BL のおすすめレビュー
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ブックライブ書店員
作品を発表するごとにBL界の臨界点を突破してきたはらだ先生。本作でもまたやってくれました……! とにかくはらだ先生史上最高にアホでエロ!! どのくらいアホでエロかというと、主人公2人ともとにかくアナルを責められるのが大好きで、田舎町のニート・葛谷は自宅の庭で扇風機を改造したスピンディルドの開発に勤しみ、オフィスでの特殊ハードプレイが原因で左遷されてきた元エリート・粕谷はエアードロップで男性の局部写真を収集する(しかも、写真を送ってきたのは葛谷)という、ケイオスっぷり。
そして、とんでもないアホは葛谷と粕谷だけではありません。葛谷を布団で簀巻きにして尻を使うのが愛情表現だと思っているいじめっ子・レオ(葛谷がアナルに目覚めた原因)、夕方になると虫取りを始める粕谷の同僚のおじさんたち、方向音痴すぎて田んぼに落ちる社長令嬢・椿(粕谷の元カノ)などなど、「全員アホ、全員暴走」な状態。
このケイオスをさらにかき回すのが、葛谷と粕谷の家の近所に佇む謎のお地蔵さんこと、「神」。アダルトグッズや触手生物を出したり、憧れのエロシチュエーションを再現したりと、気まぐれに2人の願いを叶えてくれます。話数を重ねるほどにファンタジー展開に磨きがかかり、不条理ギャグBLという新境地が切り開かれていく……!
はらだ先生の作品群でも、ダントツで先が読めない本作。このまま葛谷と粕谷のハッピーでクソなライフを見守り続けたい……!!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
江戸時代の見世物小屋を舞台に繰り広げられる本作。この世の残酷さや不条理、いなくなった相手への贖罪の念といった仄暗い情念が中心に描かれているように見えますが、その本質は圧倒的救済の物語です。
自分を犠牲にすることでしか弟を守れないと思い込んでいた壱が自分を大切にすることを知り、人の言葉を知らなかった鬼の子・べなは言葉を学ぶことで「愛」という感情を知る――どこかが欠けた者同士が共に成長していく姿が愛おしすぎて、帯の「拝みたくなるボーイズラブ」というキャッチコピーに偽りなし……! 2人の成長は大きな痛みを伴うものですが、その痛みすら尊く感じられます。
そして、べなと壱に次ぐ本作のキーパーソン・ダンゾウについても語らせてください。壱とその双子の弟・二三を見世物小屋でこき使い、病弱な二三の存在を盾に壱を手篭めにした最低最悪の小悪党であると同時に、彼なりのやり方で双子を守り、二三への思いを心の奥底に秘めていたダンゾウ。彼の存在によって、この物語の奥行きがグッと増したといえるでしょう。こふで先生、どうかべなと壱だけでなく、ダンゾウのことも救ってあげてください……!
