ブックライブの書店員おすすめレビュー

BL のおすすめレビュー

  • ブックライブ書店員

    『凪がれ星』はカメラが趣味の大学生と顔に火傷痕のある司書のお話。
    廃墟のような雰囲気の図書館に写真を撮るため足を運んだ天惺(てんせい)。
    彼はそこでミステリアスな雰囲気の司書の槇人(まきと)と出会います。

    普段は風景の撮影がメインで、人物のスナップはあまり撮らない天惺ですが、出会った日の槇人の表情は忘れられない様子。
    ある星の綺麗な夜。天惺はふと隣にいた槇人を撮影します。
    「火傷痕だらけの男のなにがいいんだか…」と言う槇人に天惺はその痕を「天の川みたいで綺麗だと思ってました」と伝える。
    ふたりはその直後、降り出した雨を避けるために避難したホテルで急接近―――。

    「天の川みたいで綺麗」
    実にいい口説き文句だ!!
    過去の出来事で、自分に自信を無くしていた槇人には嬉しいひと言だっただろうな…。

    満天の星空を目の前にして、天惺にとっては被写体としてもっと魅力的だったのが槇人だった、という流れからの「天の川みたいで綺麗」。
    天惺の心からの言葉なんだということが伝わってきますね~~~。
    読者がもつ槇人の火傷痕に対する印象を変えてしまうくらいのピュアさが素晴らしい。
    100億%正解です。

    事故で人生が変わってしまった槇人。
    それでもそんな彼を綺麗だと言う天惺の優しさがとても印象的でした。

    BLアワード2023にて表紙デザインランキング2位を獲得した本作。
    中身も本当に美しいんだ。
    是非お手に取っていただきたい一冊です。

    2023年10月02日
  • ブックライブ書店員

    28歳、ゆるくバンドマンを続けている星名。
    なんとか音楽で食べていきたいけど、どこか本気になれなくてもやもや、みたいな日々を送る。
    最近はバイト先の後輩の瀬戸くんがカワイくて癒し!
    見た目はいいが、どことなくダメオーラが漂う星名。
    「犬猫がかわいいみたいな感じだから」と言っていたはずの瀬戸くんのことも、ひょんなきっかけで家に連れ込んでしまう…。
    しかし!翌朝の会話で大学生だと思っていた瀬戸くんが高校生であることが判明!
    さすがの星名も自身の緩さを反省。
    一方的に瀬戸くんと距離を取るが―――。

    日々の癒しだった瀬戸くんの溢れるカワイさにあてられ、ついちょっかいをかけてしまい痛い目をみる星名。
    だからって、なにも言わずに距離を取るなんてちょっと大人とは言えないぜ…。
    でもアラサー仲間の私は星名の気持ちもわかるんですよね…。
    大人って思ったほどはちゃんとしていない。

    高校生の瀬戸くんは、年相応に悩みがある。
    そんな彼からすると星名は堅苦しい大人とは違う、頼れるお兄ちゃんくらいに思えていたのではないでしょうか。
    でも、星名からすると自分は全然ちゃんとしていないし、年下の瀬戸くんから頼られることが、ちょっとプレッシャーになってしまったのかもしれません。
    瀬戸くんに頼られるのは嬉しい、でも頼られるほどしっかりしていない。だから一緒にいるべきではない、みたいな思考。
    自分から手を出しておいて勝手ですし、星名は完全にテンパっている感じ。
    でも、から回りつつも瀬戸くんのことを考えてはいるというところがなんとも切ない。
    そんな思いも瀬戸くんには伝えてないから伝わるわけもなく…。

    バンドマンらしく気持ちは歌に、なんてベタなことをしてみたり。
    星名はずるくてダメな大人ですが、僕は嫌いになれないなと感じました。

    情けない大人のリアルを感じるBL。アラサーの心に刺さりました。

    2023年05月17日
  • ブックライブ書店員

    自分の感情を果実にして捨てることができる神様・白面と、そんな神様に拾われた人間・ヨスガのお話。
    神様と人間の愛、そして恋が交差する切ない物語で、愛情の示し方や解釈の難しさについて、愛について、改めて考えさせられる良い作品でした…。

