薬丸岳のレビュー一覧
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妊娠中の娘を快楽殺人犯に殺された牧師が、復讐のために教誨師として死刑囚となった犯人と交流する話。
非常に重い内容だった。
いわゆる「無敵の人」と言われる凶悪犯罪者にも人の心はあるはず。という薬丸岳さんの祈りも含まれた作品だという。
最初はこの犯人への嫌悪や憎しみが溢れ出してきた。だが、読み進めてこの男の育ってきた環境や、幼少期からの性質が変化してきた要因を知り、死刑執行を待つ彼に同情心も芽生える。でも、だからといって人を殺して良い理由などない。死刑になるのは致し方ないのだ。被害者の無念を忘れてはならないという気持ち。
様々な感情が心を巡り、何度も涙した。
主人公の最後の選択には、なんとも言え -
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ネタバレジャーナリストになろうとしてなれず、食うに困って埼玉にある寮付きの工場で働くことにした益田。
同じ日に採用された鈴木とともに、寮生活を始める。
寮といっても、もともと一部屋だったものを薄いベニヤで壁をつけただけのような、狭苦しい3畳間。
隣の鈴木の部屋は益田の部屋とは違って押し入れはあるが、窓はない。
人とのつきあいを極端に避けるような鈴木に益田は声をかけ、徐々に鈴木は皆とうちとけてゆく。
言葉にウラオモテがなくまっすぐな正義感を持ち、妙に世間知らずの鈴木を、益田は好意を持って受け入れたのだが。
十四年前に日本中を震撼させた連続児童殺傷事件の犯人ではないかと疑いを抱いたことから、話は加速 -
Posted by ブクログ
告解(こっかい)とは、キリスト教の幾つかの教派において、罪の赦しを得るのに必要な儀礼や、告白といった行為をいうそうだ。
テーマは『贖罪』であることが多い。加害者と被害者、いつ自分や家族がそうなりうる可能性がある内容だから、なかなか重い。
また小説の舞台となる地域が埼玉県であることが多いのが、薬丸岳の小説の特徴だ。大宮駅の改札、上尾警察署、川越刑務所、主人公は北本のアパートに住んでいて、元恋人は鴻巣にいる、宮原や桶川まで…それぞれの場所でのシーンなどは実際に取材も行っているのかなあ。どうしても親近感が湧き、読んでしまう。(プロフィールを見る限り、埼玉生まれでは無い)
あらすじは…
二十歳の大 -
Posted by ブクログ
読み進めるのが辛い本でした。
しかしながらページを捲る手が止まらなかった…
虚しい夢…信じたくない夢のことでしょう。
物語は通り魔殺人が起きる雪の公園から始まる。21歳の若者の刃で、12人もが殺傷…愛する3歳の娘がナイフで殺され、妻も背中を刺されたが瀕死で何とか生き延びるが精神が崩壊してしまい統合失調症で今も苦しんでいる…その夫(父親)が主人公だ。
犯人はなんと罰せられなかった…刑法第39条に『心神喪失の者は罪に問われない(中略)』とあり、精神鑑定の結果、犯行時に心神喪失だったことが認められ不起訴となる。
何も罪ない愛すべき幼い娘を突然奪われた絶望感と喪失感は計り知れない。
罪に問われる -
Posted by ブクログ
籠の中のふたりを読んで、とても好みの内容だったことと、読みやすかったことから、違う作品も読んでみたくなった。刑法41条を扱った内容で、犯罪を犯したが罪に問われなかった少年たちと、法で裁けない現実からやりきれない思いをかかえる被害者家族の間で、何が起きたのか、謎が1つづつ解けていき、最後にはあっと驚く展開だった。事件はナイフで始まり、ナイフで終わる。ナイフが凶器というあたりに少年少女のリアルを感じる。子どもは間違いを犯す、だから教育が必要だという意見にも、その教育の中に罪と向き合った時間は果たしてあったのかという意見にも、どちらにも共感できて、とても面白かった!