べなと壱を拾ってくれた美人で男前な髪結屋の妻・お奈緒や、寺子屋の子どもたちなど、個性豊かな脇役たちと過ごす、心穏やかな日常もこの作品の魅力のひとつ。江戸文化が生き生きと描かれていて、思わずにっこりしてしまうような愛おしい情景が楽しめます!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
『四代目・大和辰之』(新書館)で主人公・大和辰之を陵辱する悪役として登場したヤクザ・櫓木卯一の、若かりし頃を描いたスピンオフ作品。この櫓木卯一という男ですが、本当に頭がおかしいんです……!(褒め言葉)目の前で愛人が死んでもケロッとしているし、目的のためなら他人を傷つけることも厭わない。ひどく頭が切れるのに、人の感情にはとことん鈍感。そんなアンバランスな魂を、しなやかで美しい体に宿した猛獣のような男が主人公なんですから、面白くないはずがありません。
櫓木が『四代目』で強い執着を見せていた、辰之の父親・明虎との関係を中心に、ヤクザ同士の利害関係、愛憎や嫉妬など、さまざまな打算や感情が絡み合うドラマチックな展開。そして、本当に生きているかのような複雑なキャラクター描写。全てが素晴らしすぎて、どこから本作の魅力を語り始めたらいいのかわからなくなるほど。
櫓木と明虎の破滅的な恋路に萌えるもよし、明虎の側近・浅生田の不憫な忠犬ぶりに悶えるもよし、ヤクザのおじさんたちのドロドロしたクソデカ感情に震えるもよし。何度読み返しても、そのたびに新しい萌えが見つかってしまうモンスター作品です。
刹那を生きる青年・櫓木が、これからどのような道筋をたどって「娘を溺愛するヤクザ・櫓木」になっていくのか。過去の物語とクロスオーバーするかたちで語られる、現在の櫓木と娘・麗華、そして居候の当たり屋“ハチ”とのストーリーも気になります!!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
羽純ハナ先生の絵で、美人で妖艶なストリップダンサーが見られる。その時点で「買い」だと思いました。そしてその期待は裏切られることなく、会員制高級クラブで「孤高の女王様」と呼ばれるオミの美しさに震え、オミを手に入れようとする御曹司・昴の俺様スパダリっぷりに悶絶できます。夜の世界はこんなふうにキラキラゴージャス&セクシーでないと!
キャラクターや世界観のきらびやかさだけでも十分おいしいのに、オミには「ステージを降りて素の『臣(おみ)』に戻ると、性的なことに免疫のない純情な性格になってしまう」という秘密が。舞台上では高ステータスの男たちを色香で服従させていたえちえちな女王様が、舞台裏ではちょっと身体を触られただけで、かわいく赤面してしまうなんて……。「お前、俺を誘っているのか?(スパダリ面)」事案待ったなしです。
そして、そんな臣を翻弄する昴のドS傲慢俺様ぶりにも「あっぱれ」と言うしかありません。登場時の黒髪✕和服のコンボにノックアウトされること間違いなし!
1巻の後半では、臣が夜の世界に飛び込む原因になった、難あり気な実の母親(スナック経営)や、怪しげな気配を漂わせる弁護士の加賀など、物語を引っ掻き回してくれそうなキャラクターも登場。キラキラ✕ドロドロの最高のエンターテインメントが展開されるのではないかと、ますます期待が高まります!!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
血のつながった兄と弟の禁断の関係を描いた、闇の腐女子垂涎の一冊! 不倫をした父親の蒸発、それが原因で精神を病む母、自分の部屋に引きこもる末の弟――不幸の連鎖が止まらない中で、どうにか「家族」を維持しようとする次男の尚人ですが、長兄・雅紀と母親の情事の声を聞いてしまい……という、絶句するしかない闇展開。物語に救いがなければないほど興奮する性癖の方なら、「読まない」という選択肢はまずありえません。
序盤で描かれる「誰もが羨む幸せ家族」だった頃とのギャップがまた良いんですよね。ほら、どんなものでも、高いところから落としたほうが、派手に気持ちよく壊れますから(暗黒微笑)。
そんな篠宮家の中で一番美しくて誰よりも汚れている、最も家族を思っていたがゆえに壊れざるを得なかった男、雅紀の魅力はまさに悪魔的……! 円陣闇丸先生の美麗タッチが雅紀の美しさと恐ろしさを完璧に表現してくれています。そして、美しき悪魔の手が、どこまでも清らかな弟に伸びるインモラルでスリリングな展開。心が痛いのにページを捲る手が止まりません。どんな目にあっても汚れない、尚人の清廉さすら恐ろしく感じられてきます。
本作は、2001年から続く、人気BL小説『二重螺旋』シリーズ(徳間書店Chara)のコミカライズ。原作のほうはすでに13巻まで出ているので、物語の行く末が気になる方はこちらを読み始めてみてもいいかもしれません。小説版のイラストも円陣闇丸先生が担当で眼福です!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
モデル✕モデル、金持ち俺様男子高生✕健気な優等生、元バンドマン✕美声の男子高生といったきらびやかなカップリングを、スタイリッシュかつ華やかなタッチで描く灰田ナナコ先生。本作もまた、モデルと見間違うようなイケメンファッション編集者カップルのお話です。
2人ともファッション編集者だけあって、スーツ姿が目のご褒美過ぎます……。攻めの西脇はジャケットの下に黒ハイネックやブラックシャツを合わせる大人セクシーなスタイリングで敏腕編集者の貫禄を見せつけ、受けの片桐は新人らしく爽やかな明るめカラーのスーツからジャケットの中に柄シャツという派手めなコーディネートまで幅広く着こなす「Theファッショニスタ」。2人が画面上に存在しているだけで幸せな微笑みがこぼれまくります。長めの黒髪涙ボクロ✕ショート金髪タレ目というビジュアルの対比も絶妙で、一目惚れ不可避……!
