薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私の読む本では、検察官から弁護士になったり、逆になったりの本が多いが実際にはどうなんだろうかと思いながら読んだ。
そんな鞍替えが簡単にはできると思えないが、多角的に物事を考えられるようになるのかななんて思った。
こういう「悪」が何かに対してを受け止めなければいけない仕事というのは、本当に大変だなと思う。
100人いれば100人の「悪」があり、「良くは無いと思うが悪なのか?」という案件もあれば、ある人物から見たら「完全な悪」だったりもするわけで、それに白黒つけるというのは責任の伴う仕事だなと思った。
もちろんそれぞれの仕事が責任が伴わないという訳では無いのだが。
言い方は悪いがそこまで難しい事件に感じなかったので、上下巻に分かれる程長くなるか?と思っていたが、次々に色んなことがわかってほぼ何も分からなかったという感じだった。
急いで下巻を読みたい! -
Posted by ブクログ
ページをめくる手が重くなるほどにつらく、そして最後まで圧倒的な緊張感が離さない、あまりにも壮絶な心理描写が続く物語でした。
物語は3名の視点によって多角的に紡がれていきます。受刑者に教誨師として説教を施すことを任されている保坂。女性2人を殺害し、裁判中も全く反省の色を見せず、むしろ一刻も早い死刑執行を望む死刑囚・石原。そして、その石原が収監されている東京拘置所で刑務官として勤務する手嶋。それぞれの立場からの葛藤が重なり合っていきます。
そして物語のなかで大きな衝撃を迎えるのが、石原に説教を試みる教誨師・保坂の正体が、実は「被害者の父親」であるという事実です。しかも保坂自身、かつて大切な人に対して犯した過ちや、誰にも言えない後ろめたい過去を心の奥に抱えており、その影が彼の内面をずっと重く縛り付けています。
目の前に座っている、自分の愛する娘の命を奪った張本人である石原を前にしたとき、過去の十字架をも背負う父・保坂のなかで一体何がうごめき、どう感情が爆発するのか。その対峙の場面は息をするのも忘れるほどの迫力があります。
「人を赦す」とはいったいどういうことなのか。終始張り詰めた極限の緊張感が漂い、ページを閉じたあともその重みがずしりと残り、読後も暫し放心状態になってしまいました。
自分自身も妻子を持つ身として読んでいると、「もし自分が同じ立場、同じ状況に置かれたら、果たしてどういう行動が取れるだろうか」と、どうしても我が身に置き換えて考えてしまいます。
当然、犯した罪は到底許されるべきものではないですし、一秒でも早く法の裁きが下され、刑が執行されることを強く望んでしまうと思います。しかし、そんな絶対に交わらないはずの加害者的立場と被害者的立場の人間が向き合うなかで、人間の心の奥底では何が起こるのか。憎しみや復讐心だけではない、人間同士のなかにふと芽生えてしまう「情」や歪んだ絆のようなものは本当に存在してしまうのか。
綺麗事では決して割り切れない倫理と感情の境界線で激しく心が揺さぶられ、読み終えた後も長く頭から離れない、非常に重厚な一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた刑事シリーズの1作目。
娘を通り魔に襲われて植物状態にされた夏目信人が、転職して刑事になった。
前職は法務技官。
そんな夏目が事件を解決する連作短編集。
え?と思うような逆転もあって面白かった。
けれど、ラストの話だけは嫌だったな。
家庭環境に問題があったことには同情するけれど、己の罪を償わず、『一生背負うから』と幸せに生きるのはどうだろう。
たとえ罪に問われなくても、虐めをしたことには向き合わず、「自分もあの頃は青かった」じゃないよ。
相手に真摯に謝罪しないからずーっと恨まれるんだよ。
そして、罪を償っていないくせに『自分の幸せな生活を守りたい』は虫が良すぎ。
一先ず事件は解決したけれど、夏目が救われることはないだろうな。
この先のシリーズも追いかけたい -
Posted by ブクログ
教誨師というものを知ってから、教誨師の話というのは何作か読んだが、色んな人間がいるから当たり前に、教誨師にも色んなスタンスの方がいるんだなと思った。
赦されないから刑が決まったのに、やはり家族がいない人はいないから、必ず後悔してしまうし、誰かに赦されたいものなのかなと思う。
もちろん生まれながらの悪というのは誰も居なくて、生きている過程で色んなことがあるんだろうが、愛情というか、唯一無二の無償の愛いうのが家族に当てはまるのかなと感じた。
それでもどうして由亜に全てを打ち明けなかったのかなというのは疑問だった。
こういうのを打ち明けるタイミングやらメリットデメリットというのもすごい繊細な問題なのかなと思った。