教育 - 筑摩書房 - 筑摩選書の検索結果
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江戸・東京水道全史
徳川家康による都市建設の当初から、江戸の水道は高低差を緻密に計算し、複雑な地形を利用する形でつくられてきた。中心部の小石川上水、それを発展させた神田上水、そして玉川上水を基盤とした水道は、明治以降には近代化され引き継がれてきた。急速な工業化や関東大震災からの復興、戦後復興・高度成長を経て水道がいかに拡張され、また経営されてきたか。江戸・東京の経営史を専門とし、東京都水道局に長年勤務してきた著者による、世界屈指の都市の決定版水道史。 【目次】プロローグ/I 江戸時代/第1章 家康と水道/第2章 天下普請の時代/第3章 城下町・江戸と神田上水/第4章 玉川上水の新設/第5章 上水経営の実際/II 明治時代~現代/第7章 近代水道にいたる道のり/第8章 近代水道の成立と関東大震災──拡張の始まり/第9章 大東京と水道/第10章 拡張に次ぐ拡張の時代──戦災復興期から高度経済成長期まで/第11章 量から質へ──低成長時代から現在まで/あとがき/索引 -
関東大震災と民衆犯罪 ――立件された一一四件の記録から
1923年の関東大地震。その直後から自警団による、朝鮮人、中国人らに対する襲撃事件が多発し、日本人を含む多くの犠牲者をだしたが、その実態はいまだ明らかではない。誰が誰をなぜ殺したのか? 検察が立件、起訴した600人以上の被告、約90人の日本人被害者のプロフィールを分析するなどして、民衆犯罪の全貌に迫る。事件から100年、地域に根差した庶民が起こした史上最大最悪の惨事=ヘイトクライムをとらえなおす。 【目次】はじめに/第1部 関東大震災下の国家と民衆/1 軍・官・民一体のエスノサイド/2 自警団、その組織と活動実践/3 エスノサイドの背景/第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向/1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動/2 日本人襲撃事件の実態と被害者像/3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証/第3部 沖縄出身者と自警団/1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴/2 関東大震災、ふたつの体験記/3 沖縄出身製紙労働者の震災経験/4 沖縄における伝承の形成と定着/巻末資料/結びに代えて/索引 -
国民防空 ――日本的危機対応の失敗と教訓
この国の落とし穴は 有事対応にある 「想定外」による失敗を繰り返さないために 第一次大戦後に来たるべき空襲に備え提唱され、軍・当局・国民が一丸になって進めた「国民防空」。関東大震災の経験を宣伝材料にして驚くほど急速に浸透したが、安易な想定や精神力依存、同調圧力による普及などの欠陥も多く、新技術を用いた米軍空襲には機能しなかった。この国民防空の組織や技術は、戦後の災害対策や国土計画・都市計画に引き継がれ現在に至っている。現代日本の危機対応の原点ともいえる国民防空の成立と普及過程を検証し、その教訓を未来へと伝える。 