2人は直属の上司部下となるのですが、片桐をフォローしながら導いていく西脇はまさに理想の上司だし、生意気ながらも西脇に追いつこうとがむしゃらな片桐は世界一かわいい部下。仕事上の関係は文句なしに順風満帆だけど、恋愛のほうは……というジレジレ感ももはやごちそうでしかありません。
個人的に一番のご褒美は、西脇のとある事情に由来する着衣エッチ。特に片桐の半裸具合からは灰田先生のフェティシズムが感じられます!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
BL界において、「薄幸=かわいい」という定理を作ったのは山本小鉄子先生ではないかと思っているのですが、いかがでしょうか?
本作も、三白眼で無愛想な苦労人・笑(えむ)くんがかわいくて、かわいくて……。貧乏暮らしが長いだけにたくましさもあるのですが、いつも空腹の野良猫のように張り詰めている姿が、全人類の庇護欲をそそります。彼が親の残した借金を返すべく奮闘する物語なのですが、正直、クラファンしたら一瞬で500万円集まるのでは? と思うくらいのかわいさです。
そんな薄幸健気な受けの隣に似合うのが、ちょっと天然だけど正義感の強い男前攻め・福冨。
福冨のいかにも育ちの良さそうなお人好しぶりに、最初は毛を逆立てていた笑が、初めて他人に心を開き、福冨の祖父をはじめとした周囲の人たちとも交流を深めていく――エロが少なめなこともあり、守護霊のような清らかな気持ちで、この初々しいカップルを応援したくなります。
福冨がドヤ顔で出してきた手料理が飲み込めないほど不味い、朝食のジャム食パンを見た笑がよだれを垂らして静かに興奮する、など日常描写にも萌え要素がくまなく敷き詰められているのは、さすがの山本先生です。
全体的にエロはかなり控えめですが、1つだけお伝えしておきたいことがあります。
笑の乳首は、本当にエロいです(ドン!)2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
「(オメガバース+ケンカップル)✕運命の番=至高」という方程式を完璧な形で体現した作品。学生時代から犬猿の仲だった獅子倉と虎谷が何の因縁か職場の同僚に――さあ、舞台は整いましたよ!
「やっぱりこいつ嫌な奴……」からの発情エッチにはじまり、出張先で間違えてダブルルームが予約されていたというお約束、そして、虎谷のことが気になってきてしまった獅子倉が夢の中でいろんなシチュエーションを楽しむ……なんていうか、もう、見たかった風景すべてが揃っています。
反発し合う心とは裏腹に体の相性は抜群の2人。獅子倉はいつもの生意気さはどこへやらでトロットロにされてしまうのですが、それが本当に気持ちよさそうで、春田先生への海より深い感謝しかありません……。個人的には、獅子倉の四つん這いおねだりシーンが最高にかわいくて、疲労腰痛肩こりにすら効いてくるような気がしました(※個人の感想です)。濁点付きの喘ぎ声が血行を促進してくれるのでしょうね、きっと。
このように発情エッチ描写は濃厚なものの、シビアなオメガ差別描写はないので、オメガバース入門作品としてもおすすめです!
