薬丸岳のレビュー一覧
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薬丸岳氏の慟哭の社会派ミステリー。
派遣の仕事を切られ、日雇い仕事すら失い、今日明日の生活にも困窮する江原仁(25)。
とうとう怪しい闇の掲示板で、仲間を集うことに。
そこに集まったのは、仁(ジン)をはじめ、バーボン、ウオッカ、テキーラ、そしてラム(女性)の5人。
彼らが計画したのは、軽井沢に住む富豪の豪邸を襲う現金強奪計画。
しかし、途中で誰かに殴られ気を失ってしまう。気づいた時には、放火・殺人の犯人(容疑者)となっていた...
いったい、誰が自分を嵌めたのか?
そこから始まる真犯人追求の旅。二転三転する流れの中で、警察に追われながらも、真犯人へたどり着くことができるのか?
『いいな、女は』...
仁の何気ないその一言が、大きな運命の転換を促す。
『天使のナイフ』もそうでしたが、薬丸作品では、何気ない一言やワンシーンが重要で、そこが大きな伏線となり、最後に、あれはそういう意味だったのか、と驚かされますが、まさに本書はここでしょうか?
最後に、仁と母の面会シーンは、ウルウルです。 -
Posted by ブクログ
兄妹二人、児童養護施設で育った小沢裕輔は、誤ってラーメン店主を殺害してしまう。
しかし、彼は、警察に出頭せず、逃走を図る。
いったい、彼は、何のために逃走を続けるのか?
その目的とは?
序盤から、スリリングな展開が続きますが、やがて見えて来るその目的とは?
そして、兄想いの美恵子が知った驚愕の真相とは...
登場人物の全てが、自分ではなく、人のために行動しているんですね。
後半、美恵子と母・文恵の対面は、盛り上がります。
薬丸作品は、読後に考えることが多いですね。
関係者の今後は、辛いことも多いと思いますが、少しでも幸多かれ、と願います。 -
購入済み
赦しと償い
自分ではどうにもならない不条理に出会した後、自分だったらどう生きるのか。自分の周りの人が不条理に絡めとられたら自分は見捨てずにいられるだろうか。考えさせられるとともに終盤は涙が止まらなかった。
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購入済み
誘拐ミステリーとして、とても面白かった。最後までドキドキしながら一気に読み切った。
警察組織がこんな組織でないことを切に願っている。そして信じている。政界は分からないけど。
最後は家族愛や人間愛にたどり着き、ホッとした。 -
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ネタバレかつて姉を殺された主人公・修一は、探偵として働いている。その探偵事務所に、「かつて身内を殺した犯人が出所後にどうしているか調べてほしい」という依頼が来る。調べてどうしようというのか…憎しみの気持ちが理解できるだけに、自分の仕事の意味に悩むが、憎むべき相手を見つけてどうするかは依頼人次第だ。探偵としては、頼まれたことをするだけだ。
短編風に、何人かの犯罪被害者が登場する。彼らの依頼を受けながら、修一本人も、自分の姉を殺した犯人に対してどうするべきか、自分はどうしたいのか、悩み続ける。
これまでの薬丸岳の作品同様、本当に重たいテーマだ。本作はもう推理とかサスペンスチックなしかけは全くなくて、とにかくストレートに、犯罪被害者の遺族は加害者を赦せるのか、加害者が刑期を終えた後どうなっていれば赦せるというのか、ということを問題にしている。
夢も希望もなく、家族も友達も失ってホームレスみたいな生活をしていれば赦せるのか。立派に社会人になって仕事をして世の中に貢献していれば赦せるのか。反省の言葉を口にすれば赦せるのか。加害者も大切な人を殺されたりして同じ苦しみを味わえば赦せるのか。
加害者が本物の「悪党」だった場合、反省を促すとか、同じ苦しみを味わうとか、そういう何もかもが無駄なのかもしれないと思わせるくだりがあって、とっても重かった。犯罪被害者に対して社会が優しくないといけないと思った。報道などで何度も傷つけられるようなことがあってはならないし、被害者が子供だったりした場合、社会が絶対に守らなきゃいけないと思った。 -