【目次より】 まえがき 第一章 関東大震災から動き出した「国民防空」 1 「国民防空」の内容と展開過程 2 関東大震災と軍の教訓 3 防空研究にみる関東大震災の影響 第二章 大阪市・東京市の非常変災要務規約と防空演習 1 大阪への震災影響と東京の動き 2 防空演習の実相 3 防空演習への批判 第三章 時間を要した防空法成立と審議過程 1 防空法成立前の経緯 2 帝国議会の審議 3 関東大震災等の影響 第四章 国民防空に関する技術の開発動向 1 軍の研究会と二つの火災実験 2 軍と学会等による研究体制 3 米国の空襲技術の開発 第五章 防空計画・指導要領と「都市の防空的構築」 1 防空計画と指導要領 2 「都市の防空的構築」の構想 3 専門家による防空の都市づくりに関する提案 4 函館大火と静岡大火 第六章 防空意識の涵養 1 国民防空に関する言説 2 『国民防空読本』と『時局防空必携』 3 『写真週報』にみる防空啓発 4 東京市・都の広報と関東大震災 5 様々な媒体による防空啓発 第七章 国民防空の手本になった「神田和泉町・佐久間町」 1 「神田和泉町・佐久間町」の事蹟 2 防空の模範として脚光を浴びる 3 国民防空の手本になる 4 戦後への影響 第八章 「国民防空」の浸透 1 防空訓練の思い出 2 防護団・警防団と燈火管制 3 町内会・隣組と「常会」 4 生活基盤になった町内会・隣組 終章 国民防空の「失敗」を繰り返さないために 1 都合よく使われた関東大震災 2 町内会・隣組を通じて浸透した「国民防空」 3 「国民防空」の目的――戦争継続のための国民統制 4 「思い込み」で進んだ国民防空 5 国民防空の失敗を繰り返さないために 6 これからの危機対応に向けて おわりに 国民防空の展開 関連年表 参考資料 -
古代中国 説話と真相
殷の紂王の《酒池肉林》、呉王夫差と越王句践の《臥薪嘗胆》、秦の始皇帝の《焚書坑儒》……、『史記』にも記され、広く知られる古代中国の説話は真実か? もちろん、これらは後世の創作である。本書では、信頼できる資料に拠って、これらの虚構を検証すると共に、貴族制が専制君主制に移行した春秋・戦国時代の社会制度、勢力バランス、法治システムを浮彫りにする。初期の王朝から貴族の台頭、そして中国統一へ、説話を検証し、中国古代史をいきいきと再構築してみせる意欲作! 【目次】はじめに/第一章 三皇五帝――禅譲・放伐/第二章 夏の禹王――九州の治水/第三章 殷の紂王――酒池肉林/第四章 周の幽王――笑わない褒姒/第五章 斉の管仲――衣食足りて礼節を知る/第六章 楚の荘王――鼎の軽重を問う/第七章 夫差と句践――臥薪嘗胆/第八章 魯の孔子――由らしむべし、知らしむべからず/第九章 魏の恵王――五十歩百歩/第十章 蘇秦と張儀――合従連衡/第一一章 戦国四君と呂不韋――奇貨居くべし/第一二章 秦の始皇帝――焚書坑儒/終章 古代中国史の研究方法/結び/主要参考文献 -
訟師の中国史 ――国家の鬼子と健訟
訟師とは人びとの訴訟を助けた者たちである。彼らは狡智にたけた悪党とみなされ、清代では職業として訴状を代作しただけで、しばしば死刑一歩手前の重刑が科せられた。しかし実際には、それは中国国家が自ら生み出した鬼子であった。宋代以降、訴訟が多発する健訟社会となったのだが、伝統的な政治思想と訴訟制度そのものが逆に人びとに訟師を必要とさせたからである。また訟師には訟師であることに誇りを持つ者さえいた。訟師の全体像を中国史と世界史のなかで初めて明らかにする。 【目次】序章 訟師というカギ/第1章 悪訟師のイメージ/第2章 訟師有用論/第3章 伝統中国の訴訟制度/第4章 訴状への虚偽と誣告の書きこみ/第5章 私代書の容認から処罰へ/第6章 積慣の訟棍/第7章 名士と犯罪者のあいだ/第8章 北京への直訴/第9章 世界史のなかの訟師/第10章 江戸との相違/第11章 訟師自身による訟師観/第12章 訟師の終焉/終章 現代中国の訴訟制限/あとがき -
実証研究 東京裁判 ――被告の責任はいかに問われたか