最初から最後までずーっと仲良く(?)喧嘩してくれているのもケンカップル好きにはうれしいポイント。じゃれ合うような喧嘩、少しシリアスな喧嘩、いろいろな2人の表情が楽しめて眼福としか言いようがありません!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
『500年の営み』(祥伝社)の山中ヒコ先生が放つ、SF系BL漫画のファイナルアンサー!
まず、「イキガミ」は世界に1人しかいない自分の「ドナー」からしか癒やしを得られないという設定だけで、軽く白ごはん30杯はいけちゃいますよね。そして、ドナーはイキガミを生かし、戦わせ続けるために体の一部の移植すら求められる――文字通り我が身を捧げないといけない関係、世界に唯一にして、一蓮托生。それが「イキガミとドナー」なのです。
しかも、本作の主人公の1人・鬼道は幼い頃に「イキガミ」となったせいで、孤独な人生を過ごし、世界のどこかにいる自分だけのドナーに憧憬を抱いている二十歳の青年。そして、鬼道の前に現れたドナーは一見平凡だけど聖母のような慈愛を持った中学教師・吉野。この2人がもう……化学変化が起きたとしか思えない、奇跡のカップリングなんです……。無愛想で偉そうな鬼道が吉野の腕に抱かれてうっとりリラックスしたり、吉野が「先生の言うことを聞きなさい」と鬼道を優しく諭したり。そんな何気ない風景が本当に愛おしいのですが、招集されれば鬼道は他国のイキガミと命をかけて戦わねばならず、2人の日常の裏側にはどうしようもなく「死」がべったりと貼り付いている。鬼道と吉野のやり取りがかわいければかわいいほど、不意にこみ上げてくるものがあります。
最初は人間らしい感情を見せず、吉野のことも「特効薬」のように利用していた鬼道ですが、真っ当で穏やかな吉野の愛情に触れることで、人を守りたい気持ちや執着心、そして吉野を失う恐怖など、さまざまな感情を帯びていきます。受けの愛情が攻めの魂を育んでいく関係性が尊みを通り越してもはや神聖……! 神棚に祀って拝みたい!! 人が人を愛することの素晴らしさがぎゅうぎゅうに詰まった作品です。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
本作は、先生の人気作のひとつ『部活の後輩に迫られています』(ビーボーイ編集部)のスピンオフ作品。今回も男同士の不器用なモダモダが宇宙一素敵に愛らしく描かれています!
『部活の〜』ではしっかり者だった牧野が就活に失敗したせいでだめ〜でめんどくさい子になっていて、それを守谷・吉武カップルがヨシヨシするという1巻プロローグだけで、もうかわいさで胸がいっぱいになります……。『部活の〜』既読勢には、あの男子高校生たちが立派な社会人(牧野除く)に…という感動も。
モンペ2人に見送られて、やっと決まった仕事の赴任先である東北の田舎町にやってきた牧野は、清宮という地元のゲイ男性と友人になるのですが、ノンケ特有の無神経さと人生にテンパっているがゆえの暴走で、彼を振り回してやらかしまくります。学生時代の面影ゼロでオロオロする姿は、さながら生まれたてのひよこ、母親とはぐれた子猫、庇護対象の地区代表といった様子。
世話焼きゲイの清宮としては、弱りきった牧野をかまっているうちに、彼を意識せざるをえなくなっていくのですが、当の本人はのんきに友人としてグイグイ距離を詰めてくる――この全く噛み合わない2人が時間をかけて気持ちを同じくしていく過程こそ、まさに恋。読んでいる間はずっと顔がニチャアしっぱなしで、口からは「あーかわいい」という鳴き声しか出てこなくなるので気をつけてください。
プロローグだけでなく物語の節々にも登場する、守谷と吉武のモンペっぷりにもほっこりします^^
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
2014年から続く超人気シリーズ。人気すぎて、今更レコメンド書いても需要ある? もうみんな読了済みなのでは? と心配になるほど。そして、未読の方には助走からのスライディング土下座でおすすめしたい作品です!
