湯浅誠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
貧困と格差の問題は理屈は理解できても感情的に腹落ちしてない人は多いのではないだろうか。ただ子どもの貧困は大人の貧困よりは理解が得られやすく、子ども食堂の広がりは、それと関係があるかもしれない。子どもが課題を抱えているというのは、その家族、地域、社会が何かしらの課題を抱えているということである。地域の縁が薄くなり、孤立している子どもが増えてきた。それは子どもだけか。高齢者や大人もそうではないだろうか。子どもの貧困対策は地域の再生、つまり誰もが生きやすい街づくりにつながる。本書は著者の思いを抑えつつ、全国、各地の取り組みをルポのように紹介し、私たちはこれからどうすればいいかを考える希望の種を著した
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Posted by ブクログ
貧困は、見えにくい。
ある層の人々からは、存在しないことにできてしまう。
その上に覆いかぶさる、自己責任論。
それを内面化することにより、セーフティーネットから落ちた人は、自分自身をも疎外する。
自分なんてどうでもいいんだ、となり、どうにもならないところまで自分を追い込んでいく。
こんな社会、何かがおかしい。
自分自身もちょっとしたきっかけで自分だって貧困層になりかねない、と思う。
とはいうものの、上記の自己責任論的発想から抜けきれない。
本書では、アマルティア・センの貧困論で、自己責任論の誤謬を指摘してくれる。
センによれば、生活上の望ましい状態(センの用語のでは「機能」)を達成する自由 -
Posted by ブクログ
年越し派遣村の村長をしたことで知られる社会活動家で、内閣府参与として政府入りした経験も持つ湯浅誠氏による民主主義論。
民主主義は面倒くさくて疲れるものだ。その事実を直視した上で、どうすべきか考えよう。民主主義の活性化のためには、対話が必要であり、そのための時間と空間が必要だ。それらをデザインする力を身につけることが必要だ。本書の大きなメッセージはこのようなものである。
本書の内容には、かなり共感しながら読み進めた。自分が漠然と考えていたことをうまく言い表してくれていることが多かった。特に政策実施には、異なる意見の人との意見調整が必須であり、その調整コストの負担が必要(政府のやる気の問題ではない -
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ネタバレ読書途中。20人の講師による。一人90分の講演会の収録である。一気に読めるはずもなく、じわじわと読んだ。
姜尚中の講演のなかで、夏目漱石が奥さんをなぐっていたエピソードがあった。ノイローゼであったらしい。私は夏目漱石になれないけど、夏目漱石よりましだなと少し思った。考えかたとしてまちがっているのかな?どんな偉い人もほんとうにいろいろな苦しみにもがいていきているのだと思い直した。
20名全て役に立つわけでないが、中には、気に入る人もいるかもしれないとのことだろうか?3.11後の話など考えさせられたり。光触媒の話は興味を覚えた。文学、美術に関心を持った。宇宙論や素粒子の話は、わからないので、もうい -
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GDPのG、つまりGROSSには、資本減耗が加味されていない。一人当たり実質GDP額が420万円だとすると、これは生産活動による額だが、年収はここから減価償却を1割減らし、370万円が平均という事になる。これは計算を単純化した図式であって、GDPは、本来付加価値、つまり仕入れと売りの差益である。差益は、給与と内部留保になり、経済成長しても、企業が儲けるだけで、賃金が上がらない事もある。
中盤、経済学を切り口にっていう事で期待したが、湯浅誠や赤木智弘の人選によるものか、貧困を如何に減らすかという格差是正に対する政策論が目立つ。この手の話の究極は、自己責任論をどのように設定するかだ。
マクロ経 -
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引用に残ったことば。
・壊す時には壊す前のその建物がなぜ建てられたかを考えてみよ。(ヨーロッパの格言)
・なぜ私たちは主権者なのに主権者でないように振る舞うのか。
・民主主義は時間と空間、及び、その場の設計、参加とデザイン。
・船長の源泉はイノベーションです。イノベーションは「参加」や「場のデザイン」という衣装ダンスの中にたくさんの服(手法)を入れ、そのコーディネートの試行錯誤を重ねる中で生まれます。対人関係や各種のコミュニティの運営、社会や政治のあり方はまさに衣服を増やし、コーディネート経験を積む実践の場です。それが民主主義を活性化する。 -
Posted by ブクログ
著者は生活困窮者に対する生活相談を行うNPO法人〈もやい〉の代表を務める湯浅誠氏。
著者が貧困問題に取り組む上で独自に生み出した概念で、本書に紹介されているのが「すべり台社会」と「溜め」である。
第2章で、2007年3月25日付東京新聞に掲載されたセーフティーネットの三層構造を図示したものがオープニングで掲載されているが、その図の中に「ここから落ちた人はどうなっちゃうんだろう…」とつぶやく男性の姿が強烈に印象に残る。
この公的扶助のセーフティーネットからうっかり足を滑らせてしまったら、二度と這い上がれなくなる。このような現代の日本社会を著者は「すべり台社会」と名づけた。
また、第3章で