    人を愛することが使命であるにもかかわらず、過去に人間から拒まれた経験から人間を愛することに苦悩する神様。
    ヨスガは人ならざるものが見えることから人々に疎まれていましたが、神様に出会い、共に生きてきました。そして、神様に想いを寄せるようになっていく。
    しかし、人間であることが神様との愛の障壁になってしまう。
    人でなければ神に愛してもらえない。しかし、人のままでは神とは永遠に一緒にいることはできない。
    ヨスガは神様とともにあるためにどのような決断をするのか―――。

    ため息が出てしまうほど、美しい物語でした。
    神様の容姿や、雰囲気、暮らしている場所の景色、すべてがビューリホー。
    マンガ家の皆様は頭の中にある景色をどうにか紙面に描き出そうとするのだとお聞きしたことがあります。安寧先生の頭の中にはどんな美しい景色が広がっているのでしょうか…。

    白面様とヨスガと共に過ごし、彼らを見守る八咫烏もとてもいいキャラでした。
    本編の続編も是非読みたいですが、ヨスガと出会うまでの前日譚も読みたい…!

    ストーリーの広がりを妄想してしまいたくなる、良いマンガでした。
    是非お手に取ってみてください!

    2023年05月17日
  • ブックライブ書店員

    高雛なつおは、自らをβと偽り生きるΩ。大企業東ヶ崎グループの秘書採用面接に向かう途中に突然の発情を起こし、居合わせたβ男性に襲われかけるというピンチに陥ります。
    しかし、間一髪でピンチを救ったのは超ハイスペックなαの双子、東ヶ崎侑也と智也でした。

    なつおは双子と激しく惹かれ合い、その強烈な感覚から彼らのどちらかが『運命の番』であると気付きます。
    しかし、果たしてどちらが本当の『運命の番』なのか―――

    はい、全員顔がいい!
    いや、顔がね、いいんですよ…。
    受けのなつおの美しさたるや。疲れて眠るなつおを侑也と智也が眺めるシーンを見てください。
    …美ッ!
    しかも、攻めに至ってはひとりだって相当な威力なのに、双子ですからね。
    これにより攻撃力は2倍に!スゴイぞー!カッコいいぞー!!ふはははは!!

    ~~~間~~~

    この作品は運命の番との出会いを描いたストーリーですが、相手が双子ということはどちらかは運命の番ではないんですよね…。
    でも、そんなことは関係なく侑也と智也はなつおに優しい。
    第二の性のことでこれまでいいことがなかったなつおは、Ωであることに悩み、周囲の人間を信用しきれずにいました。そんななつおが徐々に二人に心を開いていく様子がよきです。
    ここ、すごいすきだなと思ったんですが、なんというか、双子たちは無理になつおの心の壁を越えてくる感じではないんです。
    その壁に寄り添って、なつおの方から扉を開けてくれるのを待っている、という感じなんです。
    この尊さ、みなさんにも伝わりますよね…。

    このよさ、みなさんにも是非読んで体感していただきたい…。
    オススメです!

    2023年05月17日
  • ブックライブ書店員

    タイムリープものです。
    これ以上はネタバレなしで読んでいただきたいので何も言えないですね!!(完)

    …というわけには流石にいかないので、本筋に触れない程度にご紹介をさせてください。

    顔が良く性格も明るい三国はいわゆるクラスの一軍男子という感じ。
    ところが隣の席の小野は三国に対してなぜか冷たい。
    なんでだろうと思ううちに、だんだん小野を意識し始める三国。
    そんなある日、三国は小野が教師から襲われそうになっている姿を目撃してしまいます。
    翌日学校に現れた小野にもどう接したらいいかわからず、距離を取ってしまう三国。
    そして、その夜小野が自ら命を絶ったことを知ります。
    三国は「自分のせいだ」と自分を責めますが、次の瞬間時間が朝まで巻き戻っていることに気が付きます。
    今度こそ小野を助けようと決意する三国。
    果たして彼は小野を救うことができるのか―――!?

    どうしてタイムリープが起こるのか。小野は何を考えているのか。すべての謎がこの1冊できれいにまとめられている印象を受けました。
    アタマを使いながら読むタイプの作品ですが、最後には間違いなくスッキリすることができるはずです。
    BLって奥が深い…。

    クールな小野と三国の共通の話題がゆるキャラというのもいいですね。
    小野がキャラを好きになったきっかけも含めてすごいよかった…。
    こんなちょっとした要素にも深堀りの要素が用意されているところが最高ですね。
    読んでいて気持ちがいいです。
    ストーリー重視でしっかり作品を読み込みたい方にオススメですよ!