従来の東京裁判論は、主に政治・外交史を基調とし、また「日本無罪論」で知られるインド代表判事パルやオランダ代表判事レーリンクによる個別反対意見をもっぱら話題とし、本来の東京判決での多数意見を軽視してきた。本書は、東京裁判の事実認定がいかになされ、責任がどう問われたのかを実証的に解明。法廷で適用された責任論や、各被告人に対する判定の根拠を体系的に分析する。判決七五周年に向けて、東京裁判を国際刑事裁判史にどう位置づけて評価すべきか、その功績と問題点とを明らかにする。【目次】まえがき/第一章 裁判の歴史的文脈と枠組み/第二章 平和に対する犯罪の争点/第三章 日本政府組織論/第四章 戦争犯罪の争点/第五章 「東京判決」――多数派判事による判決/終章 今日の国際刑事裁判にみる責任論 -
十字軍国家
十字軍と言えば、もっぱら運動としての面が注目され、十字軍士たちが各地に建設した諸国家、すなわち十字軍国家の全体像が語られることはなかった。だが、1098年のエデッサ伯国建国から、1798年のナポレオンによるマルタ島攻撃までの実に700年にもわたり十字軍国家は存続していた。ローマ教会、ビザンツ帝国、神聖ローマ皇帝、イスラーム勢力や地中海の諸商業都市、傭兵団、さらには来襲するモンゴル勢など、多種多様な勢力が複雑に絡み合う興亡の歴史を、第一人者が活写する。 【目次】序 十字軍国家とは何か/I ラテン・シリア/第1章 ラテン・シリアの誕生(1097-1099年)/第2章 ラテン・シリアの形成(1098-1118年)/第3章 ラテン・シリアの成長(1118-1146年)/第4章 ラテン・シリアの発展と分断(1146-1192年)/第5章 ラテン・シリアの回復と再分断(1192-1243年)/第6章 ラテン・シリアの混乱と滅亡(1243-1291年)/II キプロス王国/第7章 キプロス王国の形成と発展(1191-1369年)/第8章 キプロス王国の混乱と消滅(1369-1489年)/補章1 ヴェネツィア領キプロス(1489-1573年)/補章2 キリキアのアルメニア王国(1198-1375年)/III ラテン・ギリシア/第9章 ラテン帝国(1204-1261年)/第10章 フランク人支配下のモレア(1)(1204-1311年)/第11章 フランク人支配下のモレア(2)(1311-1460年)/補章3 カタルーニャ傭兵団とアッチャイオーリ家(1311-1462年)/IV 騎士修道会国家/第12章 ドイツ騎士修道会国家(1225-1561年)/第13章 ロドス期の聖ヨハネ修道会国家(1310-1523年)/第14章 マルタ期の聖ヨハネ修道会国家(1523-1798年)/あとがき/主要参考文献/十字軍国家支配者一覧 -
情報敗戦 ――日本近現代史を問いなおす
この国において、政府やメディアなど権力の「大本営発表」への批判精神が皆無なのは八十年前と同じ。知識人も庶民もしっかりとした歴史を見る眼を持たず、歴史に無関心なため、いま再び「情報敗戦」に直面しているのだ。正しい歴史観を持たない限り、日本は今後も新たな敗戦への道をひた走るだけだろう。松本清張や辺見庸、アレントやサイード等々、内外の知識人たちの遺してきた貴重な史論や思想を手掛かりに、日本社会に隠された「情報のカラクリ」を暴き、歴史の虚実を検証する。 【目次】はじめに――「情報のカラクリ」/序章 問題の発見/第1章 史観で眺める日本/第2章 「昭和維新」と満洲/第3章 清張史観の遺したもの/第4章 戦後日本とは何か/第5章 世界史的大転換/第6章 人間とは何か/第7章 「民主主義は暗闇の中で死ぬ」(Democracy Dies in Darkness)/結章 絶望に抗う/あとがき――なき妻へ -
