -
Posted by ブクログ
物語は、26歳の明香里が渋谷のスクランブル交差点で通り魔に襲われるという衝撃的な事件から始まる。明香里とその恋人・航平、そして事件に関心を持つライター・省吾の3人の視点を通して、被害の痛みや加害者への向き合い方が描かれていく。
重傷を負った明香里は、通りすがりの男性に命を救われるが、その男性は「約束は守った…伝えてほしい」という言葉を残して亡くなる。その“約束”の意味が、物語を読み進める鍵となる。柚月裕子さんの『教誨』を少し前に読んでいたこともあり、「約束」というキーワードが印象的に重なった。
省吾は犯人の過去を取材する中で、彼の幼少期が自分自身と重なるような、虐待やネグレクトにまみれた過 -
Posted by ブクログ
薬丸岳さん著「悪党」
今回の作品は軸が一本しっかりと通った連作短編集になるのだが、その軸の核がかなり著者作品特有の独自性を伴っている上、著者の筆圧の力も相まって読後の感想としては一本の長編小説に近い印象を受ける。
今回の作品、被害者遺族の視点から描かれていく物語。姉がレイプ事件の被害にあい殺されてしまった被害者遺族の未来が描かれている。
贖罪の気持ちを持たない加害者達に対しての怒り、加害者達の出所後の人生の放漫さや噛み砕き方に対しての赦し難い気持ち。
それらを各短編ごと、上手い具合に他の犯罪等をもを引用とし、比較対象させながらの物語展開は圧巻だった。
凄いなと感じさせられた台詞があった。
-
Posted by ブクログ
弁護士の村瀬快彦は小学校の時に母親が自殺した事により、他人との距離を取るようになった。父親が病死して、看病を手伝ってくれていた彼女に距離感から別れを切り出される。
そこに現れたのが、傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人になる事。人と関わることが嫌な村瀬だが、何とか条件付きで引き受ける。蓮見は村瀬の父親に生前、息子を心配のあまり籠にこもった息子を助け出すよう頼んでいた。
最初は推理小説では無い青春小説のような展開だったのが、蓮見の生き別れた父親(伯父)の登場により一気にきな臭くなってくる。
母親の自殺、伯父の逃亡、蓮見の事件等の原因探しの村瀬の旅が始まる。最後に辿り着いた真相が悲惨 -
Posted by ブクログ
通り魔事件が起き、娘の命は奪われた。
しかし、犯人は精神障害で心神喪失と認められ、罪には問われなかった。
その後、三上孝一は妻と離婚し、無力感に苛まれながら数年を過ごす。
だがある日、元妻は再び娘の命を奪った犯人を目撃する。
三上たちは、その男に近付いていく。
通り魔事件の加害者は心身喪失で無罪となったことに強い違和感を覚えた。
人を殺したのに何の罪にも問われないことは、本当に正しいことなのか。
悪いことをすれば罰せられる。
それは犯罪者を更生させるため、悪事を働かせないための抑止力の機能をするものだが、被害者のための償いという側面もあるはずだ。
そのため、被害者は自分の大切な存在を失った