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ネタバレ薬丸岳さん、けっこういろいろ読んだ。毎回違ったいろんな角度から、社会の矛盾や究極的な問題について問いかけてくる作品。本作は、社会の底辺でもがく若者が、本当に明日生きていくのにも困って、ネットで闇の仕事を探すんだけど、どこまで同情できるか、っていう話。そして、こうでもしないと生きていけないから、と軽い気持ちで「闇の仕事」に加担すると…
自分は恵まれなかった、不運がかさなった、自分だって被害者だ、と自己弁護しながら「人を殺しさえしなければ…」と強盗を働く主人公。でも、やはりそれだけでは済まない。
どんなに運が悪くても、家族に疎まれたり大手企業に搾取されたり派遣切りにあったり親切心をあだで返されたりして社会を恨んでも仕方ないような状況でも、絶対に踏み越えてはいけない一線があることに気づかされるストーリーです。「Aではない君と」は父親の心境が少しずつ変わって息子の罪と向き合っていくような描かれ方をしていたような気がするけど、本作では主人公が、最後の最後にものすごい衝撃で自分の罪深さに気づく、心の底から後悔する展開でした。
真面目に生きてきた読者としては、「もっと早く気づけや!」ともちろん思うけど、世の中にはこういう事例はたくさんあるのだろうな…、不幸な若者が、更に不幸を増殖させるようなことにならないために、セーフティネットが本当に重要だな、と真面目に思いました。 -
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刀の行方
五人の作家のリレー小説。
それぞれの持ち味が存分に出ていて、読み応えがあります。
こんな風な小説は時にあらぬ方向へと流れたりする事もありますが、最初と最後がきちんとつながります。 -
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ネタバレ薬丸岳さんの作品、2作読んでみて、心血を注いで書いている内容だと思ったので、非常に暗くなる内容だけど読みました。
幼女に対する性犯罪を扱った内容。子どものころ妹を殺された刑事が、同じような犯罪と対峙する。その葛藤を描くことで、犯罪被害者の気持ちを深く考えさせられるようになっている。そして、世の中からそのような悲劇をなくすにはどうすれば良いのか。性犯罪者を残虐に殺す殺人犯を、社会は容認できるのか?処刑人「サンソン」を名乗る犯人の正体はいったい誰なのか?かなりドキドキしながら読めます。性犯罪者=変態。で終わってしまわず、犯罪者を取りまくいろいろな要素も取り入れ、その葛藤も究極的な形で描いている。衝撃。 -
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犯罪被害者家族でありながら、被害者にも加害者にも寄り添い、真実を見極めようとする夏目刑事のシリーズ。
ワイドショーなんかでは虐待のニュースとか、身内同士の殺人とか、ただセンセーショナルに報じて騒いだり、背景に何があったのか勝手な、そして薄っぺらな憶測をしたりするけど、被害者にも、不幸にも加害者になってしまった人にもそれぞれの人生がある、ということを気づかせてくれる。家族の愛情に包まれ、犯罪被害にも合わず、また自分が加害者や被害者になる可能性を考えもせずに生きてきた人には、とうてい理解できない犯罪動機が潜んでいたりする。
親からひどい虐待を受けて育った少年が、猛省した母から「あなたの幸せを見届けたい」と言われて考えた母への復習の話「刑事の約束」が重たかった。
親から認めてもらえないという後遺症は重い。 -
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ネタバレ居酒屋「菊屋」にやってくる顔に刺青を入れた片桐。
32年前にその店で店主の妻に脅してきたヤクザから
守るために傷害事件を起こしてしまい、それから
何度も強盗、誘拐事件をおこしては服役を繰り返してきた。
それは何故なのか?最初の事件で妻と子供と別れることになり
自暴自棄になったからなのか?
「菊屋」の店主菊池、弁護士の中村、娘のひかり、
ヤクザの女絢子、片桐に借りのある荒木、それぞれの
視点から片桐という人物との関わりが書かれている。
復讐のためだけに生きる片桐がとても悲しく、
ラスト10ページぐらいから涙が止まらなかった。
ゲスな梶原にもっとスカッとする復讐をさせてやりたかった。