「政治家」昭和天皇 ――本当に象徴だったのか
最新研究と新資料でいま明らかになる 天皇の実像 戦後の政治外交史研究においては、天皇・皇室そのものを論じることは稀であり、いわば「天皇なき戦後史」が常態化している。歴史学系と政治学系の研究の狭間にあって空白地帯になってきたからだ。そこで本書は、日本国憲法のもとで昭和天皇は本当に象徴だったのか、つまり、天皇は政治外交に関わっていなかったのかを、第一線の研究者の最新の知見を結集して問うものである。昭和天皇の政治外交との具体的な関わりを通じて、「政治家」としての実像を浮かび上がらせることを目指す。 【目次より】 はじめに――なぜ昭和天皇と戦後日本の政治外交を論じるのか(小宮京) 第一章 『昭和天皇拝謁記』を読み解く――治安維持の観点から(中澤俊輔) 1 昭和天皇と共産主義 2 地方巡幸の警備問題 3 血のメーデー事件と破防法成立 おわりに 第二章 昭和天皇の岸信介批判――石橋湛山の岸信介宛私信をめぐって(増田弘) 1 石橋の僅差での逆転勝利 2 石橋・岸対立の本質 3 岸首相宛の石橋書簡発出 4 昭和天皇の岸批判の真意 5 石橋書簡の評価と意義 第三章 岸信介と安保改定――皇室のアイゼンハワー訪日中止要請をめぐって(井上正也) 1 安保改定と皇室 2 安保闘争の激化 3 岸政権の退陣 第四章 昭和天皇の御下問を読み解く――皇室の未来と政治との関わりをめぐって(小宮京) 1 皇室の未来を憂慮する 2 政治との関わりを模索する おわりに 第五章 昭和天皇と田中角栄――皇室と政治の攻防(舟橋正真) 1 天皇訪米問題 2 内奏漏洩事件 おわりに 第六章 三木武夫と昭和天皇――解散総選挙をめぐって(竹内桂) 1 日本国憲法下の衆議院解散 2 三木武夫と昭和天皇の関係 3 昭和天皇在位五〇年記念式典と衆議院解散の問題 おわりに 第七章 「おことば」外交――昭和天皇の和解と苦悩(服部龍二) 1 鄧小平来日と昭和天皇――福田内閣期 2 全斗煥来日と昭和天皇――中曽根内閣期 3 「戦争責任」の呪縛 おわりに コラム1 「天皇メッセージ」と主権(河野康子) コラム2 内奏とは何か(小宮京) コラム3 「おことば」とは何か――昭和天皇の「意思」とのあいだ(内藤一成) あとがき(小宮京) 人名索引 -
世界中で言葉のかけらを ――日本語教師の旅と記憶
「ぜんぶ英語でいいじゃない」という乱暴な意見に反論し、複言語能力の意義を訴え続けてきた日本語教師が、中国の雲南省、セルビア、フランス、ブルガリア、ハンガリー、エストニアなど、世界の各地を旅して慣れない言葉を使い、感心し、絶句し、立ち止まり、また歩き出す。あるいは日本語を教えていて、慣れない言葉を使う学生たちの日本語の魅力に気づく――そのような、言語を体験した驚きの瞬間とその記憶を読者の皆さんと共有したいという想いから綴られた、言葉をめぐる旅の記録。 【目次】まえがき/第一章 ちがう言葉でおなじ世界を夢に見る──日本語教師としての経験から/1 落ち葉を拾う/2 週末、何をしましたか?/3 いつも、はなちゃんのせい/第二章 どうかあらゆる泉に敬意を──「ぜんぶ英語でいいじゃない」への長い反論/1 君は僕の髄液/2 地図と鉛筆と紙があれば/3 色気あるカミュの声と、「せんせい、まっておれ!」/4 積みあげれば自分の背の高さになるまで/5 おばあちゃんと話したいから/6 ひとつのちから/第三章 そういえば猫さえも国がちがう──三者三様の言語教師/1 良い風が巡っていますように/2 私はワイマールに生まれました/3 ひまわり畑がすごくって/第四章 ぶらごだりや──言葉が通じない場所への旅/1 長く、安く、遠くに/2 季節はずれのサンタクロース/3 みなさまのために歌います/4 レモンをはさんだ枝で/第五章 さえぎらないで、妄想中だから──歩くこと坐ること、食べること着ること/1 行きなさい、迷うことはない/2 あの味を手に入れるために/3 へりに立つ人/4 はじめてのママ友/5 あなたに平安がありますように/6 風をさがす――二〇二〇年/注/あとがき -