いつも退屈そうな顔をしている眼鏡男子・楢崎と、可も不可もないような日々を送っていた素行不良のヤンキー・寺島が出会い、互いに心惹かれ、いつしか強い絆で結ばれるようになっていくのですが、時間と巻数をかけて語られる2人の成長が愛おしくて……。
最初の印象は、「うわ相容れなそう」「つまんなそーなツラしてやがんの」というものでしたが、図書館係をきっかけに距離が近づき、惚れた腫れただのヤるヤらないだのに悩む青臭い性春を過ごして、大学生になる頃には成熟した“パートナー”になっていくのです。しかもその間、糖度は右肩上がり。ありがたさがすぎます。
2人の関係が成長するのと比例するように、楢崎はスパダリみを増し、寺島は可愛さに磨きがかかっていくのも見どころ。大学に入ってからショートヘアになった寺島、耳とうなじが可愛すぎてもはや事件です。そして、他人に興味がなかった楢崎が、寺島にゴリッゴリに執着するシーンでは魂が浄化されるが如き萌えを覚えます。
友人や家族へのカミングアウト問題や将来のことなど、シリアスな問題にしっかり向き合いつつも、最終的には2人のイチャラブで幸せな気持ちに。このバランスが長く愛され続ける名作たる所以なのだと思います。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
イケメン高身長高学歴と絵に描いたようなハイスペ後輩・吉成と、お人好しで人のフォローに回りがちなため「非モテ」扱いされている先輩・真壁。しかし、実は吉成のほうが真壁にゾッコンで――というと、王道リーマンなのですが、まさかの序盤での両思い。この物語は恋愛が成就するまでではなく、恋が愛へと育っていく過程を描いたものなのです。
イケメンで人生順風満帆と思われていた吉成が、過去の失恋のせいで恋愛に自信がなかったり、いわゆる「平凡受けBL」かと思っていたら真壁が隠れハイスペだったり、王道設定の裏をかくような新鮮な展開は、さすがベテラン・倫敦巴里子先生です……!
何気ない描写もBLの定番の裏をいくものが多く、思いっきり吉成を抱く気だった真壁に、吉成が「…そっちが抱くんですか?」と尋ねると、普通の顔で真壁が「だって俺先輩じゃん?」と答えるシーンも。キョトンとしたお顔が愛せすぎるのですが????
こうして、何気ないけど愛おしい瞬間を積み重ねるようにして吉成と真壁の恋は育っていきます。吉成と真壁が有休を使う理由は……お察しください。
物語中盤で登場するいかにも当て馬っぽい真壁の同期、エリート課長・遠野も普通の当て馬(?)と違って、真壁のことをきちんと大事にしているところが推せる! それだけに彼の言葉は吉成に深く刺さり……。舞台装置は王道なのに、そこに存在するキャラクターたちの振る舞いは生っぽい。一味変わった物語が読みたい方に、ぜひ手にとってもらいたい作品です!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
タイトルに「竜人」とあるので、半竜半人くらいかと思っていたらガチなほうの竜でした。しかし、本作を読み終われば全ての人が思うはずです。「だからこそ良い……!」と。
突然、人間が竜人化してしまう「竜返り」という現象が存在する世界で、その異形ゆえに疎まれてしまいがちな「竜型竜人」に返ってしまったツクモ。一人ぼっちで飢え死にそうになっているところを助けてくれた天涯孤独の少年・紫の家に転がり込むことになります。竜人のツクモが竜のくせにワンコ全開で紫に懐き倒すくだりで、この本を手にとったのが正解だったと悟ります。そして、巨大生物が尻尾をブンブンしながらハンバーガーを食べたり、(*´∀`*)パアアな笑顔を見せてくれたりするのがあまりにかわいくて、思わずニッコリ笑顔に。
竜✕人のエッチシーンもしっかりあるのですが、きっと「初めて」だったのに、ツクモの発情を受け止めてくれた紫くん、100年に一度の逸材受けなのでは?
