薬丸岳のレビュー一覧
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薬丸岳さんは好きな作家。罪を犯した者、加害者と被害者、贖罪がテーマの重い小説が多い。
そんな薬丸岳の小説の中によく登場するのが、刑事の夏目信人という人物。彼は少年鑑別所の法務技官をしていたが、実の娘が通り魔にハンマーで頭を殴られ、植物状態になってしまったことで、犯人を探すために刑事になった男。その夏目刑事のエピソードが7篇収録されている。いずれも刑事としての鋭い観察眼と、想像力で犯人を追い詰めていく。そして最後の話では、娘を植物状態にした憎き犯人を突き止める話。点と点が線としてつながる展開が、ちょっとスリリングでした。
夏目刑事を主役にしたドラマも過去にTBSで製作されており、椎名桔平が演 -
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ネタバレ片桐達夫は、かつては愛する妻・子どもと幸せな家庭を築き暮らしていたが、ある傷害事件をきっかけに、人生が180度変わり、それ以降何度も罪を重ねて刑務所への出入りを繰り返している。
なぜ彼は罪を重ねるのか?
章ごとに語り手が変わり、同じ場面でも目線が違うと見え方がガラッと変化する。そして章が進むごとに、点と点が少しずつ線になり、片桐という男の秘めたる思いが明らかになっていく。
結末は悲しくて、切なくて、虚しくて。
エピローグの後、不器用で真っ直ぐな1人の男の人生が、きっと影響を与えたであろう周りの人たちのその後の人生や心情の変化まで答え合わせが欲しかった。それくらい、救いが欲しかった。
余 -
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探偵の佐伯を中心とした短編集。それぞれの物語が交錯し、姉をレイプし殺した3人の男の復讐へと導いていく。
薬丸岳さんはよく、贖罪を「(罪人が)幸せになること」だと描く。私もそのとおりだと思う。どんなに罰を与え苦しめ痛めつけても、行動の後悔に繋がったとしても反省には繋がらない。だけど、幸せなときに初めて、大切な誰かを失うことや幸せを壊されることの辛さを実感する。
今回の作品は、その過程を描くのではなく、被害者側が復讐として、加害者がそうなるよう仕向けていた。その意味では、私は最後録音を聞かせても良かったのではないか、坂上が死んだ後のりさや細谷を描いても良かったのではないか、とも思う。(もっと重いド -
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薬丸岳さん著「アノニマス•コール」
だいぶ著者の作品は読んできたがその中でも極めて疾走感のある作品だった。
調べてみたら「アノニマス」とは「匿名」とか「正体不明」とかの意味らしい。
半年位前に「アサヒビール」が「アノニマス」という集団からサイバー攻撃された事件を思い出した。
そういう意味だったのか…
その時は言葉の意味を深く考えずそのままの時事として受け入れてしまっていたと反省。
知らない言葉はやはりその都度調べるべきだと今回思い至った。
物語は奥行きこそ余り感じなかったが、特質として疾走感に富んだ作品だった。
警察、もしくは何かしらの権力によって引き起こされた誘拐事件なのはすぐに察しがつ -
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実際にあった少年による殺人事件と結びつけてしまう。そして、あの時の犯人が名前を変えて自分の近くにいたとしたら、しかもそれが友達だったらと考えてしまう。果たして、彼を受け入れる事ができるのか。
受け入れることは難しく、かと言って切り捨ててしまうことは辛すぎる。
過去の罪を背負って生きる人の苦悩。
苦悩という言葉では軽すぎる、地獄と言ってもいいくらいの壮絶な苦悩。
だからと言って、手を差し伸べることなど容易ではない。自分だったらどうするのか。ずっとそう思いながら読み進め、結論が出ないままに読み終わった。
作中の主人公の結論はとても感動的である。あくまでも自分も、そうありたいという気持ちとは別に。 -
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旅先で一気読み。
殺人を犯した、加害者の少年の親が主人公。
きっつい。
同じように親である自分には1番想像したくない世界。
でも、主人公に言いたいよ。
仕事?彼女?精神が不安定?
どんなに一生懸命そばで過ごしてても大変なこといっぱいあるのに、でも寄り添ってるからこそわかるものもあるのに。
なんでそこまで追い詰められてるのにカケラもわからないの。
まだまだ小さな世界で生きてる子供は逃げ道がほとんどない。1人で歩いていけるまで親は一緒に歩んで行かなきゃいけないのに。
罪ってなに。反省ってなに。
人を殺してしまうということって。
ニュース観て、酷いね。こんな犯人最低ね。っていつも思う。
でも -
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辛くて重たいエピソードも織り交ぜながらも、最後には人間の温かさが心に沁みる、とてもハートフルな物語だった。
弁護士である主人公の快彦は、傷害致死事件を起こした従兄弟の亮介から身元引受人を依頼され、渋々それを引き受ける。過去の出来事がきっかけで、人と深く関わることを避けてきた快彦だが、刑期を終えてもなお快活さを失わない亮介と過ごすうちに、少しずつ心を開き人間として成長していく。その過程が非常に印象的だった。伏線を回収しながら、広げた風呂敷を上手く畳んでいく構成も見事だった。
物語を通じて、人間のすべての行動には善悪問わず、それに応じた報いが返ってくるんだな、と痛感させられた。
とある人物の最 -
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ネタバレ犯罪者のその後の生き方について考えさせられる、かなり重いテーマの作品だった。
鈴木は普通に生活しているときはむしろ心優しい人物にも見えて、だからこそ「なぜあの事件が起きたのか」という部分がより気になった。映画もあるらしいのでまた見てみようと思う。
表面的な姿と過去の行動のギャップが大きくて、簡単には理解できない怖さがあった。益田の指が切断される場面での鈴木が少し怖かった。
また、美代子の立場もとても不憫だった。本人が直接何か悪いことをしているわけではないのに、周囲の視線や扱いによって追い詰められていって社会の残酷さを感じた。
益田が鈴木に対して距離を置き、時に傷つけるような態度を取る場面