台湾の半世紀 ――民主化と台湾化の現場
1972年日中国交樹立によって、日本は中華民国(=台湾)と断交した。その同じ年に大学院に進学、研究をスタートさせた著者の研究人生は奇しくも台湾が民主化し、中国とは明らかに異なるアイデンティティ(=台湾化)へと進んだ道程と重なる。政府要人や台湾人研究者、歴史的事件の関係者との交流……。いまや中国は経済的にも軍事的にも大国となって、アメリカのライバルへと躍り出た。黎明期から台湾を見つめ続けた著者が、米中両大国に翻弄されつつも主体性を模索する台湾のこれまでを振り返り、現状と今後のゆくえを分析する。 【目次】プロローグ 台湾現代史における一九四九年と一九七二年/第I部 民主化の現場を歩く──オポジションから入る/第一章 日台断交の頃──台湾研究事始めと初めての台湾訪問/第二章 民主化の胎動に触れる/第三章 「自由の隙間」に立ちあがる台湾ナショナリズム/第四章 国民党一党支配の揺らぎ/第五章 民主化と「バランサー」李登輝の闘争──「憲政改革」の政治過程を見つめる/第六章 日本台湾学会の設立──台湾理解の知的インフラ/第II部 台湾化の脈動を見出す──アイデンティティの政治の背景に眼をやる/第七章 船出する新興民主体制──総統選挙が刻む政治のリズム/第八章 大国の狭間で──「中国要因」の政治の登場と米中の対立/第九章 中華民国台湾化論を提起する──台湾政治研究の曲がり角で/第十章 中華民国台湾化の不均衡な展開──新興民主体制下の国家再編と国民再編/エピローグ パフォーマンスする主権──「台湾の定義はまだできていない?」 -
沈黙するドイツ ――反ユダヤ主義、ガザ、イスラエル
なぜドイツのエリートたちは ガザ攻撃を批判する市民を弾圧し イスラエルを無条件に支持するのか ――ドイツ政界の「イスラエル・ロビー」 その知られざる実態を明らかにする イスラエルによるガザ攻撃をめぐり、ドイツでは警察がパレスチナ連帯デモを弾圧し、政治家やメディアはイスラエルを批判する文化人を「反ユダヤ主義」だと糾弾してきた。ホロコーストに対するドイツの歴史的責任は、今やイスラエルへの軍事支援の正当化に持ち出されている。イスラエルの行動に自らは沈黙し、市民にも沈黙を強いるエリートの論理には愛国主義と国策が絡む。軍産複合体と反ユダヤ主義監視団体からなる「イスラエル・ロビー」、それが生み出す腐敗の実態をも明らかにする。 【目次】 序章 沈黙するドイツ 第1章 デモや集会への弾圧 第2章 大学や文化人への弾圧 第3章 イスラエルと連帯する愛国主義 第4章 闘う民主主義と「新しい反ユダヤ主義」 第5章 「イスラエルの安全保障はドイツの国家理性」演説 第6章 国際ホロコースト記憶同盟の反ユダヤ作業定義と連邦議会 第7章 弾圧の先兵 第8章 反ユダヤ主義監視活動と「検閲産業複合体」 第9章 ドイツの政軍産複合体 第10章 反ユダヤ主義監視事業の不祥事 第11章 反ユダヤ主義研究のバイアス 第12章 イスラエル・ガザ戦争に関する世論調査 第13章 政界におけるせめぎ合い 終章 言論弾圧の理由・効果・主体 参考文献 図版出典一覧 あとがき -
伝説の出版社 博文館