そんなキャッチーな魅力もありつつ、異なる種族同士の恋愛や共存、愛する者を失った過去の克服など、骨太なテーマも持ち合わせている本作。紫がツクモを追い出すシーンは、悲しさあふれる描写に胸が痛くなりますが、それも2人が乗り越えないといけない試練――乗り越えた先の風景はきっと嬉し泣きしてしまうほど優しくて美しいはず。
「添い遂げる」覚悟を持ったツクモと紫の大きな愛情に、心がじんわりと温かくなります。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
突然人の心の声が聞こえるようになってから、人間の表の顔と心の声とのギャップに苦しめられてきた余村が、自分に想いを寄せる同僚・長谷部に心惹かれていくわけなのですが、真面目で無愛想と思っていた同僚が、自分が笑った瞬間に「笑った顔 いい」なんて心の声が聞こえてきたら、ほだされちゃって当然ですよね……!
プロポーズした彼女の残酷な心の内や、友人だと思っていた前職の同僚の内心の裏切りによって、深く傷ついていた余村を真っ直ぐな長谷部の心の声が癒やしていく――その過程がゆったりしたテンポで描かれていて、2人のいじらしさに胸キュンが止まりません!
中でも、初めてのキスをしながら「好き」「好きだ」という心の声が聞こえてくるシーン、悪意ある心の声にばかり触れてきた余村がどれほど癒やされたことか……。互いの身体を触り合ったときの、「好き」「かわいい」ビームもけしからんです。あんな心の声を浴びせられたら、普通よりも気持ちよくなってしまうのでは……?(妄想)
原作小説には、『言ノ葉ノ世界』、『言ノ葉ノ使い』(ともに新書館)という続編が。いずれにも本作の主人公・余村と同じく心の声が聞こえる男性が登場します。
「心の声が聞こえる」というファンタジー設定から、人の心の複雑さと、それを信じて愛することの難しさ尊さを描き出した本作。続編のコミカライズも座して待ちたくなってしまいます。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
BLの古典、吸血鬼ものに新風が! ビリー・バリバリー先生のおしゃれなイマドキ吸血鬼BLです!
『ポーの一族』(小学館)で吸血鬼たちが「バンパネラ」と呼ばれていたように、本作では「FANGS」という組織名を名乗っています。誰彼構わず人間を襲うことはなく、吸血鬼同士がお互いの血を与え合うペアリングシステム、別名「血婚(けっこん)」という制度を作るなど、オメガバースの「番」を思わせるような設定が新鮮です。
数十年ぶりの新人吸血鬼・エンと、エンを保護した健康福祉部保護課に所属するイチイ(見た目はアラサーだけどエン曰く「クソジジイじゃん…?」という年齢)のカップルを中心に、超束縛気質✕超浮気気質の青桐・ウツギカップル、人間の女性と結婚しているマサキ、ペアを亡くしてからずっと1人で死を待つスギなど、様々なキャラクターたちの愛の形が群像劇的に描かれているのですが、どのカップルも推せすぎます!
美形率100%の吸血鬼たちが、仲睦まじく同居していたり、夜中に集まってスケボーしたり、レーズンバターサンドをサクサク頬張ったり。特に、吸血鬼になりたてで「バブちゃん」と呼ばれているエンの無邪気さが超キュート! 周りは実年齢おじいちゃんとおばあちゃんばかりなので、孫のように愛でられております。
1巻ラストは不穏なムードだったものの、エンのかわいさがすべてを救済してくれるはずです!