    あとがきで描かれる豚田先生の近影(!?)とお話のギャップが面白かったです。
    先生のコメディも読んでみたいかも…。

    ふたりのその後を描いた『オレが好きな今日の君』もあわせてどうぞ!

    2023年05月17日
  • ブックライブ書店員

    人と人との出会いによって人生が輝く瞬間をこの作品に見せてもらえた気がします。
    マンガっていいですね…。(毎月言っている気がする。)

    主人公のナルは、ノンケの男子に女の子を愛するように接してほしいという願望がある男子。
    ナルは、彼の叶えたかった「普通」の恋愛を、決して手の届かないものと考え絶望しています。
    自分が「普通」じゃないせいだと、たくさん傷ついてきたナル。
    そんな彼を救ってくれたのが出張ホストの圭でした。
    自分のことを「病気」だと責めるナルに、圭はナルが言う病気は「“普通”に拘る(こだわる)病気」だと語ります。

    「俺との3時間は周りの言う当たり前であろうとしなくていい。自分の欲求に素直に身を投げて欲しい。その全てが、ここなら当たり前になるから…っ。」

    …なんっていい台詞なんだ!!!!!!
    自分らしく振舞うことは間違いなんかではないんだ、と思わせてくれる圭の懐の深さ。
    これは惚れてしまうわ…。

    『出張ホスト NYU BOY』はデリケートな性のテーマを扱っている作品だと思います。
    ただ、だからこそだと思うんですが、ストーリーのほとんどはコメディ要素が強めに読みやすく描かれています。
    BL的に言うのであれば、丁寧に慣らしを行ってもらえている感覚というか…。(いや、知らんけど)
    前半はコミカルな要素がほとんどで、しかもばっちり笑えて面白い。
    気付いたらしっかり夢中になっていました。

    この作品は紫能了先生の商業デビュー作。
    息苦しいことも多い世の中。
    そんな中でも息がしやすくなるようなヒントをくれる、そんな作品だと思います。

    2023年05月17日
  • ブックライブ書店員

    飢えに苦しむ村のために嫁に出された兎族の楓。
    嫁ぎ先はなんと狼族!?
    せっかく村を出て名家に嫁ぐのだから、今までよりもずっと幸せになってみんなを見返そうと考える楓。
    しかし、そんな彼を待っていた婚約者の練は愛想無しのぶっきらぼうで―――。

    まずこの作品を読み始めて思ったのは、世界観の作り込みがすごい!ということです。
    兎族の暮らしていた村や、楓の嫁いできた町の様子。
    それぞれの種族の職業や風習がよく練られていて素晴らしかったです。
    なかでも結婚の儀式である百代結(ももよむすび)で使用する衣装のデザインが可愛い!!
    衣装選びのシーンで描かれる着物の柄がどれも綺麗でそのページだけ特に時間をかけて読みました。読んだというか、もう観賞したというか。
    相当研究されたのではないでしょうか…。

    楓はなにも知らされずに練のところへ連れてこられるので、普通であればちょっと可哀そうになっちゃうはずですが、彼自身はいたってポジティブなので楽しく読み進めることができました。
    出会いたての頃の練は相当嫌な感じですが、それでも彼を好きになれたのは楓の健気さがあったからだろうなぁ。
    楓はやられっぱなしではなく自分の気持ちもはっきり口にするタイプの兎。
    思わぬ反撃に逆にたじたじしている練が可愛く見えました。
    ケンカップルはこうじゃねぇとな!最高です!
    健気で負けん気の強いおもしれー嫁(なお、性別は不問)が刺さりました。

    巻末に収録された設定紹介まで楽しく読み込めます。
    この作り込みで1冊限りは寂しいよ!と思った方は、是非番外編まで合わせてお楽しみ下さい!

