雨のち晴天
両親亡き後、叔父夫婦から女中として扱われ外出もままならない呉服屋の一人娘鈴は、駆け落ちした従姉妹の身代わりとして縁談を押し付けられる。
嘘が大嫌いな相手に対する後ろめたさ、本当の名を読んで欲しいとのささやかな願い。
秘密を知られる前に、わがままを一つだけ。
あなたと歩いた場所しか知らない、どこにも行くところがないと泣きながら震える鈴の姿に涙が止まらなかった。
嘘、恋文、そして冷たい雨。
心揺れるキーアイテムやエピソードの配置や構成が見事だなぁ。作者様七冊目になりますが、今作も大満足でした。