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
令和のスーパー攻め様はコンプラがちゃんとしてやがるぜ……!
貧乏高校生・直己が自分の父親の死の原因を作った大企業の社長(ゲイ)に、ハニートラップ目的で会いに行くも作戦はすべて見透かされて失敗し……という、時代が時代なら檻に入れられてオークション案件になりかねないオープニング。しかし、令和の攻め様である京一さんは彼がどうしてこんなことをしたのか冷静に聞き出して、やっていることの危うさを諭し、直己の母親の清掃会社に仕事を回すことまで約束してくれます。
攻め様としてどうこうを超えて、会社の上司に欲しすぎる〜〜〜〜。直己との会話を録音しておくなど、きちんと自衛している危機管理能力の高さも推せます!
直己もハニートラップを企てるような単純アホの子ですが、京一と一緒にケーキを焼いたり、家事の手伝いをしたりして過ごすうちに、京一へのあこがれから夢や目標を持ち勉強に打ち込むように。そして、そんな直己のためにうきうきと対策問題集を作る京一。週末限定のマイ・フェア・レディ(BL版)のような世界観に胸がキュンッキュンに高鳴ります……!
また、京一に尽くす辣腕秘書・佐久間のモンペっぷりも見どころ。鉄面皮でドライな男が胸の奥底に秘めていたクソデカ感情に声も出ないくらい萌えました。ぜひともスピンオフで彼が幸せになる姿を見たーーーい!!!!(絶叫)
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
上田アキ先生の名作『ワンダー・ボーダー』のスピンオフ作品。前作を読んでいなくてもばっちり楽しめますが、読んでおくと本作の主人公・夏朗さんを応援する気持ちが5億%アップします。
優しくてマメな性格でお人好しで公務員な夏朗さんは、現実社会では優良物件と呼ばれそうですが、BL作品における攻め様としてややキャラが弱め。と思いきや、冒頭で出会う謎の青年・梅雨彦に襲われて、驚きと快感、戸惑い、興奮が綯い交ぜになった瞬間に、マウントを取り返して「こんな自分…僕、知らないんだよ…」と言い放ったときの顔が雄すぎて……息が止まりそうになって、しばらくページをめくれませんでした。私だってこんな夏朗さん知らなかったよ!(誰?)
貞操観念と性癖がぶっ飛んでいる梅雨彦くんを育て直すように向き合う誠実さ、人を愛することを恐れない強さ。夏朗さん、知れば知るほど誠実ないい男です。
そんな夏朗さんに支えられながら、「好き」とは「付き合う」とはどういうことなのかについてきちんと考え始める梅雨彦くんも健気で可愛い……!
梅雨彦くんを苦しめる男・豪も最低のクズ男のままでは終わらず、次は彼が幸せになるところを見たいと思ってしまうあたり、上田先生のキャラ造形力の凄まじさを感じます。
物語終盤、心がどうにかなってしまいそうなほどの多幸感が待っていますので、どうかティッシュのご用意を。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
ちょろい既婚者が初対面のゲイ(テクニシャン)にトロットロに抱かれて泣かされちゃう話、みんな好きですよね……?
どこが好きかというと、まず普段はイケメンでエリート、美人の妻もいる勝ち組で通っている宇佐美がトロ顔で抱かれているというギャップが最高。会社の後輩から憧れられているあの人が……って思うと、なんだか興奮が1.5倍くらい増しますよね。
そして、初めて男に抱かれるのに、後ろで達してしまう体のちょろさ。体が心を裏切っていくことへの不安と、疑いようのない快感との間で揺れる表情 is the エロス。しかも宇佐美はタレ目。タレ目✕困り眉は永遠の黄金タッグです!