    2023年05月17日
  • ブックライブ書店員

    光熱費の支払いを滞らせた場合、サービスがとまるのは「電気」「ガス」「水道」の順番だということをご存じでしょうか。
    なぜ電気を優先するかと言えば、ガス代を払っていても、電気が止まると使用できないガス機器があるからだそうな。
    しかし3段階あるといってもひとつまではセーフ、というわけではないところがミソ。
    電気が止まるのだって十分ピンチだ…。

    さて、この作品は登場人物の佐藤の家にガスの供給停止案内が届くシーンから始まります。
    …もう2段階目まで来ている!?
    金に困った佐藤は大学の友人であるハタと要に「2時間で4万円」のバイトを打診される。
    もちろん飛びついてしまう浅はかな佐藤。彼を待っていたのはスケベな実験の数々であった…というあらすじ。

    お金儲けのために、流行りのBLを研究してゲームを開発しよう。というのがハタと要の計画。
    はじめは金のためにイヤイヤ協力していた佐藤も、資料として渡されたBLマンガを読むうちにどんどんBLにハマっていきます。
    妄想パートでハタにガンガン攻められるシーンがあるのですが、シチュエーションが相当練られており、佐藤のBL脳の成長に驚かされました。

    基本的には攻めがSッ気強めなんですが、なんだかんだ佐藤に甘いところがいいですね。
    ラストの展開を読んだらもう1周アタマから読み返したくなるはずです…。

    2023年03月03日
  • ブックライブ書店員

    男5人での同居が始まったシェアハウスニルヴァーナが舞台のこの作品。
    メインで描かれるのは14年という長い間一途に片想いを続ける澄春(すばる)と、そんな想いに気が付かない鈍感な大悟のふたりです。
    不思議な道具によって引き起こされるファンタジー要素も織り込まれながら、それでもなんだかこの作品がリアルに感じられるのは、登場人物の心理描写が細かく、彼らが身近に思えるからでしょうか。

    登場するのは心が透視できる眼鏡や、飲むと意中の相手の好みの外見に変身できるお茶などなど。
    「あれ、ここドラ○もん住んでる!?」と思ってしまうような展開なのですが、道具を使うことで起こる事件がうまい具合に澄春と大悟の関係に変化を与えるというか、不思議とハマるんですよね。
    絵津鼓先生のお話づくりが上手すぎる…。
    なんか、マンガっていいなぁと思いました。改めて。

    お茶で大悟の好みの女性に変身したはずの澄春に「澄春の顔ずいぶん見てないって気になってる」と伝える大悟。
    それを受けて「早く元の姿で大悟に会いたい」と思う澄春。
    エモ―――。これがエモ。

    無自覚にいい男な大悟。
    しかし、無自覚故に澄春を苦しめていることには気付かない。
    想い人の言動に一喜一憂するのは、楽しい瞬間もあるでしょう。
    でもそれが報われないかもしれない恋だとしたら、きっと揺らぐ感情に振り回されることに疲れてしまう気持ちの方がよほど大きかっただろうとも思います。

    彼らの関係はどんな結末を迎えるのか。是非お手に取って確かめてください!

    2023年03月03日
  • ブックライブ書店員

    まずこの作品、表紙めちゃくちゃキレイじゃないですか!?
    マンガをジャケ買いするタイプの僕ですが、この表紙ははちゃめちゃに刺さりました。
    昼の温かい光を受けながら視線を交わし合う受けと攻め。
    ふたりを見守るように咲く朝顔。花言葉は「儚い恋」―――。
    完璧だ。これがパーフェクト…。
    このふたりのBL、読みたくなってきますよね??

    『はじめの恋』は元ヤクザの真宮と大学生の香坂のふたりが出会い、お互いに成長していく様子を描いた作品。
    生きてきた環境も全く異なり、年齢も離れたふたりですが、お互いの足りない部分を補い合う様子が本当に尊い。

    僕は真宮が香坂を「香坂くん」と呼ぶのがとてもツボでした。
    どう見てもカタギではない真宮が、それでも優しく見えるのは、こういう細かい気遣いというか、誠実な人間性が感じられるからなんだろうなぁ。

    …まぁ、単純にピュアでかわいいというのもあると思いますが。
    僕は初デートの際のえらくピュアな真宮にすごくほっこりしました。
    はじめて飲むタピオカのおいしさに衝撃を受ける元ヤクザ。
    のちに飼う猫にもタピオカと名前をつけています。いや、可愛すぎる!