明治半ばに彗星のごとく現れた出版社・博文館は、たちまち出版界に革命を起こした。書物を廉価で供給し、魅力的な書籍や雑誌を次々に刊行。世代を超えた広範な読者を獲得するとともに、取次・書店などによる流通ルートを整備した。東京堂書店や共同印刷、博報堂などのルーツともなった一大文化王国・博文館はいかにして築き上げられたのか。貪欲な〈近代読者〉の誕生と、豊穣な文学世界の成立の経緯、そして近代出版業という知的システムの構築過程を総合的に描き出す。 【目次】はじめに/序 章 赤手のアントレプレナー/第一章 出版革命の夜明け──『日本大家論集』/第二章 戦争特需の写真雑誌──『日清戦争実記』/第三章 児童文学を創出したカリスマ──『少年世界』/第四章 文芸界の新潮流──『文藝倶楽部』/第五章 巨大なオピニオン・リーダー──『太陽』/第六章 最高級の趣味雑誌──『新青年』/第七章 辞書というベストセラー──『辞苑』/終章 伝説の出版社がもたらしたもの/あとがき/主要参考文献事項索引/人名索引 -
頭山満 沈黙の昭和史 ――「宮中某重大事件」百年目の真実
昭和天皇は頭山満の死に際して勅使を遣わし、その葬儀は国葬の様相を呈した。無位無官の頭山がなぜ異例の扱いを受けることになったのか。それは皇太子時代の婚約破棄問題(宮中某重大事件)をめぐって、昭和天皇と頭山の間には秘められた絆があったからだ。この問題への沈黙を守り通した頭山と天皇の密かなつながりを解き明かすとともに、右翼の巨頭とされてきた頭山の真実の姿を、100年の時を超え史料に基づき正確に描き出す。 【目次】はじめに──だから昭和天皇は頭山満に感謝した!/第一章 頭山満と杉浦重剛の出会い/第二章 東宮御学問所──皇太子裕仁親王の帝王学/第三章 色盲遺伝と宮中某重大事件/第四章 宮中某重大事件とメンデルの法則/第五章 浪人を統率する頭山満/第六章 昭和天皇の時代と頭山満/第七章 頭山邸への勅使差遣/第八章 国葬級と言われた頭山満の葬儀/おわりに/あとがき -
ナチスに抗した若者たち ――その生き方を問う
愛と自由に生きた 普通の若者たちの物語 発覚すれば死が待つ活動へと 彼らを駆り立てたものは何か ナチス政権下のドイツで、ナチスに不信感を抱く若者が少数ながらいた。政権成立当時子どもだった彼らは、一九四〇年代初頭に青年期を迎え、共感しあえる同世代の仲間とグループを形成してビラ散布や市街地での落書き、秘密の勉強会などの行動で反ナチの意思を示した。彼らは、ナチス体制の何に反発したのか。発覚すれば死が待つ行動へと彼らを駆り立てたものは何か。ごく普通の若者たちの姿を通じて、「名もない人々にとってのナチス・ドイツ」がいかなる時代あったのかを描いていく。 【目次より】 まえがき 第一章 ヒトラー万歳(ハイル・ヒトラー)と言え 1 われらの時代が来た 2 生徒たちよ自律的であれ――教師エルナ・シュタールとリヒトヴァルク校の生徒たち 3 ナチスのやつらはろくでなしだ――ヘルムート・ヒュベナーと幼馴染 4 父さんは犯罪者じゃない――共産党員の親をもつ子どもたち 第二章 仲間との日々 1 新しい世界 2 教養人の自負――ハンブルク・白バラ 3エーデルワイスは自由の花だ――エーデルワイス海賊団 4 皆が知るべきこと――ヒュベナー・グループ 第三章 決断のとき 1 知性のビラと直感のビラ 2 これ以上ドイツを壊すな――エーデルワイス海賊団 3 十代の素顔――エーデルワイス海賊団 4 誰かが後を継がなければ――ハンブルク・白バラ 第四章 我らの信じた道 1 使命感と恐怖心――ハンブルク・白バラ 2 行動の意味――エーデルワイス海賊団 3 別離と再起 終章 抵抗する若者たちが残したもの おわりに 主要参考文献 図版出典一覧 事項索引 人名索引 -
