薬丸岳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
どう考えても本当のことを言ってるように思えなかった垂水の供述が、ようやく本当のことを言ってるように感じられた。
そうすると加納の人間性というか、色んな人の話を聞いた上で「この人はこういう人」という印象を読み取るのが難しいなと思えた。
法廷シーンがメインだが、この質問でこういうアピールが少しでもできたか等考えてるのが新たな気づきだった。
そういうことも考えながら証人に質問したり、尋問したりするから、すごい頭脳戦なんだなと思った。
話が進むにつれ真実がわかって行ったが全てがわかった上で「悪」を判断するのがこんなにも難しいんだと思った。
どうしても情が伴うし、死んで当然という人もいないし、罪を犯した人にも何かしらの理由だってあるわけで、これを裁くというのがいかに難しいことなんだと気づけた話だった。 -
Posted by ブクログ
2025年…何月か不明
4.0
町工場で出会った同僚との話。
とある過去の罪悪感を抱く主人公。
寡黙で有能な同僚。
いつか同僚が過去の犯罪者Aではないかと疑問に思う…
とある日、主人公が勤務中怪我をしてしまい
同僚が応急処置を適切にしてくれる…が?
最初距離感があったが
徐々に距離が近付きつつ友人になった人の
【過去の罪】を知ってしまい
一度でも違う視点で見てしまうと…
自分は相手の過去(犯罪)を無しに
再び同じ接し方をできるのだろうか
主人公と同僚との
【罪】という文字が重くのし掛かる。
自分たちの場合なら
どう行動できるか、
考えさせられる良い小説
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Posted by ブクログ
私の読む本では、検察官から弁護士になったり、逆になったりの本が多いが実際にはどうなんだろうかと思いながら読んだ。
そんな鞍替えが簡単にはできると思えないが、多角的に物事を考えられるようになるのかななんて思った。
こういう「悪」が何かに対してを受け止めなければいけない仕事というのは、本当に大変だなと思う。
100人いれば100人の「悪」があり、「良くは無いと思うが悪なのか?」という案件もあれば、ある人物から見たら「完全な悪」だったりもするわけで、それに白黒つけるというのは責任の伴う仕事だなと思った。
もちろんそれぞれの仕事が責任が伴わないという訳では無いのだが。
言い方は悪いがそこまで難しい事件に感じなかったので、上下巻に分かれる程長くなるか?と思っていたが、次々に色んなことがわかってほぼ何も分からなかったという感じだった。
急いで下巻を読みたい! -
Posted by ブクログ
ページをめくる手が重くなるほどにつらく、そして最後まで圧倒的な緊張感が離さない、あまりにも壮絶な心理描写が続く物語でした。
物語は3名の視点によって多角的に紡がれていきます。受刑者に教誨師として説教を施すことを任されている保坂。女性2人を殺害し、裁判中も全く反省の色を見せず、むしろ一刻も早い死刑執行を望む死刑囚・石原。そして、その石原が収監されている東京拘置所で刑務官として勤務する手嶋。それぞれの立場からの葛藤が重なり合っていきます。
そして物語のなかで大きな衝撃を迎えるのが、石原に説教を試みる教誨師・保坂の正体が、実は「被害者の父親」であるという事実です。しかも保坂自身、かつて大切な人に対して犯した過ちや、誰にも言えない後ろめたい過去を心の奥に抱えており、その影が彼の内面をずっと重く縛り付けています。
目の前に座っている、自分の愛する娘の命を奪った張本人である石原を前にしたとき、過去の十字架をも背負う父・保坂のなかで一体何がうごめき、どう感情が爆発するのか。その対峙の場面は息をするのも忘れるほどの迫力があります。
「人を赦す」とはいったいどういうことなのか。終始張り詰めた極限の緊張感が漂い、ページを閉じたあともその重みがずしりと残り、読後も暫し放心状態になってしまいました。
自分自身も妻子を持つ身として読んでいると、「もし自分が同じ立場、同じ状況に置かれたら、果たしてどういう行動が取れるだろうか」と、どうしても我が身に置き換えて考えてしまいます。
当然、犯した罪は到底許されるべきものではないですし、一秒でも早く法の裁きが下され、刑が執行されることを強く望んでしまうと思います。しかし、そんな絶対に交わらないはずの加害者的立場と被害者的立場の人間が向き合うなかで、人間の心の奥底では何が起こるのか。憎しみや復讐心だけではない、人間同士のなかにふと芽生えてしまう「情」や歪んだ絆のようなものは本当に存在してしまうのか。
綺麗事では決して割り切れない倫理と感情の境界線で激しく心が揺さぶられ、読み終えた後も長く頭から離れない、非常に重厚な一冊でした。