そんなちょろ既婚者・宇佐美の心と体を暴いていくのが、別れさせ屋の怜。宇佐美の気持ちのいいところを容赦なく探り当て、物欲しげな表情を引き出し、自分との行為に溺れさせていく手際はお見事としか言いようがありません。しかし、怜にも暴かれなければいけない過去があり……。
嘘や欺瞞、秘密に彩られた宇佐美と怜の関係は決して美しいものではありませんが、全てが暴かれた先にはきっと……尊いラストが待っているはず……!
にしても、物語終盤での意外な展開には眼を見張るものがありますので、そこにもご注目ください。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
スパダリ攻め✕美人受け作品に定評のある藤河るり先生。本作も第二性をベータと偽るハイスペアルファ・日高と、ヒートがない“出来損ないオメガ”の薄幸系美人・吉田というカップリングです。
本作が他のオメガバース作品と違うのが、オメガが粘膜接触(キスやセックス)をすると、相手の血統に合わせて、蔦や雪の結晶、薔薇のようなマーキングマークが体のどこかに表れるという設定。愛し合った証拠が体に浮き出てくるなんて、めちゃくちゃえっちじゃないですか……?
ヒートがないため特例で教師として働けていた吉田なのに、日高にだけは彼のフェロモンの香りが分かるうえ、粘膜接触をしたら額に大きくて濃い薔薇のマーキングマークが表れてしまうなんて、運命が……強すぎる……(通常のマークは1cmほど)。
アルファとして強い力を持つ名門一族出身であることを隠す日高と、“出来損ない”であるがゆえにオメガとしても生きられない吉田は互いにはぐれ者同士。そんな孤独を埋め合おうとするようなエッチシーンは、互いを貪るように激しいのに、慈しみもだだ漏れでかなりの絶品です。
口では「お互いのメリットのためにセフレでいよう」なんて言ってますが、最初から完全に甘々エッチです。ごちそうさまでした。
また、物語のキーパーソンとなる、吉田のクラスのオメガ性の男子生徒・山崎が素直な良い子なので、彼が素敵なアルファと番になるスピンオフも読みたいものです。
2022年07月20日 -
ブックライブ書店員
80年代のアメリカを舞台に、アーミッシュの青年・テオと男娼のオズの純愛を描いた名作『ラムスプリンガの情景』(心交社)のスピンオフ作品。
テオたちより年上で、ラムスプリンガ(アーミッシュになるか俗世で生きるかを選ぶためのモラトリアム期間)を経て、外の世界で生きることを選択した19歳の青年・ジーンと、NYで働く34歳の弁護士・トレヴァーが主人公です。
物語の始まりは1992年夏のNY。50代になったトレヴァーのもとに16歳の甥・ジーン(同名の別人だなんて意味深…!)がやって来て、トレヴァーの手記を見つけたのをきっかけに、1973年の冬に出会った2人の馴れ初めが紐解かれていきます。
俗世間のことをほとんど何も知らない無垢なジーンと、優秀な弁護士として活躍しながらもゲイであるがゆえに他人に心を開くことが出来なかったトレヴァーとの交流や、恋が育っていく過程が優しく丁寧に描かれていて、心が温かいもので満たされていく――初めて聞くカーペンターズの歌声に夢中になってしまうジーン、真面目すぎていつも一言多いトレヴァーなど、何気ないけれど幸せな描写はBL界屈指のストーリーテラー・吾妻香夜先生だからこそ。『ラムスプリンガ』で味わった、あの多幸感を再び味わうことができます。
そんな温かで細やかな描写を積み重ねて辿り着いたクライマックス、ジーンが信仰にも似たトレヴァーへの愛を告白する一幕は涙なしには読めません。そして、告白に続くベッドシーンはエッチでかわいくて、純粋な愛に満ちていて、エロいのに泣ける……!
1992年の世界ではジーンは未登場。今はどこにいて何をしているのか、トレヴァーとの関係はどうなっているのか。早く!続刊が!読みたくてたまりません!!
2022年07月20日