南北戦争を戦った日本人 ――幕末の環太平洋移民史
南北戦争の兵役記録には2名の日本生まれの兵士の名がある──サイモン・ダン、ジョン・ウィリアムズ。英語名の彼らは誰なのか? なぜアメリカにいたのか? その人物像は? 人の移動が厳しく制限されていた日本を離れ、アメリカに生きた/生きねばならなかった彼らの消息を、日米両国の資料から丹念に探査する。漂流民、密航者、あるいは幕府使節の脱落者……海を渡った日本人移民の歴史と19世紀中頃のアメリカ社会史が、アメリカ戦史上最大の死者を記録した南北戦争で交差する。 【目次】序章 日系アメリカ人二世テリー・シマとの出会い──はじめに/1 南北戦争に従軍した日本人がいた/2 アジア・太平洋系移民と日本人移民/3 南北戦争に従軍した日本人──これまでの研究と人物像/第1章 南北戦争とマイノリティ──アジア・太平洋系移民/1 南北戦争前の移民動向/2 一八六三年連邦徴兵法/3 アジア・太平洋からの移民兵士/4 中国人兵士の記録/5 中国人兵士の表象/6 マイノリティとしての立場/第2章 日本生まれの二人に近づく──アメリカでの記録から/1 サイモン・ダン/2 ジョン・ウィリアムズ/3 報奨金とブローカー/4 さらなる探索/第3章 漂流者・密航者たち/1 漂流者たち/2 漂流者ジョセフ・ヒコ/3 漂流者の実像/4 密航者たち/第4章 幕末の日本人の移動──使節団と密航者との接点/1 幕末の使節団/2 咸臨丸の概要/3 乗組員と不明者/4 乗組員の記録──センサスと死亡統計/5 万延元年の遣米使節団/6 竹内使節団と池田使節団/7 留学生/終章 旅の終わりに/あとがき -
南北朝正閏問題 ――歴史をめぐる明治末の政争
国定教科書の記述をきっかけとして起きた、日本の南北朝時代において南朝と北朝のどちらが正統かをめぐる明治末の論争は、当時の閉塞的な政治状況もあり、重大な政治問題と化した。最終的に政府は危機を乗りこえたが、深刻なダメージを負った。多様なアクターがそれぞれ自分の信念や思惑をもって活動した結果として生じた、深刻かつ複雑なこの南北朝正閏問題を、現代政治における歴史問題・皇室報道問題の原点として徹底的に掘り下げて考察。そこから浮かびあがる近代日本の特質に迫る。 【目次】はじめに/第一章 南北朝正閏問題の背景/第二章 南北朝正閏問題の突発/第三章 藤沢元造の質問に向けて/第四章 大日本国体擁護団と政府弾劾決議案/第五章 桂内閣による「第一の政治決着」/第六章 南北朝正閏論争の構造/第七章 桂内閣による「第二の政治決着」/おわりに/参考文献/言説分析原典一覧/あとがき -
日本と西欧の五〇〇年史
西欧の歴史は休みない戦争の歴史であり、特に16~18世紀は「軍事革命」の300年だったと言える。西欧はそれを奇貨として、宗教改革によって強化されたキリスト教信仰と「新大陸幻想」に駆られて、新世界の発見・拡大に躍り出る。その歴史はスペインとポルトガルに始まり、オランダ、イギリスを経て、アメリカの「脱領土的世界支配」に至る。そして今日、中国の勃興を背景に流動化する国際秩序は、「新たな中世」の到来を告げているかのようだ。世界覇権をめぐる500年の争いを俯瞰し、日本が立ち向かうべき「現実」の正体に挑む著者渾身の一冊。 【目次】 -
北京の歴史 ――「中華世界」に選ばれた都城の歩み