    対する香坂もいい受けでした。
    これまで相手に本気になってもらう恋愛ができず、たくさん傷ついてきた香坂。
    そんな彼が恋を知らなかった真宮と出会い、やっと自分を幸せにしてあげられている姿をみて幸せな気持ちになりました。
    本当にこのふたりは出会えてよかったな…。

    元ヤクザの出てくる作品ですが、作品の雰囲気は基本的に和やか。
    強面男子成分を摂取しつつ、心温まるBLを読みたい方にオススメの一冊です。
    書き下ろしで描かれる少し未来のお話も必見。

    2023年03月03日
  • ブックライブ書店員

    大学生になり幼なじみで一歳年上の千紘と再会した壱成。
    壱成はルックスも頭もいいタイプ。しかし、常にその上を行くのが千紘でした。
    久しぶりに顔を合わせた千紘は相変わらずいいやつで…。地元を出て久しぶりに会った千紘にかっこいい姿をみせるつもりが、慣れない都会に目を回してしまった壱成。
    そんな彼のことも千紘は嫌味なくサポート。
    なんでもできる千紘に負けず嫌いを発動させた壱成は、彼を見返すために千紘の特別な存在になろうと考える。
    果たして壱成は千紘を振り向かせることができるのか―――!?

    自分でも正体がわからないモヤモヤを抱えるあまり、走り気味に始まった壱成の恋。
    壱成はクールなように見えて、かなり面白い男子でした。
    遠くにいる千紘を見つけて手を振ってみたり、一緒に帰ろうと言われてうれしくなっちゃったり…。なんだよ!かわいいなあ!

    千紘も各所で見せるさらりと自然なフォローが素敵でした!
    序盤に描かれた、疲れている壱成に気を遣わせないように「俺が座りてえんだよ」と言いながらベンチへ向かったシーン。あまりのスマートさに感動してしまいました。
    千紘、絶対自然にお年寄りに席を譲れるタイプだな…。憧れちゃうぜ。

    壱成と千紘はいわゆる幼なじみ。
    きっと、お互いに相手を兄弟のようにも思っていたんじゃないでしょうか。
    近くにいた分、恋愛関係に進むには普通よりもエネルギーが必要だったと思います。
    特に千紘は、年上として慎重になってしまうところもあっただろうな…。
    しかしそんなふたりだからこそ、まっすぐに感情をぶつけることができたのでしょう。
    信頼関係がとても尊かったです。

    好きな相手のために、どんな自分になりたいか。
    相手のために何ができるか。
    恋心を自覚しながら、少しずつ人としても成長していく姿が眩しい作品でした。

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    本作は『家族になろうよ』の過去編です。
    後に家族になるふたりが、まだただの幼なじみだったころからのエピソードが描かれています。
    実は僕『いつか恋になるまで』を先に読んでしまったんですが、その順番でも全然ありでした。

    中学生の千秋、和馬、巴。家族同然の身近な存在として育ってきた3人。
    兄妹のような関係の3人組ですが、男子たちはちょっぴり特別で…。

    千秋を親友としてしか見ていない和馬と、和馬に片想い中の千秋。
    思春期に突入し少しずつカラダやココロが変化していくなかで、ふたりの関係にも進展が訪れます。
    この幼なじみ→恋人までの過程がめちゃくちゃよかったです!

    自分のものでなくなってしまう相手のことを想像して、苦しくなってしまうふたり。
    その想いを自覚してしまってからは、もうただの幼なじみではいられなくなるぞ!
    若さゆえの勢いが、ページをめくる手を加速させます。

    3人のうち、唯一の女子である巴もよかったですね…。
    ちゃんと二人のことを理解しつつ、別に応援したり、過剰に励ましたり、そんなことはしないんです。ただ一緒にいる、みたいな…。
    よいバランス感覚でした。

    この絶妙な青春劇、未読の方は是非ご一読ください。

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    芸能系BL、キラキラしてていいですよねぇ…。

    同性愛ドラマで超人気俳優の羽山麻水と共演することになった新人の白崎由岐。
    役作りのために訪れたゲイバーで声をかけてきたのはまさかの羽山!
    芝居のために始めた関係と思っていた白崎だったが、羽山の魅力に惹き込まれ、少しづつ本気の恋心を自覚してゆく―――。 

    ドラマでの共演がきっかけで急接近するふたり。
    実は大学の映画研究会では先輩後輩の関係でした。
    とはいっても特に絡みはなく、たったの一度だけ言葉を交わした程度。
    しかし、その一度の会話が羽山の芸能活動に大きな影響を与えていたりします。

    芸能人同士でありながら、ただの大学生だったころのお互いも知っている、という関係性がまた絶妙ですね…。
    芸能人としての自分たちをどこか俯瞰的にみているところが面白かったです。
    「涙を流す演技が美しい俳優ランキング」1位だからっていい気になんなよ…というセリフがツボでした。

    ドラマがヒットして俳優としての注目度が上がっていく白崎ですが、どんなに大きなニュースよりも、羽山に一言「うまかったから 元々」と言われた時の方が嬉しそうなのが可愛い。
    キャラクターの細かい心理描写が刺さる作品でした。
    「心臓の場所、痛い時にわかるんだ」というモノローグの切なさよ…。
    今年はまだ始まったばかりですが、決まっちゃいましたね。名言of the year 2023。

    美形同士のBLを浴びて、いい一年のスタートを切りましょう。
    オススメです。是非ご覧あれ!

