薬丸岳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この本、めっちゃ良かったですよ!
私はかなり好きです!
よりによって、年度末の期末決算中にこの長編を読んでしまったことに若干後悔しました。
もっと気合い入れて短期間で読みたかったです。
この物語の良さは、前半戦読んでも読者を何処に導いてくれるのか全く想像出来ないこと。
想像出来るようなお話ではなくて、帯に書いてあった通り、予測不可能なところ。
家庭に問題があり、戸籍を持たず、小中学校に通えなかった町田が殺人事件を起こし少年院に入る。彼のIQは161以上だった。
少年院での出来事、そして、出所してからの人生。
彼が幼少期を共にした知的障害のある少年。
彼に絡む少年院時代の友人や謎の組織。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回も考えさせられる内容だった。もう少し登場人物の背景描写が欲しくなるぐらい、深く読みたくなる本。
自分にとって大事な人が殺されて、『加害者が心神喪失により責任能力なし』と言われたら、誰にこの怒り悲しみ絶望を当てればよいのか、何をしても大事な人は戻ってこないのに...と思ってしまうだろう。もしそんなことが起きたらと考えるだけで胸が詰まるし、精神病に罹った人とかかっていない人、見分けられるか確認したくなるだろう。でもこの展開には驚いた。
統合失調症も、鬱も誰だってなりうる病であり、望んでなる訳ではない。しかし、心神喪失であるからと『自分じゃなくなるか』は難しいところではないだろうか。だからと言 -
Posted by ブクログ
親友が過去に凶悪犯罪を犯していた事実に苦しむ話。
この本は加害者側の優しい面を中心に描かれているので、加害者は罪を償いながらも生きてほしい、と読者に思わせるが、もし自分の家族が被害者だったら加害者にはできるだけ苦しんで死んでほしいと思うだろう。こういう難しいテーマの物語こそ小説という人々の心に残る形で綴るのに適していると思うし、そんなテーマの作品を描き続けている著者を尊敬する。
加害者と知らずにその人を好きになった女性も出てきて切ない。自分の人生を救ってくれた人が猟奇殺人をしていたとか苦しすぎるし、恋人として一緒に生きていくことはできないという結論になるのも頷ける。
なので一つ言えるのは、加害 -
Posted by ブクログ
薬丸岳氏の作品は被害者の身内と加害者が軸になるものが多いのだけど、この作品はその集大成にも個人的には思えた。
教誨師として、自分の娘を無残に殺した死刑囚石原と対話するというなんとも残酷な話。
人も3人も殺し、人生に投げやりでふてぶてしい態度だった石原が教誨師の宗佑と対話していくうちに少しづつ心が変化していく過程が丁寧に描かれていた。
ニュースなどで死刑執行されたとか聞いたり、酷い罪を犯したニュースを聞くと死刑になればいいと簡単に思ったりしたけれど、それを執行する刑務官の精神的苦痛の大きさに気付かされた。
すごく苦しい作品だったけれど、読んでよかった。
-
Posted by ブクログ
やっぱり重い…
無差別通り魔事件か…
被害者として、九死に一生を得るような感じで、生き残っても何か辛そう…
もう事件後の人生めちゃくちゃやん!
加害者の方も「誰でも良かった」とか、メジャーな回答してるけど、幼児虐待やられてて、目標が、「母親殺すこと」か…
勝手にやっといて欲しいんやけどな。他人を巻き込まんと…
被害者として生き残った彼女は、見ず知らずの人に通り魔から、助けられて、何とか生き残ったけど、助けた見ず知らずの人は死んでしまう。
死ぬ間際に「約束は守った…伝えてほしい…」という言葉を残して…
被害者ももう襲われた事がトラウマになって外にすら出れん…
恋人も見捨て、酒で唯一、睡眠が取 -
Posted by ブクログ
薬丸岳さん著「Aではない君と」
著者の作品は自分にとって初読みとなる。
第37回吉川文学新人賞受賞作品。
約10年前の作品で当時これは衝撃作だったに違いないだろう。
実のところ2年程前から読んでみようと思っていて著者の「天使のナイフ」と共に本棚で長らく眠っていた積読書で、この際やっと読む事ができた。
作品は少年犯罪に関わる物語なのだが、どちらかというと母子父子の親子物の物語という印象を強くうける。
「フィクションでよかった」としか言いようがない物語で、しかし世の中には現実に同様の事件に携わった方々も多く存在しているであろう事を強く感じさせられてしまう。
考えさせられる作品である。
そして -
Posted by ブクログ
久しぶりの薬丸さんの新刊でワクワクでした♪
綿密な取材、資料の多さが容易に知れる作品ばかりなのでとにかく新刊が出ない。゚(゚´Д`゚)゚。
上下巻併せて700ページ…長い!けれど最後まで失速する事なく、そして結末に納得し読み終わった。
久しぶりの薬丸作品はハラハラもどんでん返しも良い意味で地味。これを長くつまらないと思うかは読み手によるかもしれない。
事の発端は「子供を亡くす」事である。
わたしにも30を過ぎた子供が2人います。
産まれた瞬間、いやお腹にいる時からもしこの子がいなくなったらどうしよう…と不安になった。
病気になったら、事故にあったら、事件に巻き込まれたら…生きていけるだろう -
Posted by ブクログ
渋谷スクランブル交差点での無差別殺傷事件。普通の家庭で両親の愛情に恵まれ、その日、自分の26歳の誕生日に恋人とディナーの予定だった明香里は突然、知り合いでもない小野寺に全身17箇所を斧で切り付けられ、生死を彷徨った。
一命を取り留めたのは飯山という男性が自分を守って、犠牲になってくれてからだった。明香里は事件後、ズダズダの精神状態の中で、自分を守って亡くなってしまった飯山という身元不明の男性の軌跡を追う。
一方、犯人の小野寺の半生を追う者もいた。小野寺と同じように親に虐待され続けて、児童養護施設に入所経験のあるライター、省吾であった。
「負の連鎖」という言葉がある。
貧困家庭に育った子 -
Posted by ブクログ
妊娠中の娘を快楽殺人犯に殺された牧師が、復讐のために教誨師として死刑囚となった犯人と交流する話。
非常に重い内容だった。
いわゆる「無敵の人」と言われる凶悪犯罪者にも人の心はあるはず。という薬丸岳さんの祈りも含まれた作品だという。
最初はこの犯人への嫌悪や憎しみが溢れ出してきた。だが、読み進めてこの男の育ってきた環境や、幼少期からの性質が変化してきた要因を知り、死刑執行を待つ彼に同情心も芽生える。でも、だからといって人を殺して良い理由などない。死刑になるのは致し方ないのだ。被害者の無念を忘れてはならないという気持ち。
様々な感情が心を巡り、何度も涙した。
主人公の最後の選択には、なんとも言え -
Posted by ブクログ
ネタバレジャーナリストになろうとしてなれず、食うに困って埼玉にある寮付きの工場で働くことにした益田。
同じ日に採用された鈴木とともに、寮生活を始める。
寮といっても、もともと一部屋だったものを薄いベニヤで壁をつけただけのような、狭苦しい3畳間。
隣の鈴木の部屋は益田の部屋とは違って押し入れはあるが、窓はない。
人とのつきあいを極端に避けるような鈴木に益田は声をかけ、徐々に鈴木は皆とうちとけてゆく。
言葉にウラオモテがなくまっすぐな正義感を持ち、妙に世間知らずの鈴木を、益田は好意を持って受け入れたのだが。
十四年前に日本中を震撼させた連続児童殺傷事件の犯人ではないかと疑いを抱いたことから、話は加速