黄河文明の辺境に位置し、江南文化とも遠く離れた長城地帯に近接する政治都市・北京。古代国家の首府でもあったこの地は、「中華世界」の拡大とともに、いかにして辺境の地から中心地へと飛躍してきたのか。古代から現代まで長きにわたるその歴史をダイナミックに描き出す。漢族と非漢族、農耕と遊牧という対立する要素が交流・融合する、坩堝としての都城が果たした役割にも注目。多民族国家中国の首都に選ばれ続けてきた波瀾万丈の歴史から、伝統中国の政治文化の本質に迫る。 【目次】はじめに/第一章 文明の辺境──燕国/1 のちに「北京」と呼ばれる地域空間/2 薊城──都市「北京」の起源/3 戦国の七雄としての燕/第二章 東北の重鎮──幽州/1 郡県と封建のゆらぎ/2 諸族融合の坩堝/3 中原諸王朝の前進基地/第三章 諸族争奪の舞台/1 早すぎた大燕皇帝の登場──安史の乱/2 燕雲十六州問題──胡・漢最大の係争地/3 政治的中心地への道──遼の「南京」/第四章 中都から大都へ/1 宋朝に格下げされた「燕山府」の混乱/2 金の海陵王と「中都」遷都──はじめての帝国首都/3 クビライの「大都」建設/第五章 華夷一統のために/1 漢族王朝の再興と北京遷都/2 北京定都と嘉靖帝の都城改造/3 近世東アジアの百万都市/第六章 拡大された中華帝国/1 明清交替/2 非漢人政権にして中国の正統王朝/3 タタール・シティとチャイニーズ・シティ/第七章 皇帝の住まなくなった紫禁城/1 紫禁城──外朝と内廷/2 拡大された中華世界の三つの中心/3 円明園炎上/終章 廃墟からの再生/1 北京最後の日/2 天安門での建国セレモニー/主要参考文献/あとがき/図版出典一覧/人名索引 -
漫画家が見た 百年前の西洋 ――近藤浩一路『異国膝栗毛』の洋行
近藤浩一路は藤田嗣治・岡本一平と東京美術学校の同級生。油彩、水墨画を描く一方、漫画記者として活躍した。そんな彼が画家友達とともに1920年代の西洋を初めて訪れる。欧州航路をマルセイユへ、そして芸術の都パリへ。マルク暴落のドイツ、闘牛のスペイン、イタリアでは最先端の未来派の酒場を訪れ、婦人参政権運動が盛んなイギリスにも足を延ばす。異国を訪れる旅が「海外旅行」ではなく「洋行」と呼ばれた時代の異文化体験はどのようなものだったのか? 百年後の私たちの旅と何が違って何が同じなのだろう? 【目次】プロローグ 戦争・パンデミックの終焉と、笑いの紀行文学/第1章 洋服洋食嫌いの、洋行下稽古/第2章 富士屋ホテルで「外遊予習」、東京漫画会の『東海道漫画紀行』/第3章 ツーリズム時代の幕開けと、帝国の郵船の寄港地/第4章 パリで藤田嗣治に、一〇年振りに再会する/第5章 ストラスブールから、敗戦で疲弊したドイツへ/第6章 闘牛に燃えるスペイン、ルネサンス美術のイタリア/第7章 大英帝国のロンドンからパリ、待ち遠しい日本へ/あとがき/『異国膝栗毛』関係年表(1908~1928年)/本書から始まる関連文献10冊の読書案内 -
隣国の発見 ──日韓併合期に日本人は何を見たか
日韓併合期(1910~1945年)の日本人のなかには、朝鮮の人や自然や文化を体験し、観察し、優れたエッセイを残した者たちがいた。谷崎潤一郎はその風景を「純然たる日本画の絵の具の色」と描き、柳宗悦や河井寛次郎は人々の生活ぶりに理想郷を見出した。新渡戸稲造が「彼等は実に有史以前に属するものなり」と断じた一方、安倍能成はステレオタイプと格闘した。植民地支配の産物として顧みられなかったこれらの作品を読み直し、日本人が発見した隣国の姿を浮かび上がらせる。 【目次】第一章 朝鮮の山河/1 海峡を越えて/2 禿山と岩山/3 朝鮮の山河/第二章 隣国の発見/1 少年の日の思い出/2 大人たちの見たもの/3 白磁の美の発見/第三章 もう一つの眺め/1 非好感の眺め/2 朝鮮人とはだれか/第四章 京城の歩く人/1 安倍能成の朝鮮エッセイ/2 浅川巧への惜別の辞/第五章 旅する科学者/1 挟間文一と辺境の地への旅/2 挾間文一の日記/付録 挾間文一の日記/3 朝鮮に与えられ、また与えた人