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    これまでモテにモテてきた高校生の羽賀。
    顔面力の高い彼は恋人にも不自由しないタイプ。
    しかし、今度の恋には苦戦中の様子!?
    石を投げれば元カノにあたるような環境で、羽賀が好きになってしまったのはとびきり美人の男性教師、由良だったのである。
    最初は冗談半分のつもりだったのに、可愛すぎる由良に羽賀も次第に本気になって―――。

    羽賀はモテてる。
    モテるんですが、今まではなんだかどの相手にも本気になれなかったようで…。
    恋愛をするうえで基本的には追われる立場だった羽賀。
    追う側としてはひょっとして初めての恋なのでしょうか。
    ナチュラルに由良をストーキングしてしまったり、隙あらばキスをしにいったり、大胆すぎる手口で由良に迫ります。

    しかし羽賀が暴走気味になるのも全然わかります。
    それほどまでに、由良はかわいい!

    きれいな黒髪、長いまつげ。お姫様抱っこがきれいにハマるサイズ感。
    これだけ綺麗なら、由良もモテるでしょう。
    それなのに、羽賀のアプローチにたじたじして顔を赤らめたりしているところもまたキュート。
    こりゃ好きになっちゃうぜ。

    かわいいあのコは年上で先生で男!
    普通なら躊躇ってしまうかもしれないこの恋に「それが何?」と突っ走れる無敵感が羽賀にはあります。
    多様性の現代。禁断の関係、という感覚はそれほど強くありませんが、それでも一歩目を迷わず踏み出せる羽賀はかっこよかったです。

    段々と親密になってゆくふたりですが、それでも由良は羽賀を受け入れてはくれない。
    由良になにか事情がありそうですが、1巻ではその真相に迫ることができません。

    養護教諭の恋敵が現れ、2巻以降では一波乱ありそうな予感…。
    果たして羽賀は由良と結ばれることができるのか。
    続きが本当に気になる作品です!!

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    外資系金融企業のエリートサラリーマンであるキヨシと、その彼氏である探偵事務所勤務のトウヤのおはなし。

    この作品の魅力は、登場人物の生活を感じられるところだと思っています。
    イケメンで明るく、なんでもできる癖に恋愛にはやや臆病なキヨシ。(復活が早くてくよくよしないところが大好きです。)
    そんなキヨシに振り回されながらも、まっすぐな彼の人間性をちゃんとわかっているトウヤ。(告白はトウヤからだったというのが良い…。)
    彼らが、どんなところに住んでいて、どんな部屋で暮らしていて、どんな小物に囲まれているのか。背景や衣装の描写が細かく、そういったところまで想像することができるのが本当に楽しい。
    ふたりが使ってる手袋、色違いのおそろいじゃない??みたいな気付き(違うかもですが)が、(キヨシの趣味っぽいな。プレゼントしたのかな…。)なんて妄想を膨らませてくれて、彼らをどこかリアルに感じることができました。
    そういう深さってなんか、いいですよね…。(オタク)

    作中の空気感も本当に素敵でした。
    この作品の雰囲気は、キヨシが賑やかなため基本的には明るい。
    それでもたまに、静か~なさみしさを感じる瞬間があります。
    だからこそ、ふたりでいる時間の温かさがたまらなく愛おしい…。
    悲しみは半分に。喜びは2倍に。
    そんな尊い関係を、ふたりなら叶えてくれる。そんな気持ちにさせてくれます。

    なんてことない日常と、マンガならではのちょっとしたきらめき。
    定期的に読み返したくなる作品です。
    『ヒゲと鈴としゃぼん玉』のスピンオフである本作。是非2作あわせてお楽しみください!

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    舞台は未来。
    感情を持つアンドロイドを開発するために研究を重ねる瑛二。
    心に踏み込まれることを嫌い、アプリでの出会いすら億劫になった瑛二はセクサロイドの働くアンドロイドバーに立ち寄る。
    そこで出会ったのは「テオドール(テオ)」と名乗るアンドロイド。
    テオに感情のようなものを感じ取った瑛二は再び店を訪れて彼を長期レンタルする…。

    この研究者、スケベすぎる…!!
    表紙左の褐色イケメンが瑛二です。
    市ヶ谷モル先生のこだわりを感じる胸部の作画がよきでございました。
    瑛二も相当よい身体つきをしていますが、テオはさらに体格がよい。
    でかいのにワンコ。これは萌え要素ですね。ありがとうございます。

    テオはアンドロイドでありながら、落ち込む様子をみせたり、その仕草はまるで人間のようです。
    一方で、一緒にシャワーを浴びて調子を崩しそうになったり、急にバッテリー切れを起こしたり、しっかりアンドロイドらしいシーンも描かれています。
    テオのようなアンドロイドを作りたかった瑛二は研究対象として彼の観察を行います。
    そして同時に、少しずつ彼の人格にも惹かれていってしまうのです。

    『タイプ・エイド』は続刊の発売が予定されており、ストーリーは1巻では完結しておりません。
    ロボットとの恋愛ストーリーって切ない話が多い気がするんですよね…。
    瑛二と出会ったテオは、以前の記憶を失っていました。
    この記憶が戻ってしまったとき、テオは瑛二の知っているテオのままだと言えるでしょうか…。
    そして彼が記憶を取り戻すとき、その手伝いをするのは研究者である瑛二自身である可能性が高いでしょう。
    瑛二とテオはどのような結末を迎えるのか…!

    いやー続きが気になります!!
    皆さんも是非一緒にこの先のストーリーを追いかけませんか。

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    キツネ族αの宇迦野とネズミ族Ωの胡桃沢は編集者と漫画家の間柄であり、同時に捕食者と被食者の関係でもある。
    ネズミの胡桃沢はキツネの宇迦野にとって、比喩でなく「美味しそう」。
    宇迦野の瞳が、なんだか獲物を狙うように思えておびえる胡桃沢。
    ある日、行きつけのバーで発情期(ヒート)を起こしてしまいピンチに陥る胡桃沢。
    そんな彼を助けに現れたのは編集者の宇迦野。
    発情を抑えるため、胡桃沢を抱く宇迦野。
    抑制剤を使ってもなお、こみ上げてくる捕食者の本能に抗いながらも、宇迦野は自分が抑えられなくなり―――。

    「捕食者と被食者」という設定がユニークな本作。
    作中では実際に捕食による事件も起きている描写もあり、基本的に和やかなはずの胡桃沢と宇迦野の関係にも緊張感があります。

    作中、彼らは本当に動物の身体になることができます。
    ネズミの姿の胡桃沢はとっっってもキュート!マジでかわいいです。
    しかし、被食対象としては食べごろのサイズなんですよね…。
    ただかわいいだけではなく、同時にかなり危うい設定なのです。

    愛する人を食べたいと思ってしまったとき、それでも彼らは一緒にいることができるでしょうか…。
    この結末は是非本作を手に取ってお確かめください。

    電子書店限定の書き下ろしマンガがとっても良かったです…!

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    僕は、マンガの楽しさにはいくつか種類があると思っていて、そのうちのひとつが「知る楽しさ」だと思っています。
    『放課後のエチュード』はバレエを題材にしたマンガとして、「知る楽しさ」を刺激してくれるいい作品です。

    体型に恵まれながらも人を惹きつけることが不得手で、伸び悩む見延(みのべ)。
    一方、圧倒的な存在感を持ちながらも身長がバレエ団の基準に満たない一宮(いちのみや)。
    主役のふたりはバレエダンサーで、それぞれ違う悩みを抱えています。
    見延は一宮のようになりたくて、上級生とペアになる制度を利用して彼に近づく。
    初めは見延とペアになることを嫌がった一宮だが、ペア練習の直後ひょんなきっかけから急接近―――!?

    流石ダンサー、というべきでしょうか。
    見延と一宮には他人を惹きつける魅力が溢れています。
    見た目が良いというのももちろんあるんですが、仕草が優雅で気付くと夢中になっている…。
    キャラクターが躍るシーンは、それを描く昼寝先生の画力が高いため、とても迫力があります。
    なにより身体の描写が素晴らしいです…。
    節がハッキリしていて、筋肉もりもり(アホみたいな語彙)なのに、繊細なんですよ…。
    眼福でございます。(興奮)

    この作品、視線や指先の表情も印象的です。
    実際のバリエーション(振付)を切り取った流れるようなコマの進み。
    しかし、ここぞというところではキャラクターの視線にドキッとさせられて眼が離せなくなる…。僕はこの作品の手の描き方が大好きです。印象的なシーンは手の表現にも気合が感じられました。
    本当に踊っている様子を見ているような感覚になります。
    みなさんにも是非お手に取って感じて欲しい。
    僕はバレエをみたことがないのですが、俄然興味が湧いてきました。
    「イチさんの放課後レッスン」として話と話の間に挟まる説明コーナーがとても丁寧で、
    作品への理解を深めることを助けてくれます。

    『放課後のエチュード』是非読んでみませんか。
    いいドキドキが詰まってますよ…。おすすめです。

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    社会に出てみたら、うまくいかないことが続いていやになっちゃうこともありますよね…。
    教師の雨谷(あまがい)涼太は生徒にも受けが悪く、同僚とも馬が合わない。
    つまらない日常にも、ダメな自分にも嫌気がさして、なんとなく帰りたくない気分。
    そんな夜に初めて訪れたバー。そこで出会ったのがヒロトでした。
    酔った涼太はヒロトを自宅に招き入れ、ずっと一緒にいて欲しいと頼む―――。

    ヒロトは甘やかし上手で家事上手。
    部屋も掃除してくれるし、作ってくれるご飯もおいしい。
    酔った勢いで始まった関係のはずが、マメで世話焼きなヒロトと生活するうちに涼太はこの暮らしが心地よくなってゆく。

    ただ、この暮らしはなんだかこう、儚いんですよね。
    食卓に並ぶ料理が涼太の好きなものになってきたり、生活サイクルも把握できてきたり、ふたりの仲は深まっているように見えるのに、心の距離はあるポイントから進んでいない。
    ふたりはお互いが好きで、一緒に居られて幸せなはずなのに、干渉を恐れて踏み込むことができない…。

    なんてことなくて、しかしかけがえのないこの毎日を留めておく方法を知らないんだ…。
    そういうふたりなんだ…。
    執着がないというか、できないというか…!ああ、背中を押してやりたい!でも押しちゃったらダメになっちゃうんだろうな!

    ふたりが一緒にいられる方法は、彼ら自身が見つけるしかないのだ…。
    見守りがいのあるカップルですよ。みなさんもいかがですか。

    個人的には環山先生の書き文字が好きです。
    するりと抜けるような素敵な筆跡です。
    作品の雰囲気にマッチしていてとても良かったです。ここにも注目。

    2023年01月30日
  • ブックライブ書店員

    とにかく可愛い受けが刺さるみなさんに読んでいただきたい作品です…。

    これまでの人生、基本的には他人に好かれるタイプだった大学生の古川。
    そんな彼が唯一うまくいかないのがバイト先の店長、北山。
    店長が自分にだけ不愛想な理由がわからずもやもやした日々を送る古川はある日、ひょんなことから彼がゲイであることを知ってしまいます。
    同時に、彼がノンケに片思い中であることも知った古川はその相手が自分かもしれないと考え、それを確かめるため店長に急接近する―――。

    いつもの僕なら「ノンケからゲイに接近するなんて何を企んどるんや!」と思うのですが、古川はほんとうに悪いことは何も考えていなくて、ただ「嫌われているわけじゃないなら、店長と仲良くなれるかも!」と思って行動している感じ。
    可愛くてなんだか応援したくなっちゃいました。
    表紙からも古川くんのワンコ感が漂っていますね~。良きです。

    店長が可愛い古川にやられちゃってる時の顔がとても可愛いので、その点にも注目してもらいたいです!
    受けが可愛くて、それを見る攻めが可愛くて…。
    両方可愛くなっちゃったよ!いやー幸せな連鎖反応です。
    君たちが好きだと叫びたい。

    ただ、店長は嬉しいだけでは済まない様子。
    「からかわれてるんじゃないか」と考えてしまい、素直には喜ぶことができない。
    相手のことを考えるからこそ、これ以上近づいちゃいけない、とブレーキを踏んでしまう。
    ノンケに恋するつらさが滲みます。
    頑張れ!店長!!

    この恋の行方は、是非実際にお手に取ってご確認ください!

    2023年01月30日